第123回 Fashioning FELT ファッションするフェルト

この展示会は、テキスタイルの最初の技術と言われるフェルト、古代から存在する素材で、この2、3年大変人気のあるマテリアルでもあるフェルトを「ファッションするフェルト」と題してまとめたもので、3月6日から9月7日までCooper-Hewitt National Design Museumで開催されています。 フェルトの画期的な様々な新しい手法、ファッション、建築、プロダクトデザインそして装飾にわたる分野の70点以上の作品が展示されています。 展覧会はCooper-Hewitt National Design Museumがコレクションとして保存していた作品も多く、フェルトの歴史を取り上げる作品から始まり、ハンドメイドの画期的変化を捉え、使い捨てのウールとフェルトの再利用という近年のテーマ、サステナビリティーに絡んだ作品、またGaetano PesceからTom Dixonまで建築家やデザイナーたちの、幅広く網羅された最新のフェルトに至るまでを紹介するかたちになっています。手芸、クラフトになりがちな素材の展覧会が、ハーバート大学建築科教授の森俊子氏の展示設営で、すっきりとまとめられています。 展示会のハイライトは、今日のフェルト工芸を代表する2人の作家の作品で、一つは旧カーネギー邸だったこの美術館の温室ドームを、ジャニス・アーノルドが手掛けた、シルク・オーガンディーにレースのようにフェルトを組み込み、創作された布でドームを覆い尽くしたインスタレーションです。ジャニス・アーノルドは遊牧民のテント式移動住居、ユルト(テント)に魅せられた宮殿「ユルト宮殿」を創り上げました。 もう一人のオランダのデザイナー Jongstraは、彼女自身の飼育する羊の毛を使った、手製の毛の長いフェルトでよく知られていますが、この展示では大きな異なる半円スペースを創っています。 館長のPaul Warwick Thompson 氏は次のように語っています。「フェルトは遊牧文化において何千年もの間、重要な役割を果たしてきました。この展示会ではその原点を探り、今日に至るまでを緻密に紹介しています。また従来のものから、非伝統的なフェルトの長年にわたる使い方、の両面からみることによって、そのユニークな性質にスポットライトを当て、古代の素材の現代の姿を広範囲にわたって展示しています。」 フェルトは再生できる原料から出来ていて、その制作行程はごく簡素なもので、全く無駄がでず、羊毛を水に浸し、繰り返し擦り、繊維を圧縮することにより、強く暖かく保湿性があり、防音、防水、耐火にも優れた繊維が出来あがる行程もVideoやパネルの展示で見る事ができます。その混合法は、羊毛の束を手で地面に激しく叩き付けるやり方から、機械で摩擦する工業フェルトまで、様々で、ただ、どの方法でも、フェルトを縮めて固めるための、強い振動と圧力が必要です。 ウールから出来ている他の繊維、編む等の機織とは違い、フェルトには繊維の内部構成というものがないので、自由自在にカスタマイズして、完成したプロダクトにする事が出来、他の素材ではみられない万能性があり、例えば、柔軟性や透明感を持たせる事も、濃密に固くすることもでき、解れのない裁断や、立体に作り上げることもできる万能布地です。 その紀元が少なくとも新石器時代(9000B.C.)に遡るといわれるフェルトは、人類の作りだした最古の布地だと言われています。中央アジアやモンゴルの遊牧民の唯一の重要な素材だったフェルトはテント、衣服をはじめ、柔軟性のある、折畳式の移動住居の、ありとあらゆるものに使われていました。その素材の多用性、また歴史を通しての技術の進化を捉えるために、この展示会では動物のわな、カーペットや羊飼のマントなども展示しています。 環境への負荷が無く、100%リサイクル可能で、様々な分野で持続可能な素材として注目されているこのフェルトは今日、デザイナーに無限の可能性を与えてくれています。 今迄に開催されていそうで、なかったフェルト展、改めて話題を呼んでいる、この夏ニューヨークで、一押しの展覧会です。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第122回 Museum of Arts & Design Innovation Galleryの新しい企画

昨年9月末コロンバス・サークルにリニューアル・オープンした「Museum of Arts & Design」ですが、2階を「Innovation Gallery」と銘打って、デザイン展をショート・サークルで開催する今までのミュージアムにはない企画展を発表しました。 そのスタートに「デザイナーのキューレーターによる展覧会」第1弾で、デザイナーのカリム・ラシッドの「Totally Rad:Karim Rashid Does Radiators」(Rad:ラジエーターやラジカルをもじったカリムの言葉)が3月4日から5月17日まで行なわれています。 ミュージアムでの作品は通常一品もののプロトタイプで、なかなか手に入らないものが多く、展覧会も開催までに通常は2年から5年と時間を要しますが、カリムはこの「Innovation Gallery」に、購入しようと思えば市場ですぐ手に入る、日常の生活の必需品である暖房具、ラジエーターをデザインで見せるというショーケースの試みを提案しました。カリムは以前NY市のマンホールのフタをデザインした事もあり、通常目につかないようなところのデザインを提案をし、「世界を変える」をテーマにしています。 Antrax、Caleido、Deltacalor、Irsap、Hellos、Gruppo RagainiとRuntal社等のデザイン・インテリア・ラジエーターを、「斬新な形」、「部屋の中での重要度」、「形」、「パターンとテクスチャーの現代感覚」、「モジュール/柔軟さ」、「多用性」、「新しいテクノロジー」などを基準に、彼のセンスで30点を選び、展示設営も彼によるデザインで、今迄のMADミュージアムにはない新しいデザインの展示になっています。 