第52回:  NYのBlackoutに影響を受けた2つの大きなイベント (2003/9/10)


 

ジャビッツ・センター

 

好評だったAccent on Design

NYのインターナショナル・ギフトショーAccent on Designが8月10日~14日に開催されました。年2回開催されるのこのショーのことは、毎回このコーナーでご案内しています。今回はここしばらく低迷していた景気に、皆どうなることかと思って出展しましたが、2、3年ぶりに景気が上向いたようで、初日から好調な人出で、結果が良かったというBoothが多かったようです。Gallery 91も継続して出展しているおかげで、世界中の大手Museum Storeからのオーダーがさらに増えました。
今回もAccent on Design Awardを4社が受賞し、初日のショーの後には、2月の受賞者と一緒に表彰式・パーティーがありました。

このAccent on Designですが、オリジナリティーや魅力が減ってきているということで、次回のショー(2004年2月1日~5日)から模様替えをする計画があり、Karim Rashidにアクセント・イメージ・会場デザインを依頼しているそうです。Booth替えも行われるようで、皆どうなることやらと案じたり期待したりしています。

 

Award Ceremony

Award Ceremony

 

 

 

 

Award Winner Best Product「Eastern Accent」

Eastern Accent のオーナー村松正幸さん

気になるアワードの結果は


今年のベストプロダクトを受賞したのは、「Eastern Accent」のNestin Glass Collection(ボストン)。Excellence in Contemporary Everyday Functional Objectsは、「BENZA」(ブルックリンNYの商品群)が受賞し、今年は若手有名デザイナーにグラフィックを依頼したオリジナル時計を発表しています。Excellence in Multi-lineは「Keena New York」が受賞。Overall Excellenceを受賞した「Michael Aram」は、長い間Lewis DolinのBoothで発表していたのですが、今回は独立してオリジナルの大きなBoothでのデビューとなりました。

 

搬出時にBlackout


例年より30分早く始まり、30分早く終わった今年のギフト・ショー。最終日は12時で終了し、我々は片付けを終わり、車で荷物を送り戻した直後の大停電でした。
ジャビッツ・センターでユニオン(組合)を使ったり、時間をかけて搬出していた人達は、Blackout の影響を受けたそうです。ジャビッツ・センターは自家発電に切り替えてくれたそうで、内部は問題なかったそうですが、外の渋滞やガソリンの列など帰宅に何時間もかかったそうです。
私の所では6人のアシスタントのうち、一人は友人の所へ、一人は我が家へ泊まり、後の人は歩きで何時間もかけてなんとか帰宅できたようで無事でした。NYのビルは電気がないと外の明るさとは反対に真っ暗になり、すぐに緊急のフラッシュ・ライト付きラジオを買ってきて、キャンドルの明かりで停電の情況を聞きましたが、NYではもう何が起きても皆落ち着いていて慌てないという感じがしました。ただ、友人の中にはアップタウンのオフィス49階から暗い階段を懐中電灯で歩いて降りた人や、エレベーターの中に9時間閉じ込められたという災難にあった人もいたようです。
電気が復旧した後も、コンピューター化されたNYオフィスは、時計やクーラーをはじめいろいろな調整が必要で、正常なオフィスワークには2、3日かかったようです。

Excellence in Contemporary Everyday Functional
Objects Award Winner「Benza」

Excellence in Multi-line merchandising「Keena New York」

Thomas Paul クッション・ピロー/Keenaのデザイナーの一人

Overall Excellence「Michael Aram」

 

Benza のオーナーGiovanni Pellone

Jachie Shapiro「French Bull」/Keenaのデザイナーの一人

Raehal Simon 「Light up」/Keenaのデザイナーの一人

Umbra

 

IDSA の国際工業デザイン会議では、開催2日目にBlackout


 

6階会議会場ロビー風景

 

IDSA (Industrial Design Society of America)の国際工業デザイン会議が、8月13日~16日までブロードウェイの真中に位置するマリオット・マルキー・Hotelで行われました。朝9時半から夕方5時まで、15分位ずつ、デザイン関係者のスライド、Quick Timeなどによるプレゼンテーションなど盛り沢山のプログラムがありましたが、2日目の14日2時半頃からBlackoutになりました。Hotelはセキュリティーが確保されるまで皆を外に出してしまったので、世界中から集まっていた会議出席者もコンクリートの上で寝るなどして夜を明かしたり、電気もなく水も流れないので大変だったようです。

IDSAのHome pageからBlackoutの様子がレポートされています。
http://www.idsa.org/scrapbook/home.htm
(2行目のNYタイムスの写真はHotel の様子、10行目のEric FickasのQuick Timeで見せるレポートはすべてを見せてくれています)

6階会議会場ロビー風景

講演風景Yves Behar/Fuseproject

講演風景トヨタCalty 佐野慎

司会Scoot Henderson / IDSA 会議会長 / スマートデザイン

会場のHotelマリオット・マルキー外景

講演風景Yves Behar / Fuseproject

Phil Patton / NY Times

講演風景Lisa Crawford 雑誌ライター・デザイン・コンサルタント

 

Award セレモニー、審査風景等の説明

 

15日の夜には2つの大きなパーティーが予定されていました。電気が復旧したのは地域によってまちまちでしたが、3時頃に電気が戻ったVitraでのEcco DesignのPartyは、閉じてないレストランを探し、急遽ケイタリングを間に合わせたりと皆の努力で開催されましたが、慌ただしい思いをしたようです。しかしそのおかげで、行く場所のなかった会議の人達のビッグ・エンターテイメントになったようで、明け方までの盛り上がりだったとのことでした。
私の方はAccent on Designと日程が重なっていたので、停電も終わった最終日の16日に開催された講演の一部と、Award セレモニー、表彰式、そして打ち上げパーティーに出席しました。講演も1日中スケジュールをつめ込んで盛り返し、打ち上げのID Excellence Awards授賞式冒頭には、IDSAのStaffが撮影したBlackoutを紹介するレポートVideoをスペシャルで紹介するなど、世界中から集まっていたデザイナーが満足いくような、機転を利かせたプログラムによるジョークで上手く締めくくり、若手デザイナーのバイタリティを感じました。
今回集まった世界中のデザイナー達が、Blackoutを2度と経験出来ない思い出としてポジティブに受けとめているところも、さすが、というところです。

表彰式

Scoot Henderson/ IDSA 会議会長/スマートデザインDesign Director

Scoot HendersonとBruce Nussbaum/ BusinessWeek magazine

VitraでのEcco DesignのParty 撮影:Ecco Design

Partyで踊る参加者達

右から、佐野慎、Scoot Henderson、Davin Stowell(CEO and founder of Smart Design) 、最左はEric Chan

Tucker ViemeisterとSpringtime オランダのDesigner

VitraでのEcco DesignのParty 撮影:Ecco Design

                                                                                                                                                 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影