特別リポート: 世界の建築家の考えた ワールドトレードセンター跡地の提案・展覧会 (2002/2/20)
ワールドトレードセンター跡地の提案の展覧会が、チェルシーの22丁目、建築専門のギャラリーで有名なMax Protetchで、1月17日から2月16日まで行われています。120人に24”×36”のサイズで、費用は作家持ちで依頼。集まった60近い作品の50点が展示されています。
今までMax Protetchが関わった早々たる建築家が、とても短い期間ではありましたが、様々なコンセプトを提案しています。
建築家には、Michael Graves、Zaha Hadid、Steven Holl、Samuel Mockbee、SITE(James Wines)、坂茂、Tod Williams Billie Tsien、Michael Sorkin、他コンピューターを駆使した3Dから、ラフ・スケッチ、模型とまちまちです。 “結局サイズは無視された”とMr.Max Protetchは言ってはいたものの、ギャラリーいっぱいの多数の作品が集まりました。
各 建 築 家 の 作 品 (作品の写真は Max Protetch 提供)
現在WTCグランドゼロは、16エーカーの瓦礫の上にプラットホームができていて、WTCを見る人の行列で、整理券を多数配布して、大惨事を観光事業化しています。
復興作業が終盤に近づき、ワールドトレードセンター跡地の未来像への関心が高まり、ディベロッパーの Larry Silverstein氏はローワー・マンハッタン開発会社を設立、跡地、ダウンタウン再開発構想を進めようとしているところです。
WTC跡地の提案展は、以前は SOHOにあり、現在はチェルシーの22丁目にある建築専門のギャラリーとして有名なMax Protetchで、1月17日から2月16日まで「ニュー・ワールドトレードセンター・デザイン・プロポーザル」建築家達の積極的な提案展という形で行われました。
Max ProtetchがArrchitectural Record誌, 建築雑誌、専門家らと人選した 120人に依頼、世界の著名建築家から若手ホープまでが、とても短い間に、いろいろなコンセプトを提案し、集まった50点の作品が展示されています。
建築家の中には、あまりに締切までの時間が短すぎて、セルフ・プロモーションのように見えて残酷だとして参加しなかったPeter Eisenman や Richard Meierといった大物建築家もいましたが、出展建築家には、Michael Graves,、Zaha Hadid、Hans Hollein、 Steven Holl、 Samuel Mockbee、 SITE(James Wines)、Tod Williams Billie Tsien、日本からも坂茂、普段は批評の側にいて建築誌などをにぎわしているMichael SorkinやJoseph Giovannini等も参加しています。
連日大勢の人で賑わい、業界からも賛否激論、業界誌をにぎわせました。
Max Protetch氏の思い入れは彼のギャラリーでも以前個展をしたSamuel Mockbee(アフリカ等の建築を無償で作ったりして、マッカーサー賞をとっている)。建築家で、彼がガンで入院中、9月11日を経験、病床で酸素マスクをしながら、跡地の提案のスケッチ(地下911フィートの場所に追悼記念塔をつくる)を仕上げて、Max Protetch氏に託し、12月に亡くなった事で、より使命感があったようです。
又、この展覧会に3組の建築グループから、同じような「タワー・オブ・ライト」の提案があって、コンピューターできれいに処理された写真が展示されていますが、これが実現性は一番のようです。スポンサーも名乗りをあげていることもあり、テンポラリーの記念塔としても作るのではないかと希望を話していました。
WTC跡地とニュージャージーを、WTCを横にした形の2本の吊り橋で結ぶEytan Kaufmanの構想が提案されています。 アシムトート社のHari Rashidは、カリム・ラシッドの兄で、以前から有名な建築家、彼等の構想、はMinoru YamasakiのTowerの延長線上で、同じパワーを持つ、21世紀の テクノロジーを駆使したデジタル時代のワーキング・ビルディングということで、スカイ・ガーデンあり、大きなプール、自然の光、メディテーション・スペースありと説明しています。
それぞれ大きくわけて、記念碑をかねた塔・ビルをつくるというアイディア、又はもう高いビルはやめて、公園、沢山の樹木で自然の環境を取り入れようとするアイディア、そして、マンハッタン・ダウンタウンの未来都市の夢の構想が、いろいろ提案されていました。
個々の作品の賛否よりも、今実際に形を目にすることによって、政治的なものだけで再開発がすすむのでなく、大勢の関心と真剣な思いが将来のNYにかける希望や夢となり、影響を与えるのではないかと思いました。この時期に、この勇気ある展覧会を開いた事に、労をねぎらいたいという思いと、人々が未来に向かっていることを感じました。