10月20日に、あの噂の「シャネル・コンテンポラリー・エアーコンテナ」がついに香港、東京の次の着陸地、ニューヨークはセントラルパークへやって来ました。この宇宙から舞い降りて来たような白いコンテナは、2年間に世界6都市を訪れる移動式美術館(モバイルアート)で、シャネルのアートディレクター、カール・ラガーフェルドのコミッションにより、建築家ザハ・ハディッドがデザインしたものです。
ココ・シャネルのキルト・ハンドバッグ“2.55”の50周年を祝うため、世界から選ばれた20組のアーティストが、このバッグのそれぞれのインスピレーションをもとに制作したといわれる作品が、展示されています。
オープニングパーティーは昼にも開催していましたが、夜に出席するチャンスにめぐまれ、セントラルパーク内のラムジー・プレイ・フィールドに招待状をもっていくと、厳重なゲストリストのチェックがあり、中へ入っていくと、そこには多数のカメラマンが立ち並び、セレブリティーが到着するシャッターチャンスを待っていました。
暗闇に光っているザハのこのモバイル美術館は、まさにUFOのようでした。招待客も行列待ちで美術館の中へ入るのですが、お洒落なオーディオセット、MP3を付けてくれます。フランス女優、ジャンヌ・モローの深い声が、突然現実から遮断し、これから体験する事になるアートの世界を語り、誘い込みます。
進み始めると、台湾アーティストのマイケル・リンによる、赤がベースのカラフルなタイル・モザイクで敷き詰められた床が出迎えてくれます。天井からは、ロリス・チェッキーニ(イタリア)のクリスタルの彫刻インスタレーションが目を引きます。
さらに進むと階段へつながっていて、大きな容器の中を上から覗く形になっているのが、日本のアーティストの1人、束芋によるビデオインスタレーション。井戸の中から巨大で怪しげな昆虫のような映像が浮き出てきます。
その他、ブルー・ノージズ(ロシア)による作品は、段ボールを覗くと裸の人間達が中でシャネルのバッグの追いかけっこする、というこれまた映像のインスタレーションが仕掛けてあります。オノ・ヨーコの作品は“Wish Tree”で願い事を書き掛けて、これが最後の作品で終わりになります。
コンテンポラリー・アートということですが、あまり主旨はつかめず、全体的にボリューム感があまりなくて、あっという間に終ってしまった、という感じがしました。次々に来場する、シャネルを身にまとうゲストらを観察する方に気を取られてしまったせいかもしれません。
その中でも、やはり当人の、カール・ラガーフェルド、ザハ・ハディッドが登場すると場が盛り上がりました。
美術館を出ると、もうそこはセントラルパークがパーティー会場になっています。パーティー屋内会場ができていて、中ではライブが行われ、皆酔い踊っていて、終わりの時間が表記されていないインビテーションでしたが、有名雑誌の元モデル、美女美男はもちろん、ファッション関係者で華麗そのもの。ケータリングもとても格好良く、モデルへの気配りなのか、ヘルシーなシーフード中心。座っていると、シャンパンはボトルでどんどん置かれていき…、多いに盛り上がりました。ニューヨークの夜はまさに尽きません。野外なので、トイレは仮設ですが、お洒落な空間になっていて、そこにはやはりシャネルの香りがする気配りも…。久々に派手なパーティーで、やはりファッション業界、NYのセレブの華麗なる夜を味わう一夜でした。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影