マイアミ・ビーチで12月5日から9日まで「アート・べーゼル・マイアミ」と「デザイン・マイアミ」が開催されました。浅い歴史にも関わらず、大変話題のこのフェアーを是非この目で見たい!と雪の降るニューヨークから、暖かいマイアミへと出かけました。スイス発のこのArt Baselをマイアミでも始めたのが6年前で、その後、デザイン部門が3年前に加わりました。スイスではヨーロッパのバイヤーがほとんどだそうですが、マイアミは世界中から、バカンスを兼ねて訪れるので、年々その規模が大きくなり、景気の低迷が嘆かれているにも関わらず、今年は、プライベート・ジェット機が何と、去年を上回る220機も乗り入れたとの事。マイアミ・コンベンション・センターで行われるメイン会場の他に、大小のフェアーだけでも22カ所もあって、シャトルで回ったり車で回っても、場所、駐車場を探すだけでも時間がかかりひと苦労です。至るところで、NYのSOHOを盛り上げていた頃の懐かしい友人達に出くわしましたが、現在は皆フロリダに隠居しており、それが、こういう動きを呼んでいるのではと思いました。
初日には「コレクター、バイヤーが先を競ってアートを購入」と翌日の新聞に出ており、その後毎日、9万ドルから45万ドルでどの作品が売れたなどと報道されていました。Bigger is Betterなのかこれでもかというサイズ、17フィートとか、26フィートのアートをNYからのバイヤーが買い付けたりもしているそうです。マンハッタンの中ではこのサイズはどうなのか、と余計な心配をしていたら、「ヨーロッパにある別荘に」とか、流行の「プライベート美術館により目立つものを」とそのコレクションのための買い付けだとか。
デザイン・マイアミは、デザイン・ディストリクトとして、MOOREビルディングを中心に開発中で、すでに有名店やギャラリーがいくつも出店しています。会期中は毎晩そこでパーティーなどが催され賑わっていました。MOOREビルディングの吹抜け部分に、第1回「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」のザハ・ハディドの受賞作品が展示されていて象徴的です。第2回目は、マーク・ニューソンが受賞、そして3回目の今年は、日本の吉岡徳仁が受賞するというので、話題を集めていました。
彼の展示はこのビルの4階で、入った瞬間、竜巻の水しぶきか煙りで霞んだような錯覚をおこす、特別に作ったストローで覆いつくされていました。アメリカでは未発表の作品が多く展示されていたので、来場者は質問したり、感心したりで、映像ピデオにも熱心に見入っていたようです。展示するに当たって、真っ白なカーペットが、沢山の来場者に汚れないかという心配も懸念されていたようですが、最後まで白いままで素敵でした。
MOOREビルディングの1ブロック下に坂茂の「 Space of Silence」 Artekパビリオンの展示があり、もう1ブロック下のロフトの中では、Morris Sato StudioのDuPontの「Light Showers」の展示がありました。その中の特設会場ではジョージ・ベルリアン・吉岡徳仁等のパネル等も行なわれました。
Art Miamiのメイン会場となるコンベンションセンターは、マイアミ・ビーチにあり、世界中からギャラリーが出展し、作品サイズとその価格でも話題の作品を見る事ができました。その周辺、ダウンタウンでは「Briage Art」「Flow」「Red Dot」「Ink Miami」など、それぞれ若い作家達の作品を紹介していました。
橋を渡るとこれから新しく海辺に移ろうとしている、Miami Art Museum (MAM)があり、アートを見せる為に建築を考えたというジャック・ヘルツ(Jack herzog)構想構想の模型や、紹介のVideoの上演をしていました。また、NYのMoMAから移動してMAMのキューレーターになったテレンス、建築家(Jack herzog、Terence reiley and doug aitken)等による講演会などがダウンタウンのコロニーシアターで催されましたが、話題のセレブ達も入れなかったほど超満員でした。
MAMからわりと近くに、リサイクルや既存する物だけで作るユニークなアートが展示される美術館、Cisneros Funtavals Art Foundatio (CIFO) が、その先にはNAD Art Fair Miamiがありました。またCASA Decor 07も倉庫を会場として利用し、見応えのある展示でした。少し離れてPULSEが見られ、ここの2階には、日本の若手アーティストが参加しているGEISAIが展示しており、その先にはMOCAがありました。ZAHAの展覧会は少しわかりにくい倉庫での展示でしたが、どうにか辿り着き、知人から聞いていたとおり、その素晴しい作品とスペースの規模の大きさに圧倒されました。これだけ動きまわっても、いろいろ見過ごしたり、出れないパネルや講演もあり、セレブのファッション、NYとはひと味ちがうパーティーの賑わいもあり、 盛り沢山のショーでした。
このアートマイアミが大変な人気を呼んでいるのには、ファイナンシャル関係で働くインベスターらが、Weekdayは仕事をしながら、週末にはマイアミに飛んで来て、若手アーティストの作品を投資目的に買うバイヤーになっている事実にもあるとのこと。しかしこのファイナンシャルの人達が、アートやアート・ソサイティーの状況に大変詳しいのにも関心させられました。日本の経済界の人達には、アートがここまで理解されてないのでは、と思ったものです。スケール、財力すべてに刺激されたショーでした。
マイアミがこれからの動きとして、アート発信地になるのでしょうか?
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影