2011年8月3日に、NYマンハッタンのイーストビレッジよりダウンタウンに位置するノリータの空地に、移動式のBMW Guggenheim Lab(ビーエムダブリュー グッゲンハイム ラボ)がオープンしました。関係者をはじめ多くの人々の感心が寄せられています。このラボは、BMWとグッゲンハイム財団による文化事業の一つで、世界9都市を6年間に渡って3回ずつ巡回します。各都市でそれぞれの課題に基づいたテーマを掲げ、これからの都市のありかたに挑戦、その重要性を認識させ、各都市で持続可能な解決策を生み出すことを目的にしています。

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ファースト・パーク(Houdson st.2nd Av)に突如現れたこの黒い囲いの空間は、日本人建築家の塚本由晴さんと貝島桃代さんのユニット、アトリエ・ワン(Atelier Bow-Wow)が設計を手がけています。骨組みにカーボンファイバーを使用した初の試みとなっている上、オープンスペースで、さまざまな特別プログラムのニーズに対応できる「移動式道具箱」として考えられています。この道具箱の外壁は2層の半透明のメッシュになっており、モアレ効果を引き出し、光り輝いてみえます。プログラムに応じて道具箱の小箱が動き、空間に様々な変化が生まれるように計画されています。

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 その道具箱の中では、このラボの内容となるロールプレイングゲーム“Urbanology”が行われています。会場はもとよりオンラインでも参加できるようになっており、会場ではチェスのような駒を使ってゲームが行われます。都市の変革、教育、住宅、医療、持続可能性、インフラなどのテーマが盛り込まれており、参加者はそれぞれの課題にYES, NOで答え、その統計が都市の形に変化を与え、新しい一面を発見することになる仕組みです。

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 ラボ内では、ウィリアムズバーグで人気のレストラン“Roberta’s”が運営するカフェが併設されており、オープンエアーで軽食がとれるようになっています。このラボは10月16日まで開催されますが、その間100を超えるワークショップ、ディスカッション、上映会、ツアーなど盛りだくさんのイベントが用意されています。昼と夜では異なる景色になり、いろいろな使い方による変化を見るためには何度か足を運ぶ必要がありそうです。

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 オープンに先駆け8月2日に行われたプレスレビューには、世界中から集まった専門分野のプレスも多くみかけました。次の開催地となるドイツ、その次のインドのムンバイ等の関係者も来られていました。設計されたアトリエ・ワンの貝島桃代さんとお話することができました。Guggenheim Labとのコラボ、場所の幾度かの変更など気苦労も多かったようですが、一番懸念されていた近隣住民の方々の反応が良かったので、本当にうれしいと笑顔でおっしゃっていたのが印象的でした。

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名称  BMW Guggenheim Lab      
住所 Houston St at 2nd Ave, New York    
会期 2011年8月3日-10月16日    
時間 毎週水曜-日曜日    
入場費 日によって異なる    
http://bmwguggenheimlab.org/whats-happening/calendar?reset=1
   
       
■ 「Accent on Japan Relief」
~東日本大震災支援金募金実施~

8月14日から18日まで、ジャビッツコンベンションセンター(35-39丁目11番街)において、世界4大ギフトフェアの一つであるニューヨーク国際見本市ギフトフェアが開催されます。入場はバイヤーのみ対象となりますが、世界中から様々なプロダクトを取り扱うメーカーとショップが一同に会します。
トレードショー内のハイエンドなデザイン商品を扱うアクセント・オン・デザイン部門で、ギフトフェアの主催GLM社の後援により、協賛卸業者による「Accent on Japan Relief」と題した東日本大震災支援金の募金を実施します。
きたる12月7日にNPOインターナショナル・デザイン・ネットワーク・ファウンデーション(※詳細はページ下部)が主催するDesign Saves Livesチャリティオークションに先だって行われるもので、「Design Saves Lives(DSL)」のロゴマークが表示された特定の商品を購入すると、売上金が「Design Saves Lives」基金を通して、被災地の作家や地場伝統工芸産業のプロジェクトに直接寄付されます。

尚、12月7日のDesign Saves Livesチャリティオークションは、コロンバスサークルのMuseum Arts and Design(MAD)とSteelcase社のペントハウスで行われる予定です。





 インターナショナル・デザイン・ネットワーク・ファウンデーション(IDNF)についてInternational Design Network Foundation(IDNF)は、1995年にMuseum Arts and Design(NYC) Chief Curatorである、David McFadden(Chairman/議事長)と Rockwell Group(NYC)Chief LabのTucker Viemeister(President/代表)のアイディアにより、海老原が創立理事となって立ち上げた、501(C)の非営利団体(NPO)です。これまでの主な活動実績は以下の通りです。1996年5月、IDNF最初のイベント「Design on the Internet & Beyond」をUDA(United Digital Artists)と企画し、慶応大学と当時開発されたばかりのインターネットを経由した最初のLIVE中継のイベントを行いました。1997年からは、岐阜県の工芸(関の刃物、美濃和紙、多治見の陶器、高岡の木工)などの産地活性化に取り組むプロジェクトを10年間近く行い、アメリカのデザイナーを地場に送り、2~3カ月滞在させることで、現地の人達との共同開発による商品を生み出してきました。なかでも、ジャンケンポン・コンペティションは、最初にインターネット上で行われたグローバルなデザイン・コンペティションとして3~4年間続き、ハサミ、紙、石、木工の作品を世界中から募集し、審査後に商品化しました。それらのなかには、今も世界各地のミュージアムショップで販売され続けるロングセラー商品もあります。2004年~2008年にかけて、トヨタのデザイン・チームのリサーチ等のコンサルタントを5年ほど務めた間には、3度の大きなイベントも企画しました。特に2006年の「MOBILE LIVING」 - モバイル・リビング/移動する暮らし展は、ニューヨークで行われた国際家具ショーのOff Site 展で、SOHOにあるSkylight Studioを貸し切っての最も大きなイベントとして話題になり、入場待ちの行列ができるほどの人気で、TVや雑誌などメディアからの注目を集めました。そのほか、例年、日本からの著名デザイナーの講演会を始めワークショップなどを企画し、黒川雅之講演会、内田繁講演会をParsons The New School for Designで、川崎和男講演会をSONY Clubなどで開催しました。現在もニューヨークを拠点にデザイン、アートを介した国際交流を図っています。インターナショナル・デザイン・ネットワーク・ファウンデーション(IDNF)http://www.designsaveslives.org