NYの冬の暖房ラジエーターは、19世紀から序々に開発されているようですが、日本と違ってどのアパートも古くからのラジエーターが取り付けられていて、なんとかならないかという代物も多く、横からスチームがでたり、音がするもの等、一向に改善しているように見えません。アメリカでは家主が購入するという不動産事情があるからではないかと思われます。 日本のように個人購入するのであれば、もう少し工夫され、新しいハイテクノロジーを駆使したものが出てくるように思いますが、今回の展覧会はあくまでも、NY事情で感じた中で、アメリカのインテリアにあうラジエーター、ヒーター・システムを選んだものだと思います。 短期間での企画で新しいアイデアやデザインは新風ですが、マンハッタンの小さなアパート、日本の住居でもフィットする小型のラジエーターや、新しいテクノロジーやエネルギー・セーブを追求したものがもっと出てきてほしいと思いました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第121回 NY恒例の冬期Accent on Design

インターナショナル・ギフト・ショー、Accent on Designが、今回は例年より早い1月25日~29日に、ジャビッツ・コンベンション・センターで開催されました。 今年はパリのメゾン・オブジェと重なったせいもあってか、出展できないブースもあり、休憩所を増やすなどで工夫しているようでしたが、やはり不況のあおりもあり、今迄になく閑散とした会場と売行きで、出展者は皆、忍耐の期間と頑張っていました。 それでも地下に設けられている、キャンドルなど香りのする癒し系商品を扱う「Extracts」の部門はとても賑わっていたようです。不景気で外出が減る分、家の中を充実させるものが人気でした。景気に関わらず消費するものは売れるということでしょうか。 初日を除いて、天候も寒さと大雪などで厳しかった事も、更に入場者の足を遠のけることになったようです。 Accent on Design部門への入り口ロビーには、今年も 「Sustainability」の特別展示が設置され、来場者の目を楽しませていました。 例年のAccent on Design賞の今年のBest New Product Designは、コネチカットの会社Ameico、そのスエーデンのBo Designのデザインによる、壁に取り付け折畳める、場所要らずの赤ちゃんオムツ取替えテーブルに。またもうひとつは、メキシコシティーから、DFC Mexicoのカラフルなメキシコ工芸を思わせる、コンテンポラリーでポップなバッタのテーブル。 Best Collection賞はNY・ブルックリンのKiln Design Studioへ。 そしてOverall Excellence賞はAreaware(NY)の、常に若手無名デザイナ-の商品開発をしている姿勢に与えられました。 きみどり色の絨毯が敷かれている3600~4200番台の列がAccent on Designセクションです。入ってすぐに右にあるブース「A+」は、次世代を担うデザイナーの発表の場として主催者側が提供しています。 またレースのような繊細なペーパーカットによるランプシェードで人気を集めたArtecnicaの華やかなブースが目につき、その隣りでは今回、umbraのユニークなアート商品ライン「U+」のためにもう一つ別にブースを設け、白い紙を大量に重ねたすっきりとしたデザインで展示していました。 KIDIでも教えていたAaron LownがチーフデザイナーのBuilt NY Incが、会場前方に進出して、目をひくユニークなブースデザインを手掛けていました。 また昨年紹介した、RISD卒の日本人カップル、Morihata Internationalが、今年はAccentの方に出展していました。同じくアクセント部門の、板雅子さんと妹さんのバッグとジュエリーの「acrylic」もすっきりとして好評でした。 Gallery91は今回もコストを押さえる工夫をしたブースに仕上げましたが、円高の影響でどうしても価格を上げざるを得ず、日本製品を扱う方達はどこも苦労していました。オーダーが通常よりかなり減り、顧客のMUSEUMのオーダーに頼る形となりました。 他ではHAND MADE部門を覗きましたが、ドイツ・セクションは毎年品質の高い手作り工芸品を国がサポートしていて、素晴らしい見せ方をしています。どのようにビジネスにつなげているのか気になります。 地下の8600~8700列のExtracts部門は、最初にも書きましたが毎日かなりの人で賑わい、売れ行きも良かったそうです。癒し商品が時代に合っているようです。 ジャビッツ以外では、同時イベントとしてフエリッシモが、今回は1月25日~2月7日まで「unfolding」Japanブランド・エキジビション in NYとして開催していました。各商工会議所がバックアップしての盛大なオープニングは、ジャビッツから流れて来た来場者と日本からの方で超満員で、あまり見られない状態でしたが、トレード・ショーとはかけ離れた日本的展覧会でした。 改めて再度見に行きましたが、きれいな展示風景で、日本をきちんと紹介するには素晴らしい展覧会でした。しかし、一部、NYの常識を無視しての価格設定で、3月迄の予算を使う為の無駄使いに思われるものがありました。日本からの人達はどうも、展覧会とトレードショーの違いがわかってないように思います。美術館を借りて展覧会で売りたいと言ったり、ジャビツのトレードショーの中で展覧会と思って参加して、値段も付けられないで出展してたり、同じような事を毎回繰り返しており、せっかくのすばらしい日本商品を真剣に売るための努力をしてないように思えました。 次回のAccent on Designは8月15日~20日です。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第118回 Art+Design Fair

