第107回 Art Basel Miami Beach と Design Miami

マイアミ・ビーチで12月5日から9日まで「アート・べーゼル・マイアミ」と「デザイン・マイアミ」が開催されました。浅い歴史にも関わらず、大変話題のこのフェアーを是非この目で見たい!と雪の降るニューヨークから、暖かいマイアミへと出かけました。スイス発のこのArt Baselをマイアミでも始めたのが6年前で、その後、デザイン部門が3年前に加わりました。スイスではヨーロッパのバイヤーがほとんどだそうですが、マイアミは世界中から、バカンスを兼ねて訪れるので、年々その規模が大きくなり、景気の低迷が嘆かれているにも関わらず、今年は、プライベート・ジェット機が何と、去年を上回る220機も乗り入れたとの事。マイアミ・コンベンション・センターで行われるメイン会場の他に、大小のフェアーだけでも22カ所もあって、シャトルで回ったり車で回っても、場所、駐車場を探すだけでも時間がかかりひと苦労です。至るところで、NYのSOHOを盛り上げていた頃の懐かしい友人達に出くわしましたが、現在は皆フロリダに隠居しており、それが、こういう動きを呼んでいるのではと思いました。 初日には「コレクター、バイヤーが先を競ってアートを購入」と翌日の新聞に出ており、その後毎日、9万ドルから45万ドルでどの作品が売れたなどと報道されていました。Bigger is Betterなのかこれでもかというサイズ、17フィートとか、26フィートのアートをNYからのバイヤーが買い付けたりもしているそうです。マンハッタンの中ではこのサイズはどうなのか、と余計な心配をしていたら、「ヨーロッパにある別荘に」とか、流行の「プライベート美術館により目立つものを」とそのコレクションのための買い付けだとか。 デザイン・マイアミは、デザイン・ディストリクトとして、MOOREビルディングを中心に開発中で、すでに有名店やギャラリーがいくつも出店しています。会期中は毎晩そこでパーティーなどが催され賑わっていました。MOOREビルディングの吹抜け部分に、第1回「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」のザハ・ハディドの受賞作品が展示されていて象徴的です。第2回目は、マーク・ニューソンが受賞、そして3回目の今年は、日本の吉岡徳仁が受賞するというので、話題を集めていました。 彼の展示はこのビルの4階で、入った瞬間、竜巻の水しぶきか煙りで霞んだような錯覚をおこす、特別に作ったストローで覆いつくされていました。アメリカでは未発表の作品が多く展示されていたので、来場者は質問したり、感心したりで、映像ピデオにも熱心に見入っていたようです。展示するに当たって、真っ白なカーペットが、沢山の来場者に汚れないかという心配も懸念されていたようですが、最後まで白いままで素敵でした。 MOOREビルディングの1ブロック下に坂茂の「 Space of Silence」 Artekパビリオンの展示があり、もう1ブロック下のロフトの中では、Morris Sato StudioのDuPontの「Light Showers」の展示がありました。その中の特設会場ではジョージ・ベルリアン・吉岡徳仁等のパネル等も行なわれました。 Art Miamiのメイン会場となるコンベンションセンターは、マイアミ・ビーチにあり、世界中からギャラリーが出展し、作品サイズとその価格でも話題の作品を見る事ができました。その周辺、ダウンタウンでは「Briage Art」「Flow」「Red Dot」「Ink Miami」など、それぞれ若い作家達の作品を紹介していました。 橋を渡るとこれから新しく海辺に移ろうとしている、Miami Art Museum (MAM)があり、アートを見せる為に建築を考えたというジャック・ヘルツ(Jack herzog)構想構想の模型や、紹介のVideoの上演をしていました。また、NYのMoMAから移動してMAMのキューレーターになったテレンス、建築家(Jack herzog、Terence reiley and doug aitken)等による講演会などがダウンタウンのコロニーシアターで催されましたが、話題のセレブ達も入れなかったほど超満員でした。 MAMからわりと近くに、リサイクルや既存する物だけで作るユニークなアートが展示される美術館、Cisneros Funtavals Art Foundatio (CIFO) が、その先にはNAD Art Fair Miamiがありました。またCASA Decor 07も倉庫を会場として利用し、見応えのある展示でした。少し離れてPULSEが見られ、ここの2階には、日本の若手アーティストが参加しているGEISAIが展示しており、その先にはMOCAがありました。ZAHAの展覧会は少しわかりにくい倉庫での展示でしたが、どうにか辿り着き、知人から聞いていたとおり、その素晴しい作品とスペースの規模の大きさに圧倒されました。これだけ動きまわっても、いろいろ見過ごしたり、出れないパネルや講演もあり、セレブのファッション、NYとはひと味ちがうパーティーの賑わいもあり、 盛り沢山のショーでした。 このアートマイアミが大変な人気を呼んでいるのには、ファイナンシャル関係で働くインベスターらが、Weekdayは仕事をしながら、週末にはマイアミに飛んで来て、若手アーティストの作品を投資目的に買うバイヤーになっている事実にもあるとのこと。しかしこのファイナンシャルの人達が、アートやアート・ソサイティーの状況に大変詳しいのにも関心させられました。日本の経済界の人達には、アートがここまで理解されてないのでは、と思ったものです。スケール、財力すべてに刺激されたショーでした。 マイアミがこれからの動きとして、アート発信地になるのでしょうか? ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第106回 アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF) 他

アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF) 第1回アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF)がニューヨークのピア92(52丁目/12番街)で11月9日から12日まで開催されました。 初めてのアジアの現代アートということで、業界で話題を呼び開かれ、注目を浴びましたた。ギャラリーと出版社合わせて出展者の数は94。その内訳は、アジアから出展のギャラリーが、韓国-25、日本-14、中国-8、インド-2、インドネシア-1、ベトナム-1。ヨーロッバが、ドイツ-2、イギリス-1、フランス-1、スイス-1。アメリカからは20で、そのうち19がニューヨークからのギャラリーとのことです。 過去5年、アジアのコンテンポラリー・アートにコレクターや業界の興味が高まっている中、今回のフェアーでも、売上げ概算12ミリオン(米ドル)という実績をあげたそうです。フェアーディレクターのThomas Arnold氏は、国際的に名が知られてきているアーティスト、Xu Bing(シュ・ビング)の他にも、今は無数の中の一人のように見えるアーティストも、高く評価、注目されている、と言います。 このフェアーの作品の価格が主に$15,000~$80,000というなか、$950で売買される手頃な価格の作品も見られ、人気を呼んでいたようです。会場の作品は、絵画、プリントで国際的に評価されているZhang Xiaogaug、草間弥生、Nam Jun Pike、Yue Miryun等も含まれ、テクニーク、素材、において様々なクリエイティブな作品が出展されていました。また、このフェアーのメイン・スポンサーは韓国の化粧品会社とのこと。 実際に観た感じから、初めてということもあり、多少勘違い的、的の外れた出展者も見受けられましたが、このところのアートシーンの傾向が、アニメブーム、オドロオドロしい作品にあるなか、真剣にアートに取組んでいるアジアのギャラリーがいくつもあり、久しぶりに素直なアートに出会えた感じがしました。 International Hotel / Motel & Resaurant Show(IHMRS) International Hotel / Motel & Resaurant Show(IHMRS)がJacob Jabits Centerで11月11日から13日まで行われました。通常ホスピタリティーショーとして知られる大規模な展示会です。 Luxury Product Collection (LPC)は3500~3900番のブースでアメニティや、テーブルウェア、豪華なトレンド・プロダクトを展示。また、テクノロジーと開発センタ-も設けられていて、ソフトウェアーの開発などもHospitality Upgradeマガジンの後援で行われていました。 私が興味をそそられたのは、学生達によるお菓子のコンペとディスプレーで、毎年開催され、139回を迎えるThe Society Culinary Philosophyの主催するAnnual Salon of Culinary Artのコンペティション。有名なマスターシェフからアマチュアまで、コンペティションに参加し、その中には、マスターシェフによる料理教室、デモンストレーション、ペーストリー・シェフ(菓子職人)などのブースもあり、その場で受賞が発表され、現金が与えられるアワードもあり、それぞれ真剣に取組んでいました。 ホテルのほうはあまり観る時間がなかったのですが、お菓子のコンペの展示はそれぞれとてもきれいで、甘い魅力的な作品が沢山展示されていました。 このお菓子の部門の出展者は主に、 Culinary Art Academy (スイス)DCT International Hotel Mgt & Culinary Arts School, Educational Institute of AH&LA, Florida State University, International CHRIE, Johnson & Wales University, Kendall Collage, Les

第105回 The MoMA Design Store & Chilewich他

The MoMA Design Store & Chilewich Chilewichとの10周年を祝うカクテルレセプションが10月11日に、MoMA Design Store Sohoで行われました。雨模様のぐずついたお天気の中、関係者が大勢集まりました。Accent on Designでは大きなブースを持ち、メキメキと大きくなってきているChilewich。変わった素材でランチョンマットなどインテリア小物を手掛けている会社です。 Sandy Chilewichは建築家の夫の協力のもと、建築素材に使われるような、今まで利用されなかった素材を使って、ランチョン・マットなどを作り、大成功しました。 最初のMoMA Shopとの関わりは1997年のRay Bowlsで、スパンデックスの合成繊維を使った伸縮性の取り外し可能なカバーの、フルーツトレイで成功を収めました。その後、彼女はplacemat、床マットとテーブルまわりのアクセサリーに独自のコレクションを持ち込み、また、MoMAからの要求も取り入れて、MoMAとChilewichの10周年の記念を祝いました。彼女の商品は全て米国で作られています。 OKハリス・ギャラリー SOHOの名門、OKハリス・ギャラリーで行われているLarry Kaganの鉄と影の作品展が、10月20日から11月24日まで開催されています。 OKハリスは、NYの有名アーティストを何人も輩出し、SOHOを有名にしたアートシーンを築いてきました。現在も健在の名門で、ここで展覧会を開催することを夢見るアーティストが多くいます。 いつも一風変わった企画展で、現代の動きを見る事が出来るので、時々のぞいています。 時々展示されている鉄と影の作品を見ては、“不思議な影だが、多分ペインティングで描いているのだろう”などと解釈していました。今回、Larry Kaganの個展で本人にも会い、この不思議な作品を良く知ることが出来ました。作品の大事な要素である照明のあて方や、3点の作品では時間で照明が消えたり、ついたりするような仕掛けをして見せていました。 彼は鉄の彫刻家で、プリント・メーカーでもあります。昔は、鉄の作品の為にスケッチを描き、それに沿って鉄をカーブさせて作品を作っていたそうですが、出来た作品の影がうるさく、その処理に苦労していたそうです。ある時、影の主張が面白かったため、逆の発想をし、影にあわせた鉄の作品を作ることを思いつき、これらの作品にたどり着いたそうです。 細い鉄線の影とは思えない平面を塗りつぶしている影の作品は、どう見ても不思議で、展覧会を見に来る人々も、作品のそばで手をかざしたり、影を消して試したり、上や下から見たり、この不思議な作品に感銘していました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第104回 DigitalLife ショー

