第43回 Xmasを迎える準備に忙しいNYと変わり行くSoHoマップ続編

第43回: Xmasを迎える準備に忙しいNYと変わり行くSoHoマップ続編 (2002/12/11)     ロックフェラーセンター・ツリー点灯式 撮影:林幸恵 ロックフェラーセンター・ツリー点灯式 撮影:林幸恵   Xmasを迎える準備に忙しいNY 例年より早いXmas飾りのような気がするのですが、年間の売り上げを決める一番大事な時で、活気を出そうと早くから飾り付けが始まっています。普通はThanksgiving(感謝祭)の後からがいっせいにXmasですが、今年はそのかなり前から飾り付けが始まっています。人出は多いのですが、皆買うのを絞っているのか、まだビジネス的には思わしくなく、店の人は皆心配しています。 アメリカだけの大イベントThanksgivingは、毎年11月最後の木曜日で、今年は11月28日でした。最初のアメリカ開拓移民が、ターキー、ハム、ポテト、コーン、Yam(Sweet Potato)等の収穫を祝ったしきたりから、家族そろってこれらの食材で食卓を飾ります。ちょうど、日本のお盆のような感じで皆里帰りをします。私の所でも年に一回の大ごちそうを作って、親元に帰れなかったスタッフや友人を招待しました。 NYでは、朝9時からメーシーズのThanksgivingパレードを、毎年1番寒い日に見に行ったり、TVの中継を見ながら料理作りをしたり(これは、日本の大晦日のような光景でしょうか?)。そして、パレードの最後にサンタクロースが出てきて「これからあと何日でXmas」と数え始めると、街は一斉にXmas商戦に入ります。Xmasと言っていますが、アメリカでは“Merry Xmas”はキリスト教徒が使い、ユダヤ教徒は“ハッピーハヌカ*”と、それぞれ宗教によって違うので、日本の様に誰も彼も“Merry Xmas”のカードは送りません。皆に通用する“Happy Holiday”や“Peace”等を使っています。 いつもイベントを行うArmory(兵器庫)のスペースで、12月中頃に年末クラフトバザーが企画されていましたが、テロの予告と警備の準備に使用するためと、キャンセルになって、クラフト作家達が打撃を受けてなげいています。 *ユダヤ教の祭日。ヘブライ暦に従っておよそ11月から12月に毎年行われ、8日間かけて祝われる。Happy ハヌカ >>>>   チェルシーマーケットの八百屋さん。この間までのハローインパンプキンがターキーとXmasに向けての飾りに Cut Turkey ターキーカット 撮影:林幸恵 Crate & Barrelのオープニング オープニングのチケットは1人$50で、DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)に寄付されます。数日前から売り切れで締切られるほどでしたが、当日はビルのまわりをぐるりとまわる入場者で賑わっていました。 Pikachu-Thanksgiving パレードの今年新登場ピカチュー 撮影:林幸恵 Crate & Barrelのオープニング その他の料理 撮影:Tomi Nevin     6番街のビル群もみなXmasの飾り ロックフェラー・センター前の飾り Xmasを迎える準備に忙しいNY SoHoのウィンドーもクリスマス・デコレーションが増えてきていますが、移り変わりの速さも目をみはるものがあります。最近まで、Grand Street とGreen Street にあったウエディング・ドレス専門店があっという間に家具店に変わり、一度店を出したカルティエやイブ・サンローランがほんの短い間で閉じたり、シャネルも近いうちSoHoの店を閉じるそうです。 それでもイタリア勢の家具、インテリアの店、有名ブランド・ブティック、そして、最近多いのにびっくりするのは靴屋とアイグラス・ストアー、そしてメイキャップ・ストアーもSoHoを変えてきています。 SoHoにはいくつかの有名ブランドのメイキャップ・ストアーがあります。大きなスペースだから作れるサウナ、スティーム・バスなどのある高級スパ。まだ倉庫街の様子を残すロフトへ、リムジンで乗り付けるセレブリティー達がスパの利用者のようです。   5番街Cartieのビルごと贈り物? 6番街53丁目バーリントンミル社前の飾り Radio City ケーキ屋さんのウィンドウもクリスマス一色 Sacks 5th Ave. Sacks 5th Ave. 動く人形のウィンドー チェルシーマーケットの中のアーチの飾り Sacks 5th Ave.

