第13回 NYの国際現代家具展2000年(ICFF)と 関連のSoHoイベント

第13回: NYの国際現代家具展2000年(ICFF)と 関連のSOHOイベント 2000/6/14 今年のICFF は5月20日から23日まで慣例のジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで行われましたが、85,000スクエアー・フィートの展示スペースを405社が出展、昨年より10%も多い出展ブースがあったようで、そのうち118社が今回初めての出展でした。 従来のICFFでは、入ってすぐに広い空間があったのですが、今年はぎりぎりまでブースにとられ、大変混雑している人気ぶりでした。 出展国もカナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、香港、イタリー、日本、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ、スペイン、スエーデン、スイス、英国、そしてUSと国際色豊かで、ますます大がかりになってきています。ヨーロッパの各ショーをまわってきた人達からも「ICFFは、まとまっていて、わかりやすい現代ホームデザインのショー」と評判で、1万5千人の入場者数とプロモーションの時期から出展者達もビジネスの時代に入った様で、活気がありました。 教育的なレクチャーやイベントの他にICFFは毎年、各デザイン学校の展示ブースを応援し、実社会での経験をさせて、将来のデザイナー達に、実践での自己プロモーションなどアメリカらしい教育のヘルプもしています。大企業と並んで、新鮮なアイディアの学生のブースが並ぶのが、例年フレッシュで楽しみです。 また昨年に続き、ICFFのGLM社と『House Gerden』誌が共催で、2回目となるMoMAを借り切ってのオープニング・ナイト・パーティーが土曜の夜7時から行われました。招待状もまるでロックバンドのようなプロダクト・デザイナー数人の写真のカードでしたが、その夜のMoMAの入り口にはりめぐらせたのも等身大の大きな若手プロダクト・デザイナー12人の写真で驚きました。ほとんど知ってる顔ですが、業界がNYからスターを作りだそうとしているのだなと感じました。両側にもフィリップ・スタルク他先輩の拡大写真が貼られていましたが、写真の前で、友人、それぞれの生徒などが、記念撮影している光景が見られ、まるでタレント扱いでした。 この期間に併せて、あちこちでも盛りだくさんな催しが行われました。前日にVitraのショールームを提供してもらって、Constantin Boymが“Salvation”というテーマで作ったリサイクル作品の発表会を皮切りに、GLMとメトロポリタン・ホームがまとめた23店のSundayオープンナイト(7~9時)など、これらの店をはしごする人でにぎわいました。   ICFFのPratt Institute 大学のブース NYスター・プロダクト・ デザイナー写真 ICFF シーン MoMAパーティーの混雑ぶり   カリム・ラシッドの新作発表会場 『Process』展協力出品のフィリップ・スタルク そしてソーホーの広い屋内駐車場を借りてのTotem社のカリム・ラシッド新作発表会場は、人気のタレントを見るような混雑ぶりで盛況でしたし、無名の若手3人組みの提案した“Process”展は、MoMAのキューレーターPaola AntonelliやPhilippe Starckなどを動員して、あちこちのサポートをもらい、臨時の展示場で学生の発表会のような雰囲気でしたが、Finishを見せるのではなく、その行程を見せるというコンセプトに、同感した多くの支持者や友人を得て、有名人も沢山来ていて盛況。 また「何だか面白いよ」と噂の“スプートニック”は、屋外駐車場にテントを貼って、スター若手デザイナーの名と日本のデザイナーの名を連ねて、NYでは知る人ぞ知るのIDEE初登場という話題を提供していました。NYの好景気‘噂’も手伝って、大変活気のあるICFFweekでした。これらのスター・デザイナー(Constantin Boym, Karim Rashid, Harry Allen,Gaston 等) の新作をまとめて日本で見れる展覧会が7月7日からはじまります。岐阜県主催『2000年の形・NYデザイナー10人展』。IDNF企画でGallery91がプロデュースするもので、7月7日~9月30日まで、岐阜駅にできるワールドデザインシティーGIFUのTAKUMI工房ショールーム・ギャラリーで開催されます。   カリム・ラシッド新作発表会場、Process展、スプートニック SOHOで行われたカリム・ラシッドの新作発表会場 『Process』展の展示 『Process』展 企画者の3人 『Process』展 Bicycle for Biomega 『Process』展 フィリップ・スタルクの椅子/Emeco 『Process』展オフィス・システム Hermaan Miller 『Process』展Eric Ripert’s Food Design 『Process』展 フィリップ・スタルクの椅子/Emeco IDEEのスプートニック展示風景