20~21世紀のアートとデザインを集めた、年に1度の国際Art+Design Fairが、今年もニューヨーク、パーク・アベニューArmoryで、10月3日から8日まで開催されました。 1999年発足の、フェアーの中では歴史の浅いショーですが、ロンドンのHaughton Internationalがオーガナイズして、著名作家達と老舗Galleryが41社が出展していていました。多くの国際商品見本市がある中、特徴づける事が難しくなってきていますが、このショーは、世界中で20世紀と現代アート・デザインのコレクターの増加を見越して、特にこの人達の求めるものを集めています。広い会場設定で雰囲気も良く、他のショーと同じ出展者も少し違って見えます。優雅な雰囲気の会場で展示即売されていて、来場者を満足させているように見受けられました。 オープニングのギャラ・パーティーは The Bard Graduate Center(BGC)の育英事業のための資金集めのパーティーが行われました。このThe Bard Graduate Center: for Studies in the Decorative Arts, Design and Culture(通称BGC)は、ウェストの86丁目にあります。1993年に創設の文化装飾的な応用芸術の歴史を学びながら、MA, Ph.Dの取得出来る学校で、タウンハウスのBGC Galleryでは常に装飾アート・デザインの展覧会が催されています。 今回は特別展示として、BGC Galleryが2010年に企画している「Knoll テキスタイルの歴史展」の一部を「Art+Design Fair」で展示紹介しました。Proenza Schoulerコレクションになり、モダン・インテリア・アワード受賞のNYのデザイナー・チーム、ファッションのジャック・マッカラック(Jack McCollough)とラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)が、最新のKnollテキスタイルをデザインしていますが、今回の展示には歴史展と同時に、学生達のリサーチの他、このインテリア・テキスタイルを使って、ファッションのコート・ジャケットをデザイン展示していました。 今年、フェアの出展者は世界中から集まっています。20世紀クラシックと言われるアートとデザイン・ジュエリーなどのヨーロッパ、アメリカのディーラーに加えて、新しくレバノン(Lebanon)、シリアのダマスク(Damascus, Syria)、アントワープ(Antwerp)と幅広い層が出品していました。 会場の所々に大きな壷に生けられた緑のインストレーションはロンドンのLavendrs BlueのMarian+Victoriaの制作との事、壷はMaison Gerard社の展示で、デンマークで生まれ、1979年に萩で学び、1986年から1987年まで日本に住んでいたという作家、Per Weissの作品。 Waxler Galleryで展示している日本の竹かと思わせるMatthias Pliessniのベンチは、蒸気で曲げた樫の木の細かい細工で目にとまりました。ここに1985年にGallery 91でプロトタイプで発表したThomas Huckerの椅子が、スイスの梨の木素材で新たに制作され展示されていて、シンプルなランプと共に健在ぶりを発揮しており、懐かしい作品に会えた感じでした。 Dai Ichi Artsの中島晴美の作品と、韓国のCaroline YiCahengの細かい蝶の陶器を植え込ませた着物の形の作品も、皆の目を引いていました。 他には、80年始めからコンテンポラリー・アート・ジュエリーの作家を集めてプロモートしているCharon Kransen Arts。日本人作家、韓国人作家の作品も増えてきていて、彼がジュエリーのアートー・シーンのひとつを作っているように思いました。 海外でも評判の良い日本の作品群、陶器、竹などは、ここでも海外のディーラーの目利きによって選ばれ、育てられているのを感じました。 ジャパン・ソサエティー(JS)のJSギャラリーにて、2009年1月11日まで『New Bamboo ~竹の新世界~』展が開催されています。 伝統的な竹篭と機能性などの日本の竹工芸の素晴らしさは古くから認められていましたが、最近になってアートとして日本以外でのコレターが増えはじめ、竹工芸を取り巻く環境が変わってきているようです。 今回のJSギャラリーの展示は従来の一連の竹芸展とは異なり、日本でも見る事の出来ない、世界で初めての大掛かりで新しい方向性を国際的に示す、竹の『New Bamboo ~竹の新世界~』展です。この展覧会はJSギャラリー・ディレクター、ジョー・アール監修により、幅広い年齢層の作家23名の約90点を紹介、細部に至るまで計算されたコンピューター・デザインを駆使した華奢な細工や泥の塊のような重量感のある作品、独創性のある彫刻的な作品などで、これからの竹の将来に夢を感じさせる展覧会です。 竹芸品は16世紀以前には芸術品としては認識されておらず、実用的な竹篭が数千年にわたって作られてきて、竹工芸家が作品に自身の名を記すようになったのは1870年以降のことだそうです。 そして次世代の作家の作品を幅広く集めた、この『New Bamboo』展では、竹の従来の限界を超えた、単なる日本人の美意識ではない様々な価値観が混合しています。主に熱心なアメリカの収集家に支持されて、竹芸は技能と革新の黄金時代に移行しているようです。 『New Bamboo』展は、JS1階のロビーから始まります。池の中に作られた川名哲紀(1945‐ 勅使河原蒼風に師事した)の作品は、JSがこの展覧会の為に制作を依頼し、茶室の原点である囲いに着想を得て創作されたもので、『囲い』と名づけられています。