第42回 変わりゆくSoHoで注目の新ショップの紹介

第42回: 変わりゆくSoHoで注目の新ショップの紹介 (2002/11/13)   変わりゆくSoHo この1、2年のSoHoの変動は目をみはるようで、NYのトレンドの店が全部移動してきた感がありました。しかし、昨年の9月11日以降、“for rent”の看板が増えて、1ブロックに3軒位の貸店舗が続出。どうなるかと思っていましたが、ここへきて、新しいショップの出店や改築工事もあちこちで行われ、新たな動きが見えてきています。   貸店舗が続出 長く続いたCanal Jean Co. 今年で店じまいして、この後、ブルーミングデールSoHoが進出するという Crate & Barrel SoHoが18ヶ月かけて改築するというアナウンス・パーティーは11月14日に行われる予定 新しくオープンするショップ Green Streetでも大きな工事が2件続けて行われている ドイツの家具会社(USM)のビル全体工事はまだ継続して行われている   Apple ストアー 最近よく場所を聞かれるのがAppleのストアー (Map5) で、SoHoへ来る目的のひとつのようです。Prince StreetとGreene Streetの角の元郵便局だったビルを、郵便局の名前がついたままで使っています。中央のガラス階段が舞台のようで、四方の広いテーブルに乗った新製品をさわるのが皆の目的。2階にはレクチャー・プレゼン用のシアターもあり、相談室、アクセサリーショップなど、マニアにはたまらないお店のようです。AppleストアーからGreene Street を南に行くとすぐに『Hunting World 』、隣に『Louis Vuitton 』 と続きます。 << 郵便局の名前がついたままのAppleストアー外観     多くの人が行き交うショップ中央のガラス階段 Apple Store Apple Store Apple Store Apple Store Apple Store アクセサリーショップ レクチャー・プレゼン用シアター Hunting World Louis Vuitton   ジュエリー・ストアー D’FLY つい最近できて話題を呼んでいるのが、D’FLYというジュエリー・ストアー。台湾人の若いデザイナーJeff Shiがオーナーでドイツの建築事務所3deluxeと組んで作ったハイテクのしかけいっぱいのストアーです。Greene StreetのBroom StreetとGrand Streetの間にあります。 ガラスの什器はバキュームシステム(空気圧)で上下に動きます。リモコンで操作するのですが、空気のシューという音を立ててスムースです。奥にある鏡もリモコンで上下します。入り口にある斜めのソファ-は、NASAで使われたという座ると人体にそった形になるフォームを使用。奥には鏡の反射を利用して奥行きあるように見せたBamboo Garden(竹の庭)があって、自然の環境もとり入れています。取り扱っている商品もドイツのNiessing、スイスのMeister、ベルギーなど国際的で、すっきりしたデザイナーものです。   外観 入り口のスペース リモコンで上下するガラスの什器

第41回 Williamsburgのデザイン・イベント「FIRSTOP」

Williamsburgのデザイン・イベント「FIRSTOP」 今回の為のMapと参加リスト 表示されているイベントの地図 マンハッタンから一駅「ウイリアムスバーグ」 マンハッタンから地下鉄に乗り一つ目の駅で降りると、ウイリアムスバーグ(Williamsburg)に着きます。この一つ目の駅(first stop)から「Firstop」とタイトルをつけて、 Williamsburg 地区のショップ、ギャラリー、デザイナーなどが参加した初のデザイン・イベントが9月28日(土)、29日(日)に開かれました。参加したのは、67軒のショップ、スタジオ、ワークショップなど。今回はその様子と Williamsburg を紹介します。   Williamsburg は1905年にローアー(下の方)・マンハッタンから橋が渡され、工場地帯、倉庫、労働者階級、移民の街として発展。ラテン系、ヨーロッパ、ノースアメリカ、アジア、アフリカなど世界各地からの移民家族が住む地域でした。 80年頃まではまだ、麻薬や射撃事件等が発生する危ない感じの地域でしたが、この数年で家賃が$400から$2000ドルと上昇し、新しく移り住む人達も増えて、アーティスト・コロニーへと変化してきて、若者の賑わう街にかわってきています。 SoHoやチェルシーとも違って、小さいスケールの店などが多く、グリニッジ・ビレッジを思わせる雰囲気です。 今でも残っている壊されたままのビル(4、5年前まではこのイメージがあった) ウイリアムスバーグ・ブリッジの橋を渡ったすぐの所グラフィティー   ウイリアムスバーグ・ブリッジの橋を渡ったすぐの所にあるジョージ・ワシントンの銅像   この Williamsburg の発展に一役買っている女性に日本人のアーティストでディレクターの二居祐子さんがいます。 彼女は1996年に基金を集め、ビルディングを購入して「Williamsburg Art & Historical Center」を作りました。1999年からはWilliamsburg Art Cuture Festivalを開催。アーティスト、ギャラリー等と一緒に地域発展のイベントを実施して、外部からの注目を集めるようになりました。その頃からギャラリー、レストラン、ショップなどが、 Williamsburg に移り始めたようです。 Firstopに参加してない店でも若者の街の感じをにおわせる CDなどを扱う音楽店のファサード   おどろくような変わりっぷり 4年くらい前、Galapagos というクラブで、インテリア・デザイナーのバースデイ・パーティーがありました。かなり怖い感じの会場をやっと探し当てて、入って見たら、水をひたしたファサードに不思議な空間のクラブで「こんな所に!」と感心して以来、雑誌や新聞でちらほら記事を見て気にはなっていましたが、今回この「Firstop」に出かけて、ここまで発展してたのかとびっくりしました。 「FIRSTOP」の企画は、プロダクト・デザイナーの Klaus Resbury(SONIC Design Studio)とグラフィック・デザイナー&ライターの中国系女性 Cindy Hsiao、そして NY Design Room のGgrippo が世話人になって、オーガナイズされました。 今回のFirstop主催者(3人)の一人ジャーマン・デザイナーKlaus Rosburg とそのSONIC Design展示場 NYDesign Room オーナーデザイナー、今回の Firstop 主催者の一人でもある Ggrippo … NY Design Room Klaus Rosburg SONIC Design スタジオの仕事紹介、今はやりの緑(中身も緑)のケチャップ・ボトルもこのスタジオのデザイン