NYで2004年から始まり、今回で4回目を迎えるDigitalLifeショー。 実際のショーに先立ち、2ヵ月前の7月12日、ホテルを会場にしてプレス・レセプションが行われました。そこでもテーブルに新製品を並べての説明があり資料が配られましたが、全てを理解するのは、難しく、実際のショーに出かけて今時のデジタルライフに触れてきました。 毎年変化しているデジタルテクノロジーに注目していて、総計5万人の来場者で賑わったそうです。初日をプレスのため、2日目を教育の日として、9月27日~30日までジャビッツ・コンヴェンション・センターで行われました。 今年のキーノート・スピーカーは、HP(Hewlett-Packard Company)の副社長のPHIL McKinney氏)、MicrosoftのJoe Belfiore氏、iRobotのCeo Colin Angle氏や QUALCOMM IncのJeff Belk氏等が出席、DigitalLife Theaterでは、時間を区切って、40あまりのパネル、ディスカッション、説明会などがあり、子供のための安全なOnline、このホリデーシーズン、何が人気か、などが討論されていました。 Onlineでの売買のセミナーでは、その道専門のeBay Univerisityの他に、今回初めて登場のTweenMashupをYpulseが紹介、マーケットの拡大を計っていました。 会場はLifestyle Zonesを拡大して、来場者が商品に直接触れたり理解できるように、テクノロジーチームのサービスグループを配置しました。 そして、Mobile Living Zone、the DigitalKidz Zone、Digital Defense Zone(Safety&Security)、Digital Memories Zone、そしてWeb 2.0 Zone等もおかれ、それぞれにテクノロジーチームがデモンストレーションやプレゼンテーションのヘルプをしていました。 TOSHIBAが大きなブースを構えており、子供向けのデジタルゲームや玩具と連動したもの、若者向けゲームが圧倒的に多く、ロボットはやはり人気だったように思いました。 DigitalLife PRO/AM Video Game Tounament等もあり、入場料を安くしたことで、ゲーム好きな若い挑戦者達で、会場は賑わっていました。 Video Gameの説明で、写実に見える景色や人間など、その技術には感心しましたが、それだけに、むやみに撃ち殺し進んでいくゲームに辟易しました。一部にすぎないのかもしれませんが、ただでさえ恐ろしい国際状況の中、なぜこんなゲームを作って若者を夢中にさせるのか、制作者側は考えるべきではないかと思いました。 二人のイサム展 二人のイサム展が、Noguchi Museumで2008年3月まで開催されています。 そのオープニングが9月19日にあり、恒例のシャトル・バスがパークアヴェニュー54丁目から出発し、マンハッタンから来る人々の為に、大型バスで送迎してくれます。日本からは、剣持事務所の松本氏、剣持一家、松戸の森仁史氏(松戸市教育委員会・学芸員)も出席され、NYのゆかりの方々や、Noguchi Museumのファンも大勢出席し、和やかなオープニングでした。 日本の戦後、最初に皆が馴染んだ、なつかしいモダン家具達。「これも剣持勇だったの」とか、「これはイサムさんの・・・」などの声が聞こえてきました。 カタログからの一部を抜粋すると、剣持勇とイサム野口は、1950年6月24日に、東京大学にある建築家・丹下健三研究室で最初に会いました。剣持勇が技師として働いていた工芸試験所にイサム野口を誘ったのがきっかけで、同じ年のその8月から、イサム野口はアトリエとして2週間をそこで過ごし、剣持が指導して作っていた日本の竹を編んで作るイスに大変興味をそそられ、自分のアイディアを入れさせてくれないかと剣持に持ちかけ、剣持が快く受け入れて、イサム野口の得意の鉄の分野で、鉄を曲げて足の部分や全体を支える構造の部分にとりいれることで、2人のコラボレーションによる、今迄にない形の竹編みのイスができあがりました。 このBamboo Basket Chairは、もう実在してませんが、この展示会の為に「Bamboo Basket Chair」株式会社剣持デザイン研究所が協力し、日本の株式会社Y・M・Kと近藤昭作氏の手で、復元され展示されています、と記されています。 戦後の不自由な日本の時代に、真剣に新しい日本のデザインに取組んでいたデザイナー、そして今も力強く世界に誇れるモダンデザインを残してくれた先生(私は実際に習った事があります)を誇りに思い、現代の余りすぎる軽薄なデザインやアートの現実に、考えさせられました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第103回 恒例の8月のAccent on Design

NY恒例のAccent on Designが、8月12日~16日の期間、ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで開催されました。ショー全体で観客は4万人、50州、75カ国から2700社が参加しているそうです。 今回、全体的にギフトショーのサインのグラフィックが変わりました。Accent on Designのサインは、昨年のピンクのから、今回は黄緑に一変し、リフレッシュしているようでした。Accent on Design側のロビーでは「サスティナビリティー」をテーマに打ち出して展示スペースを広くとり、展示器具も凝って、サスティナビリティーの商品を集めて展示していました。 今年のAccent on Design Awardに選ばれたのは、ベスト・ニュ-プロダクト・デザイン部門が2社、ベスト・コレクション部門が2社でした。 ベスト・ニュ-プロダクト・デザインにはブース3871で展示したニューヨークの「mmckenna LLC」社のOrchadia Lamp mobileで、Mark Mckennaデザインの新しいテクノロジーによる繊細な美しさが評価されたようです。 もう一社はニューヨーク、ブルックリンのSmallpond。Establish & Sons社を代表。