第24回: トライベッカで行われた「NAMBE」50周年の記念展とパーティー (2001/5/16)


最近デザイナーブランドを打ち出して話題になりつつあるNAMBEが、21世紀に向けて、よりデザイン志向を全面に出して、50周年記念、新作発表パーティーを4月30日、トライベッカ(TRIBECA)で行いました。SoHoから少し下がったこのトライベッカ(Triangle Bellow Canal Street)のひと味違ったすっきりとした会場に、著名デザイナー達が続々と集まり、いわゆる企業のパーティーとは違った、なかなかよい雰囲気のパーティーでした。
NAMBE社は、1951年にニューメキシコ (New Mexico) で、非常に美しく丈夫な金属合金を発見したのをきっかけに、ごく小さい鋳物工場として始まりました。

何年か前、私が最初にこの会社の名前を聞いたとき、日本の南部鉄が出てきたのかと、思ったのですが、NAMBE社が新しく発見したこの金属合金には、鉛やピューター、銀も含まれていません。しかし、銀の光沢と鉄の耐久性を持っています。

作り方は伝統的と言うべきか、新しいやり方と言うべきなのか難しいところですが、まず手で形を作り、そして15人の職人によって磨かれて作られます。この経験豊かな職人達の作業が、それぞれのプロダクトの品質を、そのデザインと同じぐらいに完璧であることを保証しています。と宣伝していて、今迄のアメリカのプロダクトとは違った姿勢が興味深い会社です。デザイナー達が盛んにこの会社を注目し始めたと同時に、消費者を広げつつある注目の会社です。そして現在サンタフェ (Santa Fe) とニューヨーク(New York) にオフィスを持ち、国際的に販売する会社に成長しています。

Nambe 50周年デザイン展示パーティー会場風景(トライベッカ=ソーホーの下)

NambeのNew MexicoでとれるAlloyメタルの素材で始めた50年前の製品

 

 

今回の発表された新作の1つは、各デザイナーによる高質なクリスタルガラスの新しいライン。これには今迄もイバ・ゼイセル(Eva Zeisel)などの著名デザイナーが関わっています。

 

Eva Zeiselの作品

Eva Zeiselの作品

Eva Zeiselの作品

Eva Zeiselの作品

 

Fred Bould

Fred Bouldの New Iceコレクション

2番目は、今回初めてIce Collectionと銘うって5月から売り出される、フレッド・ボールド(Fred Bould)デザインの新しいフィニッシュに微妙なつやの手触りを持っている製品です。NUMBEの金属合金は常に鏡仕上げのポリッシュがトレードマークでしたが、このアイス・コレクションはNUMBE初のつや消しで、新しい方行の面白い6つのデザインを打ち出しています。
フレッド ・ボールドは、動き、流れと振動を提案し、光と影と水の間の動きに魅惑され、非常に冷たくて、そして正確と、このアイス・コレクションの デザインを打ち出しました。
彼はピッツバーグ(Pittsburgh)で、生まれ育ち、カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)で BFA を取りました。 彼はスタンフォード大学(Stanford University)から、プロダクトデザインのマスター学位を受け、その後ロンドン(London)でデザイナーとして働きました。
現在Bould デザインスタジオはパロアルト(Palo Alto)、カリフォルニア(California)に本拠地を置いていて、 彼はスタンフォード大学 (Stanford)とカリフォルニア大学(CCAC)で教鞭をとっています。
彼の作品は SFMOMA とシカゴ Athenaeum(The Chicago Athenaeum)の永久のコレクションになっています。

 

Neil Cohen

Neil Cohenの作品

Flicker Candle holder by Neil Cohen

Spiral Candlestick by Lisa Smith & Linda Celantano

Lisa Smith and Linda Celantanoの作品

Lisa Smith and Linda Celantano

Frederic Spector

Frederic Spectorの作品

 

3番目はアクセサリー・デザインで、ピーター ・スタティス(Peter Stathis)とビバリー・フィッシュマン(Beverly Fishman)によって、建築的でデザイン志向の消費者の為の小さいブローチ、リング、ネックレスとブレスレットを含めて、およそ20から25の項目のジュエリーが、この夏の発表を前に披露されました。
ピーター ・スタティス(Peter Stathis)はサンフランシスコ(San Francisco)で現在ヴァーチャル・スタジオを主宰していますが、1昨年まで、クランブルック・アカデミー(Cranbrook Academy of Art)のデザイン課の学長をしていました。他にもRISD やパーソンズデザイン大学院(Parsons School of Design)でも教鞭をとり、 彼の仕事はいくつかの博物館のコレクションとニューヨークの現代美術館(Museum of Modern Art)にも永久保存されています。 スタティスはプラット研究所(Pratt Institute)で工業デザイン(Industrial Design)のBAを受け、その後クランブルック・アカデミー(Cranbrook Academy of Art)からMFAを取りました。

ビバリー ・フィッシュマン(Beverly Fishman)も、クランブルック・アカデミー の絵画卒で、いくつかの博物館の永久のコレクションになっていて、世界中の芸術とデザイン出版物で紹介されています。また、彼女はフィラデルフィア大学(Philadelphia College of Art)とエール大学(Yale University)の卒業生でもあります。

Peter Stathis と Beverly Fishmanによる新しい コレクションのジュ エリー

左上:Karim Rashid、左下:Brian Lintner、右上:Peter Stathis、右 下:Beverly Fishman

 

Karim Rashidのランプ
Concaviaコレクション

4番目には照明コレクションが含まれ、カリム・ラシド(Karim Rashid) とブライアン Lintner(Brian Lintner) デザインよる照明器具が展示発表されました。カリム・ラシドの最新技術のコンピュータ・デザインと手熟練のコンビネーションによって引き起こされた照明コレクションは液体金属と頑丈で 持続性のある材料とのみごとな混合です。
光と空間と形、これらをConcavia、Para、Forma、Jazz、Martini、Windと題され、コレクションとして発表されました。

 

Karim RashidのランプPara

Karim Rashidの作品

クリスタル Bopp Vase
By Karim Rashid

Flareキャンドルスティック
By Karim Rashid

 

NAMBEは今年ク-パーヒュ-イット・ナショナルデザイン美術館(Cooper-Hewitt, National Design Museum)から、優秀な企業の賞(Corporate Achievement Award)をもらいました。 製品は今迄に、ニューヨークMoMA 、サンフランシスコ MOMAと、シカゴ Athenaeum等の永久のコレクションになっています。
パーティーにはフィリップ・スタルク夫妻、カリム・ラシド夫妻、ピーター ・スタティス夫妻、各デザイナー等が来ていて、社長も若く楽しそうで、こんなデザイナー志向の考え方の企業が成功していくのは、アメリカの社会が健康なのではと頼もしく思ったパーティーでした。

 

左:Numbe社長のJim Weyhrauch、
右:Karim Rashid 御夫妻と

Frog DesignのGery 夏目とPhilippe Starck

Philippe Starck 御夫妻と著者