第12回 (1)『未来志向』展 (2)『坂茂展』

第12回:(1)SOHO Gallrey91にて2000個のオブジェ展のPART-2『未来志向』展開催 2000/5/10 ライトテーブルに展示されている作品、右に見えるオレンジの長方形3つがつながった作品がカリム・ラシッド(Karim Rashid) ニューミレニアムを記念に始めた「2000個のオブジェ展」。そのパート2として『未来志向』展が、3月18日より5月20日までSohoのGallery91で行われています。 メタル、カラフルなプラスチック、新素材などをつかった未来志向のオブジェが、イタリア、アメリカ、日本をはじめ世界各地から約250点集りました。フューチャリスティックなオブジェが勢揃いしています。 会場入り口には、CDを利用して作った未来を感じさせるタイトルがかかり、会場に点在するライトテーブルには、カラフルで、ユニークな形状の作品が展示されています。   「未来志向」展のなかから、ユニークな作品を紹介いたしましょう。会場入り口にタイトル文字と共に飾られている腕時計はタカラから。その未来的なデザインはもちろん、様々なゲームがプログラムされており、ギャラリーを訪れる人達の注目を集めています。 三宅一生のパッケージを手がけたカリム・ラシッド。彼の新しい作品はグミのように柔らかでカラフルなプラスチック素材を利用したステイショナリーです。 PRATT Insutituteを卒業した若いデザイナー達が始めたBENZAスタジオ。既存のデザインにとらわれない自由な発想に、多くのニーヨーカーが注目しています。今回はスプリングを使った動きのあるフルーツ皿、自由自在に形が変えられるメタル・スプリングで作られた花器、マウスパット等展示しています。 また陶芸家Marek Ceculaは不思議な透明感のあるポーセリンやシャープなデザインのテーブルウエアー群を、スペース・シャトルの中のテーブルを思わせるメタリックな台の上に展示されています。黒川雅之のメジャーやルーペは人気商品のひとつですし、伊達アキコの照明具は壁に光のパターンを描きだし、来場者の目を引いています。 NYのMoMAで個展をして、知られている熊井恭子はメタル・ワイヤーを使った不思議なオブジェを展示。他にユニークな試作品としては、Josh Owenは電球を使わなくても光を放つベッド・ランプ。ランプカバーそのものがほの青く灯る仕掛けになっています。また、Ami Drach/ Dov Granchrowは、洋服の襟に組み込まれた“未来”の携帯電話の試作品を出品しています。 ニューヨークで最も、売れっ子のプロダクト・デザイナー達の「未来」に対する想像力を働かせた作品が一同に集った「未来志向」展は5月23日まで行われます。 次のスケジュール、パート3「ガラス」展は6月1日から7月15日。夏らしい涼し気な作品が揃います。今後も「2000個のオブジェ展」のシリーズとして、環境、ニューメディア、日常生活用品と続きます。興味のある方はぜひ参加してください。 “Boing Dish”デザイン:Giovanni Pellone/BENZAスタジオの作品 陶器のMarek Ceculaの作品群 襟に組み込まれた携帯電話   『未来志向』展 Photo Tour Gallery91「Future展」展示全景 展示風景中央 安眠枕? “Boing Dish” Giovanni Pellone/BENZAスタジオ “Urchin Container” Roberto Zanen/BENZAスタジオ “Mutanto Vase” Giovanni Pellone/BENZAスタジオ Josh Owenの電球を使わなくても-光を放つランプ “傘たて”Antonio Norero Outlook Zelco Europe 壁のサイドの展示から黒川雅之のテープメージャー 入り口の間仕切り用に展示されたタカラの時計 熊井恭子のメタルワーク 陶器のMarek Ceculaマレクセキュラの作品群 襟に組み込まれた携帯電話 Ami Drach/ Dov Granchrowの 洋服の襟に組み込まれた携帯電話 伊達アキコの照明具 “CD Ruck”Gioliani & Rasulo