そのSebastian Wrongによるデザインの「Font Clock」で受賞。再考案された時計に新しい字体を使うことによって、お馴染みの時計の機能に、コンテンポラリーな面白みを与えています。 取扱う商品のコレクションが評価され、与えられる「ベスト・コレクション」には、メキシコ・シティーからやって来たDFC Mexico Cityが受賞しました。 今風なポップカルチャーでコミカル、そして今回、メキシコから初出展というのも歓迎されたようです。 「ベスト・コレクション」もうひとつの受賞は、カリフォルニアのSan Carlos から出展の Charles & Marie, Inc で、インターナショナルなライフ・スタイル・グッズのセンスの良い選択と、そのコレクション そしてプレゼンテーションが高く評価されました。 ショーの2日目、月曜の夕方、ジャビッツ・センターのロビーを仕切ったパーティー会場で、2月の受賞者と今回の受賞者両方の発表、授与式が行なわれました。 発表、授与式で、例年のごとく、審査員一同が並び催されましたが、参加者が年々減っていくように思いました。展示を終えた後という時間帯のせいもあり、クライアントと食事に出かける人、疲れて休みたい人など、アワード離れなのでしょうか? Gallery91は今回、日本から参加の照明器具、DI CLASSEを前面に出しました。彼らの、その繊細でとても薄い紙のように思わせる、本物の檜で作られたシートを使ったランプも、今回のテーマ「サスティナビリティー」にぴったり合い、ランプと全体の雰囲気がコーディネイトされたディスプレイ共々、好評でした。 初日はかなりの人出も見られ、ショーに活気が戻った感じで、久しぶりに日本からのバイヤーも多く見かけた気がしました。 Accent on Design部門以外のギフト・ショー会場では、JETROのコーナーに出展した日本のブース、タオルをケーキに見立てラッピングした「La Patissier」が人気を呼んでいました。他には、「マーナ」や、「家田紙工」も出展していました。 全体的にはやはり、テーマどおり、「サスティナビリティー」や「環境にやさしい商品」が増え、実際、人気が集まってたように思いました。 ギフト・ショーの授賞式と同じ夜、アップタウン59丁目の1stアベニューにあるコンランショップでは、フランスの「ENO」ブランドが出した、インターナショナルな若くて優れたデザイナーによる新商品を、アメリカで初発表するという、プロモーション・パーティーを行われました。そのデザイナーは、 Gijz bakker, Sebastian Bergne, Laurence Brabant, Arik Levy, Paola Navone, Donata Paruccini, そしてInga Sempeといった顔ぶれ。 コンラン・ショップは、店に入るまでのアプローチにも彫刻的が家具を使ったコンセプトの作品が置かれ、店に入ると1階のショップはプロモーション・コーナーと小物売り場や、陶器、ガラスの花器が飾られています。コーナーにはお花をいけたり、花束を作ってくれるフラワーデザイナーもいます。地下へのアプローチがあって地下には家具、照明器具、テーブルウェアー類のコーナー、文具コーナーもあり、広いスペースをゆったりとっています。 ショーの為に集まったバイヤー、出展者の憩いの一夜を提供したようで、ショーから、沢山の人が流れてきていました。 普段ゆっくり見ていないコンラン・ショップ・ニューヨークをゆっくり見てまわり、皆楽しい夜を持てたようでした。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第102回 イースト・ハンプトン Longhouse Reserveの夏のギャラ・パーティー

ニューヨーカーが週末に通う夏の避暑地「ハンプトン」の一つである、イースト・ハンプトンのLonghouse Reserveで、7月21日にギャラ・パーティーが行なわれました。 Longhouse ReserveはJack Lenor Larsenの邸宅兼ガーデン・ミュージアムとして、15年前に設立されました。夏の間だけ一般公開しています。年々大きな組織になり、アート部門、教育部門、ガーデン部門と地域のそうそうたる方々の力で成り立っているようです。 今回の主旨は、テキスタイル業界、クラフト業界でデザイナーとして著名で、今は教育者、キュレーター、コレクターとして沢山の顔を持つ、ジャック・ラナー・ラーセンの80歳の誕生日パーティーと、それを記念して、美と平和を支持続けて活動しているオノ・ヨーコをメインゲストに、longHouse Reserveからメダルを授与するメインイベントと、ギャラ・パーティーです。 ドレス・コードは白を基調に「金銀がキラキラ」というもので、ギャラ・パーティーのチケットは最低$500でしたが、それが6月のはじめには完売という人気でした。 パーティーに集まる人々が皆、白い衣装というのも、とても清々しく華やかなものでした。会場も緑の中に点々とカラフルな工夫が凝らしており、カクテル・アワーのケータリングのフードも凝っていて美味しく、ガーデンにテントのオイスター・バーが出展し、担当の方が殻をはずしてサーブした生ガキやクラムの食ベ放題がありました。 展示スペースには、サイレント・オークションの作品が85点、ライブ・オークションの作品が10点展示してありました。 散策の途中にはチフリのグラス作品群や、リキテンシュタインのHouse IIの作品、また27日から始まる野外彫刻展MIQUEL BARCELOの話題のClayとBronzeの象が鼻で立ってる彫刻も一足先に見る事ができました。 1999年からLongHouseに設置されたオノ・ヨーコのチェスの作品「Play It by Trust」がある場所で、大チェスを舞台にした、この日の特別イベント・パフォーマンス「Maria Pessino’s Oddfellows」によるイベントが7時から行なわれました。8時からのディナー会場はガーデンの一部をフルに活用し、テントで作られた500人分のテーブルセッティングが用意されていました。ホテルやレストランでなくても、こういった会場で豪華な雰囲気を演出したディナー・パーティーを開いてしまうのが、アメリカならではの気がして感心します。 これだけ大勢の人々が集まるだけあり、トイレも外に特別設置。これがまた、携帯トイレとは思えないくらいお洒落なものでした。