その川名の作品に呼応したアメリカ人作家スティブン・タラスニックの作品がロビーを飾り、竹という素材を介して国境を超えた対話を繰り広げています。 展覧会はギャラリー内へと続き、『器から彫刻へ』『各地の巨匠たち』『個々の表現』『新たな行方』という4セクションに分かれて展開していきます。 『器から彫刻へ』の第1のセクションでは、本間一秋(1930‐)とその息子・本間秀昭(1959‐)の作品で始まります。 『各地の巨匠たち』セクションでは、伝統的な竹工芸界に身を置く作家の作品を取り上げ、八子鳳堂(1940‐)の内面世界を表現する作風を追求しています。割れた竹の独特の美しさを用いた大作です。 第3のセクション『個々の表現』では従来の竹彫刻の限界を押し広げている二人の作家に焦点を絞っています。竹編みの家に生まれた池田巌(1940年‐)の、つやのある漆を何層も塗った竹の幹を打ち砕き、偶然の成り行きに任せた彫刻作品と、植松竹邑(1947年‐)のファイバーアートを思わせる、自由な発想でいて、技術的な完璧さを出す作品。本展では、クラーク日本美術・文化研究センター(カリフォルニア州ハンフォード)が近年収集した植松の代表作が初公開されています。 最後のセクションの『新たな行方』では、川島茂雄(1958‐)の、小さな作品にも竹を凧糸で縛る手法を用いて、繊細に見える興味深い作品や、長倉健一(1952‐)の竹の特質を生かし、驚くほどの技法で竹を制御することで人間の顔・体の形を表現した作品、長い間アメリカの工芸界に身をおいた米沢二郎(1950‐)の作品、最年配の本田聖流(しょうりゅう)(1951‐)による未完成の花篭を熱湯で柔らかくし、練って形にしたというへびの様な細い作品。そして、六角形に編んだ薄く切った竹から連続した不思議で象徴的な形の作品の森上仁(1955‐)等、23名の作品が展示されています。 この展覧会から、日本が最近流行語にしているジャパン・ブランドとかクール・ジャパンの本当の意味は、こういう「日本的であること」に斬新性が見出されて、世界で受け入れられる本物の、このような作品群を言うのでは、と感じます。また、このような作品の課題を与え、育ててくれているのが、日本でなくアメリカのコレクターだというのも考えさせられました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第117回 Museum of Arts and Design オープン

2008年9月27日、Museum of Arts and Designが、いよいよコロンバスサークルにオープンしました。 ランドマークとして残されてきた「2コロンバスサークル」は、1964年にGallery of Modern Artとしてオープンしたものの、そのデザインが市民から受け入られることなく、わずか5年足らずで幕を閉じました。その後現在に至るまで、市営の元で様々な入居者を抱え、10年あまり空ビルだったものを2002年、Museum of Arts & Designが購入するに至りましたが、その後のランドマーク保護団体からの反対を乗り越え、予定よりかなり遅れた開館となりました。デビューとなる展示会タイトル「セカンド・ライフ」は、まさにこのMAD Museumコロンバスサークルの再誕生を物語っています。 ( http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0808/7.html 参照) そしてリニューアル・オープニング・イベントが1週間前から毎日行われ、話題を呼びました。まず、23日のテープ・カット式典にはブルーンバーグ市長が参加して行われ、昼、夜とVip、コレクター、メンバー等々の特別パーティーが毎日続き、賑わいました。展示面積は、これまでの施設の3倍のスペースで54,000平方フィートにも拡大し、見晴らしのよい7階は特別イベント会場、6階はEducation Centerで、ここでは、陶芸、織物、金工他のワークショップがあり、作品創りを実際に見る事が出き、道具等も展示しています。製作過程を見学できるのも、この美術館の大きな魅力の一つとなりました。順次デモンストレーションのプログラムが変わって、いろいろなクラフトを見学する事が出来るようになります。 開館企画展である「Second Lives: Remixing the Ordinary」は、4~5階で展示されています。普段見慣れたものを、別の形でアートに生まれ変えるこの展覧会企画は、今回のリニューアル・MADにふさわしいテーマで、世界17カ国40名のアーティストが参加しました。 分かりやすい素材の作品では、LPレコードから切り取った蝶々が飛び放っている作品や、カラフルな糸巻きを大量に使ったモナリザ像、布のラベル、櫛を沢山使っての絵画、プラスティックのスプーンのピラミットやフォークを使った作品、本や電話帳を削って作った大きな仏像、ゴム手袋を重ねたドレス、3000個のドッグタッグで作った上着などがありました。40名のアーティストの中に、NY在住の日本人で、安全ピンを使うことで知られる神戸出身の河田多美子氏と、繊細な木をショッピング紙袋からつくった沖縄出身の照屋勇賢氏2人が選ばれ、来場者は感心しきりでした。この展覧会は9月27日より2009年の3月まで開催されます。 3階と2階半分は、MAD Museumの52年間のコレクションでも、これまであまり公開されていない作品を時代を追って150点展示しています。60年代中頃、最初のファイバーアートとして有名になったサンフランシスコの2世のKei Sekimachiの作品を皮切りに、16人の日本人、日系人の陶芸、竹などの作品が含まれて展示されています。 今回は、ガラスの藤田恭平、竹の本田聖流、鳥居一峰、陶器のToshiko Takaezu、崎山隆之、岸映子、鈴木ヒロシ、中島はるみ等の作品を展示。今後はMADの2000点のコレクションから、順次展示されるそうです。 