10月7日から2010年4月4日まで、MAD Museumの企画・素材・行程をテーマにしたシリーズ展の第3弾として、Slash: Paper Under The Knife「紙を斬る:ナイフを下(もと)に」が開催されています。MADの第1回の「ニッティング」、第2回の「レース・刺繍」に続くもので、第3回の紙をテーマのこの展覧会はナイフ、レーザー、新テクノロジー等を駆使し、イタリア、ドイツ、オーストリア、日本、中国、カナダ他16カ国のアーティスト52人が挑戦した紙の作品の展示です。紙がこの何年か大変注目されていて、今回MAD Museumが取り上げた作品の一部を紹介すると、まずロビーにはAndrea MastrovitoのColumbus Circleを意識した「Columbus’s Ship」を天井から展示した作品(写真1)があり、海の波が紙で表現された天井にまず目をうばわれます。
3階にはChris Gilmourの「Triumph of Good and Evil」があり、イタリアで街中にある銅像を見ながら、段ボール箱のリサイクルで糊付しながらイタリアで作りあげた作品で、すでにNY市のコレクターが自分の館に飾るために買い上げた2メートル以上ある大きな作品(写真2)です。Andreas Kocks PaperworkはドイツのミューヘンとNYで制作していて、水彩で黒く塗った紙を切って、空間に合わせ重ねて構成していく作品(写真3、4)が迫力でせまり、Tom Friedmanの朝食のオートミールで有名なQuakerの箱35個を切り裂き、ラベルを水に付けてはがして用意し、コンピュータでのばした画像を見本にまた原型の円柱の箱に貼りなおしたというユーモアが際立つ細く長い彫刻の作品(写真5)もあります。紙を切って、こんなにも表現豊かな沢山の作品に、日本にももっと違う紙を見せたい夢がひろがりました。6階のワークショップのフロアーでは、12月5日2時から、女子美同窓会NY支部の有志2、3人がデザイナーの太田恵子さんを中心に、クリスマス・ラッピングとホリディ・カード制作のワークショップをする事が決まりました。はじめての日本人によるワークショップで今後、日本からの匠の技を見せるきっかけになればと願っています。
http://www.madmuseum.org/DO/Calendar/200912/think%20global.aspx

【 1 】 ロビーにAndrea MastrovitoのColumbus Circleを意識した「Columbus’s Ship」を天井から展示した作品

【 2 】 Chris Gilmour「Triumph of Good and Evil」
段ボール箱のリサイクルで糊付した銅像の紙作品

【 3 】Andreas Kocks Paperwork
PHOTO CREDIT: Christoph Knoch
【 4 】Andreas Kocks Paperwork 【 5 】Tom Friedman「Quaker Oats」2009
Photo: Justin Kemp
【 6 】Ferry Staverman, Exhibition a Space Odesey in 2007, Weekendgallery
Photo: Ferry Staverman
【 7 】Your House
PHOTO CREDIT: Courtesy of Tanya Bonakdar Gallery
【 8 】Noriko Ambe, Flat File Globe 3A Red version
Photo: Masahiro Noguchi
【 9 】Kako Ueda
「Reciprocal Pain 2009」
【 10 】Mia Pearlman「Eddy」(写真10、11) 【 11 】
【 12 】Célio Braga「Placebos 2008-2009」 【 13 】 【 14 】Adam Fowler, 2008.
Photo: Erma Estwick
【 15 】Béatrice Coron「Coron-WaterCity」
Photo: Antoine Tempé
【 16 】Georgia Russell「The Story of Art」
Photo: England & Co Gallery, London
【 17 】Saraben Studio(写真17、18) 【 18 】
この展覧会のオープニングとMAD Museumがここに移ってから1周年を記念してのギャラ・パーティーPape Ballが10月14日に行われました。パーティーでは、オ-クションにアーティスト・デザイナーから募集した紙のファッションの作品が飾られ、当日のオークションで、350ドルから5000ドルで、それぞれ落札され大きな収益をあげたそうです。そしてパーティーには紙をテーマにドレスアップしたセレブが大勢出席、Museumの名前と同じ、今TV番組を賑わしている「MAD MAN」の俳優、女優など有名タレントも多く出席していました。
http://www.flickr.com/photos/madmuseum/sets/72157622474103201/
11月にもMAD Museum慣例のギャラ・パーティーがありますが、今回のは手頃なチケット150ドルからで、ディナーの1000ドルも売り切れ、全館使ってのパーティーで、盛り上がりました。

【 19 】 Zaldy sold $2000

【 20 】Jen Kao「The Last Derivative」$1500
【 21 】Donald Deal「Paper Perfect」sold $1000 【 22 】Gemma Kahng $1000 【 23 】Hugo Boss and James Rosenquist「Tyvek Suit」$15000
【 24 】Mathew Williamson「Paper Doll」sold $800
【 25 】Greg Lauren「Pinstripe」$15000 【 26 】three ASFOUR sold $999 【 27 】Gilded Age sold $1444
 

2階と7階にはオークションの紙ドレスなどが展示され、2階はダンス会場となり、1000ドルのディナー会場は、セントラル・パークが180度見渡せる、オープン予定のレストランのスペースで行われました。(写真31、32)

【 28 】 Lela Rose $1500

【 29 】 Yeohlee Teng $2000
【 30 】Stephanie Goto「Millegrue」$1500 【 31 】9階レストランのディナー会場(写真31、32) 【 32 】 【 33 】パーティー参加者のファッション(写真33~37)
【 34 】 
【 35 】 【 36 】 【 37 】
10月27日~2010年1月10日までMAD Museum2階展示ギャラリーでは、日本から「Nendo」の「Ghost Stories New Design from Nendo」展が開催されています。MAD Museumのデザイナーがキューレーターを担当する企画展第2段として、Karim Rashidの3月に続く展覧会になります。

展示の床を見ると、小さなドットを貼りめぐらせ、フェイドしていくように表現した作品の見せ方。細部の手のかけ方が、さすが日本とうならせます。
一瞬なんの変哲もない椅子、これにアメリカ人の重さが耐えられるのかしら? と思ったら、横にその行程が展示され、中には細いスティールの構造がきちんと出来ていたりと、日本らしいミニマムなテクノロジーとディテールに凝った作品4点を、その行程も作品のように見せながら、細部にこだわった展示をしています。こういった新しい日本のデザインを理解させる良い機会になったのではと思います。今まであまり理解されていないアメリカの観客にどれだけ感銘をあたえられるか期待したいです。

【 38 】Fadeout-Chair(写真38~41)

【 39】

【 40 】  【 41 】 【 42 】Blown-Clor(写真42~44) 【 43 】 【 44 】
【 45 】Phantom-Waves(写真45、46)
【 46 】 【 47 】Cord-Chair(写真47、48) 【 48 】