第11回 (1)『デザイン・カルチャー・ナウ展』 (2)『パーソンズ・スクール・オブ・デザイン』

第11回:(1)クーパーウイット・ナショナルデザイン・ミュージアム・スミソニアン『デザイン・カルチャー・ナウ展』 2000/4/12 クーパーウイット・ナショナルデザイン・ミュージアム・スミソニアンで、3年に一度の総合デザイン展「デザイン・カルチャー・ナウ展」第1回が、3月7日から8月6日まで開催されています。   Cooper-Hewitt National Design Museum正面入口 2階ロビーと展示風景 「ここ3年のいろいろな開発は、過去3世紀分に値する変化」と言われる現在。今までのデザイン展のように「歴史展」とか「グッドデザイン」といった簡単なカテゴリーに分けで展示をすることが適当ではなくなっているようです。この展覧会に限らない傾向としても、アメリカン・デザインのいろいろな分野──グラフィック、ファッション、インダストリアル・プロダクト、建築、インテリア、ファニチャー、おもちゃ、劇場、映画、コンピューター・アニメーションなど──の要素が絡みあい、混ぜ合わされた展示が主流になってきています。 今回が初めてとなる、アメリカン・デザインの大イベント「デザイン・カルチャー・ナウ展」は、過去3年間に紹介された83のデザイナーと会社の作品・製品を展示し、これからの生きたデザインの未来を考えようというもので、クーパーウイット・ナショナル・デザイン・ミュージアムの2人のキューレーターDonald Albrecht、Ellen Luptonと、ゲスト・キューレーターとしてシリコン・バレー・サンフランシスコのFrog DesignのSteven Skov Holtが起用され、3人で企画しまとめられた展覧会です。 *Cooper-Hewitt Musuem “Design Culture Now” 「カラー」「光」「形」「イメージ」「動き」「素材」「テクノロジー」を重視。「今までにない、キャラクター性ある8つのテーマでまとめた」そうですが、日本語としては訳しにくい、FLUID(流れ、形にとらわれない)、PHYSICAL(身体の)、MINIMAL(ミニマル)、RECLAIMED(言いなおし、利用再生)、LOCAL(近所の)、BRANDED(銘柄)、NARRATIVE(説明、物語体)、UNBELIEVABLE(信じ難い)という8つの単語によるテーマでした。   FLUID(流れ、形にとらわれない): コンピューターを使って作られた3次元的なカーブやオーガニックな形、流れるイメージをとりあげていています。 アップル・コンピューターのiMacやSony HMD-A100、FDトリニトロン・コンピューターモニター、フランク・ゲーリーによる実現しなかったタイムズ・スクエアーのビルの模型、カリム・ラシッドによるカナダのUmbraのボールやOHの椅子、ロスアンジェルスのGreg Lynnデザインの展示パビリヨン・モデルHYDROGEN HOUSE他が出品されています。 カリフォルニア州・ロスアンジェルスのGreg Lynnデザインの展示パビリヨン・モデルHYDROGEN HOUSE Karim Rashidデザインの椅子、ボール他   PHYSICAL(身体の): 映像のフィルムで、話題のタイトル・デザインをつくったImaginary Forces/Kyle Cooperとそのチーム、女性デザイナーとして有名になってきているAyse BirselのZoeウォッシュレット・トイレ・シートカバーやMiro Poleオフィス・システム、建築家のBillie TsienとTod Williamsnのアメリカン・フォークアート・ミュージアムの模型と素材見本は圧巻です。 (A) – MIT Residence 2001スポンジを元にコンセプトを組んで、自然の穴空間を作り出している建築、ドローイングから建築模型まで Design;Steven Hollとそのチーム (B) -Zoeウォッシュレット・トイレ・シートカバー Design;Ayse Birsel (C) -Museumのビルの間に見える古い建物等のサイトを消して、コンピューターで描き出した美しい布地のインストレーションが素晴しい空間処理 Design;Raveevarn Choksombatchai,Ralph Nelson (D) -ロタンダに飾られたバイスクルGo-Go Bicycle Design;Robert Eggerとそのチーム A B C D   MINIMAL(ミニマル): Michael

第10回 新しいアートの動きをアメリカン・クラフト美術館と SoHoのアートギャラリーから見る

第10回: 新しいアートの動きをアメリカン・クラフト美術館と SOHOのアートギャラリーから見る 2000/3/8   ● アメリカン・クラフト美術館『クラフトの定義:ニューミリニアムのコレクション』 NY近代美術館の前にあるアメリカン・クラフト美術館。昔から立派な空間で、アメリカの工芸を専門に展示していますが、今また新しい動きを盛んにしています。以前、クーパーウイット・ナショナル・デザイン・ミュージアムのキューレーターだったデビット・マックファダン(David McFadden)氏が、ここのチーフ・キューレーターとして呼ばれて、常に「クラフト」「アート」「デザイン」の定義の問いかけをしています。 アメリカン・クラフト美術館外景 ジャヴアメリカン・クラフト美術館入口 ミュージアムにも、今までの工芸愛好に偏った層に加えて、デザイン寄りのファンも増えてきて、建物も来年着工で改装されることもあり、今後が楽しみ€ネ美術館です。ここで行われている『クラフトの定義:ニューミリニアムのコレクション』という展覧会。25年のコレクションからガラス、陶芸、金属、ファイバー、木工作品など150点あまりの、これまで見せていなかった作品を4つの部屋に分けて展示しています(2月9日~5月7日)。出品作家も大御所のPeter Voulkos(陶芸)、Jack Lenor Larsen(織物)、 Lenore Tawney(ファイバー)、 Robert Arneson(陶芸)から、木工のWendell Castle、 ガラスのDale Chihuly 。日本のガラス工芸の大家である藤田喬平など。他にもFrank GehryやGaetano Pesceの家具があったり、三宅一生の服、Toshiko Takaezu(陶芸)や、Dakota Jackson、Thomas Loeser、Wendy Maruyamaの家具。James D. Makinsの陶磁器等、幅広い作家達の作品のコレクションが各部屋に分かれて飾られています。そして‘チャレンジング’の部屋では、テクノロジーや新しい素材も「これからのクラフトの課題」として取り組み一品ものから量産も手がける若手の作家達が紹介されています。Marek Cecula(陶芸)、Stanley Lechtzin(CAD/CAMを使って作る金属工芸)、スキャンして織りあげるジャガードという日本の山口英夫の作品は、すばらしい舞台に飾られて、ひときわ輝いて見えます。プラスティックに皺寄せを入れた「クリンクル」ランプのLyn Godley 、ロシア生まれのConstantine Boymなど。 他にも、新世紀の幕開けにミュージアムのコレクションをご披露しながら「これからのクラフトの定義について皆で考える展覧会」といった感じがしました。 内部展示風景 フランク・ゲーリーの家具 Wendell CastleのMusic Rack アメリカン・クラフト・ミュージアムのショップ全景 Philip Moulthrop の白松のモザイク細工のボール1996年作(写真撮影:Eva Heyd) 山口英夫のコンピューター・スキャンした「しだの葉」のジャガード     ● 今、話題のCRG Gallery ギャラリーCRGのオーナーの一人リチャード.デスロッシュ(RICHARD DESROCHE)とアーティストのロバート・ベック(ROBERT BECK) Sohoでは、Galley 91の隣りに、マデソン・アベニューから移ってきたCRG Gallery(Carla Chammas, Ricchard Desroche, Glenn McMillanの頭文字)が、センセーショナルな展覧会を開き2月19日オープンしました。このギャラリーの若いオーナー3人ですが、アップタウンでのコレクターとコネクションを持っているらしく、最初の頃から話題展を開催しています。今回の”Robert Beck”の『Nature Morte』(自然死とでも訳すのでしょうか)と題された個展は、オープニング時にギャラリーの前に山のように花束がつまれ、それを見て皆、昨年のジョン・ケネディー・ジュニアを思い起こしました。その後も毎日花束がつまれ、隣りのGallery 91には毎日「誰が亡くなったのか?」と人が尋ねに入ってきます。 Robert Beckはぴんぴんしていて、彼の作品は幼児期の思い出や、生い立ちを作品にしているもので、外の花束もそのメモリーの一つの作品とのこと。3月25日まで行われますが、センセーションを死んだ気でやっているのですから話題になるのは当然でしょうか?  

