第26回: (1)「NY デザイン2001 in GIFU」展 (2001/7/18)
JR岐阜駅アクティブGの1周年記念をかね、ニューヨークで、今最も注目を浴びているデザイナー8名のライフ・スタイル・グッズを展示する「NYデザイン2001」展が3階のショールーム・ギャラリーで始まりました。岐阜県文化振興事業団主催、NYのIDNF協賛、SoHoのGallery 91のプロデュースで、7月5日から9月4日まで行われます。
*アクティブG
http://www.active-g.com
出品者は、ヨーロッパとNYで話題を巻いた「G7」のグループを主催した、ピエール・ブーゲネック。彼はNY・TOTEMを立ち上げた一人でもあります。仲間のマレ・モエレルそして、今年からG7の名前を変更して、ICFFのオフサイトで「Hall 01」としてグループに参加したTODAスタジオ(The Office of Design and Architecture)は、OXOのデザインなどを手掛けています。主宰者のマーク・ナデンは、OXOの新作ケトルと秋から発売予定のワイヤーのフルーツ・トレイを出品。ピエール・ブーゲネック/Boum Designはビニールのエアークッションや、アクリルの花器などのポップな作品、マレ・モエレルは陶器で作った独特の形で印象づけている照明器具やタイル等を出品しています。今年話題になっているファブリックを使ったWooスタジオのダン・カーのランプや、素材を活かした新しい発想で、ファニチャーを作り、各種の雑誌に取り上げられているアンドリア・バレンティニ。そして、アイリナ・ダヴィッドヴィッチは日本の陶器の作家には無かった、ダイナミックなウェーブの花器等を出品し、魅了しています。
ピエール・ブーゲネック(Pierre Bouguennec /Boum Design)の作品
ダン・カー(Don Carr/Woo)の作品
ミゲル・カルボ(Miguel Calvo)の作品
アイリナ・ダヴィッドヴィッチ(Irina Davidovich)の作品
TOマーク・ナデン(Mark Naden/TODA)の作品
ジェリー・コット(Jerry Kott)の作品
マレ・モエレル(Maree Moere)の作品
アンドリア・ヴァレンティニ(Andrea Valentini)の作品
(2)「ストアーフロント・ギャラリー」のSummer Benefit Party – Storefront for Art and Architecture Summer Benefit
現在NORITAにあたるSoHoの「ストアーフロント・ギャラリー」のSummer Benefit Party が6月26日行われ、この話題のギャラリーに久しぶりに出かけました。
このギャラリーは以前より知っていて、移転後はどうやって継続しているのかなども興味を持っていました。予想通り、建築家、デザイナー、美術館のキューレーター、建築雑誌編集者など著名人が、暑さにもめげず、大勢出席していました。
STOREFRONTは当時、観光名所、そしてコマーシャル化されたSoHoとリトルイタリーの端に位置し、最初はアーテイストの手により、様々な形に外観が変えられ展示されて、1993年に、外観そのものを展示のテーマにしていこうと決められたそうです。
*Monty Freeman:STOREFRONT President
*Sarah Herda:STOREFRONT Director
*Kyang Park:以前の位置のSTOREFRONT創立者
パブリック・スペースの彫刻家・Vito Acconciと、建築家・Steven Holl が以前に共同で組んだプロジェクトのアイディアから何度もやりとりがあり、その進化したものがSTOREFRONTのデザインとなったそうです。低予算で最小のスペースを活かして、1993年11月12日、STOREFRONTは自らの外観を展示作品とするかたちで、その幕を開けました。
*Vito Acconci:パブリック・スペースの彫刻家
*Steven Holl:建築家
ニューヨークはギャラリーの街、アーテイストやアートに興味を持つ人を磁石のように引きつけ、国際的にも最も重要なマーケットで、アートのための様々な型のスペースをもち、無数にある美術館や画廊は幅広くいろいろな型の画廊の可能性がありますが、その根元には「利益のみ」を目的としているのが主流に思えます。
除外されてしまうノンコマーシャルアートを受け入れ奨励してくるようなギャラリーは少なく、そのような中で、STOREFRONTのような画廊は、この街に欠けていた存在でした。 ニューヨークは常に動きがあり、どんな形のものでも受け入れ、実験もされ、それに応じて変化していく街です。こういった画廊はその位置する地域の魅力ともなりました。
動く壁はミニマルかつ力強く個性的で、展示するアーテイストに自由を与えるとともに制限されてしまうことにもなります。壁自体が外と中の関係を築きあげてしまうので、展示するアーテイストはこの動く壁の存在を考慮した上で展示方法を編み出さなければいけないというチャレンジが生まれてきます。
環境とも密接な関係にある構造は、冬や厳しい天気の元では使いにくいのですが、夏場は外と中の二つで一体となり、素晴らしい空間を体験できます。
中の空間も外の光の具合や時間帯によって雰囲気が変わり、ニューヨークの街の音も直で入ってきます。オープンで、透過性があって、アート界はいうまでもなく、社会一般の雰囲気や動きも受け入れます。
Acconi と Holl のSTOREFRONT Gallery はそんなアートの象徴になっています。
そして、この低予算最小スペースの成功は、尊厳な巨大な建築と並んで、数々の賞を受賞しています。
無数のコマーシャル、一般向けの美術館やギャラリーが密集する中で、本当に建築、アートを愛する根強い支持があるからこそ、8年もの歳月、競争の激しいニューヨークでも生き残ることができるのだと再認識しました。