コロンバスサークルにあるMuseum of Arts and Designで、「Eat Drink Art Design展」が開催されています。同展では、MAD Museumのパーマネント・コレクションの中から、食卓のアートを約60点選んで展示。会期は2010年9月21日から2011年3月27日迄です。

テーブル、プレート、カップ、ティーセット、シルバーウェア等、MAD Museum初期の豪華でエレガントな食器類、ゴブレット等のコレクションから、最近の作品、米国内のファミリー食卓、コンテンポラリーな作品までを展示しています。バラエティーにとんだ作品群で、時代の変化、様式の変化も垣間みる事ができます。
また、MAD Museumの特徴のひとつともいえるコレクションで、アメリカの著名アーティストのキャンバス以外の作品があります。Roy Lichtensteinのカップ&ソーサー 【 写真 14 】 やKeith Haringの朝食セット 【 写真 15 】 、ガラスの巨匠 Dale Chihulyの珍しいワイン・ボトル等 【 写真 34 】 、アーティストの手作りのプロトタイプから機械生産まで、展示は4つのパート (Eat,Drink,Art,Design) に分けられています。

 

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 実際の生活で使える作品として、今回コレクションに加えられた緒方慎一郎デザインの「ワサラ」 【 写真 25、26 】 は、従来の木のパルプ使用の紙ではなく、葦と竹、バガス(サトウキビ)等の土に帰る素材でできた使い捨てテーブルウェアです。最近、アメリカのパーティーでも、人気が出てきた商品です。他には、Funfamの藤岡恒行デザインの竹製のテーブルマナーセット。竹を素材に作られており、環境問題を配慮した作品が選ばれています。
これらのコレクションになった作品が、ミュージアム・ストアで購入できるのも、NYの美術館の楽しみのひとつです。 【 写真 68、69 】 もう1人、日本人で、Pate de Varreというガラスのテクニックで作品を作っているガラス作家・樋口主明(きみあけ)の「キャベツの葉とgoblets」 【 写真 36 】 の作品は、1995年の goblet showで展示された事があり、2007年からコレクションに加えられた作品です。Toshiko Takaezuの初期の茶碗 やWarren MacKenzie の土瓶 【 写真 30 】 が、とても日本らしく見え、馴染みの感じがするのもアメリカの美術館だからでしょうか。
 

写真2】

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 ジュエリーデザイナーとして有名なTed Muehling 【 写真 31 】 は、自然をテーマにした繊細なポーセリンの作品が最近多いのですが、今回は彼の作品も含まれています。
Constantin Boymの「Still life Table」 【 写真 64 】 は、テーブルをキャンバスにみたて製作された家具の作品です。今回の展示は、ありきたりの食卓のアートでなく、いろいろな角度からみた作品群が選ばれて、時代、テクニック、環境、アートとクラフト、そしてデザインを含む広いテーマとして提案しているようです。
アメリカの美術館の特徴といえるクラフト・デザインが、日本とは違ってアートとして捉えているのが伺えました。
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 美術館のパーメネント・コレクションの見方は作品そのものだけでなく、それをどういう「つて」で美術館が手に入れているかが、見所です。
美術館が買ったもの、著名コレクター誰々の寄贈、アーティスト本人の寄贈と言う順ですが、アーティストの名前は必ず出るので、コレクターやギャラリーの名前などがある方が、価値が感じられます。美術館がコレクションに加えたくても予算が足りない場合など、ギャラリーに相談したり、その道のコレクターに相談したりして、買ってもらいます。また、コレクターがある時、全部美術館にまとめて寄付するということも多くあります。
日本の作品はそういう意味では、あまりチャンスがなく、アメリカの日本通のコレクターを通して、陶磁器や竹の素晴らしい作品が、美術館に多く寄贈されています。今回WASARAとFUNFAMのコレクションをお手伝いしましたが、経験を生かして、多くの日本の良い作品があちこちの美術館のコレクションに入る助けが出来ればと思っています。
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