ニューヨーク・モーターショー
ニューヨークで毎年行なわれるニューヨーク・モーターショーは、大変な賑わいで人気ですが、他のトレードショーとは違ったエンターテイメント的要素やテクノロジーにしのぎを削っていて、それぞれお金のかけ方も違う様です。
今回、プレス・コンフェレンスを午前中だけ見るチャンスがありました。基調講演は人気者のNISSANのC・ゴーン氏。その後は、トヨタが別の会場でLexusのコンセプト・カー「LS600 HL」を劇的にご披露し話題を集めていました。 展示会場の中でも日本、アジア勢に活気を感じ、他はあまり元気がないように見受けられました。
これまで気が付かなかったのですが、ニューヨーク・モーターショーのオフ・サイトでいくつもイベントがあることを知り、取材へ行ってきました。
Lexus 豪華なケータリングパーティー
4月7日はチェルシーのDia Art Centerで、John Chamberlain(車のボディーの金属を素材にした彫刻で有名なアーティスト)の作品の中で、Lexusのパーティーが行われました。
氷で作られたキャビア・ルームと最高のケータリングでスペースも素晴らしく、車のプロモーションのパーティーだけではもったいない程の文化イベントでした。招待客に、NYのミュージアムやギャラリー、文化人達がいて欲しいと思いました。
Lexus、フォルクスワーゲンのイベント
4月11日には、もうひとつ、Lexusの豪華なケータリングのパーティーが、今流行の大きなイベント会場、SKY Light Galleryで行なわれました。こちらも、プロモーション・パーティーのひとつのようですが、ニューヨークの文化人を交えての文化イベントにまで発展していないのが惜しい気がしました。
同じ日、ミッドタウンのイベント・スペース・メトロポリタン・パビリオンでフォルクスワーゲンのイベントがありましたが、こちらは若いニューヨーカーを相手に盛り上がっていました。
HONDA、メルセデス・ベンツのイベント
その次の週、4月20日には、今度はHONDAがSKY Light Galleryで、若手ミュージシャンをサポートするイベントを行い、沸きかえっていました。その日は、SKY Light Galleryの向かい側のスペースでも若いヒップホップのミュージシャンを後援するメルセデス・ベンツのイベントがありました。
ゲストは、とてもベンツを買いそうに見えなかったのですが、税金対策なのか、様々な人種を入れなければならない社会貢献制度の実行なのか、NYでこんなに車のオフ・サイト・イベントがあるとは知らなかったため、様々な経験ができました。
High Line高架橋の緑地公園化の鍬入れ式
ウエストサイド・スタジアム倒壊プロジェクト同様、夢で終わるかも、という懸念を吹き飛ばし、4月10日、High Line高架橋の緑地公園化の鍬入れ式典が行われました。2004年、コンペで緑地公園化案が決定してから、いよいよその実現の第一歩を踏み出しました。
レールを外し雑草を抜いたHigh Lineの一部は、翌日までのぐずついた天気で泥濘状態になり、完成させるのに苦労した、と関係者が言っていました。式典当日には、砂利がひかれ皆が上がれるように綺麗になっていました。
High Lineの歴史は、第64回のリポートで紹介しましたが、High Lineは、ウエスト・チェルシーの今現在最もファッショナブルな、ミートパッキングエリア上の花が咲き誇る自然地区として、開発が進められて来ました。ことに、ラドルフ・W・ジュリアーニ前ニューヨーク市長とチェルシーの地主達が、コンクリートが落ちて危険だからとHigh Lineの倒壊を訴えた際、逆にこの区画された自然地区をニューヨーク中が猛烈に大切にし始めました。それをきっかけに、緑の点在する地区の保護を目的にフレンズ・オブ・High Lineグループが誕生したのです。アーティスト、高額寄付者、映画俳優・女優、そして政治家までもが、この全く実用的ではないアイディアに賛同し、フレンズ・オブ・High Lineのメンバーに加わっています。
式典にはデザイナーや上院議員、俳優が参加
今回の式典には、デザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ、バリー・ディラー、俳優ケビン・ベーコン、エドワード・ノートン、上院議員のヒラリー・クリントン、チャールズ・シューマー、そして、マイケル・ブルーンバーグニューヨーク市長が結集しました。式典の後、12丁目のHigh Lineまでのブロックにもテントの会場が設置され、郊外の自然の雰囲気をイメージしたケータリングで一般客の為の式典やパーティーも行なわれました。撮影台が設けられていて、High Lineを背景に、工事に参加したポーズで写真を撮ってくれるフリーのコーナー(→写真はこちら)や、高架線路に繁殖した芝生を鉢に移したものを持ち帰れるようになっていたりと、記念日となりました。
俳優のエドワード・ノートンは次のように述べています。「実際に自然が生まれるだけの長い間、放置されていたのが、その事を足がかりに、誰も注意を払わなかった場所を緑の美しいスペースとして、開発する事になるとは、とても素晴しい事。High Line開発のアイディアはすばらしい、大好きです。」・・・私はこれにまったく同感しました。
未来型の第2のセントラルパークを目指して
2008年完成予定の、ディラー・スコフィディオ+レンフロ、ファーム・フィールド・オペレーション、といった豪華な建築家陣によるHigh Line公園計画は、野生の緑を残しつつ、様々な角度から洗練し丹念にデザインされ、透明の通路や、商業用のスペース等もデザインに含まれているそうで、未来型の第2のセントラルパークが出来るのではと、今から楽しみです。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影