第40回 インターナショナル・ギフト・フェアー、1年たちNYの景気は?

第40回: インターナショナル・ギフト・フェアー、1年たちNYの景気は?(2002/9/11) 会場入り口の受付、万国旗が並ぶ 外光豊かなジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターのロビー 143回をむかえたインターナショナル・ギフト・フェアー 慣例のニューヨーク・インターナショナル・ギフト・フェアーの143回目が、8月10日から15日までジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで行われました。 主催者側の数字では来場者数72,687人、アテンドしたバイヤー数42,427人ということで、かなりの動員数ですが、出展社数2,573社( Accent On Design だけでは185社)の中の1社として出展した我々の感想は「まだNYは9月11日の影響から抜け出せていない」ということでした。顧客が来ないので来場者は見るからに減っていて、ショーは大きく打撃を受けているように感じました。 各部門に目を向けると、全体に癒し系の商品が目立っていました。自然の素材を用いた商品、クッション(ピロー)、キャンドル関係、フレームなどは評判も良かったようです。色ではオレンジ色が目を引いて、明るい季節感を演出し際立っていました。 部門毎のピクトグラム、右が Accent On Design 暮れかかると暖色系の明かりがさらに目立つ 並ぶスキッピー・スツール Accent On Design 今昔 今回の Accent On Design 部門では、14社が入れ代わり、若いデザイナーや会社が新たに入りました。 1984年に始まった Accent On Design に最初から出展している人達も大分減ってきました。そんな中の一人、イタリーのアレッシの商品や有名デザイナーブランドの新商品を紹介し続けていた Markuse Corp.、今は Projects と言っておりますが、その社長の Jack Markuse 氏と今昔の話をしました。 アメリカにマーケットのない商品を色々とプロモートして全米に広げ、ビジネスになるようになると、皆、直接参入し、自分で商売を始めてしまったり…。と、この世界は厳しいという話とか、常に忙しくて、若い世代と交代するべきなのかなぁと思いつつも、つい好きなことなので、続けてしまっている…。など、まったく同感してしまいました。 他にはUmbra、Sassafras Enterprises,Inc.、CITYLIMIT、Creative Candles、Eigen Arts、TAG-Trade Associates Group、Textillery、Walker、Zelco Industries, Inc. などが第1回から残っている出展者です。 Projects(Markuse Corp.)社長の Jack Markuse Umbra社 Sassafras Enterprises,Inc.   Gallery 91 Gallery 91 今年のGallery 91 Gallery 91 は5回目から出展していますが、今回は明るい蛍光色に近いグリーンと白に統一して、同じ商品を数多く並べて見せる展示と、半円に設置したスクリーンにプロジェクタ-・クロックを投影して、演出効果をねらいました。   Accent On Design

