Williamsburgのデザイン・イベント「FIRSTOP」
マンハッタンから一駅「ウイリアムスバーグ」
マンハッタンから地下鉄に乗り一つ目の駅で降りると、ウイリアムスバーグ(Williamsburg)に着きます。この一つ目の駅(first stop)から「Firstop」とタイトルをつけて、 Williamsburg 地区のショップ、ギャラリー、デザイナーなどが参加した初のデザイン・イベントが9月28日(土)、29日(日)に開かれました。参加したのは、67軒のショップ、スタジオ、ワークショップなど。今回はその様子と Williamsburg を紹介します。
Williamsburg は1905年にローアー(下の方)・マンハッタンから橋が渡され、工場地帯、倉庫、労働者階級、移民の街として発展。ラテン系、ヨーロッパ、ノースアメリカ、アジア、アフリカなど世界各地からの移民家族が住む地域でした。
80年頃まではまだ、麻薬や射撃事件等が発生する危ない感じの地域でしたが、この数年で家賃が$400から$2000ドルと上昇し、新しく移り住む人達も増えて、アーティスト・コロニーへと変化してきて、若者の賑わう街にかわってきています。
SoHoやチェルシーとも違って、小さいスケールの店などが多く、グリニッジ・ビレッジを思わせる雰囲気です。
この Williamsburg の発展に一役買っている女性に日本人のアーティストでディレクターの二居祐子さんがいます。
彼女は1996年に基金を集め、ビルディングを購入して「Williamsburg Art & Historical Center」を作りました。1999年からはWilliamsburg Art Cuture Festivalを開催。アーティスト、ギャラリー等と一緒に地域発展のイベントを実施して、外部からの注目を集めるようになりました。その頃からギャラリー、レストラン、ショップなどが、 Williamsburg に移り始めたようです。
おどろくような変わりっぷり
4年くらい前、Galapagos というクラブで、インテリア・デザイナーのバースデイ・パーティーがありました。かなり怖い感じの会場をやっと探し当てて、入って見たら、水をひたしたファサードに不思議な空間のクラブで「こんな所に!」と感心して以来、雑誌や新聞でちらほら記事を見て気にはなっていましたが、今回この「Firstop」に出かけて、ここまで発展してたのかとびっくりしました。
「FIRSTOP」の企画は、プロダクト・デザイナーの Klaus Resbury(SONIC Design Studio)とグラフィック・デザイナー&ライターの中国系女性 Cindy Hsiao、そして NY Design Room のGgrippo が世話人になって、オーガナイズされました。
おどろくような変わりっぷり
Williamsburg までの地下鉄ルートの一つは[J.M.Zライン]で一つ目の Marcy Avenue で降りるか、14丁目を横切る[Lライン]の一つ目の Bedford 駅で降りる方法です。
私が乗った Bedford 駅を降りて、地上に出るとすぐに案内販とチラシが山積みされてあり、若者があふれイベントの盛況を感じました。
広範囲のイベントなので、全部を見ることはできませんでしたが、日曜日だったので、教会の前を通ったら、大勢の盛装した家族が出てくる光景にも出くわし「しばらく目にしてないな」と、アット・ホーム Williamsburg の一面も感じました。
「FIRSTOP」の Map をたよりに順繰りに見学しましたが、最初に若者が吸い込まれていく CRYPTO ブティック入りました。
まず「この壁は塗りかけなのかどうか」つい聞いてしまいましたが、なるほど、デザインでした。
おどろくような変わりっぷり
Klaus Rosburg SONIC Design Studio のあるビルは区分けしてあり、いろいろなスタジオにスペースを貸し初めているようです。コンピュータ系のスタジオなどが入っていて、そのオープン・ハウスもあり、新しい動きを感じさせます。
その前の通り North 3rd Street と Wythe アベニューのダイナーの前はオートバイと若者であふれていて、「今Williamsburg は」という感じでした。
昔からある工場地帯、ブローグラスのスタジオもオープンハウスをして、その行程をみな熱心に見学しました。小さなスペースの Sideshow Gallery で、ひょっこりと、昔に私のギャラリーでも家具を見せてくれていた彫刻家で著名な Forrest Myers の新作も発見しました。
Sideshow Gallery で Forrest Myers の作品
LANDING ブティック・オーナーの一人、Lacy Vancour
5カ月前にオープンしたそうで、アーティストとして絵画を学んだが、今は他2人のパートナー Elene Bredin, Tim McLoughlomとLandingを経営する
BETTERNCOURT WOODWORKINGのオーナーデザイナーBart Bettencourt
LANDING 若手アーティスト、ジュエリーデザイナーなどのトレンディーな発表の場
これから人気になりそうなタイ・レストラン————「SEA」
ショップやデザイナースタジオだけでなく、今ここではレストランも人気のようです。「Planet Thailand」も、マンハッタンから皆出かけて行くので、以前から噂のレストランとして耳にしていましたが、6日前に開いたばかりというタイ・レストランの「SEA」、皆に勧められて行ってみました。
噂通りに、木と水など自然を生かした、オープンな安らぎを感じさせるレストランでした。入ってすぐ右手には、子供も楽しめる待合い室があり、ハイテク画像を楽しんだり、丸いブランコ椅子も楽しめます。中央には船を浮かべた水槽があったり、トイレの間仕切りにはチェーンでできたカーテンが波打ち、目を引きます。
実際、子供づれも多いのが、Williamsburg ならではなのでしょうか。味が良く価格も手頃でごきげんな1日を過ごせる「SEA」は、Williamsburg にもう一つの魅力を追加させたようです。
私も倉庫街の時代から SoHo の中に住んでいるので、毎日すこしずつの変化として感じていますが、良く考えると、今の変化は20年前から比べて、別世界の感じがします。
NYの、常に動いている、めざましい発展は、この Williamsburg 地域を近い将来、富裕な豊かなホームグランドにするのでしょうか?
いずれここへGAPやスターバックスが入ってきて、観光化し、家賃も高くなり、昔からの人が逃げ出したくなることのない、良い発展を願います。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影