英・ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で昨年開催された話題の展覧会「Hats: An Anthology by Stephen Jones」がスティーブン・ジョーンズと同博物館の協力により、ニューヨーク西86丁目にあるBard Graduate Center(バード・グラデュエート・センター)のギャラリーで開催されています。会期は2011年9月15日から2012年4月15日までです。

スティーブン・ジョーンズは、ロンドンでも有数の婦人用帽子デザイナーとして、ボーイ・ジョージ、故ダイアナ元英国王妃やウェールズ王女のような名士の帽子デザインを手掛けています。また、バレンシアガ、クリスチャン・ディオール、マーク・ジェイコブス、ジャン・ポール・ゴルチエなど多くの有名ファッションデザイナーとも仕事をしてきました。
今回の招待状はインパクトのある帽子を持つ彼の顔をメインに用いて、カードからも、その世界観が伝わってくるような内容です。 【 写真 1 】

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この展覧会は3つのテーマで構成されています。一つ目は、はるか昔、12世紀のエジプトで使われていた繊細なフェズ紙で作られた帽子や、絹、金属糸を使った帽子、また、20世紀のヨーロッパとアメリカの帽子について幅広い作品例を展示しています。2つ目は抽象的な作品で、特に材料、技術、感性やテイストを中心に選ばれたもの、3つ目は、ミスター・ジョーンズによってデザインされた約80点の帽子を展示、過去10年間における彼のデザイン作品回顧展のような印象を醸しています。彼の作品には頻繁に視覚的なシュールレアリスム・トリックが取り入れられていて、駄洒落ともとれる作品も見受けられるのですが、人間の頭を利用して、ファッションとしてだけでなくオブジェとしてのアート装飾で個性を出しているのも特徴です。ミスター・ジョーンズはヴィクトリア&アルバート博物館での展覧会からニューヨークのバード・グラデュエート・センターのギャラリーで行うショーの為に内容を再構成しました。ベーブ・ルースのヤンキース・キャップとアンディ・ウォーホルのかつらなど、ニューヨークの街と縁のある帽子が追加で展示されています。また、帽子作りの仕事部屋 【 写真 18、19 】 の一つ 【 写真 20 】 では、ニューヨークの老舗デパート、バーグドルフ・グッドマンの顧客係であったマリタ・オコーナーに宛てたジャクリーヌ・ケネディーからの注文の手紙等も帽子の型と共に展示されました。合計約260点の帽子の内100点以上は、ヴィクトリア&アルバート博物館展から巡回した作品だそうです。

 

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ニューヨーク・ファッション・ウィークの期間中に行われた9月14日のオープニングでは、各々工夫をこらした帽子をかぶった女性が多く、そちらも展覧会と同じ位、目の保養になりました。私達は帽子というと、皇室のような優雅さを思い浮かべてしまいますが、この展覧会を見た後は、何となくケーキに装飾されたアイシングが思い出され、髪飾りとしてひと工夫してみたい様な、創作力が湧いてきました。これからのパーティー・シーズンに反映しそうな感じがします。

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・お知らせ
海老原が創立理事となって立ち上げた非営利団体IDNFでは、「Design Saves Lives」チャリティオークションへの出品作品を募集しています。このオークションは、日本とニューヨークの作家、デザイナーが出品する、東日本大震災の復興支援金を集めるためのチャリティプロジェクトです。
出品申込締切りは10月20日(木)。募集要項等の詳細は公式サイトよりご確認ください。
「Design Saves Lives」 公式サイト
http://www.designsaveslives.org/ja

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