2階のジュエリーGalleryでは「Elegant Armor:The Art of Jewelry」と題した企画展を行っています。1948年から現在までのコレクションが、常設のガラスケースに240点と、ドロアーケースに450点あまりが、2009年の5月31日まで展示されます。ジュエリー・ファンには見逃せない展示で、日本人作家では、上から吊るされたネックレスのオブジェ、Hiroko Sato Pijanoaskiとスオー・エミコの作品の他、和田隆のジェリー、平石ユ等の作品も、今回展示されています。 オープニング・イベントにはNY日本総領事館、櫻井大使夫人、久下香織子FUJI TV キャスター、アーティストの和田隆夫妻、河田多美子さん、朽木ゆりこさん等 日本人も参加。コージーで楽しいMuseumで、親しまれそうという感想でした。日本人作家の作品が、ほとんどアメリカ人のコレクターやギャラリーからのものなので、作家自身には伝わっていないのでは、という懸念を感じました。 これからもっと日本の本物、新しいデザイン等も発表して行きたいと思いました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第116回 Accent on Design

NY恒例のイベント、インターナショナル・ギフト・ショー、Accent on Designが 8月17日~21日まで、ジャビッツ・コンベンション・センターで開催されました。今年は天気にも恵まれ、初日、2日目とも好調で、入場者数もかなりのように見受けられましたが、水曜日、最終日の木曜は閑散としてしまい、いつものように5日は長いという声がしきりでした 作年同様、Accent on Designへのアプローチと、エントランス・ロビーには、注目される「Sustainability」の展示スペースが設けられ、主催者側が選んだ、130社からに及ぶ、環境にやさしい、これからの社会を考えたプロダクト、パーソナルケアー商品から家庭用品などが展示され、この展示を見てブースを尋ねる、関心のある人達も多く見受けられました。 Accent on Designのプレス・ロビーでは、新しく出展した国の為のプレス・レセプション等も行われていました。企画側もいろいろプロモーションを考え、前回から新しく出来たコーナー、次世代を担うデザイナーの発表の場「A+」のブースのプロモーションも盛んにされていました。 今年のAccent on Design賞の受賞者は、Best Collectionには、オハイオ州の会社Wabnitz Editionx。Best New Product Designにはカリフォルニアから出展したArtecnicaのWirePod。(カリフォルニアから出展) Best ブース Presentationの賞は東京から出展のSållbo design、オーナー・デザイナーのSally Kubo-Starrはミネソタ育ちの2世で、東京にスタジオをもっているというデザイナー。英語力をフルにいかしての出展です。もう一つのBest ブース Presentationの賞は、コンクリートでシンプルにまとめたNYのデザイナーJ.Foldのブースに与えられました。 今回のAcccent on Designでは、個人作家、日系人、アジアの人達のブースが、いくつか新しく出展されていて新鮮に感じました。板茂氏の夫人、板雅子さんのジュエリーと妹さんのバッグも「acrylic」という名のブースで出展、コレクターに人気を呼んでいました。 Gallery 91のブースでは、今回新しい価格の高めの作品を試みましたが、やはりアメリカ市場では、コレクター以外は価格の制限があり、高い日本製品のものは大量のバイヤーには繋がらないようでした。 Accent on Design以外のブースで頑張っていたのは、RISD卒の日本人カップルのMorihata International社。日本から選んだデザイン・グッズをきれいに見せていました。 もう一つは、XCIDIA Inc. エクシディア。以前貿易会社にいた方が独立、自力でジェトロでないやり方で見せると頑張り、建築家による見事なプレゼンテーションブースでした。しかし中身の商品がマッチしてるのかが良く見えてこない商品群で、これからが期待されます。 フエリッシモで展示されるBig in Japan Cool in New Yorkの展示会場を使って、Accent on Design Awardを祝うパーティーが8月18日の6時半から行われました。 Accent on Design の「Japan (c) 」の出展にあわせてのアプローチがあったようですが、Jabitから56丁目のフエリッシモまでのシャトル・バスも出て、GLMの重役他、Accentの会場から大勢の人がパーティー会場に流れ、日本から来たフエリッシモの社長に出迎えて頂き、なごやかなパーティーでした。見慣れた日本製品や新しいクール商品を眺めたり触ったりして、人々も楽しんでいました。 展覧会は9月15日からはじまります。 http://www.japan-c.com/press/sept15/ 次回のAccent on Designは1月25日~29日です。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第115回 メトロポリタン美術館のデザイン・コレクション

