第28回:  Visionaire(2001/9/12)


Visionaireは、形式に拘束されない雑誌というよりヴィジュアルな“アルバム”です。

Visionaireに広告は一切ありません。徹底的にヴィジュアルの美しさにこだわり、その編集方針からコンセプトに至るまで、“雑誌”という枠を越えた“アルバム”になっています。

1991年春の創刊以来、世界中の有名無名ファッションデザイナー、フォトグラファー、アーティスト等とコラボレートし、年3、4回出版されています。毎回限定発売される各号には手書きのシリアルナンバーが付けられ、コレクターズアイテムにもなっています。

創刊時、Visionaire発行部数は1000部のみでしたが、現在は3000部発行されています。それでも、手に入りにくい雑誌には変わりなく、バックナンバーには定価($175)の何倍ものプレミア価格がついています。

* Photo by Inez van Lamsweerde, Vinoodh Matadin

Visionaire 36 資生堂のCover, Bjork

Visionaire 36「Power」の箱

Visionaire 36「Power」の箱

Visionaire 36「Power」のCover(本)

Visionaire社

入り口に並ぶ新刊

入ってすぐのギャラリー・スペース

Visionaire社ウィンドウ

 

ステファン・ガンVisionaire編集長

創設者はステファン・ガン。彼はVisionaireの編集長でもあります。

彼は“ディテールズ”の編集者でした。しかし、同誌が買収されたことで、退社。そして、理想の編集を目指し、Visionaire創刊に踏み切りました。

彼と彼の同士数人で切り盛りしている編集部は、彼と同じ美の理想を持った人々で形成されています。彼らのライフスタイルは、様々なメディアに取り上げられています。

 

Visionaire35 Manのcover
Photo: Mario Testino

Visionaire35 Sarah Lucasの作品

Visionaire34 Box

Visionaire34 Box

Visionaire34
Stephen Hendeeの作品

Andreas Angelidakisの作品

Visionaire33 Fendiフェンディ編「Touch」のケース

Visionaire24 Gucci編

 

Visionaire28 「Bible」のケース、フィリップ・スタルクデザイン

Visionaire28 「Bible」のケース、オープン

Visionaireは、これまで、ルイ・ヴィトン(Visionaire18 FASHION)、コム・デ・ギャルソン(Visionaire20 THE COMME DES GARCONS)、ヘルムート・ラングとトッド・オールドハム等(Visionaire14 HYPE!)などの様々なファッション・ブランドとコラボレートしてきました。

Visionaire24 LIGHTではトム・フォードをゲスト・エディターに迎えました。また、アート関係では、Visionaire16 THE CALENDARで53人のアーティストをフィーチャー。それぞれのアーティストが、1人1週間づつ作品を提供しました。

その他、美容に関するもの(Visionaire19 BEAUTY)では、メーキャップ・アーティストを取り上げました。Visionaire17 GOLDでは、ビームス特集を組んでいます。

このように、Visionaireは、ファッションだけに執着することなくデザイン全体を網羅しているのです。

(Visionaire29 WOMANでは、日本の写真家 荒木経惟も参加しています。)

 

Visionaire 創刊から現在までのバックナンバー


●1号 Spring-春 1991.4 創刊号
●2号 Travel-旅 1991.6 アーティストによる旅の視覚的解釈または、イメージ
●3号 Erotica-エロティカ 1991.10 コラージュの施された箱にジャンポール・ゴルチエの日記や、ヴィジョネア初のエロスを取り上げたイラストが収められている
●4号 Heaven-天国 1991.12 トッド・オールドハムのシルク作品、ペリーエ・ギルスのセイント・シリーズは、マルタン・マルジェラがデザインしたバッグに入っている
●5号 The Future-未来 1992.3 カスタム・オーダーの透明の箱カヴァーは、ステファン・セドナウイの作品
●6号 The Sea-海 1992.6 アコーディオンのように折り畳み式になっていて、開くと飛び出す絵本になっている
●7 号 Black-ブラック 1992.10 数人のアーティストによる、版画、イラスト、写真などの作品集をリボンで結んである
●8号 The Orient-オリエント 1993.3 長方形のポートフォレオの中には、中国オペラ歌手のポートレートが収めてある
●9号 Faces-フェイス 1993.6 100点の顔についての作品を人の頭型に切られたオレンジネオンカラーケースに
●10号 The Alphabet-アルファベット 1993.10 AからZまでのアルファベットを使って各アーティストがそのイメージを表現
●11号 White-ホワイト 1994.4 エンボスや、紙に切り込みを入れるなど、ほとんどインクを使わない技法で製作されたアート作品集
●12号 Desire-欲望 1994.9 パッケージは赤のサテンの箱に青いロゴが入ったもの。デザイン協会エイズ基金がプロデュースしている
●13号 Seven Deadly Sins-七つの大罪 1994.10 黒と金の表紙不幸の数字13やクリスマスといった、暗さや暗黒といったことがテーマ
●14号 Hype!-ハイパー 1995.4 広告やゴシップ、メディアの愚かな部分をパロディー化
●15号 Cinderella-シンデレラ 1995.6 シンデレラのストーリーを追いながら、その象徴的なシーンをアーティストが表現
●16号 The Calendar/1996-カレンダー/1996 1995.12 テレビ画面のようなパノラマ型のカレンダー1週間づつ52人のアーティストが参加
●17号 Gold.Sun Beams-ゴールド/サンビーム 1996.4 日本のビームスとコラボレート表紙と全ての作品のバックグランドは金色
●18号 Fashion Special-ファッション 1996.8 ルイヴィトンのブックケースに入った洋服のカタログ