第39回 MoMA QNS

第39回: MoMA QNS  増改築工事中のMoMA特別展示場 (2002/8/7) マンハッタンの近代美術館(MoMA)が、増改築工事の間の2005年まで、元の場所である53丁目を閉館して、マンハッタン島から橋を渡ったクイーンズ地区に特別展示会場を作り、運営しています。 このMoMA QNS(クイーンズ)、6月29日のオープニングには、マンハッタンからクイーンズまで作品を運ぶ行列のイベントを行い、幕開けとなりました。 マンハッタンからMoMA QNSに行くには地下鉄などでも便利ですが、53丁目の旧MoMA前から「QUEENS ARTLINK」というフリーで乗ることができるシャトル・バスが10~16時まで運行していて、たとえば毎時45分に出るバスは、MoMA QNS ~ P.S.1 Contemporary Art Center ~ AMERICAN MUSEUM OF THE MOVING IMAGE ~ ISAMU NOGUCHI GARDEN MUSEUMを回ります。 秋からはMUSEUM OF AFRICAN AMERICAN ART ~ SOCRATES SCULPTURE PARKも追加され、とても便利なQUEENS MUSEUM ツアーができるサービスになり、全て見ると盛り沢山の1日コースになります。 明るいブルーカラーで塗られたMoMA QNS。外部から見ると2階建てですが、内部は1層だけのなので、今までのMoMAを期待すると小さくて、展示も少なく物足りないのですが、入ると右手前に映像とコンピューターを使って、谷口吉生氏デザインのNEW MoMAの構想などをバーチャルに展示しています。オープニング・イベントの映像も参加したように見ることができますし、MoMAの紹介も簡潔です。 ニューヨーク近代美術館(MoMA)は3人の市民、リリー・ブリス、メアリー・Q・サリバン、アビー・O・ロックフェラーによって、1929年に近・現代美術を広く一般に紹介することを目的に設立されたそうです。設立当初、8枚の版画と1枚のドローイングから始まったコレクションが今では10万点を越えています。 このMoMA QNSは元ステープラー(ホッチキッス)工場だった建物を改築したもので、屋内はクーパー・ロバートソン&パートナーズ建築事務所によって最新技術を備えた保管倉庫とリサーチスペースに造り替えられ、2005年の新本館オープン以後も、それら重要な機能は継続して利用されるそうです。案内表示はロサンゼルスのマイケル・マルツアン建築事務所との共同デザインです。 MoMA QNS MoMA QNS幕開の作品を運ぶイベント(映像展示より) MoMA QNS MoMA QNS幕開の作品を運ぶイベント(映像展示より) MoMA QNS内部 MoMA QNS内部 MoMA QNS内部 MoMA QNS内部   MoMA QNS「Autobodies: Speed, Sport, Transport」 今回の展示の中で、デザイン関係のものだけPick Upしてみました。 一つは「Autobodies:

第38回 デザイン界の社交家George Beylerian の Material Connexion

第38回: デザイン界の社交家George Beylerian の Material Connexion (2002/7/10) 「マテリアル・コネクション」- ができるまで 家具会社の社長だったジョージ・ベルリアン(George Beylerian)は、早くから素材に関心を持っていてました。 いち早く1980年代初めに倉俣史郎の家具に興味をもち「ライセンスで作りたい」と相談を受け、当時、2人を引き合わせたことがありました。ですが、実現する前に自らの家具会社をSteelcases社に売ってしまい、新しい企画や展覧会を行うDesigner Partner Shipを設立しました。 その活動の一つにJeffrey Osborneと企画した「Mondo Material展」があります。 1990年に行ったこの企画。「新しい素材を扱っている日本企業に協力を頼んで欲しい」と、BeylerianとOzbornの2人から頼まれ、私も参加し、日本鋼管、藤倉化成などの協力・スポンサーを得ることができました。 この展覧会はCooper-Hewitt National Design Museumで行われ日本からのデザイナーも何人か参加していて、規格サイズの四角のボードにそれぞれが素材をコラージュしたり、おもしろく、提案した作品があつまりました。ちょうど時代もリサイクル等に動きつつあった時で、新しい試み、素材を見る展覧会として注目をあびました。 その後、MoMA がMutant Material展を行い、社会の動きとして位置づいてきて、NYの中の建築事務所もコンピューターで設計する時代に入り、いくつもの階を使っていたスペースを縮小し、個々に設備していた素材のライブラリーをまとめて、メンバーシップ制で見られる、資料室として整ったライブラリーをつくろうという構想のもとに、Material Connexionが1997年にコロンバスサークルのSteelcaseビルの4階にできました。 Material Connexionショールーム Material Connexionショールーム Material Connexionショールーム受付 (Photo; Gregory Beylerian)   当初、メンバーになるのは建築家やデザイナーと学校など、と思っていたそうですが、現在はメーカーやファッション関係企業など400社以上が会員登録をしています。 たとえばカルバン・クライン・ホームやプラダ、化粧品メーカーのエスティローダーやレブロン、ナイキのスポーツ・シューズ、リーボック、ソニー、日産自動車等。幅広い業種の企業が実際に、マテリアル・コネクションから探した素材で、新製品を開発し、発表し始めているそうです。 Material Connexionでは、年に何回か素材の教育を兼ねて、新しい展覧会が行われています。過去には、「Gaetano Pesce 素材の魔術師」展、NYの建築家25名による素材のコラージュ「New York, New York」展、魅惑のエコ素材「Glamorous Green」展、マテリアル集合体「Techno Textiles」展、張力建築「Tension in Architecture」展、マテリアル・コネクションの中から100点を選んだ「Material ColleXion」展など、バラエティに富んだ活動を残しています。MaterialConneXion.com (ともに)ライブラリー内展示風景 (Photo; Gregory Beylerian) ギャラリースペースのプロダクト・ショーケース ギャラリースペースに設置されている新着素材コーナー。コレクションに入れる前のお披露目コーナーで自由に触れることが出来る。期間を過ぎた後はライブラリーに入って、メンバーのみが閲覧可能。 (ともに)ライブラリー内展示風景 (Photo; Gregory Beylerian) ギャラリースペースのプロダクト・ショーケース、ギャラリースペースよりライブラリーを見る 2001年に、現在の場所へ引っ越して来たときにマテリアル・コネクションのスタッフが作ったオリジナル の椅子。芝はThe artificial grass – Fieldturf 、赤の素材はThe gell – TechnoGel ライブラリー内展示風景 ギャラリースペースのプロダクト・ショーケース

