現代日本陶磁器展

9月29日から2007年1月21日まで、41名の日本人陶芸家による作品94点を集めた「現代日本陶磁器展」が、国連の近く333East 47丁目のジャパン・ソサエティー・ギャラリーにて開催されています。
日本と東アジアの伝統美術及び現代美術を扱うジャパン・ソサエティー・ギャラリーの展覧会の中でも、今回のずば抜けた作品の選択が、全て西洋のコレクターによるものであることに感銘を受けました。
元々この展覧会は、ボストン美術館の企画によるもので昨年10月から本年7月まで同美術館にて開催されました。ニューヨークで行われるにあたって、同美術館及び個人のコレクションの作品が大幅に追加されました。キューレーションは、同美術館アジア・オセアニア・アフリカ美術館部長ジョー・アール氏です。
ジョー・アール氏は、ボストン美術館の前は1983年から1987年までビクトリア&アルバート美術館(ロンドン)の東洋美術部長として、同美術館内の東芝ギャラリーにて日本工芸美術の展示に携わりました。また、日本美術・文化に関する多数の本を執筆・翻訳等も行なっている、日本文化の専門家です。
ここまで日本を理解してくれている西洋のコレクターが存在するということに深い感銘を受けると同時に、今だに一昔前の日本をニューヨークに持って来ようとしている人(日本の伝統文化の理解不足)が多くいる事に、恥ずかしさを感じました。

【 1 】 Japan Society 展覧会の旗と1階からGalleryへのアプローチ
(写真1~3)
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【 4 】 ギャラリーの入り口
【 5 】 ギャラリーの入り口
【 6 】 今回の展覧会、序文とセクション1へのアプローチ
【 7 】 セクション1の展示
【 8 】 セクション1の展示 左:八木一夫の作品
【 9 】 セクション1よりセクション2を見る  隠崎隆一
【 10 】 セクション2展示風景
【 11 】 セクション2の展示  隠崎隆一

6つのセクションによる作家紹介

展覧会は6セクションに分かれており、以下作家の作品を紹介しています。
その多くが古来から陶作活動が続く窯場で、作陶を行う作家、または前衛陶芸集団・走泥社に影響を受けた作家の作品です。ヘンリー・コーネル氏は、ファイバー・オプティックの照明を設営するにあたり寄付をされたそうですが、今回の展示デザインは、ペリー・フーが担当しました。また、照明の調整は外部のアート・ハンドラー氏が担当したそうです。
ジャパン・ソサエティーは次のように述べています。
『本展では日本の陶芸伝統に深く根ざした陶芸家に焦点があてられていますが、展示される作品は著しく近代的、革新的でありながらも本質的には非常に日本的な芸術作品といえます。』

セクション1:先駆者たち
八木一夫(MOMAより出品)、鈴木治、山田光、林康夫、栗木達介

セクション2:古窯再訪
伊勢崎淳、隠崎隆一、加藤康景、西端正、森陶岳、大谷司郎、金重晃介、兼田昌尚、辻村史郎

セクション3:自然の形
神山易久、小池頌子、崎山隆之

セクション4:形を変えた磁器
加藤清之、3代・宮永東山、近藤高弘、竹中浩、吉川正道、深見陶治、川瀬忍、長江重和、八木明、加藤康景

セクション5:個々の表現
鯉江良二、三島喜美代、松田百合子、和太守卑良

セクション6:土を祝して
秋山陽、勝間田千恵子、北村純子、8代・清水六兵衛、宮下善爾、滝口和男、小川待子、岸映子、清水九兵衛、近藤豊、森野泰明 等

【 12 】 セクション2 – 3を見る。
手前から西畑正、小池頌子、神山易久、崎山隆之
【 13 】 崎山隆之 作品
【 14 】 セクション4 八木 明(写真14~18)
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【 19 】 和太守卑良
【 20 】 加藤清之
【 21 】 セクション4
【 22 】 セクション5 展示風景
【 23 】 セクション5 展示風景
【 24 】 セクション5 展示風景