VisionaireのGalleryで行われるオープニング・パーティーに集まるNYファッション・ソサイティーの人々(2000年10月Vivienne WestwoodのParty)

Partyの時、Visionaireの入り口はいつも人だかりで、まるでナイトクラブのエントランスのよう

Partyの様子とBeautyたち

 

 

Partyのステファン・ガン

Vivienne Westwood展示作品

Partyの様子とBeautyたち

Partyの様子とBeautyたち

 

●19号 Beauty-ビューティー 1996.11 雑誌などには、試供品が付録のように挟まって来るが、これは、本物のリップスティックやチークが本の埋め込まれている
●20号 The Comme des Garcons Issue-コムデギャルソン特集 1997.2 コムデギャルソンのカワクボ・レイとコラボレート。初めて一人のデザイナーがプロジェクトを組み編集した
●21号 Deck of Cards/The Diamond Issue-美しいカード.ダイヤモンド特集 1997.4 ダイアモンド会社のデ・ビアスが後援。箱のイメージは高級ジュエリーボック ス
●22号 Chic by Mario Testino-シック 1997.9 世界的に有名なファッション・フォトグラファー、マリオ・テスティノとのコラボレーション
●23号 The Emperors New Clothes by Karl Lagerfeld -カール・ラガーフェルドによる皇室衣装 1997.10 ファッションデザイナーであるカール・ラガーフェルドが撮り下ろした写真集
●24号 Light by Tom Ford for Gucci-ライト 1998.5 ライトを主題にした透き通るように印刷された美術作品は、パッケージのライトボックスに乗せて見ることが可能
●25号 Visionary-ヴィジョネア的幻 1998.6 創刊25号の記念号参加アーティスト等が最もヴィジョネアらしい作品を提供しているレコードジャケットをモチーフにした装丁、テイ・トウワがヴィジョネアのサウンド・トラックと提供
●26号 Fantasy-ファンタシー エルメスのスカーフを使ったマスクの箱に、ティム・バートン等によるファンタシーをコンセプトにした作品が収められている
●27号 Movement-動 連動するイメージを連続写真で撮影し、トレーシングペーパに印刷、デザイナーのフセイン・チャラヤン等が参加
●28号 The Bible-バイブル 新旧約聖書から45章を取り挙げ、そのイメージを表現、ケースのデザインは、フィリップ・スタルク
●29号 Woman-ウーマン 中を開くと鏡になってる赤い箱にはさまざまな角度から見た女性像が収まっている
●30号 The Game-ゲーム イタリア、フランス、日本など7カ国7種類のパズルが収納されている
●31号 Blue-ブルーリーヴァイスのパッケージに、ケイト・モスがモデルをしたものなど、25点のポスターが入っている
●32号 where?-場所 エルメスとのコラボレーション、ギリシャ神話からインスピレーションを得ている
●33号 Touch-感触 フェンディが参加、2000-2001秋冬のニューヨーク、パリ、ミラノコレクションから独自の視点から最高の20作品を取り上げた
●34号 PARISーパリ 建築家、アーティスト、デザイナー達が“パリ”の肖像を描く。しかし、これまでにありがちなノスタルジックでロマンチックなのもではなく、作品提供者それぞれの視点が表現されている。毎回話題の装丁は、建築的要素を盛り込んだもの。キュレーターにヘディ・スリマン、デザイン・ディレクターにはディオール・オムグレッグ・リン等が寄稿している
●35号 Man – 男 男性誌を新たな視点で構想し直してみよう、というコンセプト。“男”の過去の象徴性や現在のヒーロー像、文化的側面などを“男”を視覚的要素として、現代のアーティストがヴィジュアルで表現している。表紙ゲスト・エディターにマリオ・テスティノ。ファッションデザイナーのカール・ラガーフェルド等がフィーチャーされている
●36号 Power 力ー資生堂