中国の爆発作家、Cai Guo-Qiang(ツアイ・グオ・チャン/蔡国強)の「I Want to Believe」展が、2月22日から5月28日の期間、グッゲンハイム美術館で開催されています。21日に行われたオープニング・パーティーは大盛況でした。 中国生まれのソロ・アーティスト展、しかも全館を使った展覧会というのは、グッゲンハイム美術館では初の試みになります。会場に入るとまず、フランク・ロイド・ライト設計の螺旋階段(ロタンダ)を活かして吊るした、爆発する9台の車のインスタレーションに度肝を抜かれます。
Cai氏は、1980年代に、中国の実験的なアート・ワールドのメンバーとして現れ、1986年から95年は日本に滞在。その間、火薬の特殊な使用を習得したり、三宅一生とのコラボレーションのプリーツを爆発させるプロジェクト等を手掛けて、日本から有名になったといっても良い位、知名度が高いアーティストです。

1995年以来ニューヨークに在住し、国際的なプロジェクトに取り組んでいて、今年開催される北京オリンピックの開会式のプロデューサーの一人でもあります。

【 1 】 グッゲンハイム美術館 フランク・ロイド・ライト設計の螺旋階段(ロタンダ)につるされた爆発する9台の車のインスタレーション(写真1~3)
Photo:Sean Zhang
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【 4 】 記者会見で話すツアイ・グオ・チャン(蔡国強)(写真4~5)
Photo:Sean Zhang
【 5 】 Photo:Sean Zhang

展覧会では、彼の大掛かりな爆発プロジェクトが、各フロアーで、写真、ドローイングで見れ、また、Video上映等による記録で見ることができます。1ヶ月間続いたという大規模なインスタレーションは、車の他に、3000本の矢に刺された漁船や、正面からガラスの壁に飛び込んでいるように見える99頭のオオカミの等身大のレプリカなどがあります。
Gallery Annexでは川が実際につくられ、Yak Skinのボートに乗る体験が出来ます。 他に、生きたへびや鳥がいる展示、羊皮でできたブタの形の浮遊物、トヨタ車のエンジンの展示などがあります。 また、上階のAnnexでは、日本の地方イワキから寄付され、掘り出されたサンケン船と、粉々の白陶器を展示しています。

現代のアートムーブメントにも所属しない中国の精密彫刻家(中国から5人、NYの4人)が、中国史の中から描写した人体彫刻を実際に制作し、その過程を見ることができる展示が3月4日まで行われました。
Cei氏の作品はそれぞれに、テロ攻撃から古来の神話、軍事史、道教信奉者の宇宙、地球外の観測、毛沢東主義者の革命の戦術、仏教徒の哲学、火薬関連の技術、漢方薬、等をバックに思想を自由に引き出し、郷土史のグローバル化の弁証法として、 Cai氏のアートとして社会的なエネルギーのフォームにしているようです。
彼が訴える「見えてる見えない世界」「信じたいと思いたい」を、エネルギーいっぱい爆発させているようです。

【 6 】 オープニング・パーティー風景(写真6~8)
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【 8 】 Photo:Sean Zhang
【 9 】 記者会見のツアイ・グオ・チャン(蔡国強)(写真9~11)
Photo:Sean Zhang
【 10 】 Photo:Sean Zhang
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【 12 】 3000個の矢で刺された漁船
Photo:Sean Zhang
【 13 】 99頭の等身大のオオカミのレプリカと、ガラスの壁に飛び込んでいるように見えるオオカミのレプリカ(写真13~14)
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【 15 】 矢で刺されたトラ・レプリカ(写真15~16)
Photo:Sean Zhang
【 16 】 Photo:Sean Zhang

展覧会は、大スポンサーのThe Robert H. N. HO Family Goundation(何鴻毅家族基金)という中国の文化系の援助をする基金がバックアップしているそうで、日本にはないスケールが育つ元の気がしました。

他にMuseum Shopでは、この為に幾つかの特別製品も制作。Cei氏の「開けると爆発するカード」の依頼から、Gallery 91の紙技デザイナー木原隆明氏(日本在住)が考案したドラゴン・カードとレインボー・ミラーカードの発売が開始されたのも、もうひとつの魅力です

