Sculpture Objects & Functional Art 展
「SOFA New York 2004」
国際美術工芸品エキスポ、SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)2004が、パークアヴェニューのアーモリーで、6月2日~8日まで行われました。Culture Incの社長だったMark Lymanが創立者であり現在の社長で、今回がNYで7回目、世界中からディーラー・コレクターが集まります。
他のトレードショーとは違い、Museumでは買うことができない、手に入らないレベルの一品ものを買うことができます。アンティックからコンテンポラリーまで、質の高い作品、Galleryがブースを出しています。
3年ほど前からSOFAとアート&デザイン美術館MAD(元アメリカン・クラフト美術館)のオーガナイズでContemporary Decorative Arts Week(CDAW)が同時期催され、Bloomberg市長も、アート・クラフトを活性化すると協力。NYの美術館、ギャラリーがCraft、Designの展示で、スケジュールを組み、今年は30軒ほどが名を連ねました。
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イサム・ノグチから若手作家まで、幅広いコレクションを展示
SOFAは、MADをサポートする為に、ギャラ・オープニング・パーティ、サイレント・オークションを実施し、その売り上げをMADに寄付するという大きな催しでもあります。ギャラ・ナイトは華やかなユニークに着飾ったコレクターが多く集まり、オークションに熱中したりと盛り上がります。
会期中メトロポリタン美術館やMADのキューレーター、著名アーティストのレクチャーも毎日行われ、勉強にもなります。今回は50の出展があり、内容は陶磁器、ガラス、布、木工、ジュエリー等でした。イサム・ノグチ、ジョージ・ナカシマとその娘ミラ・ナカシマから、若手のコンテンポラリー・ジュエリーまで幅広いコレクションが展示されています。
大量商品よりもクオリティーを重視
出展者は「NYは洗練された、良識あるコレクターが多く、真剣なお客が多く、良く売れるので、出品する方も質の良い恥ずかしくないものを持ってくるようにしている」と口をそろえる。ヨーロッパの著名な陶磁器や、ガラスの作家もの、ギャラリーも出展していて、アメリカのイメージが食の世界でも高級化しているように、大量商品からクオリティーを望む人達が確かに増えているのを感じます。
このSOFAはシカゴで先に始まり、この秋10月で12回目を迎えます。来年はフロリダのPalm Beach SOFA が International Fine Art Expositions(IFAE)と同時に2005年1月13~17日に行われることも決まり、ますます発展していきそうです。
イサム・ノグチの芸術作品の永久保存の場所
6月12日土曜日、ニューヨークのロングアイランド市のイサム・ノグチ・ガーデン・ミュージアムが、正午のリボンのカット・セレモニーと共にリオープンしました。 およそ2年10カ月の改築工事によりビルの安全性が強化され、車椅子でのアクセスも可能となり、エレベーターやエデュケーション・センターなども新設されました。美術館の名前はシンプルに「ノグチミュージアム」に変わり、ライブラリーのあるカフェとミュージアム・ショップが新設され、暖房や空調設備も一新し年間を通しての開館が可能となりました。
今年はイサム・ノグチ(1904~1988)の生誕100周年にあたり、アメリカ国内用37セント記念切手も発行されていて、郵便局で買うことも同時に楽しめ記念になります。
ノグチ・ミュージアムは、彫刻家イサム・ノグチの芸術作品の包括的コレクションの永久保存の場所であり、改造にあたっては、オリジナルの建物のローテクな要素は彼の作品の為の展示場所としての雰囲気が壊されないないよう特別なケアをして残されています。再開記念の「イサム・ノグチ:彫刻デザイン」展は、劇的演出効果の前衛オペラの鬼才、ロバート・ウィルソンがインスタレーションを手掛けた展示(自然の光りを抜け2階に上がると真っ暗な空間に影を演出する照明など)で、今まであまり見るチャンスのなかったマーサ・グラハム舞踊団の為の舞台装置の作品等、Videoでの動く画像も展示に加えられていて、イサム・ノグチの違った作品郡が見る事ができて新鮮です。
総計13のギャラリーに240点を超える作品を展示
明かりランプの展示会場は、わらぶきに中央の窓から田舎の田んぼが見える演出で、楽しませてくれています。続く2階の企画展示会場は、彫刻とデザインが混在する、飛び石を渡りながら彫刻や公共プロジェクトのモデルなど一点ずつ鑑賞を楽しめるドラマティックな展示で静かな空間を演出。対して1階の常設展示は、石、メタル、ウッド、クレー(粘土)等の力強い素材の彫刻作品が並んでいます。2階の企画展と1階の常設展あわせて13のギャラリーに、計 240点を超える作品が展示されています。
庭園の彫刻はイサム・ノグチの代表作でもある花コウ岩や玄武岩の作品がゆったりと静かに自然と調和して、そこ、ここに展示されていて、イサム・ノグチのオーラ溢れ、永遠の時を刻んでいるようで、アートに無関心な人でさえ心休まる空間をつくっています。
これからは彼の作品ばかりでなく、彼の作品のコンテキストの拡張および作品の遺産継承、また、彼の革新的アートの発掘精神を受け継いで他のアーティストやデザイナーの展覧会も開催されることになっているようです。ヴィトラ・デザイン美術館のオーガナイズでロバート・ウイルソンがその構成デザインを手掛けた今回の展覧会は2004年10月3日(日)まで開催されます。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影