新しく入れ替わったMoMAのパーマネント・コレクションの「Action Design Over Time」と題した展示が、2月5日からMoMAの3階で始まりました。それに合わせて「A+D Circleメンバー」募集を兼ねたキューレターツアーも行われました。
A+D Circleとは普通のメンバーシップとは別に、MoMAの建築・デザイン愛好家のためのメンバーシップで、さまざまなシンポジウムやキューレターツアー、建築事務所などへのツアー、話題になっている建物のガイド付きツアーなどが常時行われるというものです。

 

今回のパーマネントコレクションに追加された作品は、MoMAらしく今の時代を反映し、過去にあり得なかったような、映像や素材、新しいテクノロジーが増えています。
オーガナイズをしたのは、シニア・キューレーターのPaola AntonelliをはじめとするPatricia Juncosa-VecchieriniとKate CarmodyやMoMA 建築・デザイン部のアシスタント・キューレーターで、コンテンポラリー・コレクションの中から85点を選び、展示しています。

 

入って右手がモダンのセクションで最近のコレクションを。中央が家具、奥の壁には映像や素材などをメインに展示しています。展示作品は、現代のアートやデザインの傾向にもある、自然の進化や環境の変化を受け入れており、表現方法も自由で、現代をより深く理解してもらおうとしています。

 

展示対象のオブジェのいくつかは、その瞬間の静の部分で見せていますが、制作過程や人々との関係のプロセスなど時代を反映し、そこで止まっている美の物体として捉えています。例えば、インゴマウラーの、壊れた食器で作られたシャンデリア(1994) 【 写真 4、5 】 や、Libertiny Studioの「Honeycomb Vase」などがあります。「Honeycomb Vase」は、4万匹のミツバチが1週間かかってつくった花瓶です。 【 写真 20 】

【 1 】 入って右手のモダンセクション(写真1~3)

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【 4 】左手の作品はStack D:A&D Shay Alkalay, Israeli、上からはインゴ・マーラのシャンデリア

【 5 】吉岡徳仁:Honet-Pop Armchair(写真5、6) 【 6 】 【 7 】Corallo Armchair Steel:Campanaブラザー、ブラジル 【 8 】シンデレラ・テーブルD:Jeroen Verhoeven, Dutch
【 9 】 Cabbegeチェア:nendo 【 10 】CoReFab#116_25 D : Ammar Eloueini, Frenc 【 11 】Less Lamp D…Jordi Canudas, Spanish 【 12 】入って右手はケースがないコレクションの展示(写真12、13)
【 13 】  【 14 】薬のような丸い粒に水を濡らすとタオルに広がる、Gallery 91のPill Towel: D:松下幸代(写真14、15) 【 15 】 【 16 】左中段赤ペンはTherapeutic Felt-tip Pen D: 129.2006、中央のネックレス状はMedicine by the Centimeter、右の淡い青の輪は、Air Glass。3点ともD: Mathieu Lehanneur, French, born
【 17 】 上はPhillip Starkの時計 Alessi。オリジナル作品はTime Machine展1986 Gallery91で発表。下は岩井敏男の「手のり音」 【 18 】上段はFruit Bowl・Laser-sintered nylon D: Amanda Levete, British、2段目はハート型の”Lehti” Tray Maria Jauhiainen, Finnish、下段はLifePort Kidney Transporter D: IDEO,USA。他たくさんの人がかかわっている 【 19 】右下黒はSocial Tele-presence D: Royal College of Art, UK 【 20 】蜂の巣の花瓶:Libertiny Studio
 

Brendan Dawesの「Cinema Redux」は、ヒッチコックの映画「Vertigo」の画像を何千個と並べたC-Printの作品 【 写真 24 】 。 コンピュータを駆使した作品群が、エレベータ側の奥の一角に設置されています。そこでは、いままでの美術館の概念である「作品に触れないで下さい」に背いたタッチスクリーンの作品や、変化する作品やインタラクティブな未来型作品が展示されました。また、素材そのものを生かして表現した作品群も奥の壁に展示されています。