第37回 ICFF国際現代家具見本市とOff Siteイベント

第37回: ICFF国際現代家具見本市とOff Siteイベント (2002/6/12)   『メトロポリス』誌のICFFオフィシャル・カタログ 9.11後、初となるICFF 2002年の第14回ICFF(International Contemporary Furniture Fair)国際現代家具見本市は5月18日~21日まで慣例のジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター(Jacob K.Javits Convention Center)で行われました。 10,000平米の展示スペースに425社が出展。出展国はカナダ、フランス、ドイツ、オランダ、香港、イタリー、日本、メキシコ、ブラジル、ニュージーランド、オーストリア、スエーデン、デンマーク、ペルー、英国、そしてアメリカ合衆国の16カ国でした。例年のごとく国のサポートがある、イタリアとオランダのブースは力が入っています。 今年のイタリア館は、ローマ通り、ベニス通り、トリノ通り等とイタリア各地域の名前を展示会場の通りにつけて、特色を出そうと試みた様子でした。 ミラノ・サローネに比べると9.11の影響もあり、少し元気がない感じですが、4日間で17,000人という入場者数とアフターアワーのOff Siteプログラム(期間中行われる街中のイベント)には活気がありNYのパワーを感じました。今年のオフィシャル・カタログは『メトロポリス』誌が出版しています。 昨年に続いてミラノもカバーしていた『INTERNI』誌は、日毎に分けた「OFF Site」の案内小冊子を発行。反対側はNYデザイン・ショップ情報になっていて、とても便利です。 もう一つ『Interior Design』誌の「Prospects」も会社別の案内がわかりやすくできていて、ICFFの「OFF Site」も定着してきた感があります。   ICFF.com >> 関連情報を紹介する『INTERNI』誌、『Interior Design』誌の「Prospects」 地域別に分けてトリノ通り(corso Torino)、ベニス、ローマなどと表示していたイタリアエリア ハンドメイド・ナイフも展示していたイタリア企業  TOTEM社ブース ICFF会場の様子 Kartel社ブース ミラノ・サローネと同じ出展内容だったが、展示方法が違った設定になっていてアメリカ市場へ向けての売る姿勢が感じられた Eric Janssen Design リサイクルや環境を考えた材料を使った作品群 左はガラスビンをならべて作った椅子、右はコインをならべて作った椅子   楽しみなNYのデザイン学校の展示 デザイン・スクールのブースが毎年フレッシュなアイディアで、楽しみです。ちょうどミラノ・サローネのサテライトと同じようなアイディアでしょうか。 今年もアート・センター・カレッジ・オブ・デザイン(Art Center College of Design)やクランブルック・アカデミー・オブ・アート(Cranbrook Academy of Art)、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(Rhode Island School of Design )、プラット・インステテュート(Pratt Institute)等の学生の作品が出品されていました。   Cranbrook Academy of Art Art Center College of Design Rhode Island School of Design Pratt

