2011年3月、アートの大祭典「Armory Arts Week(アーモリー・アート・ウィーク)」が開催され、アーティスト、ギャラリー、キューレーター、コレクター、批評家等がニューヨーク市に集まりました。

3月2日、ブルームバーグニューヨーク市長が、Armory Arts Weekのメイン会場であるThe Armory Show(アーモリーショー)のプレス・オープニングで、Armory Arts Weekの歴史とニューヨーク市の収益等について説明しました。

 

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 今年で13回目を迎えるArmory Arts Weekは、インターナショナル・アートフェアの中でも卓越したプログラムで、20~21世紀の現代アートを紹介する世界有数のギャラリーからさらに選抜された出展者が展示をします。期間中は、ニューヨーク市への訪問者が50%近く増えるそうで、2009年からニューヨーク市がイベントの援助をしているそうです。世界中から訪れる観光客だけでなく、ニューヨーク市民やトライステートエリアをも活気づけています。
The Armory Showの言われは、1913年に最初のコンテンポラリーアートショーが開催されたArmory(軍の兵器倉庫)からきています。その時、ピカソなどヨーロッパの現代アートがアメリカに紹介されました。その後アート業界の景気の上昇に伴い、1999年から、マンハッタン西側のピア92とピア94(Pier92、Pier94)で開催されるようになりました。
 

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 3月3日から6日までのThe Armory Showの期間、ニューヨーク市では、VOLTA NY, PULSE, SOPE, The Art Show, Red Dot, Independent, Moving Image, Fountain NY, Verge Art Brooklyn, Pool Art Fair NY等、数多くのサテライトアートフェアが同時開催され、The Armory Showの会場からは、各アートフェア会場を繋ぐシャトルバスが運行されます。また、マンハッタンだけでなく、ブルックリン区やロングアイランドシティなどでも、特別なレセプション、オープン・スタジオ、アートツアー、博物館の割引、公演、パネル、アーティスト・ディスカッションやパーティーと、とても参加しきれないほど多くのイベントがありました。ピア92とピア94の会場だけで、今年は6万人以上の集客数だったそうで、年々大きなアート・コミュニティの祭典になっています。

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 メイン会場のピア92では、モダンアートを集めた「The Armory Show:Modern」が行なわれ、有名ギャラリーや著名作家の作品が97ブース展示されました。また、ピア94の「The Armory:Contemporary」では、コンテンポラリーアートのギャラリー、生存するアーティストの新作が207ブース展示されました。

会場に入ってすぐ目についた作品は、昨年も人気だったMarlborough GalleryのJuan Genovesの油絵【 5 】【 6 】です。この作品は、絵具を重ねただけであるのに、人に見える技法が来場者の足をとめさせていました。日本のアーティスト作品を出品しているアメリカのギャラリーもいくつかあり、草間彌生や奈良美智、桑山タダスキー、丸山シンイチ等の作品が目につきました。
日本の著名ギャラリーはほとんど出展していませんでしたが、若手の実力あるギャラリーがピア94に出展しており、東京の東神田ギャラリー「TARONASU」の那須太郎さん、東麻布の「Gallery SIDE 2」の島田淳子さんとお話しました。

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 テクニックで見せるか、素材のおもしろさで見せるか、他にも映像を取り入れるなど、新しい手法は昨年同様ですが、今年は、それぞれの作品のラベルに、価格を明確に表示しているギャラリーが多く目につきました。来場者がまず気になるのは価格で、わかりやすく打ち出しているのは、アメリカらしい方法なのではと思いました。また、会場にコンピュータのラップトップが必ず設置され、展示しきれない作品群をタッチスクリーンの画像で見せているのも、新しい展示方法でした。

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 今年は「MOVING Image」という広大なスペースに、35台のスクリーンで見せる映像専門のアート展覧会場も出現しました。
週末の会場には子供連れの一般客も多く、アートが生活に密着しているのが感じられるNY Art Weekでしたが、今年のベスト10、ワースト5など、ギャラリー名まで入れて勝手に評価するブログが登場しました。日本人としては、ワーストなどに名指しされたらどうなるかと心配になってしまいますが、さすがアメリカ。宣伝になったから別の作品を売り出すきっかけに使うとか。競争の激しい厳しい世界です。
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 今年はあまりに作品が多く、学芸会的な作品もたくさんあり、選んで欲しい気がしましたが、今後の新しいアートの行方が期待されます。ますます厳しく、本物が求められる時代になっています。 【写真51】
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