トイレの外観は、周りが森林の写真で覆われたもので、男性用、女性用が6器もあり、多分撮影ロケなどに使うものなのでしょうが、これにも感心しました。 ディナー会場では、LongHouse Reserveの役員の方々の挨拶などがあり、ジャックとオノ・ヨーコの生い立ちの短いビデオを上映。スピーチとディナーが始まると同時にライブ・オークションが始まり、プロのオークショネアーの上手なテンポにのって、競り始めました。ジャック自身も$7,000のバスケットかごを落札、オノ・ヨーコが寄付した作品9点は完売しました。最近の傾向なのか、形のない教育プログラムなど$5,000のものが4口も競って落とされました。また、皆がオークション好きなのか、イベントで酔わされた勢いなのか、実際の価格(店で買える価格)より高い値で落とされているものもありました。この日のGala収益は総額$350,000だったそうで、税金で落とさなければならないお金持ちが多いのか、まだとても日本では考えられないのではと思われる基金集めの例です。 オノ・ヨーコ74才、ジャック・ラーセン80才、ますますご活躍で、元気を貰った夏の夜のパーティーでした。 新作カーペットの発表パーティー チェルシー26丁目ウエストエンド・アヴェニューの倉庫街で改築が行われているビルのトップフロアに、マーサ・スチュワート・エンタープライスがあります。 この地域は今やアート・ギャラリー、デザイン事務所等の成功組が移り始めていて、より大きなスペースを求める人達がこの2、3年増えています。ストック・スキャンダルの刑期中の頃から、ここにマーサ・スチュワートが来るらしいと他のテナントが噂をしていましたので、どんなスペースか興味をもっていましたが、今回はそのトップフロアのイベント会場で、6月21日に、マーサ・スチュワートの「FLOR」の新作カーペットの発表パーティーがありました。 会場の天井の高さや天窓からの明るい日差しが素晴らしく、広い空間でのプロモーション・イベントの招待客は、プレス、インテリア・デザイナー、関係企業の方々でしたが、マーサ・スチュワートが手がける出版部門、「OMNIMEDiA」はさすが広報上手、マスメディアのアピールのうまさに感心しました。「OMNIMEDiA」が出版している雑誌には、Martha Stewart Living、Everyday Food、Martha Stewart Weddings、Body+Soul、Blueprint、そしてThe Martha Stewart Newsletterがあります。 今回の商品『FLOR』は2003年、イリノイ州にインターフェイス社の一部として設立。住居ラインのハイスタイルなモデュール(区画・構成)のフロアを提供しています。「デザインで遊びたい」人達のために、50cm平方の簡単に交換できる絨毯タイルを自分でデザイン構成できるようになっているものです。「“DIY”は英語で“do-it-yourself”(自分で作る)ですが、“design-it-yourself”(自分でデザインする)という意味も持たせています」とFLORの社長グレッグ・コランド氏は話しています。 『FLOR』は、「自分だけのユニークなフローリングカバーをクリエイトでき、気分によってフロアも好きなように変えることができる」という意味を含んだキャッチコピーなのです。 ストック・スキャンダルでさらに有名になったマーサ・スチュワートをニューヨークのビジネス界がほっておくはずはありません。ますます、活躍の場が広がっているように感じました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第101回 Ashes to Art(R) FUNERIA Artによる骨壺展

チェルシーの大西ギャラリーにて、現代のKUYO.アーティスト達による40以上のオリジナル作品の骨壺展が、6月7日から30日まで行なわれました。 大西ギャラリーは、西26丁目の日本とアメリカの架け橋のアートを紹介しています。このユニークな骨壺展は、カリフォルニアにあるFUNERIA(R) ArtとGallery Memoriaと大西ギャラリーの協力で行なわれました。この企画をした、FUNERIA Artでは、2001年からサンフランシスコ、フィラデルフィアなどでもAshes to Artのテーマでコンペや発表をしているユニークな組織で所属するアメリカと国際的に活動する28人による40点の作品が展示されました。ニューヨーク・タイムスでもこのユニークなサブジェクトを絶賛していました。 それぞれが骨壺に見立てた個人的なメモリアルの美術品は、Jeffrey Mongrain、Jim Connell、Laura Bruzzese、Alison Counsell、Tamar Kern、Nicholas Kripal、その他に、巨匠受賞作家のPaul McCoyとPeople’s Choice受賞のJack Thompsonn といった、国際的な賞賛を含めたアーティスト達の作品で、木工、陶芸、ガラス、ビザンティン・スタイルからニュージーランドのペイント鋳鉄、キャスト・クリスタル、吹きガラス作品と多様です。 FUNERIA(R) Artでは美しい人生を光栄に思うために芸術を求める人々、死の必然性、およびその為の私たちの安らぎ、芸術は、コミュニケーションであり、困った心を癒すのを助けることができます。芸術と美が人生を神聖化して、より本当に自分達の代理をする機能的な美術品か、大好きなものを選び、私たちの悲しみを癒す、すばらしい工芸品のオプジェ、美しいオリジナルのアートワークを提供しています―――と目的を述べています。これからの癒し、オリジナルな現代の葬式の芸術の新たな表現を見つけようとしているようです。

第100回 SOFA New York 2007(Sculpture Objects & Functional Art)展