第36回 ミラノ・サローネが終わりニューヨークのICFFが始まります

第36回: ミラノ・サローネが終わりニューヨークのICFFが始まります (2002/5/15)   『ABITARE』。会期中毎日発行された (左)ミラノ市街のイベント「INTERNI」のパンフ、(上中)同じようなイベント「ddn」、(右)ミラノ・サローネのパンフ (左)「INTERNI」やサローネのプレビューを紹介する『INTERNI International-King Size』、これもフリーペーパー、(右)『ABITARE』5号 『ABITARE』3号の吉岡徳仁の記事、イタリア語を黒、英語をブルーで書いていてわかりやすい。話題の日本人デザイナーの彼は、Top 10の展示にも入っていて、うれしいですね 使えるフリーペーパー『ABITARE』の特別版 ミラノ・サローネが終わってニューヨークのICFF(国際現代家具見本市)が始まろうとしています。 今年のサローネの情報やレポートは皆様あちこちですでに見られていることでしょう。そこで今回は、NY、ミラノ、日本を比較して違う角度から見本市を見てみたいと思います。 国際的な見本市のように大きなイベントでは、自分が見たいものをいかに効率良く、時間をかけずに見て回ることができるかが鍵ですが、公式のプログラムは電話帳のように厚く、イタリア語・英語と全てを理解する暇もなく、また外部からの情報も山のようにあり、結局、友人や知人の話や、評判が高いイベントを耳にして出かけることになります。 サローネのプログラムや、同時期に市内で開催されるイベント案内も写真のように何冊かありましたが、イタリア語主体の資料が圧倒的に多く、わかりにくかったのですが、その中で、会場内や地下鉄の入り口に山積みされ、会場に向かう道すがら配られていた『ABITARE』が出しているカラー・30ページに要訳されたダイジェスト版新聞(イタリア語と英語)が面白いと思いました。 これが毎朝、会期中出版され、前日会場に現れた有名人、デザイナーの話、パーティー会場の様子などが紹介されます。また最後の5号では『ABITARE』が選んだTOP 10のデザイン(日本人では、8位に吉岡徳仁の「Tokyo-Pop」、10位に藤原敬介の「Lamp 01」)、TOP 10 のデザイナーも紹介されていて、行かなかったパーティーにも参加したような気にさせてくれます。ページの後ろにはミラノ市内の地図に各イベントの場所が記してあり、ちょっとタブロイド版的ですが、てっとり早く見ることができるように工夫された力の入った編集は、毎日では大変だろうと感心しました。   Abitare (http://www.abitare.it) 左)『ABITARE』がファーストインプレッションで選んだというデザインのTop Ten、1位はedra社の「BOA」 8位に吉岡徳仁の「Tokyo-Pop」(ドリアデ)、10位に藤原敬介の「Lamp 01」、藤原はサテライトでの出展。 (右)同じくデザイナーのTop Ten、1位は「BOA」をデザインしたCampana兄弟 ※クリックすると拡大画像が開きます   NYにも東京にもない意気込み イタリアがデザインの国として、このサローネにファッション界のトレンド・ブランド志向のプロモートと同じように力を入れていると感じました。 たとえば、家具のメーカーをブランド名とし、デザイナーをスターに仕立て上げ、政府やミラノ市がそれをサポートし大がかりな催しとなっている、というような。ここがNYの見本市との大きな違いです。 イタリアのメーカー、企業はサローネ期間だけのために大変な労力と経費をつぎ込み、毎年ショールームを変え、趣向を凝らしたパーティーを開催し、などと、とてもファッショナブルに発表しているようです。しかし本来のビジネスは輸出が主で、それぞれの個人の生活レベルでは古いものを大事に同じものを使い続ける傾向のようで、サローネで発表される新しい家具や器具を普段の彼等の生活の中で見ることはあまりないようです。   NYのGaston Morticorenaが岐阜のプログラムで地場産業と組んで作ったランプ他を岐阜の林工芸と組んで、スーパースタジオの近くに出展。 写真の椅子は壁にある車のタイヤで、それにいろいろな素材で作ったカバーを着せ変えられるチェアー。   喜多俊之さんの展示風景 喜多俊之さんのオープニング・ディナーパーティーは教会の中にテーブルセッティングをした会場でおこなわれた   内田繁さんのパーティーに現れたアンドレア・ブランジ(右) 喜多俊之さんの展示風景 テーブルのとなりだった建築家Antonio Citterioと喜多さん     10人の建築家による、世界の都市のホテルルーム(Grand Hotel Salone)より 10人の建築家による、世界の都市のホテルルーム(Grand Hotel Salone)より トレードショーだけではないサローネ 今年のサローネのビッグイベントは、9号館の「10人の建築家による、世界の都市のホテルルーム(Grand Hotel Salone)」の展示。これもミュージアムで行われるレベルの展覧会で、商売とは関係ないのにも関わらず、これにスポンサーがつくミラノが羨ましい限りで、いかにデザインを大事に考えているかを知らされたイベントでした。 この9号館は、業界関係者でない誰もが登録なし・入場無料で入館できるシステムになっています。2階のサテライト・ドームの出展(Satelite)は全て商品ではなく、世界のデザイン学校の展覧会や、個々またはスタジオのプロトタイプなどで、AからZまでのブースがあります。ここはデザイナーが企業へのアプローチ、マニュファクチャーへの売り込みに利用できる、登竜門の場として提供されているのです。 それだけに、いろいろな面白いものが見受けられ、活気がありました。 (上・下2点)磯崎新のホテル・ルームデザイン、テーマは「ローマ」 (上・下2点)ガイタノ・ペッシェのホテル・ルームデザイン、テーマは「モスクワ」 (上・下2点)伊東豊雄のホテル・ルームデザイン、テーマは「ニューヨーク」 9号館の上階・サテライト館より サテライト館内に出展して人気のあったNYのマテリアル・コネクションの様子 サテライト館内のブースより   ミラノ、ニューヨーク、東京