メトロポリタン美術館の広さには、何度行っても迷ってしまうほどですが、それぞれWigやGalleryの名前を覚えるとわかりやすいようです。 5月から新しい展示やWigがオープンしたので、取材を行いました。 「モダンデザインの名作たち」 メトロポリタン美術館の、20世紀以降だけでも400点を超える膨大なコレクションの中から、現代デザインの傑作を代表する作品が選ばれ、5月から1階のモダン・アート展示場内の「The Helen And Milton A Kimmel man Gallery」Lila Acheson Wallace Wingで展示されています。 古くはマッキントッシュ、ヨーゼフ・ホフマン、ミース・ファン・デル・ローエ、ブロイヤー、E・サーリネン、ヨーゼフ・アルバート、Eva Zeisel、チャールズ・イームズ、イサム・ノグチ、マイケルグレーブス、エットーレ・ソットサスといった巨匠から、現役のガエターノ・ペッシェ、ザハ・ハディド、アレッサンドロ・メンディーニと岡山伸也の共作の花瓶等、最近コレクションに加えられた作品まで。家具、メタルワーク、ガラス、陶器、テキスタイル、ジュエリー、オブジェ、スケッチ等が展示されています。 残念ながら写真を撮れなかったのですが、メトロポリタン美術館がハイライトとしている作品が、1934年のフランスの遠洋定期船「ノルマンディー号」の一等サロンのために作られたという記念碑的Jean Dupasのギルト・ガラスの大壁画です。 メトロポリタンならではの所蔵作品が公開展示されていて、この夏休みに現代デザイン史を一望する事ができます。 もう一つは「Classic / Fantastic」 同じ1階のモダン・アート、Lila Acheson Wallace Wing展示場内で、昨年12月から展示されています。現代のデザイン収集からほんの一部の選択作品75点とメトロポリタンが収集した家具、金属加工、陶器、ガラス、織物と図面のうち、半分は「Classic」、古典主義で過去の規則と伝統との関連のある作品。残り半分は「Fantastic」、ファンタジーのロマンチックでシュールな作品を展示しています。 秩序と無秩序。理屈と感情、制限と過剰、連続性と目新しさ:そのような対立する衝撃は、文明が始まって以来デザインを導いてきました。 確かに展示会場には伝統工芸的作品に混じって、ライラ・マシモ・ビグネリ、マイケル・グレーブス等の作品が見られ、中央にはピンクの倉俣史郎の花瓶が輝いて凛と展示されていました。この対立的組合せのコレクションの展示では、最新技術を駆使して生まれてくる異なるアプローチを並置し、これからの時代のデザイン哲学を問いかけているそうです。 2008年9月27日、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインが、53丁目のMOMAの前からコロンバスサークルに移動して、新しくオープンします。 以下Museumのプレス・リリースからの抜粋の一部を紹介します。 Museum of Art & Designは、1942年にアメリカクラフト界の最大の後援者、Aileen Osborn Webbによって設立されたAmerican Craftsmen’s Councilが中心となって、1956年にThe Museum of Contemporary Craftsとして出発しました。当初は工業製品の普及によって失われてゆきつつあるアメリカのクラフトおよびクラフトマンシップの再評価、保存、研究をその使命とし、その後、1986年にRoche-Dinkelooがデザインした53丁目の場所にAmerican Craft Museumとして移転し、2000年から名称をMuseum of Art & Designと改め、それに伴い、当初のアメリカ国内を対象にした活動から、広く世界に目を向け、工芸、美術、建築、インテリア、ファッション、ニューテクノロジー、デザイン、パフォーミングアートなども、その研究対象とするようになりました。 現在まで560の企画展覧会と、75の公共教育を目的としたプログラムを実施してきました。2007年には、石川県の漆工芸家たちによるワークショップが開催され、日本の伝統工芸の美しさと技術の高さに注目が集まりました。米国内唯一のクラフト専門の美術館として、ミッドセンチュリーから現在に至る2,000を超えるコレクションも高い評価を受け、過去10年に渡り、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインは、年間310,000人の来館者が訪れています。 Museum of Art & Designは2008年9月、急速に増加する来館者とさらなる発展のため、コロンバスサークルへの新規移転をすることになりました。新美術館の展示面積は今までの施設の3倍のスペースで54,000平方フィートの美術館になります。現代ジュエリーのために画期的な新しいギャラリーとセンターを設置したり、アーティストのためのアトリエも併設され、製作過程を見学できるのもこの美術館の大きな魅力の一つになります。アメリカ人建築家Brad Cloepfi設計の建物は、国際的なクラフト専門美術館にふさわしく、ドイツで製作され、オランダで色づけされたセラミックタイルで被われています。繊細な乳白色のグラデーションで彩られた外観は光線によって、色が変化し、近隣のタイムワーナービルディング、トランプホテルとともに、ランドマーク的存在となることは間違いありません。 Gluckman Mayer Architectsが手がけたことでも話題の9階にあるレストランは、ニューヨークの象徴的であるセントラルパークとブロードウェイを一望することができます。充実した施設と、4つの地下鉄のライン、7つのバスの運行路の交差するコロンバスサークルに位置するこの新美術館は年間50万人の来館者が見込まれています。Museum of Art & Designは既に高い評価を得ている日本の伝統工芸はもちろん、アートやデザインの作品、優れた人材の紹介、発掘の場として、ニューヨークでの拠点となるだけでなく、世界への発信基地としてますます重要性も増していくことでしょう。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第111回 デザインとエラステック・マインド Design and the Elastic Mind