国際美術工芸品フェア、SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)2007が、6月1日~3日の期間、パークアヴェニューのアーモリーで開催されました。昨年に比べ期間は短かかったのですが、来場者は金曜日は45%、土曜、日曜は20%の上昇のにぎわいだったようです。 SOFAの創立者でありディレクターのマークライマン氏は、「すばらしい来場者の数で常に混んでおり、ギャラリー売上も上がって、皆が楽しめた、記念すべき10回目のSOFAフェアになりました。」と言っていました。前夜祭には会場で、恒例のMuseum Of Arts & Designの為のギャラ・オープニング・パーティ、サイレント・オークションが行なわれ、スペシャルゲストで賑わいました。 入り口ではコンテンポラリーガラスで有名なHeller Galleryが展示を行い、今年は日本の作家や出展者も増え、SOFAが知られてきているのを感じました。 → SOFA NEW YORK 公式HP → SOFA NEW YORK 昨年のリポート → MAD 公式HP → MAD 昨年のリポート 日本人作家の作品が多数出展 NYで日本人の作家を多く扱うDaiichi Artsは、カラフルな現代陶芸作家の作品を出展していました。ブース110のChappell Galleryにもガラスや陶器の日本人作家の作品が目立ちました。ボストンからは、NY・SOFA初出展のKEIKO Galleryが、ユニークな日本人作家の作品を出展していました。Snyderman-Worksは、オリジナルの小物作品でおもしろいものを扱っています。日本人の作家は、作年は伊部京子氏、今年は山田アキラ氏の作品を展示していました。そして、招待状やカタログカバーにも写真が使われていた、アメリカでも知名度の高い陶芸の金子潤氏の作品は「Sherry leedy Contemporary Art」に展示されていました。 NYのトライベッカに店をもつ「GEN」は、織部の鈴木五郎をメインに見せて出展していました。英国在住の日本人、Junko MoriとHiroshi Suzukiの精巧な作品を見せていたのは「Clare Beck at Adrian Sassoon」。コネチカットの「Browngrotta Arts」は、熊井恭子他、沢山の日本人ファイバーアーティストを扱かっているので有名なギャラリーです。入り口近くにいつもブースを構える「Joan B. Mirviss」は、日本のギャラリーかと思ってしまうほどの日本通で、秋山陽、北村純子他の作品を扱っていてコレクターを沢山もっているようです。オーナーが日本語がうまいメルボルンの「Lesley Kehoe Galleries」では、初日の朝、作家の麻殖生素子が会場で表装をして、屏風のデモンストレーションを行ないました。皆、感心したり、質問したりと、勉強になりました。 会場ではジュエリーのブースが人気で売れていたようですが、やはり日本のアーティストが多数出展していました。初出展の大阪の八木アート「Art court Gallery」でも、日本の現代作家の作品が見ることができたので、良かったと思いました。 日本作家を特に取り上げましたが、来場者も解かってきているので、日本の良い「本物」をどんどん見せるべきだと、ますます思いました。 t 今年100周年を迎えたニューヨークのJAPAN SOCIETY NYでは今年日系人会(The Japanese American Association of New York,Inc)が100周年を向かえます。9月には大掛かりなギャラ・パーティーが予定されており、Japan Societyでも100周年の特別企画として様々なプログラムが企画されています。Japana Societyは、明治40年(1907年)の創立以来、100年にわたり民間非営利の日米交流団体として日米間の相互理解と友好関係を目的に様々な活動を続け、そして、今年創立100周年を迎えるにあたり、「創立100周年記念事業」としてニューヨークと東京にて様々な特別記念事業を開催中です。 その一環として、5月31日から6月10日までの間、日本が誇る最新技術に焦点を当てた11日間のサミット「テックエポック」を開催し、21世紀のライフスタイルを考察する「テックエポック」、デザイナーや技術者によるシンポジウム、講演会、ビジネス関連プログラム、最新ロボットのデモンストレーション、ハイテク舞台公演、学生対象ワークショップなど、様々な催しが行なわれた中の一部を今回ご紹介します。 「テックエポック」のハイライト企画で、日本が誇る最新鋭ロボットのデモンストレーションと共に、製作者によるコンセプトの紹介や、デザイナーよるロボットのデザイン、機能に関する解説などが行われました。 6日夜のプログラムでは、パロ(Paro)の解説をする柴田隆徳氏に、NYの年配の方達が真剣に聞き入っていました。次の会場でロボットFT(女性型ヒューマノイド)、クロイノ(chroino)Nのデリケートが動き、その紹介を高橋智隆氏が行なっていました。また、別の会場では愛・地球博に出展された、新しいパーソナルモビリティ・トヨタ自動車のi-unitが出現。トヨタチーム、橋本博氏の説明を行い、目の前で動くi-unitに、皆大喜びしていました。子供のプログラムは別にあったのですが、ここに来ていた少年達は真剣に質問をしたりしていました。このプログラムは20人程の小人数に分けて入れ替わるように行なわれましたが、定員以上の申し込みだったようです。 テクノロジー&デザインのシンポジウム 6月8日、9日のテクノロジー&デザインの2日間のシンポジウムは、日本発の先端技術が21世紀類の生活に与える影響と変化をテーマに、自動車、プロダクト、ロボティクス、建築技術といった日本の得意とされる分野での今後の展望と、それに影響されるライフスタイルを、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性や、近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について、各産業界のデザイナー、批評家、そして専門家を招聘し多角的に討論するプログラムでした。その中の6月8日6時半からの「ユーザーイノベーション:消費者優先のモノ作り」プログラムに参加しました。パネリストは東京電力株式会社執行役員廣瀬直己氏、トヨタ自動車東京デザイン部門部長布垣直昭氏、松下電力シニアアドバイザー、前パナソニック・デザイン社長植松豊行氏。消費者のニーズを意識した技術・商品開発や、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性、そして近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について討論しました。司会はカリム・ラカーニ氏(ハーバード大学ビジネススクールビジネスアドミニストレーション助教授)。 第2日目 2007年6月9日(土) シンポジウム2日目は、技術とデザインが人々の未来の生活スタイル、移動性、都市計画、建築学的進歩、人とのふれあいや娯楽などにいかに影響を及ぼすかを考察するというもので、参加パネリストは西山浩平氏(エレファント・デザイン社長)、柴田文江氏(工業デザイナー、デザイン・スタジオS代表)、奥山清行氏(Ken Okuyama Design社長)、松井龍哉氏(ヒューマノイドデザイナー、フラワー・ロボティクス代表)、阿部仁史氏(建築家、UCLA建築部学部長)、高橋智隆氏、柴田隆徳、ニコラス・トンプソン氏(『WIRED』誌シニア・エディター)、クリストファー・マウント氏(ニュースクール大学Exhibitions and