第35回 IKEAの新しいPSコレクションの発表パーティー

第35回: IKEAの新しいPSコレクションの発表パーティー(2002/4/10)     会場入口のパネル 会場入口のパネル, IKEA 50年代、60年代の家具, 雑貨 3月20日SohoのPuck ビルディングでIKEAの新しいコレクションの発表パーティーが行われました。 IKEAは1943年に設立、名前の由来は創立者がイングバー・カンプラッド(Ingvar Kamprad)の頭文字と彼の育った南スエーデンの土地の名前エルムタリド・アグナリド教区(Elmtaryd in the parish of Agunnaryd)からとったそうで、現在32カ国に164店舗をもっています。そのうちカナダを含め北米には23店舗があります。NYには店舗がはく、ニュージャージーかロングアイランドの店に行くバスが、マンタンから出ています。毎年9月頃新しいカタログを出版するそうですが、私も何気なく毎年もらっているカタログ、なんと11憶冊つくり、24カ国語に訳されたものを32カ国におくり届けているそうです。カタログの中には異なった8万のアイテムが収められています。 アメリカにおいて広い購買層を持ち定着しているIKEAは、ちょうど今の、日本のユニクロの家具版といった感じで、安くて、便利、専門店をまわらなくても全て揃うので、安価なインテリアに子供部屋に、買い揃えるという用途でられています。 今回のIKEA・PSコレクションの発表パーティーはニューヨークではじめてのもので、約1100平米(1万2千平方フィート)の広いスペースの半分を展示会場に半分をカクテル・ラウンジのパーティー会場にレイアウトして行われ、NYのデザイナー、業界の方々で賑わいました。 このPSコレクションは手紙の追伸に使うPost Scriptumの意味で、最初は1955年にミラノで、1999年にはストックフォルム、そして2002年ニューヨークでの発表となりました。     今回は「アウトドアー用を室内に・インドアー用を屋外に(Outside in and the inside out)」をテーマして、PSコレクションの為に選ばれた17人のデザイナーが取り組みました。プラスティックからコンクリート、石、Rattan, 金属、バナナリーブス迄を含む、様々な材料を使って、外にも、内にも機能的でユニークなインテリア・グッズのデザインが30種以上発表されました。真っ赤なアウトサイド用にもなる時計をデザインしたHlynur Vagn Atlasonは、パーソンズ・デザインスクールを卒業したばかりの新人からスウェーデンの著名なデザイナーThomas Sandellを含み、IKEAインハウス・デザイナーのMaria Vinkaが出席してたので、彼女のロッキング・チェアーに関して質問してみると、ベトナムに何度か行ってバナナの茎をひもにして織り上げてもらった材料で、この椅子をつくりあげた喜びを得意気に説明してくれました。IKEAのインハウス・デザイナーは常に新しく機能的で、良いデザインを、プロダクトデベロッパーと協力して、消費者が喜ぶもの、価格に仕上げていくのが、タレントと解釈していて、それを楽しみながら行っているように受け取れました。   展示会場風景 展示会場風景 照明具ランタン : Design by Christina Halskov & Hanne Dalsgaard Pedestal Clock 屋外展示時計: Design by Hlynur Vagn Atlason(NY Parson’s 卒) Strage Bag収納バッグ : Design by Nicolas Cortolezzies チェアーとFoot Stool足用スツール : Design by Thomas Sandell

