世界で初めての、コンテナーを使ったNomadicMuseum(移動美術館)
3月5日、坂茂氏が設計した画期的なNomadicMuseum(移動美術館)が、Cityの特別の許可のもとオープンしました。チェルシーのHudson River Park Pier54(13丁目)にて6月6日まで開催されています。
45,000 Square footの船着き場に、万国共通のスティールのコンテナー(運搬用梱包箱)をチェッカーボードのように148個積み重ねてできた囲いがMuseumの外壁です。 中の柱は、坂茂氏が設計でよく使用する、防水のボール紙の紙筒です。その75cmの円柱が整然と立ち並んでおり、厳かなこの展覧会にふさわしい雰囲気を醸し出していました。
人と自然を相手に13年間記録し続けた映像
展覧会は「Ashes and Snow(灰と雪)」というタイトルの、Gregory Colbertという写真家の写真展です。彼が13年かけて、エギプト、ビルマ、スリランカ、ケニヤ、エチオピア、トンガ、アゾレス諸島、南極大陸等で、象、クジラ、イーグル、レオパート、ゼブラ、チータなどの動物、人と自然を相手に記録し続けた映像から特別な手法で和紙にプリントした作品です。
コロムとコロムに間に4方からピアノ線でつられ、一番奥にはこの記録映画を1時間に編集した映像が繰り返し流れています。野生の象や鯨と泳ぎ踊る人間(一部はGregory自身)、豹やイーグルと戯れる現地の子供・・・。編集担当は2度のアカデミー受賞者、Pietro Scalia氏です。
この詩のような映像は、9・11以降のニューヨーカーの心を癒してくれるに違いありません。セントラルパークで行われたクリストのゲイトが終わり、タイムリーにこの新しいMUSEUMが出現し、スペースそのものが話題になってNYは常にエキサイトしています。
12月にはロスアンジェルスで開催
建築家 坂茂氏のこのMuseumの発想は素晴らしく、この展覧会後、これらのコンテナーは倉庫に返却し、次は12月ロスアンジェルスにて、現地のコンテナーを使ってMUSEUMが造られるそうです。
ファッション写真とも見える、やさしい詩のようなこの写真のGregory Colbertよりも建築の方が絶賛されています。しかし、クリストの自前のアース・アートといい、写真家Colbertの、坂茂氏を選び自分の力でここまで発表して見せるその姿に、これからのアーティストの姿勢が変わっていくような予感を感じました。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影