第99回 マイケル・アラム

マイケル・アラム マイケル・アラムから私へ、4月23日に開店するマンハッタンのフラッグ・シップ・ショップの、オープニングのお知らせが届きました。 マイケル・アラムは、ギフト・ショーで着実にビジネスを拡大させていって、この1~2年、ブランド商品として大きなブースを持ち、売れっ子になってきています。 私が、マイケル・アラムの初期の作品を日本の展示会に紹介したのは1985年のことです。その当時の作品は、鉄の曲がりくねったスプーンやフォークでしたが、何か不思議な形でいて、自然体の力強さがあり魅力を感じたものでした。 あれからビルディング一棟ごと買って、1階にショップをオープンし、アメリカン・ドリームを着実に実らせていく彼を、横で見ながら、褒讃の気持ち、いっぱいで、あっぱれと思いました。 マイケル・アラムの出身はアメリカで、主にメタル作品を手掛けるアーティストです。1980年代後半にファインアートを勉強し、アーティストとしてニューヨークで暮らしました。その後、のちに己の人生を変えることになるインドの旅へ出て、豊かな金属加工の伝統工芸と出会いました。そして、彼は、まだあまり知られていない職人たちと共同作業を行い、作品を作る糸口を掴みました。、アラムはすっかり感化されて、住居とワークショップをニューデリーにかまえ、その創造意欲を彼のデザインに基づいた工芸作品へと向けました。 アラムの仕事 アラムの仕事は、手作業の率直なありかたを表現することで、人間性を映し出しています。一つ一つの作品に、古くからの伝統的技術が施されながら、愛情が込められていて、心のこもった品質とエネルギーがしみ込んでいます。熟練職人の仕事とは、その職人の手が感じられるものだけである、とアラムは信じています。このエネルギーがさらに、張り詰めた線、形、そしてアラムの独自の作品の意識にまで高められています。 テーブルウェアーから家具までに及ぶオブジェは、世界中のギャラリーや特選ショップ(メーシー・デパート、ブルーミングデール)等で販売されています。この多様性は、アラムが、個人的な注文の依頼も気楽にこなしながら、ギャラリー展示会向けの一点物、また、一般大衆向けの商品も創る、というアーティストとしての多才性をよく現しています。 そして、芸術家と職人との架け渡しを長く続けているのが、彼の仕事の著名なところです。「物語的、具象的」で知られるコレクションにしろ、もっとコンテンポラリーな「スタジオ」ラインにしろ、一つ一つの作品はすべて手で作られるので、全く同じ物は存在しません。この手作業の品質の良さ、またこの品質と独創性がしっかりと混ざり合っているからこそ、クラッシックなインテリアにも、コンテンポラリーなインテリアの家にも、心地よく合うと皆が認めています。 インドのメタルと組んで、成功させた模範例 ヒンズー語で、”aram”は、”優しく、平和な、愛と気配りをもって”、という意味を含むそうです。このマントラのような方向性を、職人達に伝えて、アラムが、完成度の高い作品創りを続けているので、今の成功を納めているのだと思いました。 日本の地場産業の活性化とか、日本の伝統を海外へ等の運動と同じ事を、地道に着実に一人の作家がインドのメタルと組んで、成功させた模範例だと思いました。 トライベッカフィルムフェスティバル トライベッカフィルムフェスティバルは、9・11で大きな被害を受けたトライベッカ(Canalストリートよりダウンタウンの3角地帯、ゼロ地点より上)の地域活性化を目的に、ロバート・デニーロを中心に始まった映画祭で、今年は4月25日~5月6日まで開かれました。 あちこちでレッドカーペットのイベントが行なわれた様でしたが、俳優を追いかけるチャンスは逸してしまいました。そのため、フィルムフェスティバルの看板の写真を撮り、案内所までは出かけたのですが、あまりの量と沢山のインフォーメーションで、専門外の私にはあまり分からなかったため、5月5日の子供の日に行なわれた、ファミリー・フェスティバルに参加しました。 この時期は一日中「ストリートフェアーのよう」という噂を毎年聞いていましたが、沢山の人手と大掛かりなイベントとは思わずびっくりしました。また、フィルムフェスティバルのイベントのひとつというだけあって、いろいろなものが無料で参加できます。トライベッカに、こんなに子供のいる家族が住んでいるのか、と思うほど、あちこちから子供連れで、このフェスティバルに参加していました。 分かリやすい全体地図も用意されていました。あちこちで、無料の出来たてのポップコーンに行列ができ、お試し無料のチョコレートバー、フリードリンクもありました。ほかには、子供向けの参加型シアター、大人気の髪の毛や顔のカラーリング、シャボン玉作りのコーナー、アート・工芸のテント、スポーツ体験大型コーナーもありと、大人も子供も楽しめる盛り沢山のストリート・フェスティバルでした。 キッズコーナー ストリート&体験コーナー ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第98回 Radical lace & subversive knitting

