第59回: NOLITA (North of Little Italy)(2004/4/14)
NYで、今、アクティブな街並み
HoustonストリートからGrandストリート、BoweryストリートからCrosbyストリートの間、つまり、SOHOの東寄り、チャイナタウンの上 NOHOの南側の地域をNOLITA(North of Little Italy)と呼んでいます。SOHOやTribecaが高級化、大型ショッピング・モール化するなか、NOLITAはあまり特徴がないうちにユニークな街並が形づくられてきました。イタリー系アメリカ人のいろいろなストーリーが映画にもなったところで、その生活感がまだ感じ取れるシーンを残したままです。今のレトロブームも関係あるのでしょうか、さらには2003年のブームをおこしたTVドラマ「Sex and City」の舞台に、何回も、あちこちの小ブティックが使われたことも、若者達の人気をあおったようです。
リサイクルがテーマのClothing Shop「Circle」
Mott ストリート の Springストリートから Housetonストリートの間には一軒づつユニークでおしゃれなセレクトショップが並んでいます。そのはしりは、小さなブティック「Circle」でした。内装をインテリア・家具デザイナーのJames Hongがデザイン。リサイクルをテーマにした名前で、プラスティックやガラスのリサイクルを材料に使った内装、商品の洋服も日本の着物地を使って、新しくデザインしたりとユニークです。
一つずつ取り上げると、それぞれの店が凝ってオリジナリティーがあるので、通りがおもしろくなっているのだと思います。しかし、この半年くらいの間にかなり高級化してきて、SOHOの初期のようなお店もいくつも見かけるようになり、少々心配ではあります。
Clothing Shop「Circle」*James Hong撮影
Clothing Shop「Circle」*James Hong撮影
ブティックのウインドー、NOLITAを表して
るいるようなレトロっぽいファッション
ハンドバッグ・雑貨「Helen Marien」
日本の雑誌でもとりあげられているブティック「Lilith」
ソフトスポンジ素材家具のショップ「MOGU」がオープン
今年のはじめ、ソフトスポンジのクッションなどインテリア雑貨を扱うMOGUという店が日本から出店してきました。NOLITAらしいカラフルでソフトタッチなさまざまな形に、微笑み、楽しむお客でにぎわっていましたが、NOLITAには少し高級価格なのではと思いました。
ブティックやデザインショップなどNOLITAの街並み
古くからの集まり場「Cafe Gitane」や最近話題の「Rice Shop」など、レストランやカフェは、やはり人気
NOLITAはやはり若者の街、夜遅くまで開いてるブティックや雑貨の店、そしておもしろいバーやクラブも出来てきています。一番人気は、やはりレストランやカフェ。その中でも古くからいつも若者で満員のジタン(Cafe Gitane)は、今もファッショナブル・ピープルがブランチを楽しんだりの集まり場。
新しいところでは、昨年出来て話題になっている「Rice Shop」。店構えもお米の形の楕円がテーマで、ライスプディングをアイスクリームのようにいろいろな味で楽しめるような売り方をしています。テイスティング(味見)をさせてくれて、容器も楕円で店のオーナーのデザインだそう。ちょっと宇宙っぽい楽しい空間で、人気の店です。支店も出来て成功した店のひとつです。
アジアや日本ブームで日本レストランも多く出店していますが、なかでもデザートだけでフルコースを出す日本女性経営のデザート・バー「ChikaLicious」はユニークで、話題を呼んでいます。
最近開いたばかりというレストラン「PUBLIC」も変わっています。工場後が学校後のような外壁で、外からはとてもレストランには見えず、階段を少し上がって中に入るとシックなとても広いレストラン。
NYの移り変わりの激しさには、住んでいる者でもついていけないところがありますが、このNOLITAの動きは、なかなか地域的にも味わいある変化で、今のところ楽しんでいます。しかし、10年位前は家賃$500で住めていた所が、今や$2000などになりつつあって、SOHOやチェルシーと同じ運命にならない事を祈りたい気持ちです。