2008年9月27日、Museum of Arts and Designが、いよいよコロンバスサークルにオープンしました。
ランドマークとして残されてきた「2コロンバスサークル」は、1964年にGallery of Modern Artとしてオープンしたものの、そのデザインが市民から受け入られることなく、わずか5年足らずで幕を閉じました。その後現在に至るまで、市営の元で様々な入居者を抱え、10年あまり空ビルだったものを2002年、Museum of Arts & Designが購入するに至りましたが、その後のランドマーク保護団体からの反対を乗り越え、予定よりかなり遅れた開館となりました。デビューとなる展示会タイトル「セカンド・ライフ」は、まさにこのMAD Museumコロンバスサークルの再誕生を物語っています。
( http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0808/7.html 参照)
そしてリニューアル・オープニング・イベントが1週間前から毎日行われ、話題を呼びました。まず、23日のテープ・カット式典にはブルーンバーグ市長が参加して行われ、昼、夜とVip、コレクター、メンバー等々の特別パーティーが毎日続き、賑わいました。展示面積は、これまでの施設の3倍のスペースで54,000平方フィートにも拡大し、見晴らしのよい7階は特別イベント会場、6階はEducation Centerで、ここでは、陶芸、織物、金工他のワークショップがあり、作品創りを実際に見る事が出き、道具等も展示しています。製作過程を見学できるのも、この美術館の大きな魅力の一つとなりました。順次デモンストレーションのプログラムが変わって、いろいろなクラフトを見学する事が出来るようになります。
開館企画展である「Second Lives: Remixing the Ordinary」は、4~5階で展示されています。普段見慣れたものを、別の形でアートに生まれ変えるこの展覧会企画は、今回のリニューアル・MADにふさわしいテーマで、世界17カ国40名のアーティストが参加しました。
分かりやすい素材の作品では、LPレコードから切り取った蝶々が飛び放っている作品や、カラフルな糸巻きを大量に使ったモナリザ像、布のラベル、櫛を沢山使っての絵画、プラスティックのスプーンのピラミットやフォークを使った作品、本や電話帳を削って作った大きな仏像、ゴム手袋を重ねたドレス、3000個のドッグタッグで作った上着などがありました。40名のアーティストの中に、NY在住の日本人で、安全ピンを使うことで知られる神戸出身の河田多美子氏と、繊細な木をショッピング紙袋からつくった沖縄出身の照屋勇賢氏2人が選ばれ、来場者は感心しきりでした。この展覧会は9月27日より2009年の3月まで開催されます。
3階と2階半分は、MAD Museumの52年間のコレクションでも、これまであまり公開されていない作品を時代を追って150点展示しています。60年代中頃、最初のファイバーアートとして有名になったサンフランシスコの2世のKei Sekimachiの作品を皮切りに、16人の日本人、日系人の陶芸、竹などの作品が含まれて展示されています。
今回は、ガラスの藤田恭平、竹の本田聖流、鳥居一峰、陶器のToshiko Takaezu、崎山隆之、岸映子、鈴木ヒロシ、中島はるみ等の作品を展示。今後はMADの2000点のコレクションから、順次展示されるそうです。
2階のジュエリーGalleryでは「Elegant Armor:The Art of Jewelry」と題した企画展を行っています。1948年から現在までのコレクションが、常設のガラスケースに240点と、ドロアーケースに450点あまりが、2009年の5月31日まで展示されます。ジュエリー・ファンには見逃せない展示で、日本人作家では、上から吊るされたネックレスのオブジェ、Hiroko Sato Pijanoaskiとスオー・エミコの作品の他、和田隆のジェリー、平石ユ等の作品も、今回展示されています。
オープニング・イベントにはNY日本総領事館、櫻井大使夫人、久下香織子FUJI TV キャスター、アーティストの和田隆夫妻、河田多美子さん、朽木ゆりこさん等 日本人も参加。コージーで楽しいMuseumで、親しまれそうという感想でした。日本人作家の作品が、ほとんどアメリカ人のコレクターやギャラリーからのものなので、作家自身には伝わっていないのでは、という懸念を感じました。
これからもっと日本の本物、新しいデザイン等も発表して行きたいと思いました。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影