 映像の作品ではジョン前田の作品 【 写真 40 】 がたくさん展示されていますが、中央には吉岡徳仁の「Honet-Pop Armchair 椅子」 【 写真 5、6 】 やnendoの「Cabbege Chair」 【 写真 9 】 が展示されています。吉岡徳仁の「Pane Chair」や「Tofu Lamp」 【 写真 30、31 】 も展示されています。
 入って右手のケースの中には、岩井俊雄の「TENORI-ON」 【 写真 17 】 や本郡寛治の「Earlam ll」。そしてGallery 91から松下幸代の「Pill Towell」 【 写真 14 】 もビデオ説明と一緒に展示されています。

【 21 】 SQFlex Combo Drinking Water Pump D: Niels Due Jensen, Danish

【 22 】Vespa GS 150 D: Corradino D’Ascanio, Italian

【 23 】Cisitalia 202 GT Car D: Pininfarina Farina, Italian
【 24 】 Cinema Redux Brendan Dawes、ヒッチコック映画「Vertigo」の何千個の映画像を一遍で見せたC-Print 【 25 】GROW: SMIT Sustainably Minded Interactive Technology, LLC, D: Samuel Cabot Cochran/Benjamin Wheeler Howes USA 【 26 】奥の展示への通路、新しいテクノロジーなどの展示コーナー
【 27 】奥の素材展示コーナー(写真27~29)

【 28 】 【 29 】 【 30 】吉岡徳仁:Pane Chair(写真30、31)
【 31 】

【 32 】Bone Chair Aluminum D: A&D Joris Laarman, Dutch 【 33 】「Action! Objects That Grow」のタイトルで最新テクノジーの素材を使った作品が赤い壁のセクションに展示されている(写真33、34) 【 34 】
【 35 】Raycounting, from the Materialecology project D: Neri Oxman, Israeli, born USA MIT

【 36 】Monocoque, from the Materialecology project D: Neri Oxman, MIT 【 37 】Robots project 3,4,D: Anthony Dunne, Fiona Raby, British, Dunne & Raby, UK 【 38 】 Flight Patterns Quicktime Video D: Aaron Kubilin
【 39 】Want You To Want Me D: Jonathan Harris タッチスクリーンで風船が割れたり、動いたり
【 40 】 Jun Maedaの映像作品 【 41 】モダン展示風景
入って左側の会場はコンテンポラリーと区切って、1890~1914年までの「International New Art」の家具からドローイング、ドアノブなどの部品までを展示しています 【 写真 42~48 】 。次のセクションでは1925~40年までの「Mind, Body, Machine」 【 写真 49~52 】 がテーマの作品群を展示しています。

【 42 】 左手は家具などを展示したコンテンポラリーコレクション

【 43 】「International New Art」1890~1914年(写真43~48)
【 44 】 【 45 】 【 46 】
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【 48 】 【 49 】「Mind, Body, Machine」1925~40年(写真49~52) 【 50 】
【 51 】

【 52 】 【 53 】 1925~40年のプロダクト・コレクションのケース(写真53~55) 【 54 】
【 55 】

【 56 】 Radio Nurse Speaker 1937 D: Isamu Noguchi 【 57 】  Child’s Wheelbarrow 1923 D: Gerrit Ristveld 【 58 】1940年以降のプロダクト・コレクションケース(写真58、59)
【 59 】

【 60 】奥の1940年以降のインテリア展示会場(写真60~63) 【 61 】 【 62 】

【 63 】

【 64 】GOOD DESIGN MOMA’s Message 1944~56年(写真64、65) 【 65 】 【 66 】道具類(写真66、67)
【 67 】

【 68 】Continuity and Critique 1960~90年代の展示(写真68、69) 【 69 】
  永久保存作品は、どこの美術館もコレクションした時にすぐ展示されるわけでなく、テーマに合わせて、半年から1年間おきに一部が入れ替わります。そのため、日本のデザイナーのコレクション作品に出合うことが難しく、大変貴重です。
今回の展示では、2008年のMoMAの企画展「Design and the Elastic Mind展」の作品が、コレクションに多く追加されていました。今冬までは展示が見られそうです。
あの時に未来の夢として見せていた企画展の作品が、その時代のパーマネント・コレクションに残されていく、そんな時代の流れを認識させられました。

【 70 】Continuity and Critique 1960~90年代の展示(写真70~72)

【 71 】
【 72 】 【 73】Continuity and Critique 1960~90年代のプロダクト・コレクション(写真73~75) 【 74 】
【 75 】

【 76 】初期の1890~1914年のケースに入ったプロダクト・コレクション 【 77 】3階左手の展示会場全景