第9回 寒いNYでのアクセント・オン・デザイン・ショーに見るアジアスタイルの流行

第9回: 寒いNYでのアクセント・オン・デザイン・ショーに見る アジアスタイルの流行 2000/2/9 ● インターナショナル・ギフトショー「アクセント・オン・デザイン」 今冬のNYは久しぶりにNYらしい厳しい寒さが続いています。 ここ7~8年暖かい冬でしたが、以前なら年に1~2回は車が隠れる高さの雪の日があったり、車のキーを差し込むのに(キーの差込口が)凍ってしまって入らないので、まずキーの穴にライターのような特別のヒーターをシューと入れて溶かしてからキーを入れる必要があったり、ドアーのウインドーを下げても氷がガラスの様にもう一枚張ってある、といった時が何度かありました。   ジャヴィッツ・コンベンション・センター そんな中で慣例の「インターナショナル・ギフトショー138回」は、1月22日から1月27日までジャコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで行われました。クリスマス商品の並ぶ8月と違って、気候のせいもあり、客足はにぶるのですが、このショウは今年の春からの新商品の傾向が見られます。 今回の『アクセント・オン・デザイン』賞はAmeico のブースに出展していたイタリーのVaritasの文具と、イタリーから新しく出た家庭用品のMAGISのブースに。それと長年続けて出展している努力賞として、ボストンの日系のマサさんのEastern Accentと、最初はGallery 91からスタートしたNinaさんのArchipelago(ベッド・バス・リネンで大成功した)ブースに、それぞれ与えられました。   今年のアクセント・オン・デザイン賞に選ばれたVARITASの文具商品 MAGIS、アクセント・オン・デザイン賞 Eastern Accent、アクセント・オン・デザイン努力賞 Archipelago、アクセント・オン・デザイン努力賞     ● 大評判の‘シャープ・バブル’ Gallery 91のブースでは2000年の文字を切り抜いてショウケースにして、時計、デスク・アクセサリーなどをディスプレイ。特に今年はD-Brosの紙製品を出したのが大変人気を呼んだのと、ショウの入り口にも飾られて評判を呼んだシャープ・バブル(ペーパーカッター・ペーパーウエイト・オブジェの3機能を持つ)が反響を呼びました。このシャープ・バブルは3年前、岐阜の関市とIDNFで行われた「国際学生カット・デザイン・コンペ」のグランプリに輝いた作品で、審査員には国際的に活躍するEcco DesignのEric Chan、 石岡瑛子、木村一男、 David McFadden、 Lella Vigenelli、 Tucker Viemeisterをむかえて選定されたものです。細かいディテールにもこだわって、デザイナーのゲリー夏目と関のニッケン刃物とのやりとりの結果生まれた、みごとな新商品です。大きな泡の中に鋭いカミソリと針のようなピン類を閉じ込めて日常的には握ることの出来ない物を、手の平で遊ぶことができ、切れあじ抜群、刃の位置変えも可能で、刃こぼれしても反転して一つの刃で4回使えるすぐれものです。 シャープ・バブル(国際学生カットデザイン・コンペのグランプリ作品を関市で商品化して世界の市場に初お目見え、話題を呼んだ)   アクセント・オン・デザイン入り口のディスプレイ・ケースに飾られたGallery 91のシャープ・バブル   アクセント・オン・デザイン全景 Gallery 91ブースのディスプレイ     ● Asian Style ショウ全体ではなんといっても「アジアン・スタイル」の人気と流行を感じさせられました。ドイツのASA社写真下は、ヨーロッパ・スタイルの陶器で 知られていたのですが、なんとこの変化。日本人では出せない、アジアン・スタイルをみごとに商品にしていて、それだけ世界の市場があるのかと考えさせられました。他のアジアン・スタイルも、日系とかアジア人のオーナーではないのが面白いところ。コストの見合うアジアの国で製造するのは今までも当たり前でしたが、このアジア・ブームの浸透ぶりには、びっくりしました。   ドイツ・ASA社 ドイツ・ASA社 ドイツ・ASA社 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル   NYの新年郵便、中華切手 今年は2月5日が中国のお正月。休みのないNYの中華街もこの日ばかりはいっせいに店を閉じて、新年を祝っています。アメリカの郵便局では1月の中頃から、毎年その年の十二支の切手を売りだします。日本の年賀郵便に間に合うようにだしてくれたら使えるのに、といつも残念に思うのですが、これは中国と日本の歴史の違い、やはり中国の重みをこんな所で感じたりしています。