第34回 ジャパン・ソサエティとアジア・ソサエティ・ミュージアムで同時開催の “The New Way of Tea”展

第34回: ジャパン・ソサエティとアジア・ソサエティー・ミュージアムで同時開催の“The New Way of Tea”展 (2002/3/13)    改装されたアジア・ソサエティ “The New Way of Tea”展がジャパン・ソサエティーとアジア・ソサエティー・ミュージ アムで3月6日から5月19日まで同時開催されています。2つのアジア系ミュージア ムが第1部会場、第2部会場という形で行うのは今までになかった大きな催しで、2日 に及ぶオープニング・パーティーでは、2会場を結ぶシャトルバスが運行されました。 今回の“The New Way of Tea”展でジャパン・ソサエティー・ギャラリーでは伝統的な建 築様式を含む3つの茶室を設置し、選ばれた茶器そして襖絵を展示しています。ここで は黒川雅之の立礼形式を取り入れた椅子に座る和紙の茶室、喜多俊之の輪島塗りの立方 体で囲まれた茶室、そして伝統的な裏千家の今日庵の複製が置かれています。 展覧会の総合インスタレーションは北河原温のデザインで、入口のギャラリー・スペ ースを、茶室までの誘導の空間、細道というイメージで設置したそうで、暗い空間に異 なるサイズの光の窓があり、その中に浮かび上がる名茶器達を眺めながら誘導されて茶 室に向かうという構成です。茶器はこの展覧会の企画をした茶道・裏千家15代家元千 宋室次男の伊住政和氏(財団法人国際茶道文化協会理事長)と林屋晴三氏が選出した茶器な ど60点です。細道が開かれたところに喜多俊之の茶室が設置され、壁面は千住博の林 をイメージした大きな襖絵が展示され、ここにもいくつかの茶器が展示され、今日庵 の復元は近寄って中まで見られるようになっています。 12世紀後半に禅僧栄西が中国か らもたらし、16世紀後半に千利休が形と精神を一体化し、大成させて茶道。この茶の 湯の精神的な美学と環境、茶道具等を通して探る目的と、現代文化の融合を図る試みと して企画されたそうです。   ♦ ジャパン・ソサエティー(日本協会) 1907年に創立された非営利民間団体。ニューヨーク州法に基づく公益法人で、日米間の相互理解と友好関係を促進する為、政治、経済、社会、文化、教育などのプログラムを通して自由な日米交流の推進を目的としています。 ジャパン・ソサエティー・ギャラリーは1971年に設立し、主要美術館との共催で日本の伝統美術や現代美術の展覧会を開催しています。 www.japansociety.org ♦ アジア・ソサエティー・ミュージアム アジア・ソサエティーはアジアの理解とアメリカ人とアジアの人々とのコミュニケーシ ョンを促進することを目的にした非営利教育団体で、展覧会、パフォーマンス、メディ ア・プログラム、国際会議、講演会など多岐にわたるプログラムを提供しています。ニ ューヨーク市に本部を置き、ワシントン、ヒューストン、ロスアンジェルス、香港、メ ルボルンに地域センターを、サンフランシスコ、マニラ、上海に代表オフィスを置いています。 NYの建物は最近改装を終えたばかりで、ギャラリーとパブリック・スペース、カフェテ リアを拡張したところです。 www.asiasociety.org   アジア・ソサエティー・カフェテリア ロビーの空間 ロビー奥、カフェテリア前に設置されてるコンピューターで作動出来るインフォーメーションデスク ロビー奥、カフェテリア前に設置されてるコンピューターで作動出来るインフォーメーションデスク 入り口左手にあるアジア・ソサエティー・ミュージアム・ショップの開閉する壁 アジア・ソサエティー・ミュージアムの”The New Way of Tea”展2階会場 Gallery A   9丁目とマデソン街にオープンしたお茶の伊藤園 今回の展覧会のスポンサーにもなったお茶の伊藤園が、アジア・ソサエティーと裏千家NY茶の湯センターの近くに新しくオープンしたお茶の店と懐石風レストラン ”Kai 会”