メトロポリタン美術館の広さには、何度行っても迷ってしまうほどですが、それぞれWigやGalleryの名前を覚えるとわかりやすいようです。
5月から新しい展示やWigがオープンしたので、取材を行いました。

「モダンデザインの名作たち」
メトロポリタン美術館の、20世紀以降だけでも400点を超える膨大なコレクションの中から、現代デザインの傑作を代表する作品が選ばれ、5月から1階のモダン・アート展示場内の「The Helen And Milton A Kimmel man Gallery」Lila Acheson Wallace Wingで展示されています。

【 1 】 メトロポリタン美術館外観(写真1~2)
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【 3 】 メトロポリタン美術館1階奥中広場
【 4 】 メトロポリタン美術館1階 The Henry R.Kravis Wing
【 5 】 1階のモダン・アートの中にあるThe Helen And Milton A Kimmel man Gallery
【 6 】 「モダンデザインの名作たち」会場風景(写真6~8)
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【 9 】 エル・アナツイ(El Anatsui)の作品「Dusasa Π」
彼はガーナ生まれの彫刻家で、ナイジェリアで作品を多く発表している。
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古くはマッキントッシュ、ヨーゼフ・ホフマン、ミース・ファン・デル・ローエ、ブロイヤー、E・サーリネン、ヨーゼフ・アルバート、Eva Zeisel、チャールズ・イームズ、イサム・ノグチ、マイケルグレーブス、エットーレ・ソットサスといった巨匠から、現役のガエターノ・ペッシェ、ザハ・ハディド、アレッサンドロ・メンディーニと岡山伸也の共作の花瓶等、最近コレクションに加えられた作品まで。家具、メタルワーク、ガラス、陶器、テキスタイル、ジュエリー、オブジェ、スケッチ等が展示されています。

残念ながら写真を撮れなかったのですが、メトロポリタン美術館がハイライトとしている作品が、1934年のフランスの遠洋定期船「ノルマンディー号」の一等サロンのために作られたという記念碑的Jean Dupasのギルト・ガラスの大壁画です。

メトロポリタンならではの所蔵作品が公開展示されていて、この夏休みに現代デザイン史を一望する事ができます。

【 11 】 右手会場風景(写真11~12)
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【 13 】 アレッサンドロ・メンディーニ/岡山伸也の共作花瓶(写真13~14)
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【 15 】 ザハ・ハディドのGyre Lounge Chair
【 16 】 エットーレ・ソットサス 家具
【 17 】 展示コーナー
【 18 】 会場風景
【 19 】 Wiliam Harper ブローチ、Mary Lee Hu ネックレス
【 20 】 チフリ(Dale Chihuly)のガラス器
【 21 】 オルガ・デ・アマラル(Olga de Amaral)壁かけ
【 22 】 会場風景
【 23 】 左手会場(写真23~27)
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【 28 】 展示コーナー
【 29 】 E・サーリネン、Tea Service プロトタイプ
【 30 】 反対側の出入り口から見た展示風景(写真30~31)
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もう一つは「Classic / Fantastic」
同じ1階のモダン・アート、Lila Acheson Wallace Wing展示場内で、昨年12月から展示されています。現代のデザイン収集からほんの一部の選択作品75点とメトロポリタンが収集した家具、金属加工、陶器、ガラス、織物と図面のうち、半分は「Classic」、古典主義で過去の規則と伝統との関連のある作品。残り半分は「Fantastic」、ファンタジーのロマンチックでシュールな作品を展示しています。

秩序と無秩序。理屈と感情、制限と過剰、連続性と目新しさ:そのような対立する衝撃は、文明が始まって以来デザインを導いてきました。
確かに展示会場には伝統工芸的作品に混じって、ライラ・マシモ・ビグネリ、マイケル・グレーブス等の作品が見られ、中央にはピンクの倉俣史郎の花瓶が輝いて凛と展示されていました。この対立的組合せのコレクションの展示では、最新技術を駆使して生まれてくる異なるアプローチを並置し、これからの時代のデザイン哲学を問いかけているそうです。

