第4回: 夏のバケーションとビジネスを兼ねるトレードショー「インターナショナル・ギフト・ショー」 1 9 9 9 /9 /1 5


●暑いさなかに行われる、世界最大規模のギフトショー

真夏のニューヨーク。昔はバケーションで2カ月休みといった店も多かったのですが、最近ではビジネス本意になり、たいていの店が営業を続けるようになりました。Jabits Center毎年、8月の第2週目に「インターナショナル・ギフト・ショー」が開かれます。この時期は、仕事とバケーションを兼ねた人たちで一層活気に満ちています。

ジャコブ・コンヴェンション・センターで1月と8月の年2回行われる、世界最大規模を誇るこのギフトショー。137回目となる今回は、全体で2600社が出展し、8月14日から19日まで開催されました。主催はGLM(ジョージ・リトル・マネージメント)社。出展内容によって、次の10部門に分かれています。
‘アクセント・オン・デザイン’‘アットホーム’‘ミュージアムソース’‘ジャストキッド・スタッフ(子供用品)’‘一般雑貨’‘ハンドメイド’‘テーブルトップととホームウェアー’‘パーソナルアクセサリ-’‘ニューリソース’‘花と造園アクセサリー’。

海外からの出展が多いのも特徴です。オーストラリア、オーストリア、ベルギー、デンマーク、ドミニカ、フランス、ドイツ、アイルランド、イスラエル、イタリー、韓国、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、カナダ、南アフリカ、イギリスなどの各国政府の貿易振興会後援ブースが出展。世界中から約4万5千人のバイヤーが集まり、ビジネスが行われます。

 

会場風景。左手がテーブルトップや一般雑貨、右手角がGallery91ブース

こういったトレードショーが日本では顔見せやおひろめに終わる様ですが、ニューヨークの場合、一日何枚のオーダーを書き込めるか1日どれだけの売り上げになったかがセールスの人達やブースごとで話題で、真剣に半年分のビジネスの成果をあげていまうところがプロフェッショナルなビジネスをいう感じです。一方、ブースの設置や規則が多く、ユニオンの人しか使えない色々なルール(規則)で、高い金額を払わせられるのもアメリカのトレードショーの様です。

Zelco社のブースから新しい商品郡。足型のラバー付き体重計

Zelco社発表の新しい自動車などのロック用チェーン(伸縮自在)

BENZAショップのブースに出品されていたスマートデザインの連なる花器

 

Javits Center New York

ジャビッツセンターの入口に毎年テーマを決めて, 今年は『TIME』

Gallery 91のブース

 

 

●アクセント・オン・デザイン

中でもデザイン的に特徴あるのが、300ブースで行われる「アクセント・オン・デザイン」。毎年、200~300社が出展枠の空き待ちと出展審査にそなえる、という狭き門で、ハイデザインのインテリアグッズ、文具、アクセサリー、オリジナル特選商品を扱う大手卸業者から有名店、近代美術館のミュージアムショップまで集まり、今秋からクリスマスにかけての新しい商品を発表するトレンディー部門です。「アクセント・オン・デザイン」では、デザイン業界で貢献した人たちに加えて出展ブースからも委員を選びコミッティーを構成して、優れた商品とブースに対して賞を贈っています。この賞の狙いは、デザインの質の向上や、オリジナル製品のサポートなど。

その他にも、期間中、各種のコンファレンス(レクチャー)や、デザイナーや有名店のオーナーによるビジネス体験談などのパネルディスカッションを開催。今年は専門家を交えて「オンライン・ギフト・インダストリー」や「2000年のトレンド」など、時代性あるテーマで好評を博しました。注目される今年の「アクセント・オン・デザイン」賞。商品では、イタリーのARTE CUIO(アルテ・キュイオ)社が発表したDRAUDIA SERAFINI(クラウディア・セラフィニ)女史デザインによる皮のテーブルマット。従来の上質な皮製品のあり方に穴をあけるようなデザインと、新しい皮の使い方を提案するフレッシュなアイディアが評価の対象になりました。

また、ZAP(ザップ)社のブースが出したLENOX(レノックス)のカラフルなゴムで包み込んだラジオ。イタリーのPAOLA LENTI(パオラ・レンティ)女史の100%ウールのフェルトでできたラグ(カーペット)とベッドカバー。イギリスのワイヤーワークス社のワイヤーをまげてつくったホームアクセサリー等が受賞、ブースはNYのカリム・ラシッドデザインのトーテム・デザイン・グループのブースに賞があげられました。

 

ARTE CUDIO社 皮のテーブルマット。アクセント・アワード受賞作品

CLAUDIA SERAFINI女史

ZAP社LENOXの『ゴムラジオ』。アクセント・アワード受賞作品

Totemグループのブース

今回のショーから、今後のデザインシーンをはっきりと読みとることはできませんが、人気を集め実際にビジネスにつながったものからヒントを探ることはできるでしょう。従来通り安くて新しいアイディアのデザイン商品に加え、本物志向の良い材質のデザイン商品が注目され始めていて‘環境問題’‘オーガニック’‘優しさ’‘自然商品’などといった社会生活のトレンドが反映されていたようです。 こういったトレードショーが、日本では顔見せやお披露目に終わることが多いようですが、ニューヨークの場合、オーダーシートを一日何枚書き込めることができて、どれだけの売り上げになったかが出展者の話題の中心。真剣に半年分のビジネスをしてしまうところがプロフェッショナルな商売人という感じです。 一方、ブースの設置や展示に関して規則が多く、ユニオン(組合)の加盟者にしか許されない規則もあり、そのために高い金額を払わせられるのもアメリカのトレードショーの側面のようです。