第8回 ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展

第8回: ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展 2 0 0 0/1/2 6 ● 2000年を迎えたNYの素顔 NYのNew Millinniumは、タイムズ・スクエアーの年越し騒ぎのイベントにエネルギーを消耗仕切ったのか、とても静かで、ほとんど普段の土・日といった感じで年が明けてしまいました。 NYの新年は普通1月1日だけが休みなので、日本のお正月のイメージはありません。ですが面白いことに、毎年1月4~8日の間、Xmasツリーをあちこちの通りに捨てる行事(?)があります。 これが毎年のことなので、何か日本の門松を連想させ、私にはお正月っぽさを感じさせます。SoHoや、倉庫ばかりのように見えるチェルシーあたりでも、本物のもみの木のクリスマス・ツリーがたくさん捨ててあって、その香りが漂っています。もちろん、皆さんこれを飾っていたわけで、まだまだニューヨーカーもクリスチャンなのか伝統が残っていることを感じます。 捨てられたツリー /Soho 捨てられたツリー /チェルシー     ● Gallery91の2000年 SoHoのGallery 91で「ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展、パート1」が1月12日より3月11日まで開かれています。この展覧会では‘紙製品’をテーマに、カレンダー、時計、ポスター、グラフィックを中心におよそ300点の作品が展示されています。世界中のそうそうたるグラフィックデザイナーのオリジナルカレンダーやペーパー・グッズが多数出品されており、たとえば、松永真氏のテーマポスター*1を皮切りに、プッシュピンスタジオ、レーザーフィッシュのカレンダー、松本高明のワールド・コンペ・ポスター、日本から田中一光、黒田征太郎/K2、小島良平のカレンダー、内田繁のムーンライト、茶谷正洋のカード他多数の作品が展示されています。素材を生かしてるだけではなく、それらの多様性と繊細な表現の作品群は、ニューヨーカーに感激を与えています。 ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展 ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展 *1;松永真作のGallery 91「2000 Objects for New Millennium」ポスター   この2000個オブジェ展パート1の作品には、日本の左合ひとみによる通産大臣賞受賞のポップアップカレンダー*2。D-BROSの渡辺良重の楽しいプロダクトの一つ、食事が楽しくなりそうなプレイス・マット ── 紙のランチョンマットは動物の形のキリコミがあり、そこを立てることではし立てになる ── *3。もう一つD-BROSの植原亮輔の「A Path to the Future」と題した線路とハイウエイがデザインされたパッキングテープ*4など日本人デザイナーの作品も展示されています。NYのJOY NAGYが紙で作った鮮やかな色の花器と花、Teaセットと靴*5。ソーホーの住人NAGYの靴や花と花器は、日本の繊細なアイディアとはまた一味違い、とても明るく楽しい作品です。 建築家 茶谷正洋の有名なオリガミ建築ポップアップ・カードは、全コレクションを見ることができます。そして、彼の秘蔵コレクションとして、それぞれのオリジナル建築家のサイン入りカードや、クリントン・ブッシュ・レーガン各大統領のサイン入りホワイトハウス・カードなどが展示されています*6。この紙展、ユニークな展示構成と展覧会でNYのメトロポリス・マガジン やIDマガジンにも紹介され話題を呼んでいます。   *3;動物ランチョンマット *2;ポップアップカレンダー *4;パッキング・テープ *5;花器 *6;オリガミ建築   「ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展」では、続く4・5月には‘Future Design’をテーマにして新しい素材やアイデアを展示。6月のテーマは‘ガラス’で、NYで行われる世界ガラス会議に協力しガラス作品の色々を紹介します。いずれも各界の著名デザイナーが世界中から参加します。7月からも12月までは‘環境問題’‘ニューメディア’‘日常生活用品’などのテーマに分けて、2000年の一年間を通してGallery91で2000点を展示即売します。 興味のある方は、ぜひ参加してください。 オープニングパーティにて