【 17 】 生きたへびが入っている展示
Photo:Sean Zhang
【 18 】 爆発ドローイング
【 19 】 三宅一生のプリーツを爆発させたプロジェクト
【 20 】 中国史から時代描写した人体彫刻を、実際に会場で制作している中国人彫刻家
【 21 】 実際につくられた川で、Yak Skinのボートに乗る体験が出来る
Photo:Sean Zhang
【 22 】 日本のイワキから寄付され、掘り出されたサンケン船と粉々の白陶器
【 23 】 グッゲンハイム美術館の、また、この展覧会のキュレーターである、アレキサンドラ・モンローとオープニングに来た石岡瑛子さん(目下、蔡国強と中国のオリンピック開会式をデザインしている仲間)
【 24 】 蔡国強i氏の「開けると爆発するカード」の依頼から、Gallery 91の紙技デザイナー木原隆明氏が考案したドラゴン・カードとレインボー・ミラーカードが、グッゲンハイム美術館ショップで発売開始。(写真24~26)
【 25 】 Photo:Sean Zhang
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第7回目となるアーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、3月6日~9日の4日間、ニューヨーク市のPier94(55ストリートと12アベニューに位置する)で行われました。主催はMerchandise Mart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0704/index.html

昨年と同様、11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展しました。

プレス用朝食を出してアピールしたカリフォルニア・クロゼット社は、日本の無印を思わせるシンプルな家具で、個々のスペースにあわせて作るシステムで、ウェストコースで評判を得ています。NYにもコンサルタント・デザイナーとオフィスを持ち、今後の客層の幅を拡げたいとの事。
初日のスペシャル・イベントとして、会場でオープニング・ナイト・パーティーが行われました。VIP等が招待され、チケット料金がPOのAlpha WorkshopsのHIV / AIDS団体に寄付されます。

【 27 】 Architectural Digest Home Design Showラウンジ風景(写真27~28)
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【 29 】 カリフォルニア・クロゼット社のブースと用意したプレス用朝食
【 30 】 カリフォルニア・クロゼット社のブース(写真30~31)
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【 32 】 黒川雅之氏と55 Contemporaryのブース(写真32~33)
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【 34 】 黒川雅之氏の作品を見るバイヤー
【 35 】 Essenze Americaのランプ

今年は、黒川雅之氏のプロダクトが、55Contemporaryというブースで初出展しました。5番街のオフィスビルにショールームを持ち、そこで、11日にオープニング・パーティーが行われました。
普段はデザインに関係のないNYの日本政界の方々や、櫻井大使夫妻ほか、たくさんの方が集まり、黒川 / 加藤タキ御夫妻のパワーを発揮していました。

アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーでは、昨年に続きNYのNori Morimotoのブースが出展。今年は自然の木と明かりを主に、新しく挑戦しているガラスのタイル等を発表して人気を得ていました。

また、家具でコレクター・アイテムとなってきているWendell Castleのコーナーが、壁面を長く使って展覧会をかねた展示で迫力を出していました。

【 36 】 Nori Morimotoのブース(写真36~39)
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【 40 】 Nori Morimotoの新しいガラス作品
【 41 】 Nori Morimotoオリジナル作品
【 42 】 FIF Design Studioのブース
【 43 】 Wendell Castleの家具展(写真43~45)
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内田繁にデザインを依頼し、チェルシーにオープンした、一穂堂ギャラリー畳みの「青い穂庵」もあり、茶の湯を楽しめる日本を意識した空間に改装され、これから日本の工芸等を展示していくそうです。

そのオープニング・ショーとして「茶の湯 内田繁と7人の工芸作家展」が開催されました。 11日と12日はオープニング・パーティーが開かれ、茶の湯、工芸愛好家、デザイナーが集まりました。

NYの著名デザイナーのMassimo & Lella Vignelli夫妻、また、マンハッタンにお茶室、日本間を持ち、NHKにも取材されているPierre Semet氏 や Steve Globus氏も出席していました。ニューヨークの日本酒ブームから、ほんもの日本文化が、今後どのように浸透するのか、楽しみです。

【 46 】 一穂堂ギャラリー「茶の湯 内田繁と7人の工芸作家展」会場(写真46~57)
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【 55 】 茶室と茶の湯風景
【 56 】 パーティー風景
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【 58 】 メトロポリタン美術館の土井氏と内田繁氏
【 59 】 建築家のモリス・アジミとそのご家族と
【 60 】 左手前 Museum of Arts & Designのチーフ・キューレーター David McFadden氏
【 61 】 TBSの取材
【 62 】 David McFadden氏と内田繁氏、奥隣は海老原
【 63 】 建築家のLeeさん

※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影