国際美術工芸品フェア、SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)2007が、6月1日~3日の期間、パークアヴェニューのアーモリーで開催されました。昨年に比べ期間は短かかったのですが、来場者は金曜日は45%、土曜、日曜は20%の上昇のにぎわいだったようです。
SOFAの創立者でありディレクターのマークライマン氏は、「すばらしい来場者の数で常に混んでおり、ギャラリー売上も上がって、皆が楽しめた、記念すべき10回目のSOFAフェアになりました。」と言っていました。前夜祭には会場で、恒例のMuseum Of Arts & Designの為のギャラ・オープニング・パーティ、サイレント・オークションが行なわれ、スペシャルゲストで賑わいました。
入り口ではコンテンポラリーガラスで有名なHeller Galleryが展示を行い、今年は日本の作家や出展者も増え、SOFAが知られてきているのを感じました。
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日本人作家の作品が多数出展
NYで日本人の作家を多く扱うDaiichi Artsは、カラフルな現代陶芸作家の作品を出展していました。ブース110のChappell Galleryにもガラスや陶器の日本人作家の作品が目立ちました。ボストンからは、NY・SOFA初出展のKEIKO Galleryが、ユニークな日本人作家の作品を出展していました。Snyderman-Worksは、オリジナルの小物作品でおもしろいものを扱っています。日本人の作家は、作年は伊部京子氏、今年は山田アキラ氏の作品を展示していました。そして、招待状やカタログカバーにも写真が使われていた、アメリカでも知名度の高い陶芸の金子潤氏の作品は「Sherry leedy Contemporary Art」に展示されていました。
NYのトライベッカに店をもつ「GEN」は、織部の鈴木五郎をメインに見せて出展していました。英国在住の日本人、Junko MoriとHiroshi Suzukiの精巧な作品を見せていたのは「Clare Beck at Adrian Sassoon」。コネチカットの「Browngrotta Arts」は、熊井恭子他、沢山の日本人ファイバーアーティストを扱かっているので有名なギャラリーです。入り口近くにいつもブースを構える「Joan B. Mirviss」は、日本のギャラリーかと思ってしまうほどの日本通で、秋山陽、北村純子他の作品を扱っていてコレクターを沢山もっているようです。オーナーが日本語がうまいメルボルンの「Lesley Kehoe Galleries」では、初日の朝、作家の麻殖生素子が会場で表装をして、屏風のデモンストレーションを行ないました。皆、感心したり、質問したりと、勉強になりました。
会場ではジュエリーのブースが人気で売れていたようですが、やはり日本のアーティストが多数出展していました。初出展の大阪の八木アート「Art court Gallery」でも、日本の現代作家の作品が見ることができたので、良かったと思いました。
日本作家を特に取り上げましたが、来場者も解かってきているので、日本の良い「本物」をどんどん見せるべきだと、ますます思いました。
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今年100周年を迎えたニューヨークのJAPAN SOCIETY
NYでは今年日系人会(The Japanese American Association of New York,Inc)が100周年を向かえます。9月には大掛かりなギャラ・パーティーが予定されており、Japan Societyでも100周年の特別企画として様々なプログラムが企画されています。Japana Societyは、明治40年(1907年)の創立以来、100年にわたり民間非営利の日米交流団体として日米間の相互理解と友好関係を目的に様々な活動を続け、そして、今年創立100周年を迎えるにあたり、「創立100周年記念事業」としてニューヨークと東京にて様々な特別記念事業を開催中です。
その一環として、5月31日から6月10日までの間、日本が誇る最新技術に焦点を当てた11日間のサミット「テックエポック」を開催し、21世紀のライフスタイルを考察する「テックエポック」、デザイナーや技術者によるシンポジウム、講演会、ビジネス関連プログラム、最新ロボットのデモンストレーション、ハイテク舞台公演、学生対象ワークショップなど、様々な催しが行なわれた中の一部を今回ご紹介します。
「テックエポック」のハイライト企画で、日本が誇る最新鋭ロボットのデモンストレーションと共に、製作者によるコンセプトの紹介や、デザイナーよるロボットのデザイン、機能に関する解説などが行われました。
