第49回: ICFF 国際現代家具見本市 Off Siteプログラム (2003/6/11)


 

Gallery 91 Opening

今年も活気のあったOff Site

慣例の国際現代家具見本市 / ICFF(International Contemporary Furniture Fair)が、2003年5月17日~20日までジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター(Jacob K.Javits Convention Center)で行われました。

今年も『INTERNI』誌が、昨年と同じようにプログラム小冊子を発行。冊子の半分はNYデザイン情報保存版、もう半分は日毎に分けたOff Siteプログラム(期間中行われる街中のイベント)で、今年もOff Siteプログラムの方により活気があったようです。
私は19日より出張の為、Off Siteの一部を見ただけなので、全体をレポートできませんが、Sohoで行われた17日のオープニング・パーティーからいくつかを紹介します。

Soho のストアーCITI

Soho のストアーCITI

 

 

 

 

Gallery 91の展示

まず、Gallery 91のスペースで昨年も行った、Core 77のメンバー・サイトCoroflotの展覧会「Canary in a Coalmine (炭坑の中のカナリア)The 2003 Corofllot Members Show」のオープニングが、6時から11時までありました。
この展覧会は、Coroflotメンバー1万3千人の中から、今までのデザイン展では選ばないような、あらゆる角度から眠っている才能を発掘するものです。作品が実際の形になっているもので、ICFFにちなんだ、なるべく家具よりの32点だけを展示しました。
Pratt Institute卒のプロダクトとインタラクティブ・デザインのグループでできた、この若いCore 77のサイトは今やプロの間で世界一活発な動きがあるようです。今回の展覧会はCore 77主催のEric Ludlumがキューレーターを担当し、あっという間に今までのGallery 91のスペースを一変させて、テンポラリーな材料を使いながら、しっかりとしたインスタレーションで展示ができあがりました。

 

 

ウインドーに飾られた「aircraftcarrier」
デザイン:Chad Vermeulen カナダ
1:152 スケールのCVA-31のモデルで、
8000個以上のLegoを使ってつくったもの。

 

 

「Single Flat Panel Folding Table」
デザイン:Ramon Villamarin Leano Colombia
…..

「The Loft Couch」
デザイン:Meric Kara Italy

「LO-RES chair」
デザイン:Guldo Ooms Netherland

「toychair」
デザイン:Todd Falkowsky カナダ皆が見てにっこりふくよかな気持ちになるこの作品。NY Times、ワシントンポストにもとりあげられています。

 

「Emergency Tea Kit」
デザイン:Benjamin Bearsch NYピクニックにも使える2脚のスツール付き。お茶に必要な道具がすべてそろってはいっている。

「Walter Wayle III」
デザイン:Toblas Wong NY

「Thin Air」
デザイン:Sahar Batsry NY

「rhythmfish」
デザイン:Sangmin Bae NY。金魚の動き、外の動きをコンピューターがキャッチして映像と音で流す。金魚はしゃべれないが、コミニケートしていることを表したという作品。パーソンズの学生の時からインタラクティブ・デザインで注目されてたデザイナー。

「M-301 Mobilies」
デザイン:Michael Simonian & Maaike Evers CA模型飛行機の素材から作った軽い椅子。

「I WANT TO CHANGE THE WORLD」
デザイン:Toblas Wong NY

「Loft Lough Chair」
デザイン:Anon Pairot Thailand

 

 

Ingo Maurer

Core 77 は、昨年同様今年も満員御礼の反響。同時間にオープニングだった隣りのIngo Maurerのショールームも人気で、外の道まであふれた人で混雑。Ingo Maurerは常に新しい作品に挑戦していて、楽しいショールームです。彼は70歳を越しているのですが、いつも張り切って輝いています。

Gallery 91(左)と、隣りのIngo Maurer(右)

Ingo Maurer Showroom & Shop

 

MossのOpening

いつも人気の「Moss」は、例年のごとく、RSVP※のみと言って、入れないので、外に長い行列が 出来ていました。今年は VENINIのショー、正面には シャンデリアと phoenix and broken glass、Muranoガラスの作品の歴史と現代作品を沢山見せて作家達もきていました。

 

Moss の待ち行列の前で雑談するガイタノ・ペッシェ(左)とマレー・モス(中央)、そして右がめずらしくジュエリーデザイナーのTed Muehling

隣りにあるオリジナルのMoss Roomでは、やはりガイタノ・ペッシェのフェルトの椅子をウィンドーにだしていました

 

 

森万里子展 これからの大型アート

マデソンアベニューのIBMガーデンに、突然降りてきた宇宙船のような森万里子のインスタレーションがお目見え。「Wave UFO」展が5月10日から7月31日まで開催されます。
同会場にて5月7日、パブリック・アート・ファンドの為のギャラ・パーティーが開催。森万里子をゲストに迎え、会場は予定より多い350席をうめつくしました。NY市長と並んで可愛く幼くみえる白い衣装の森万里子でしたが、堂々のスピーチで、さすが今NYで売れっ子スター・アーティストの貫禄に感心しました。
Partyの主催者は Jeffrey Deitch ですが、Sohoの Deitch Projectでも5月10日から同時に森万里子の宇宙人の方の展示が行われています。「Wave UFO」の外側はイタリアのフェラリー製とのことで、メタリックのすばらしい作りです。中に3人入れるようになっており、それぞれの脳波をコンピューターがキャッチして操作して音と映像が映しだされますが、すこし難しくて理解できないものでした。
Deitch Projectで開催されていた宇宙人の展示も、本当は全部の宇宙人を一斉に抱くと変化が良くわかるらしいのですが、それぞれでも、つい抱きたくなるようで、皆それぞれの変化を楽しんでいました。彼女のいう「地球の環境破壊を進行させるのでなく、普遍的な精神性をもっと共有、共存してゆけないか。国境を越えてコミュニケートできるランゲージとしてのアートの力」を表現しているそうです。
いずれにせよ技術的にもすべてに、お金もかかり規模も大きなこれからの大型アートのようです。

 

※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影