ニューヨーク近代美術館(MoMA)では2月24日から5月12日まで、デザインにおける過去6年の進化と、今後予想される次の6年に向けられたデザイン200点あまりの作品が展示され、話題になりました。 キューレーターPaola Antonelliのオーガナイズで、NYのデザイン業界、展示関係者等一同が集まり、オープニング・パーティーは、人で埋め尽くされ通路も見えないほどの混雑ぶりでした。 25年以上に渡り人々は、無線技術の進化やインターネット等による時間、空間などの劇的な変化を体験し、乗り切ってきました。Design and the Elastic Mind展は、その人間の限界や習慣、そして願望を細心に考慮した先端の科学研究と結合したデザインのオブジェクトとコンセプトを共にまとめることにより、現代においての科学とデザインの相互関係を探っています。この作品展は、デザインの最新の進歩の概観であり、そしてテクノロジー科学と社会的習慣の中で微妙で極めて重大な変化をキャッチするデザイナーの能力に重点をおいた作品展示です。 作品は世界中からのデザイナー、科学者、そしてエンジニアのチーム等により出展された原子単位から宇宙的なスケールのオブジェクト、プロトタイプやコンセプトなどの作品が展示されています。また、ウェブサイトではギャラリーで展示されていないプロジェクトを含む300以上の作品も紹介しています。 「あなたは、末期病状ですか? 蜂に聞いて下さい。」というSusana Soarsの作品(写真28)は、美しい球体の「診断ツール」。グラスの中に息を吹きかけ、蜂に判断してもらうというコンセプトで蜂は驚くべき匂いのセンスがあり、病気か排卵期であるか蜂が知らせてくれるという作品だったり、Chuck Hobermanの「変わり続ける壁」は、彫刻的な大きい動く壁で、彼の名付けた「適応建物の新世代」と言われる新作で、「皮膚」パネル部分の構造は、コンピュータによりコントロールされ、光と熱のレベルや雨などを感知して、そのスペースに対応し形を変えて行くというもの。 Rapidのマニファクチャー「3D-Printing」(写真29~32)は、VIDEOスクリーンで映し出されているのを見ると、夢の実現のような空間に太いチョークのようなもので描いたフリーハンドの形が、そのまま実在の3Dの形で、椅子や彫刻になっていくというもの。 Toma Gabzdil(Slovacデザイナー)の「蜂が作った花瓶」(写真34)は40,000匹の蜂が1週間かけて作った花瓶。あらかじめ作っておいた足場の周りに蜂が巣を作りはじめ、作り終えた後、足場を取り外した蜂の巣で作られた花瓶の作品。 一つ一つサイエンス・ミュージアムのデザイン展といった理解を超えるものも沢山ですが、未来の夢を感じさせる大規模な展覧会です。ニューヨーク・タイムズは1934年の近代美術館での「マシン・アート」展覧会と同じくらい革命的で、2004年のMOMA改装・再開以来の建築とデザインの最高のショーと讃え、我々にまた未来の夢を見させてくれたと絶賛しています。 http://www.moma.org/exhibitions/2008/elasticmind/ デンマーク生まれのアーティストOlafur Eliassonは、1995年のベニス・ビエンナーレでのデビュー以後、写真、彫刻、映像、光りのマルチ作家として、ヨーロッパ、PS1、MOMA、Paula Cooper、Guggenheimや日本でも発表している国際的に活躍するアーティストです。今回のMOMAとPS1の展覧会は彼の作品をすべて知る事のできる最初の総合的な展覧会で、4月20日から6月30日までMOMAとPS1で行われています。 MOMAの最初のフロアーでは、Marron Atriumの高い天井から吊るされた扇風機が頭に当たりそうで、人を追いかけるようにまわりながら振り子のように動いています。(写真40) 3階の会場では、Mono Bulbを使っていて歩く観客のカラーは黄色だけになり、黒の影だけ変化します。(写真41) 360度のドームの部屋は、柔らかく自然に変化するカラーを実際に自分で味わう事ができ、色の変化によって気分が変化するような気がしました。(写真44~46) レインボールームのようなプリズムで変化させていくカラーストライプの壁の展示は、素直にきれいと声を出す観客が多いのもうなづけます。(写真47~48) 光学的現象を最新のテクニックとカラーバルブ、ガラス、アルミニウム、ステンレス等を使って、シンプルで美しいアートにしてしまうのですが、科学っぽさを感じず誰にでも驚きを与え、自然の要素を採り入れたような淡い色の移り変わりで、心を癒してくれる美しい作品です。北欧で生まれ育った彼の生い立ちが反映しているのでしょう。 http://media.moma.org/subsites/2008/olafureliasson/ http://www.ps1.org ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第110回 慣例のDIFF基金 Dining by Design

DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)主催のビッグ・イベント「第11回 Dining by Design」が3月30日からSoHoにあるSkyLightのイベント・スペースで、3日間行われました。 ニューヨークを皮切りにカンサスシティー、ロス、ダラス、アトランタ、サンフランシスコ、シカゴ、ボストンを回り、年々大きなショーに拡がっています。 今回もインテリア・デザイナー、ファッション・デザイナー、建築家、デザイン関係のストアー等が、11×11フィートのスペースを使用してコーディネイト。総計38のテーブル・セッティングが競い合った売上金はDIFFAの基金となります。 有名なNY デザインセンター、Hewlett Packard、Crate & Barrel/CB2、NY Timesは3つのテーブルをバックアップし、Baccarat、建築のSkidmore、JC Penny他、委員長でもあるDavid Rockwell Groupは、展示中に作品の続きを編んでいるアーティストが作業しているテーブルセットを作り上げました。