第126回 NYの新名所・High Line「高架線道路公園」オープン
実現するのか、夢の話なのか。ずっと追い続けてきたHigh Lineが6月10日に一般公開になり、オープン最初の日曜日である6月14日に行ってきました。 ミートパッキングエリアは混雑しており、最初の入り口のあるGansevoort通りには長い行列が出来ていましたが、案外スムースに進んでいるので見てみると、係の人が次々に腕輪の紙テープを渡し、これを付けた人は上って良いと言う事でした。数の統計にもなっていたようです。階段を上がって、出来上がった高架線上の公園から見るニューヨークの風景は、今まで知ってるものとはまた違った目線で、とても新鮮な景色でした。 High Lineの残された線路の間を上手に使って植えられた緑もとても自然で、実用的でこそありませんが、Friend of High Line(FHL)グループの自然体のアイディアが生き、素敵な都会のオアシスになっています。 私も2004年のコンペの発表会を見に行ったり、2006年の鍬入れ式に参加したり、待ちに待っていたので、とてもわくわくしながら地上30Feet(9.14m)の新しい公園散歩道を歩いていたところ、High LineオープンのニュースでTVインタヴューされていたFriend of High LineのJoshuaが、混雑の中、ニコニコしながら歩いて見てまわっているのに出くわし、思わず、おめでとうと握手をしてしまいました。 この一般公開では、22Blockが最初の区間として公開され、通常朝7時から10時までオープンしています。階段はGansevoort通り、W16th, W18th. W20th ストリートにあり、そのうち14と16通りのはエレベーターでも上がれるようになっています。 http://thehighline.org/ ダウンタウンの最初の入り口の階段を上がると、まず新しいスタンダード・ホテルに目を奪われます。この建物の中を通り抜けると、すぐの東側に14丁目のミートパッキング・エリアのメイン・ストリートを見渡すことが出来ます。いつも現代アートやデザインのオークションをしているオークション・ハウス、PHILLIPS de Puryの4階のGalleryも目の前に見えます。 反対側のハドソン・リバーでは、別の日の夕方出かけた際に、夕焼けを撮る事が出来ました。 建築家チームのディラー・スコフィディオ+レンフロ(Diller Scofidio+Renfro)がコンペを勝ちとり、このHigh Lineのデザインを担当。10年かかったプロジェクトで、オープン最初の週には70,000人の来場(またはビジター)を記録したそうです。2010年には20ストリートから30ストリートが続いてオープンを予定しています。今後もより一層すばらしい公共施設、緑の公園をめざし、次の30年で個人の寄付を$4ミリオン、投資家、CITYからは$900ミリオンを予定しており、プロジェクトは続きます。 線路を活かしたディテールがあちこち伺えるデザインは、水回りが考えられていたり、木の大きなベンチを線路の上で動かす事ができたり、また10番街の真上では正面から劇場のように道路を見下ろせる一角があったりして、作ったものを見せるのではなく、自然の都会の生活をゆっくり休んで見るのも良いのでは? と言われているように感じました。 High Lineの近辺には、著名建築家のビルやコンドミニアムなどが続々と建築中ですが、まず目に入るのは、18丁目のウエスト側の話題のフランク・ゲリー(Frank Gehry)のIAC(Inter Active Corp)のビル、そして、その隣りには建設中のジョン・ヌベル(Jean Nouvel)のNouvel Chelseaが見えます。2012年オープン予定とされるレンゾ・ピアノ(Renzo Piano)のWhitney Museumダウンタウンも今から話題になっています。 大手投資不動産会社のコンドミニアムも建築ラッシュで、この近辺が、今ニューヨークで最もホットな場所のようです。 東側にはエンパイヤーステート・ビルディングも見え、現在はここまで20丁目の出口が出来ています。 High Lineのオープンと時を同じくして話題になっている、スタンダード・ホテル。 High Lineにまたがって突然現れたようなこのスタンダード・ホテル、そのホテルからのHigh Lineの眺めも是非みたいと、中を見学させてもらいました。 まだ全館オープンではありませんが、ミートパッキング・エリアのイベントの要望に合わせて、建設中のまま、昨年12月に一部がオープン。話題を呼ぶきっかけとなったのが、春のファッション・ウイークや、ICFF国際家具ショーのオフ・サイト・イベント、そして、このHigh Lineのオープニングです。 開発業者のAndré Balazsがオーナーで、ハリウッドとロス、そしてマイアミにも同じ名前のホテルを持っており、若いセレブに今、人気のホテルとのこと。 4つ目の、ニューヨーク初進出であるスタンダード・ホテルは、建築をTodd Schliemann of Polshek Partnershipが、デザインをニューヨークのインテリア・デザイナーRoman and Williamsが担当。入り口、ロビーを通り、エレベーターの中にはVideoの動画が映し出されており、上り下りのエンターテインメントを見せてくれます。今現在は12階までということで、その角部屋の東側と西側のスウイートの部屋を見せてもらいました。どの部屋も天井から床までガラスで、カーテンを閉めないと宙に浮いているようです。寝ぼけてべッドから落ちたら、都会の真ん中かハドソンリバーの中にいるのでは、と夢に見そうな、怖いくらい素晴らしい眺めです。 バスルームもトイレも同じ状況で、周りに何もないので、解放感を独占できますが、私はカーテンを引くのをお薦めしたいです。 各ドアに部屋のナンバーが大きくデザインされていて、まだ見ることが出来なかったトップ・フロアの18階にはダイニング、パーティー・ルーム、スパなど素晴らしい眺めの豪華な施設が出来る予定との事。一階のグリルが最近オープンし、人気のようです。337ルームのこのホテル、目下建築続行のままなので、割安との事。 最新のニューヨークを体験するにはもってこいかもしれません。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影