第7回 バルドリアのWebショップ/イッセイの展覧会

第7回: バルドリアのWebショップ/イッセイの展覧会 1 9 9 9/12/8 ● バルドリア Baldoria 北イタリー、レイク・コモの伝統ある上質のシルク、そのハンドメイドのシルクアクセサリーデザイン工房として、4代続くことで知られている(Pianezza)ピアネツァ・ファミリー。曾御祖父さんのコレジオーネ・ピアネツァ(Collezione Pianezza)の時代から、現在のパオロ・ピアネツァが引き継いで、高級ネクタイ・スカーフを手がけています。ミレニアムの終わりのこの時期に、新しいビジネス手法として、世界への情報発信を目指しオン・ラインでWebストアを開設。11月9日、NYのそうそうたる人々を招待してのお披露目パーティーが、素晴らしい眺めの会場で行われました。このバルドリア・ドット・コムの特徴は、仲買人や中間業社が入ることによりコストが上昇や、末端客の好みが作り手には伝わらないなどのビジネス形態の煩わしさをなくしたこと。顧客が好きなものを選び好きなメセージを入れてオーダーすると2週間後に直接送られるシステムになっています。   ウエブサイトを見せるMr. Paolo Pianezza 会場から見るマンハッタンの夜景 ウェブ・デザインを担当したのが、E-Commerce のスペシャリストで有名なウオーターズデザイン・ドット・コム(Watersdesign.com)で、エレガントなベスト・サイトを作り上げたと評判です。このショップにはもうひとつ特徴があり、ショッピング客の為に「アンドリア」という名のiconが、パーソナル・サービス・アシスタントとしてお客を誘導してくれます。2000柄のパターンから好みのネクタイ又はスカーフを試着して、気に入ったものをショッピング・カートに入れる。最終的に決定した商品以外も顧客データベースに記憶してくれるので、次回の買物でアドバイスが得られるなど、とても便利にできています。また、70種類のメッセージから好みを選んで、ネクタイやスカーフの端に織り込み、パーソナル・メッセージを添えて特別の贈り物に仕立て上げることもできます。バルドリア・ドット・コム のカラフルで、エレガントなストアー。お利口さんなiconの助人とユニークな発想が、新しい2000年のNYストアーや5番街、マデソン・アヴェニューに新風を巻き起こすかもしれないと思いました。 Baldoria President and Designer Baldoria.com screen Demonstration at the party   ● Issey Miyake – Making Things 三宅一生の過去30年にわたる作品が昇華された展覧会が、ニューヨークのエース・ギャラリーで開かれました。11月13日から2000年の2月29日迄行われています。この展覧会の知らせは、あまり前触れもなく、2週間位前になってNYソサエティのISSEYファンが知ったという形で、静かに進行されていたのですが、そのオープニング当日は、大きな7部屋の会場に世界中から著名アーティストやデザイナー、美術館関係者、ISSEY崇拝者等が集まり、まさに身動きできないほどの盛況でした。どの雑誌や新聞を見ても、“20世紀において最も影響を及ぼし、革新的で魅力に富んだデザイナー三宅一生”と絶賛していますが、ほんとうにすばらしい展覧会でした。ファッションだけにとどまらず、現代の情報と素材を駆使し、それを人体の空間と動きで表現したアートとして、ニューヨーカーに感銘を与えたようです。ソーホーのエース・ギャラリー近くまで行くと皆が「ISSEY」「一生」とささやいているのが聞こえてきました。11月と12月のNYソサエティでの会話は、必ずISSEY展の話題ではじまります。昨年パリのカルティエ現代美術財団で公開された展示を、NYでは美術館でなく、このエース・ギャラリーでするということも、大変な魅力です。 上3点:ルーム1の展示より   上2点;ルーム3ルーム4 展示のようす ルーム1のテーマは「ジャンピング」。鑑賞者がギャラリーに入っていくと、展示空間の服全体についたセンサーに反応して、過去10年のISSEYの作品25点からなるインスタレーションが動きだします。ルーム2は「ザ・ラボラトリー」。製造と創造のプロセスに焦点あてたセクションで「ISSEY MIYAKE MAKING THINGS」展の核心を見せる場。コンピューターを駆使したインスタレーションと展示が新鮮です。ルーム3 は「プリーツプリーズ・ゲストアーティスト・シリーズ」。他の芸術と交流しながら衣服デザインへの新たなアプローチの探求を展示。ルーム4は1枚の布を略して命名された「A-POC(エイ・ポック)」。ニットチューブが連続するロールで生み出され、その中には編み込まれた境界線に沿って切り取るだけという斬新なコンセプトの服「A-POC」。ここでは「A-POC」に覆われたマネキンが何体も繋がって展示され、そのまま大きなニットチューブにもどる光景を見せ、圧巻でした。 この展覧会では、アソシエイトとして滝沢直己氏など若手にも発表の場を与え、将来の担い手を育てている一生の姿勢も、さすがといった感じです。20世紀、世界中に知れ渡った日本のブランドに、SONYとISSEY の名があがりますが、NYに住む日本人の一人として、大変誇りに思います。 サンクスギビング・パレードの後、NYの12月の街並みはいっせいに、クリスマス・デコレーションに入ります。日本ではあまり知られていないことのようですが、NYでは誰にでも「メリークリスマス」は使いません。通常「Happy Holiday」をつかいますが、これはいくつもの宗教があることからきています。特にユダヤ人の多いNYでは「ハッピー・ハヌカ」などの方が多いような気がします。それでも一年中で一番皆が買い物をするクスマス・プレゼントの習慣は世界共通で、ショップやデパートはこの時期の売上げで年間の景気を判断するようです。今年のNYは元気が良さそうです。 *写真は、クリスマスデコレーションのデパート(メイシーズ)