6日夜のプログラムでは、パロ(Paro)の解説をする柴田隆徳氏に、NYの年配の方達が真剣に聞き入っていました。次の会場でロボットFT(女性型ヒューマノイド)、クロイノ(chroino)Nのデリケートが動き、その紹介を高橋智隆氏が行なっていました。また、別の会場では愛・地球博に出展された、新しいパーソナルモビリティ・トヨタ自動車のi-unitが出現。トヨタチーム、橋本博氏の説明を行い、目の前で動くi-unitに、皆大喜びしていました。子供のプログラムは別にあったのですが、ここに来ていた少年達は真剣に質問をしたりしていました。このプログラムは20人程の小人数に分けて入れ替わるように行なわれましたが、定員以上の申し込みだったようです。
テクノロジー&デザインのシンポジウム
6月8日、9日のテクノロジー&デザインの2日間のシンポジウムは、日本発の先端技術が21世紀類の生活に与える影響と変化をテーマに、自動車、プロダクト、ロボティクス、建築技術といった日本の得意とされる分野での今後の展望と、それに影響されるライフスタイルを、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性や、近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について、各産業界のデザイナー、批評家、そして専門家を招聘し多角的に討論するプログラムでした。その中の6月8日6時半からの「ユーザーイノベーション:消費者優先のモノ作り」プログラムに参加しました。パネリストは東京電力株式会社執行役員廣瀬直己氏、トヨタ自動車東京デザイン部門部長布垣直昭氏、松下電力シニアアドバイザー、前パナソニック・デザイン社長植松豊行氏。消費者のニーズを意識した技術・商品開発や、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性、そして近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について討論しました。司会はカリム・ラカーニ氏(ハーバード大学ビジネススクールビジネスアドミニストレーション助教授)。
第2日目 2007年6月9日(土)
シンポジウム2日目は、技術とデザインが人々の未来の生活スタイル、移動性、都市計画、建築学的進歩、人とのふれあいや娯楽などにいかに影響を及ぼすかを考察するというもので、参加パネリストは西山浩平氏(エレファント・デザイン社長)、柴田文江氏(工業デザイナー、デザイン・スタジオS代表)、奥山清行氏(Ken Okuyama Design社長)、松井龍哉氏(ヒューマノイドデザイナー、フラワー・ロボティクス代表)、阿部仁史氏(建築家、UCLA建築部学部長)、高橋智隆氏、柴田隆徳、ニコラス・トンプソン氏(『WIRED』誌シニア・エディター)、クリストファー・マウント氏(ニュースクール大学Exhibitions and Public Programsディレクター)、クリフォード・ピアソン氏(『Architectural Record 』誌Deputy Editor in Chief)、アダム・バルキン氏(NY1TV、テクノロジー担当記者)。午後の阿部氏の未来のメガ・ハウスなどとても興味深く、いろいろ質問も出ていました。
盛り沢山のプログラムで参加できませんでしたが、10日の家族参加型プログラム「ロボットと交流~触わって感じる体験ワークショップ」は6日に行なわれたものと同じ様な内容。それにプラスして、SONYの新アイボや基本のロボットに子供達が顔を書いて完成させて動かすなど、子供が興奮するとても良い教育プログラムが、組まれていたようです。ただ、JAPAN SOCIETYの贅沢なプログラムに、観たり、聞いたりすべき、デザイン学生達が参加していないのがほんとうに残念でした
ICFF(国際現代家具見本市)
世界4大家具ショーのひとつで、北米一大きな国際現代家具見本市(ICFF)が、5月19日~22日の期間、NYのJacob k. Javits Convention Centerで行われました。19回目を迎えたICFFでは、今年もデザイン誌の編集者が審査員となって選ぶ“Editors Choice Awards”が開催されました。
ニューヨーク市内では協賛して盛り沢山のデザイン関係の催しが行われ、この期間を“ニューヨーク・デザイン・ウィーク”と名付けています。年々、マテリアルを主張して見せているところが興味をひきますが、環境問題と自然の素材が人気で、日本の作家の出展も多く見られ、賞も受賞していました。
新素材でブース賞を受賞したデュポンのブースをデザインしたのは佐藤佳子・Morris夫妻。ブースの壁もユニークですが、中で見せているコンセプトの展覧会は今迄のトレードショーでは見れないサイエンスMuseumで見せるようなで作品で、卵型のボールに座るとそれぞれの呼吸にあわせて、光が息をして、水の流れも見えるメディテーションの部屋です。
