第12回:(1)SOHO Gallrey91にて2000個のオブジェ展のPART-2『未来志向』展開催 2000/5/10


ライトテーブルに展示されている作品、右に見えるオレンジの長方形3つがつながった作品がカリム・ラシッド(Karim Rashid)

ニューミレニアムを記念に始めた「2000個のオブジェ展」。そのパート2として『未来志向』展が、3月18日より5月20日までSohoのGallery91で行われています。

メタル、カラフルなプラスチック、新素材などをつかった未来志向のオブジェが、イタリア、アメリカ、日本をはじめ世界各地から約250点集りました。フューチャリスティックなオブジェが勢揃いしています。

会場入り口には、CDを利用して作った未来を感じさせるタイトルがかかり、会場に点在するライトテーブルには、カラフルで、ユニークな形状の作品が展示されています。

 

「未来志向」展のなかから、ユニークな作品を紹介いたしましょう。会場入り口にタイトル文字と共に飾られている腕時計はタカラから。その未来的なデザインはもちろん、様々なゲームがプログラムされており、ギャラリーを訪れる人達の注目を集めています。

三宅一生のパッケージを手がけたカリム・ラシッド。彼の新しい作品はグミのように柔らかでカラフルなプラスチック素材を利用したステイショナリーです。

PRATT Insutituteを卒業した若いデザイナー達が始めたBENZAスタジオ。既存のデザインにとらわれない自由な発想に、多くのニーヨーカーが注目しています。今回はスプリングを使った動きのあるフルーツ皿、自由自在に形が変えられるメタル・スプリングで作られた花器、マウスパット等展示しています。

また陶芸家Marek Ceculaは不思議な透明感のあるポーセリンやシャープなデザインのテーブルウエアー群を、スペース・シャトルの中のテーブルを思わせるメタリックな台の上に展示されています。黒川雅之のメジャーやルーペは人気商品のひとつですし、伊達アキコの照明具は壁に光のパターンを描きだし、来場者の目を引いています。

NYのMoMAで個展をして、知られている熊井恭子はメタル・ワイヤーを使った不思議なオブジェを展示。他にユニークな試作品としては、Josh Owenは電球を使わなくても光を放つベッド・ランプ。ランプカバーそのものがほの青く灯る仕掛けになっています。また、Ami Drach/ Dov Granchrowは、洋服の襟に組み込まれた“未来”の携帯電話の試作品を出品しています。

ニューヨークで最も、売れっ子のプロダクト・デザイナー達の「未来」に対する想像力を働かせた作品が一同に集った「未来志向」展は5月23日まで行われます。

次のスケジュール、パート3「ガラス」展は6月1日から7月15日。夏らしい涼し気な作品が揃います。今後も「2000個のオブジェ展」のシリーズとして、環境、ニューメディア、日常生活用品と続きます。興味のある方はぜひ参加してください。

“Boing Dish”デザイン:Giovanni Pellone/BENZAスタジオの作品

陶器のMarek Ceculaの作品群

襟に組み込まれた携帯電話

 

『未来志向』展 Photo Tour


Gallery91「Future展」展示全景

展示風景中央

安眠枕?

“Boing Dish”
Giovanni Pellone/BENZAスタジオ

“Urchin Container”
Roberto Zanen/BENZAスタジオ

“Mutanto Vase”
Giovanni Pellone/BENZAスタジオ

Josh Owenの電球を使わなくても-光を放つランプ

“傘たて”Antonio Norero
Outlook Zelco Europe

壁のサイドの展示から黒川雅之のテープメージャー

入り口の間仕切り用に展示されたタカラの時計

熊井恭子のメタルワーク

陶器のMarek Ceculaマレクセキュラの作品群

襟に組み込まれた携帯電話

Ami Drach/ Dov Granchrowの
洋服の襟に組み込まれた携帯電話

伊達アキコの照明具

“CD Ruck”Gioliani & Rasulo Zelco Europe と手前の”マウスパット”Giovanni Pellone BENZAスタジオ

Miguel Calvoの
キャンドルスタンド、アイス

ライトテーブルに展示されている作品 右に見えるオレンジの長方形3つがつながった作品がカリム・ラシッド(Karim Rashid)

 

 

第12回:(2)NY近代美術館のロックフェラー・スカラプチャー・ガーデンではじまった『坂茂展』2000/5/10


昨年MoMAの「The Private House展」にも出品した、建築家坂茂のNYではじめてのプロジェクトとしてMoMA ロックフェラー・スカラプチャー・ガーデンを彼の紙管で覆いつくした大きな作品がお目見えし、4月30日から8月1日まで展示されています。

 

CNNテレビの取材で、インタビューをされている坂茂とCNNの記者

このプロジェクトのMoMAのキューレーターMatilda McQuaidと

MoMAのスカラプチャー・ガーデンの坂茂紙管作品展示風景

NY近代美術館では、このスカラプチャー・ガーデンで過去にも建築家、デザイナーによるテクノロジーや実験的アイディアの作品の発表の場を提供してきました。

坂茂のこのプロジェクトは、MoMA 2000年展第2部の「Making Choices」展の一つですが、特別扱いで、大きく取り扱かわれています。「Making Choices」展は、他の美術館でも同じような、保存作品の御披露目のような感じの展覧会で、今までの4階にまとまって見せていたデザイン部門もなくなり、絵画と一緒に3階、2階にテーマ分けして見せてはいますが、目新らしいものもなく、分かりにくい展示ですが、このスカラプチャー・ガーデンの展示は入ってすぐ目につく位置を占めていて「外に紙のチューブ?」と話題性もありそうです。

彼は今年ドイツ・ハノーバー万国博覧会日本館を手がけていますが、それに先駆けての発表の場で、タイミングも良いし、彼にいわせるとハノーバーの沢山の規制の為の変更に比べ、MoMAはスペース全部を使って自由にやらせてくれたようで、思いのままの作品発表の場を得、のりにのっているようです。

NYでクーパーユニオンの学生だった頃の彼を知っているので、震災の神戸の作品や、時折目にする日本からのニュースで活躍ぶりは知ってはいましたが、やはりNYのMoMAでの個展は、 我がことのように嬉しく誇りに思い、ますますのご活躍を期待しています。

 

*[参考] 桑沢デザイン塾での坂氏講演レポート

 

MoMA2階から作品の見える窓際に立つ坂茂

MoMAの坂茂紙管作品展示風景、陽の当たっているときの影が美しい

建築部門のMoMAのキューレーター達と坂茂