盛り沢山の新しいアイディア、毛糸の自然体と外側を囲んだファイバー・オプティックの細い光りのコントラストが印象的な力作でした(写真21~24)。 今年は初めての試みで資金を出資するスポンサーがつき、パーソンズ・ニュースクール・フォア・デザインがJamie Drake氏の指導で出展をし、NY大学はDavid Rockwell氏、スクール・オブ・ヴィジュアル・アートはMiles Redd氏、FITはDalzell プロダクション、プラット・インスティチュートはArpad Bakesa氏の指導のもと各デザイン学校の展示を行い、将来を担うデザイナ-の育成も目的としていました。 他にはフード界のトップらが出展し、Danielのブースではチョコレートをサーブ。話題のレストランBuddakan、Murray’s CheeseやFrench Culinary Institute、MarieBelle New York等も出展。初日から3日間11時から17時までのチケットが$45。「Table Hop & Taste」カクテルとテスティングを会場で味わいながらの一般公開を行い、31日はチケットが$150の「Cocktails by Design」と称したパーティーが19時から22時まで開かれました。 そして最終日の4月1日は18時半から23時までチケット代が$800の「Gala Dinner」が開かれ、関係者、寄付者、テーブルに関わって寄付した人々が、実際にそのテーブルに着席しディナーやダンスで盛り上がりました。 昨年度は$12Millionの基金が集まり、今年のツアーは昨年以上の基金が集まったようです。 この売上金はDIFFAの基金になり、ニューヨークのパーティー好き、テイストを理解したニューヨーカーの人気企画のひとつです。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第108回 冬期Accent on Design

恒例の冬期インターナショナル・ギフト・ショー、アクセント・オン・デザインが2月2日~6日まで、ジャビッツ・コンベンション・センターで開催されました。今年はいつもは日曜日からの開催が土曜日からとなり、終るのも水曜日と1日早く、皆とまどいがありました。また日曜日にNew Yorkで大きなイベントのスーパーボールがあったり、大雪でシカゴの飛行場からのフライトが全てキャンセル、また、ここのところのリセッションのニュースなども影響したのか、いつもの活気がなく、今迄になくどこもあまり良くないと皆こぼしていました。 アクセント・オン・デザインへのアプローチのエスカレーターの飾りは新しくなり、エントランス・ロビーには、昨年に続き、今一番注目される「Sustainability」の展示スペースが設けられ、主催者側が選んだ、77社からに及ぶ、環境にやさしい、これからの社会を考えたプロダクト、パーソナルケアー商品から家庭用品などが展示されています。一般の人達への教育を考えての展示とのことです。 エスカレーターをのぼって会場へ。アクセント・オン・デザインのブースの配置も今までと随分入れ替わり、若手を表にだしてきているように見えました。 まず入り口すぐにあるAlessiのブースが変わり、その横に今年から始まった「A+」というブースが設けられ、新人で製品化したプロダクトをもっているデザイナーを公募し、その中から選ばれた商品の発表が行われました。今回は3人の作品が紹介されていました。 今年のAccent on Design賞は、Savannah College of Art and DesignのWorking Class Studio(ジョージア州 / ブース 4141)が活気ある若々しい創作活動を認められて受賞。 Best New Product賞は、初出展の3Form(ユタ州 / ブース4146)による、3D Textile Parametre tm(新しく開発されたポリエスタル布地で洗え、間仕切り、シェードいろいろな用途に使える製品)が受賞しました。サイズを5m×4mの大きさにまで出来るそうです。 Best Collection賞のCreative Danes(カリフォルニア州 / ブース3979)も初出展で、毎日使う製品の素材、見せ方を工夫したグッドデザインが評価されました。 Overrall Excellence賞は、Mizzonk Workshop Limited(カナダ /ブース3853)が受賞。MizzonkのデザイナーであるRoger ChenとWan-Yi Linは、NYのPratt Instituteで陶芸・彫刻を学び、建築学部を卒業後、1998年にNYで会社を起こし、2002年カナダのMaple Ridgeに引っ越して活動中です。 今年のGallery 91のブースは黒を背景にDi-Classeの照明が生きており、切り抜きのバックのシーンや、新しく発表されたシキサイのTシャツが大変好評でした。 他のブースでは、今回別の場所で大きなブースになって出展したテーブルセンターやランチョンマットのChilewichと、フェルトのJoshjokusの新製品が注目を集めていました。 Accent on Design以外では、今まで最上階だったMuseum Sourceのセクションが下におりて奥の方にまとまっていたのが目に付きました。また、JETROのブースがJapanを表に出し、今回もタオルのケーキ屋さんが大変人気で混雑していました。 今回のトレードショーは、リセッションのせいなのか、時代がトレードショー離れし始めているのか、考えさせられるものでした。 Accent on Design以外では・・・ ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影