ノース夫妻のコレクション

この展示作品約100点のうち64点は、コレクターのハールズィーとアリス・ノース御夫妻によるもので、最も多く出品しています。
夫妻の邸宅は作品が出張して空のようになり、しばらくの間寂しいです、とおっしゃていました。
夫妻のコレクションは、1986年に結婚15周年の記念として初めて日本を訪れた時から始まったそうです。アリス夫人はそれより以前に交換留学生として、仙台の宮城学園、東京の早稲田大学に通った経験のある日本通です。
また、株式会社ノースグループの会長、社長であると同時に、アメリカの非営利団体のパフォーミング・アーツ・センターを運営から資金集めもして支援されています。
現代日本陶芸のコレクターとしては1989年ジャパン・ソサエティーの日本陶芸ツアーを企画して以来、91年、95年、99年と引率者をしたり、ボストン美術館とニューヨーク大学等で講演もしています。
日本の現代陶芸作家達の良き理解者で有力なパトロンですが、夫妻の楽しみは作家の工房を訪ねること。人間関係を築いて作品の愛着を深めていくために、時間のある限り、日本全国で旧交を温めているそうです。
日本にもこんな理解ある企業家がいて欲しいと願わずにはいられません。
しばらく空いていたジャパン・ソサエティーの理事長の席に、新しくRichard J. Wood氏が決まり、来年は100周年を迎えるとあって、ますます、日本の本物を世界に広める活動をして欲しいと思いました。

【 25 】 セクション6 勝間田千恵子
【 26 】 近藤豊
【 27 】 セクション6 勝間田千恵子
【 28 】 北村純子
【 29 】 北村純子
【 30 】 岸 映子
【 31 】 岸 映子
【 32 】 清水九兵衛
【 33 】 近藤高弘
【 34 】 宮下善爾
【 35 】 森野泰明
【 36 】 ハールズィーとアリス・ノース夫妻

ハモンド美術館で行われている「オリガミ建築展」

10月14日から11月18日まで、日本庭園で有名なハモンド美術館にて「オリガミ建築展」が開催されています。マンハッタンから電車で約1時間20分、Up Stateのセーラムにあるこの美術館は、蓮の池があり、日本をイメージさせる庭園で有名です。
この展覧会のオープニング・レセプションには、オリガミ建築展の他に、秋のたたずまいを見せる美術館の日本庭園散策のほか、日、米、伊、韓の5人のアーティストによる野外作品展、テーマに合わせたジャズコンサート、表千家師匠によるお茶のお点前などが行なわれました。また、教育プログラムとしてオリガミ建築のデモンストレーションやワークショップが行われ、子供から大人まで楽しめるような盛り沢山のプログラムが企画されました。

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誰でも楽しめるアート展

同展は、2001年にMuseum of Arts & Designで行われ大成功をした茶谷正洋、中沢圭子、木原隆明等の作品で構成されています。

現在、美術館はその財政困難から、作品レンタル料や送料のかからない展覧会を求めており、このオリガミ建築展がぴったりという話で、私に依頼がありました。
また、美術館のボランティアをしている宮崎さんのおかげで、要領の良いインスタレーションができたり、フォローもして頂きました。

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基金募集ハモンド美術館

オープニング当日の入場者数は250人を超えていたようで、ハモンド美術館の50年の歴史の中でも、記録的ナンバーだったそうです。
アートを特別な人達に見せるのではなく、一般の人達に何か機会を与えてコミュニケーションしてもらうという主旨での今回のイベントは、かなり成功したと主催者側は喜んでいます。

日本庭園を目玉とうたっているハモンド美術館ですが、これまで日本からの援助はなく、近隣の日本愛好家の援助で成り立ってきました。しかし現在、この日本庭園をもつ美術館は助けを必要としています。何とか応援してあげたいものです。

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【 56 】 ハモンド美術館の日本庭園(写真56~59)
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※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影