第6回 ハロウィン、ハロウィン

第6回: ハロウィン、ハロウィン 1 9 9 9/11/10 11月になると、NYはホリデイ・シーズンのはじまりです。10月最後の日のハロウィンから始まり、続いてサンクスギビングの飾りに入り、その後がクリスマス、とショーウインドーも一変します。そのあわただしくなる時期の前に、いくつかの会社では、ハロウィン・パーティーをかねて社員感謝の‘はめはずしパーティー’が開かれます。 * 左より;パレードの仮装、街角のホットドッグ屋のお兄さんもこの日は仮装してサービス、店の飾りもハロウィン一色、人間がマネキンになってこれもハロウィン化粧     ● 注目のWebデザインスタジオ「オーヴン」 先日出かけたのは、Webデザイン・スタジオとしてどんどん大きくなってきているオーヴン・スタジオのハロウィン・パーティー。新しい地域として変わりつつあるノリータ地域の東寄りにできたエンターテイメント用スペースを借りきって、皆仮装をして行われました。社員の家族、クライアント、友人を呼んで、はめをはずしましたが、社長のヘンリー・バーレヴァブは、自らバーテンダーを勤めてゲストを接待していました。 Oven オーヴン 初期のチャンネル13やMOMAのページで有名なWebデザイン事務所 右上;Oven/President(Webデザイン・スタジオ・オーヴンの社長/ヘンリー・バーレヴァブ自ら社員の為に、この日はバーテンダーを勤める) 右下;Oven/Arian(オーヴン社のパーティーで、コーナーに飾れたエリアン)     ● Webマガジン「ママメディア」 同じ日、こちらは5歳から13歳を対象としたウエブ・マガジンで有名なママメディアも、Sohoの大きくなったスタジオで、大家族とクラアイアントを招いてのパーティーがありました。 MaMaMedia ママメディア MITメディアラボの最初の卒業生のイディット・ハレル女史が1995年に設立。MIT卒業生をアドバイサー等に多数かかえて、見た目の派手さの奥にある優れたテクニックでWeb業界でも一目おかれるサイト制作運営と出版で有名。 Idit Harel、ママメディアの社長 *左から;ママメディアのマガジン、ネットワーク・マップ、オフィス風景1・2     ● ミレニアム最後の超特大パレード   なんといってもハロウィン当日の10月31日。実際のハロウィン・パレードの盛り上がりは、世紀末ということもあって、大変な賑わいで大盛況でした。このハロウィン・パレードのいわれですが、2千年前からのアイルランドの夏の終りの収穫日(これから訪れる暗い冬の到来の意味)の伝統的なお祭りが、西暦43年にローマの勢力によりキリスト教が公認された記念日と結びつき「All Saints’ Day Eve」 ── 全ての魂、死者に対して名誉を与えて賛える日の前夜祭 ── となったのが起源とのこと。たき火をつくり、聖人や天使、悪魔の仮想をしてパレードを行っていたようです。この「All Saints’ Day」の意味を持つ英語が「Alholowmesse」で、前夜を「All-hallows Eve」と呼んでいました。パレード初期のヴィレッジのゲイ・ピープルの豪華絢爛な仮想パーティーから、一般のお祭り好きにまで参加者は拡がり、それぞれのコミニティーが団結し交通地獄も我慢して年々大きな催しになってきています。     大きな山車は前もってコミッティーに申し込むようですが、一般の仮装参加者はソーホーのスプリングストリートと6thアベニューからのスタート地点に続々と集まって、ひきもきらずです。毎年このヴィレッジ・ハロウィン・パレードの為に一年かけて衣装を作りあげたり、暖めたアイディアを披露しようと、NY一年分のストレスを解消するかのような熱がこめられています。なによりも本人が楽しみ、家族、グループ、老いも若きも皆で心から楽しんで、はめをはずしているのが、まわりにも伝わってくるパレード。それと、この日の為に約25億ドルがアメリカで消費されるそうで、今年のパーティーショップの売り上げも好景気だったのではないでしょうか。   ソーホー、ヴィレッジにすむアーテスト、デザイナーも多く、台所用品を身につけるだけでも、さすがて思わせる変身、素材の選び方に毎年感心させられます 「Y2K Bug」今年の多かったテーマの中でも抜群。2000年のコンピューター問題とバグをひっかけて、フォルクスワーゲンをコンピューター・チップで多い隠し、本人達もそのデコレーションで素晴らしかった 中華料理のテイクアウトに使うBoxに身を包み、写真には入らなかったが、長い箸まで持っている  