Body of Work部門ではKartellが受賞、ニューデザイナー賞はランプのエミ藤田とShane Kohatsu、岐阜の飛騨からも飛騨産業が単独で大きなブースを出展、クラフトマンシップの賞を受賞しました。家具で受賞したのはMODUSのブース。Seatingの部門ではBernhardt、カーペットと床材はKinnasandが受賞、照明ではTom Dixon。OutDoor FurnitureではRichard Schultz Designが受賞、マテリアルで受賞はRobin Reigi、Wall CoveringはDeborah Bowness、アクセサリーではNormann Copenhagen、TextileではDesigntex/s Sonic、キッチンとバスで受賞はALNO USA、他にMULtiple Produuctionの部で3Form Inc、Design Schoolの中ではFree University of Bozen-Bolzanoと盛り沢山のカテゴリーに分けられて賞がでました。会場中央ではイタリー勢が、すっきりとした白い空間で囲うようにしてミラノサローネを展示し、作品群を際立たせており、センスの良さを出していました。
作年も出展していた、イギリス政府に支援された「Japan Contemporary design」は、イギリスに住む日本人デザイナーが5ブースほど、それぞれの作品を展示していて、とても活気がありました。このような事を日本の政府が出来ないのは残念な事です。今年もIDSA(アメリカ工業デザイン協会)が、新進のデザイナー達をサポートした、壁沿いのブースや、学校別のブースはユニークな作品でおもしろかったのと、ハンドメイドの方でオーストリアン・デザインをまとめて初出展していて、目新しさを感じました。いつも人気の即売ブースDESIGNBOOMは、例年と違ってきちんと並べたブースになっていましたが、日本からの個人の出品も多く、手作りデザイン商品を売っていて、面白いものが見つかるコーナーでした。
Off Site(InsideOut New York)
毎年『INTERNI』誌が、プログラム小冊子を発行します。冊子の半分はNYデザイン情報保存版、もう半分は日毎に分けたOff Siteプログラム(期間中行われる街中のイベント)で、今年もあちこちのショールーム、ギャラリー、イベント会場に、INTERNI誌の用意した旗が飾られました。同時に趣向のこらしたパーティーが毎晩10~20も開催されるため、これを選んでハシゴするには相当なエネルギーが必要でした。参加することのできた範囲のショールーム、パーティーのスナップをお届けします。 招待状でRSVPのでは、NoHoにあるインテリアデザイナーClodaのスタジオのパーティーに参加。翌日トライベッカの三宅一生ブティックのパーティーは、若手アーティストYazmany Arboledaの球をコンピューターのドットのように使って、キャンバスがわりにイメージを表現している作家の発表の場にしており超満員。近くの家具のDUNEストアーも同じ日にパーティーがありハシゴをしました。
SoHoのアパートメント・ストアーは、入場したい人の長い行列ができており、その入り口で綿菓子がふるまわれてたのと、前のニューヨーカーの賑わいを写真に収めて、入場はパスしました。スケジュール盛り沢山の21日月曜日は、200レキシントンのDesignCenterでもパーティーがあり、その中のDenisMillerのショールームのパーティーに参加して大急ぎでソーホーに移動。Greene ストリートがハウストン・ストリートからグランド・ストリートまで協賛ストアーが同時にオープニングをするというので、まず、ハニーラシッド・デザインのアレッシィストアーを覗きました。我々が着いた時にはもう終っていましたが、ここではフライパンのデザインをしたデザイナーが自らパスタを料理してサーブしたそうで、行列だったそうです。昼間写真だけとっておいたイタリア貿易委員会とミラノ商工会議所等が協賛の「イタリアのテーブル・デコレーションと家具」の期間限定ストアーが続けて2軒出ていて、メイド・イン・イタリーをアッピールしていました。
200点のイタリー製のプロダクトに70人のイタリアのデザイナーが関わったそうですが、ケータリングのフードもおしゃれ、ワインも一流で、さすがイタリーだと皆感心していました。Greenストリートの賑わいは続いてMorosoのショールーム、ブティックDIZEL、家具のKartellも人だかりができていました。最後のIngo Maurerの今年の新作は、印刷前の歯磨きチューブを並べて吊るし、ランプにしていました。Ingo Maurerのいつまでも若い活力には、感心しています。パーティーは入りきれない人達が通りまで溢れ、最後まで余韻を楽しんでいました。
ソーホーだけでなく、今最もホットなミートパッキング・エリアも家具のVITRAのショールームのパーティーを中心に、14丁目のブティック、家具店が同時開催して盛り上がりを見せていました。最終日はSurfaceマガジンのパーティーがブティックで行なわれましたが、飲物と人混みに酔うといった状態。OFF Siteは、どこも作品がほとんど見れないほどの混み具合なのですが、デザイン界の有名人、知人達に会い、今後の傾向をキャッチする、ソーシャルな催しとして毎年大きくなってきています。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影