【 32 】 Classic Fantastic展会場入り口(写真32~33)
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【 34 】 中央展示風景
【 35 】 ライラ・マシモ・ビグネリ、Lella & Massimo Vigneli 「Metafora #2 Block Set」(写真35~36)
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【 37 】 右から2つ目、マイケル・グレーブスMichael Graves 「G.Q Manstyle Award」Cup
【 38 】 左:After Christopher Dresser-Studio Alessi – Sugar Bowl、右:Philippe Starck – Juicy Satif
【 39 】 倉俣史郎「花瓶」(写真39~41)
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【 42 】 Henning Koppel「Serving Dish」
【 43 】 Piero Fornasetti/Gio ponti「Architecture Writing Desk」
【 44 】 Costa Achillopoulo「Table」
【 45 】 左:Jan Martel「Cubist Tree」、右:ReubenHaley「Vase」
【 46 】 John Dickinson「Side Table」
【 47 】 Clarice Cliff「Bizarre Sugar Caster」
【 48 】 Dale Chihuly「Pink Venetian With Ckear and Gold Prunts」
【 49 】 5月に改造オープンされた「The Robert Lehman Collection館」(写真49~55)
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2008年9月27日、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインが、53丁目のMOMAの前からコロンバスサークルに移動して、新しくオープンします。
以下Museumのプレス・リリースからの抜粋の一部を紹介します。

Museum of Art & Designは、1942年にアメリカクラフト界の最大の後援者、Aileen Osborn Webbによって設立されたAmerican Craftsmen’s Councilが中心となって、1956年にThe Museum of Contemporary Craftsとして出発しました。当初は工業製品の普及によって失われてゆきつつあるアメリカのクラフトおよびクラフトマンシップの再評価、保存、研究をその使命とし、その後、1986年にRoche-Dinkelooがデザインした53丁目の場所にAmerican Craft Museumとして移転し、2000年から名称をMuseum of Art & Designと改め、それに伴い、当初のアメリカ国内を対象にした活動から、広く世界に目を向け、工芸、美術、建築、インテリア、ファッション、ニューテクノロジー、デザイン、パフォーミングアートなども、その研究対象とするようになりました。

現在まで560の企画展覧会と、75の公共教育を目的としたプログラムを実施してきました。2007年には、石川県の漆工芸家たちによるワークショップが開催され、日本の伝統工芸の美しさと技術の高さに注目が集まりました。米国内唯一のクラフト専門の美術館として、ミッドセンチュリーから現在に至る2,000を超えるコレクションも高い評価を受け、過去10年に渡り、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインは、年間310,000人の来館者が訪れています。

【 56 】 MAD Logo
【 57 】 MAD Museum(写真57~58) 写真:MAD Museum提供

Museum of Art & Designは2008年9月、急速に増加する来館者とさらなる発展のため、コロンバスサークルへの新規移転をすることになりました。新美術館の展示面積は今までの施設の3倍のスペースで54,000平方フィートの美術館になります。現代ジュエリーのために画期的な新しいギャラリーとセンターを設置したり、アーティストのためのアトリエも併設され、製作過程を見学できるのもこの美術館の大きな魅力の一つになります。アメリカ人建築家Brad Cloepfi設計の建物は、国際的なクラフト専門美術館にふさわしく、ドイツで製作され、オランダで色づけされたセラミックタイルで被われています。繊細な乳白色のグラデーションで彩られた外観は光線によって、色が変化し、近隣のタイムワーナービルディング、トランプホテルとともに、ランドマーク的存在となることは間違いありません。

Gluckman Mayer Architectsが手がけたことでも話題の9階にあるレストランは、ニューヨークの象徴的であるセントラルパークとブロードウェイを一望することができます。充実した施設と、4つの地下鉄のライン、7つのバスの運行路の交差するコロンバスサークルに位置するこの新美術館は年間50万人の来館者が見込まれています。Museum of Art & Designは既に高い評価を得ている日本の伝統工芸はもちろん、アートやデザインの作品、優れた人材の紹介、発掘の場として、ニューヨークでの拠点となるだけでなく、世界への発信基地としてますます重要性も増していくことでしょう。

【 58 】  写真:MAD Museum提供
【 59 】 MAD Museum(写真59~60) 写真:MAD Museum提供
【 60 】  写真:MAD Museum提供
【 61 】 TimeWarner 撮影:Sean Zhang

※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影