第5回 NYの秋、デザイン・ショップに新風が起こっています。

第5回: NYの秋、デザイン・ショップに新風が起こっています   1 9 9 9/10/1 2     ● デザイン・ショップのオープニングに華やぐNY 10月、デザイン・ショップのオープニングが次々とあり、NYは華やいでいます。SoHoでは、アーティストの住んでいたロフトが、コンピューター時代の新しいライフスタイルを求める若い世代に人気の空間として脚光を浴び、需要が増えていることも、その要因の一つです。このロフトスペースに合うような家具の店、ファッションの店等がどんどん増えてきて、今まで主流だったアートギャラリーは追いやられ、チェルシーに引っ越しています。Gallery 91の隣りのグランド・ストリート89番地に、ドイツの照明作家インゴ・マーラー(Ingo Maurer)が、世界で初めての自らのショールーム兼ストアーをオープンして話題を呼びました。4ヵ月ほど内装に時間をかけていましたが、アナウンスしたオープニング当日は, 大変な台風の9月16日の夜。それでも皆集まって、パーティー用の真っ赤な紙の3Dグラスをかけて盛り上がりました。             ingo-maurer.com   Ingo Maurerストア Ingo Maurerストア Ingo Maurerストア Ingo Maurerストア   このグランド・ストリートと交わるグリーン・ストリートでも、道沿いに次々と新しい動きが起こっています。インゴ・マーラーより前からある照明具店アルティミデ(Artemide)も常に明るく目に€ツきますが、その正面には5月にオープンしたカーテル(Kartell)が、カラフルなアラン・ラッド等の家具等を展示していて人目を引きます。 Kartell(中から外を見る) Kartell(入り口から中を見る)     ● Design Day NY 10月6、7、8日と、従来の「デザイナーサタデー」を引き継いだ今年2回目のオーガナイザーが「DESIGN DAY NY」と改称したので、それに合わせたレセプションもたくさんありました。ハウストン・ストリートの近くに5年前に開けたMossストアーが、隣りの敷地も借り4倍に拡張して10月6日オープニングイベントをしました。今までNYになかったようなミュージアムみたいなストアーになり、デザイン関係者がつめかけました。     MossのオーナーMarry Moss氏 ガエタノ・ペッシェ作品 Mossストア Mossストア-地下の飾り     ● リニュアルしたMoMAストアー 翌日は6週間休んでいたMoMAデザイン・デザイン・ストアーの再開店オープニングがあり、同じ顔触れプラスMoMA関係者でにぎわい、新しくなって広くなったストアーで歓談しました。MoMAは今までのスペースから10%広がっただけということですが、最近注目されているNYの若手建築事務所1100 Architectのリニューアルでリフレッシュ。天井から壁に設置されたショウ・ウインドウに家具が展示され、メッシュのスクリーン越しに照明が照らされる時だけ見える、という作品の展示方法は圧巻です。アメリカの「ニュージェネレーションお金持ち」、多分ヤッピーの次なる言葉で呼ばれているのかも知れませんが、コンピューターや株で儲けて羽振りを効かせている若い人達が、ロフトのスタジオを月4千ドル~1万ドル(40万から100万円)の家賃を平気で払って住みはじめているので、この活気が出ているのだと思います。   MoMA新ショップのデザインをした1100 Archirectのパートナーの1人David PiscuskasとMoMAキューレーターのPaola Antonelli MoMA新ショップ・オープニング・パーティー風景 MoMA新ショップ・飾り棚

第1回 「第9回国際現代家具展ICFF」と「SOFA」のレポート

第1回: 「第9回国際現代家具展ICFF」と「SOFA」のレポート      1999 / 6   ♦第9回国際現代家具展ICFF ( ICFF.com) NYの5月、6月は毎年、インテリアデザイン関連の催しが目白押しです。第9回国際現代家具展ICFFは5月15~18日に行われました。今年は今までにない活気で、大がかりな特別のテントブースを設置したイタリー・ドイツ・オランダ各国の貿易振興会後援のブース、そして各デザインスクールのブース等が好評でした。そして関連パーティーの多かったこと。ICFFはMoMA(近代美術館)をパーティー会場にして、チェコスロバキアの若手軍団はあちこちのギャラリーで、その他ガイタノ・ペッシェ、ロン・アラッド、インゴ・マーラ等著名デザイナーのサイン会を交えて、毎夜6時~10時にかけて30か所程のパーティーで盛り上がりました。 *写真 1)メトロポリス誌のブース、2)パーソンズ・スクールオブデザイン、3)RCA(英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート/今年の主任教授がロン・アラッドだったそうで力が入っていた。4)TOTEMトーテム・ストアー(トライベッカにある人気のデザインストア)     ♦SOFA (スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)(sofaexpo.com) 5月19日~23日には高級クラフトのSOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)が、NYでは第2回目のショウをパークアヴェニューのアーモリーで行ないました。これはアメリカン・クラフト美術館主催のギャラパーティもあり、NYのコレクターが多く参加、売り上げも多かったようです。活気をとりもどして‘ほんとうに景気が良いような’NY。外国からそれを当てにして、出展する数が増えているのも、盛り上がり要素のようです。 ですが、実際にビジネスとなるとアメリカはそんなに甘くなく、気前良くオーダーを入れても、品物を出荷する頃は気が変わったり、着払いでも払わなかったり、代金回収も楽ではありません。州によっても法律が違うので、取り立ての権利を行使できないなど、日本では思いもつかない目にあわされたりもします。   海老原嘉子 *(写真 5) SOFA会場でのパーティー風景、6)ガラスPortia Gallery Chicago.