ホームデザインショー 今回で第6回目となる、アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、2007年3月8日~11日の4日間、55ストリートと12アベニューに位置するニューヨーク市のPier94で行われました。主催はMart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展発表し、見識の高い住宅のデザインを見ることができました。最新情報を得ようとする来場者の為に、セミナーを開催したり、無料で予約制のインテリア・コンサルタントに相談できる場があるなど、教育的プログラムも組み入れています。 このショーの出展者は、Home Designのカテゴリーでは、家具、骨董、テーブル・アクセサリー、キッチン、バス・プロダクト(風呂)、床、壁材、照明、その他の素材で、2007年の出展者の中にはRoche Bobois、Clive Christian、William Haines、Eva Zeisel等が含まれています。 「これらは、あなたのおばあさんの時代の鉤針で編まれた膝掛け編み物ではありません」と、この展覧会を企画した、チーフ・キューレーター・デイビッド・マクファデンは言います。「伝統的な、編むこと、レースという観念は、この展覧会で再認識されるでしょう。各々の作品はタイムリーな社会的な問題や個人のメッセージを含んでいて、一般の視聴者が参加し、繊維について、具体的で、且つ精神的に訴え、美的なレベルで、再考する機会、そして経験出来る事を奨励します。」 この展覧会はアート&デザイン・ミュージアム(MAD)の50周年イベントの一つとして、ファイバーアート部門で企画されました。 「基本的なレースと破壊的な編み物」のために選ばれた作品は、単に編むとかレースなどのステレオタイプの作品は受け入れず、27人のアーティストは、国籍的で、男女、年齢もまちまちです。彼等に求めたのは、伝統的な方法(例えば編み針と鉤針)に、ニューテクノロジーやマテリアル、例えば、ゴム、鉛、ガラス、工業用ワイヤーなど、その辺にあるような材料を使って、繊維を創りだす、新技術と材料の結合させる展望です。 そしてアーティストの多くが、この「レースとそれに挑む、編むアート展」が、彼らの初の大きなニューヨークデビューになりました。 この展覧会は六つの主題のグループに分割されています: ・ 有形な構造:人体を参照する仕事を、両方探検する。間接的にイメージまたは内容を通して、そして、直接コスチュームと服装を通して ・ スケールの問題:サイズおよびスケールが視聴者に影響を及ぼすことができる方法を検査する。 ・ 軽い構造:全体として光の伝達を探検する仕事を特色にする。仕事の要素は、または材料と視覚効果の「明度」を考慮する作品が特徴。 ・ 相互連結:アーティストの仕事を強調し、彼らの約束を拡張し、直接参加による芸術による公衆へのプロセスの仕事。 ・ 創造的な解体: 彼らの最終的な仕事に到着するために付加的であるというよりはむしろ減じるプロセスを使用するアーティストの業績を発表する。 ・ 複雑さの美、芸術を作って、テキストを書くことの関係で、共鳴する方法で繊維を使用するアーティストの業績を発表。 この展示のアーティストの中には日本からの菱沼良樹は三次元の自由な形式の彫刻を作成するために産業編み機を使い、その幾つかは着用できます。 この3~4年は編み物ブームのような現象があり、一見ありそうもない場所のあちこちで、ロンドンの地下鉄で開催される編み物クラブの活動やサンフランシスコからストックホルムまで、戦争についての話し合いをするために編む、などのイベントも報道されていました。このアート&デザイン・ミュージアムの展覧会は題名からは想像出来ない、久しぶりに大掛かりで興奮するすばらしい展覧会です。6月まで、いろいろな教育プログラムも続いています。  ●5月10日木曜日(6:00午後7時30分) 伝統的なレースがどのように作られるかについて見て、 実際に作って技術に対する洞察をおこなう。 インターナショナルOld Lacers社のメンバーによるデモンストレーション ●5月12日土曜日(午前10時00分午後1時00分) Cat Mazza, MicroRevoltと一緒のワークショップ ナイキ毛布 ●5月17日木曜日、6:00 – 午後10時00分 夜を編む ●6月16日土曜日12:00正午、午後5時00分 国を編む・パフォーマンス 「contemporary netsuke(現代根付)」展 アート&デザイン・ミュ-ジアムのD Spaceでは、2007年1月25日~6月17日の期間、「contemporary netsuke(現代根付)」展が開催されており話題を呼んでいます。 根付は、300年以上の期間にわたって日本で発達したミニチュア彫刻です。根付は、機能的で美的な目的にかないました。着物にはポケットがありませんので、女性は袖の中に持ち物を押し込み、男性は絹紐でタバコや喫煙具、財布や筆などを帯からつるしました。 根付は、タバコや薬入れに付けられていたものですが、今世界で注目され、多くのコレクターがいて、アメリカ合衆国では隔年、国際根付コンベンションが開かれるほどです。このMADで初めての現代根付展は、100点のミニチュアのマスターワークで、日本の巨匠の作品から、オーストリア、オ-ストリア、イングランド、ドイツ、ニュージーランド、ウクライナとアメリカ合衆国から日本で学んだりしたミニチュア彫刻家の作品が展示されています。 日本でも見るチャンスがなくなったかに見えるこの根付、伝統的な根付に精通しているこの世界のコレクターが多いのにはびっくりします。 これらの小さい宝は、この世界に新しいエネルギーと考えを吹き込み続け、今日も生き続けています。この展示でフィーチャーされる54人の彫刻家の作品は、革新的な材料、巨匠技術と現代的主題で、注目されています。 伝統的素材の象牙、ツゲ材、漆、に加え、ガラス、樹脂、アクリル等も加わり、饅頭、柳左、鏡蓋、差と形彫の根付は、五つの主なタイプに分類されます。そして、その表面はエッチングまたは彫刻で飾られています。 骨、金属、ラッカー、黒い珊瑚、陶器、磁器、真珠、鼈甲、琥珀、硬い石、ガラス等がありますが、80パーセント以上のものは、象牙と木から作られました。 有名な日本の根付作家・中村雅俊(1915~2001)は、変わったデザインを、ツゲ材のような由緒ある材料に刻むことによって、伝統的であるものとモダンなものを結びました。アメリカの彫刻家ブラッドブレークリィの解釈は、豊かに模様のついた表面を持ち、そして、貴重な材料(例えばアカサンゴ、ラピスラズリ、孔雀石、銀と14カラット金)で飾られています。 オーストリアの彫刻家ゲルノートSchluiferのフォルクスワーゲンビートルは、石化されたナンヨウスギ円錐に埋められる水晶でできています。 現代根付 展はコロンビア大学のアジア歴史のPh.Dを持つ2世のTerry Satsuki Milhauptがゲスト・キューレーターで企画されましたが、日本人もびっくりの根付勉強会も用意され、ほんものの日本を見せているように思えました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影