第67回 第3回ウイリアムスバーグのFIRSTOP

スタジオや近辺のストアなど計60店が参加 マンハッタンからひと駅先にあるブルックリン・ウイリアムスバーグにて、デザイン・ウイークエンドの催し「第3回FIRSTOP」が10月2日~3日の2日間行われました。 今年は、ウイリアムスバーグをベースに活動する新進作家、プロフェッショナル・デザイナーらのスタジオ、ワークショップ、展覧会や、近辺のストア、レストランなど計60店が参加しました。 3年前のウイリアムスバーグの興奮した賑わいに比べると、だいぶ落ち着いて、確立された感のある若者が集まる賑わう街になったように感じました。お店やギャラリーが増え、老舗になりつつあるお店もあるなど、発展振りをうかがうことができました。 私は日曜日に出かけたのですが、広範囲のイベントのため、今年の見所はどこなのかアドバイスをもらいに、「FIRSTOP」の企画をしたプロダクト・デザイナーの Klaus Resbury(SONIC Design Studio)を訪ねました。 SONIC Design Studioでは、テクノ系IDのデザインからリサイクルの作品まで、エネルギッシュに仕事をこなしています。「Brooklyn New Style718」という本が出版されたことを彼から聞き、彼らが掲載されているページを見せてもらいました。とてもきれいに編集されたデザイン本で、「手に入れたい」と思う程でした。 Buckminster Fuller Instutute ほか 同じビル内で、球体で有名なBuckminster Fuller Instututeの非営利財団が参加していました。Museumショップなどに卸しているグッズなども展示販売していて、とても身近な感じがしました。 地図を頼りに歩き始め、途中、NY Timesとメトロポリタン・ホームの知人の記者2人に遭遇しました。2人は「The Future Perfect」へ寄ってきた所との事。 今最も話題のストアーに寄り、新人のブルックリン・デザイナーの商品群を見ると、なかなかおもしろいものを揃えており、一方、3年前に参加していたデザイナーは新しい方向性の作品を発表して元気でした。 「Citizen-Citizen」のフレッシュなデザイン 彫刻家 Mr.Marc J.M.van den Broek氏の迫力あるスペース「A.TE.M.Inc」では、第1回目に訪れた時と同じく、不思議な空間を感じました。イベントやブースのデザイン、プロデュースとマルチタレントの彼の性格がにじみ出ているような空間です。 今年初めてロンドンからウイリアムスバーグに移り住んだ2人のデザイナーのスタジオ・ショールーム「Citizen-Citizen」は、まるで写真スタジオか雑誌からそのまま抜け出たような真っ白い空間に、彼等のシンプルなデザイン・グッズが置かれていて、久しぶりにみる新鮮なフレッシュさを感じました。 One Sixty Glass、Lwindesign ほか 個人の陶芸作家 Kris B. Ceramicsがアパートの半地下にオープンしていたスタジオ・ショップもなかなか迫力ある作品群でした。 次の行き先探しのため地図を見ると、すぐ近くに「One Sixty Glass」のガラス工房があったので、ちょうど寒くなってきたこともあって見学しました。いつ見てもひと吹きガラスの制作には、つい見入ってしまいます。 少し離れたところのロフトビルに、英国から参加しているデザイナー、Julian Lwinの手づくりスタジオ「Lwindesign」があり、こちらも見学。日本の雑誌に取り上げられたり名が出てきているようです(少し、倉俣史郎氏を追っている感じがしましたが) 全生活を作品と共にするロフト 最後にロフトの原型的な広いスペースに作業場、住まい、ギャラリーまでをもっている「monofacture」のEthanAmesの所を訪ね、丁寧な木の仕事ぶりを見学しました。彼らは全生活を作品と共にしており、作品と遊ぶ幼い息子との会話などを見ていると、とてもなごやかな気分になりました。 全てを見て周ることはできませんでしたが、現代アートの破壊的、スキャンダル的作品傾向に比べ、デザインや工芸は大変健康的で若いエネルギーもすばらしいと感じた第3回Firstopでした。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第64回 チェルシ-の高架線の歴史、改築案

NYの鉄道のはしり High Line 7月16日、ニューヨーク市マンハッタンにある高架線路“High Line”の利用法を提案するコンペのファイナリスト4組(ディラー・スコフィディオ+レンフロらのチーム、スティーブン・ホール、HNTBらのチーム、ザハ・ハディドらのチーム、テラグラム・チーム)による説明会が、Center for Architectureにて行われました。 公的資金によって建設されたHigh Lineは1980年以降利用されておらず、公共の場所として新しく蘇らせるためにこのコンペが開催されました。 → Friends of the High Line 私はチェルシーに訪れる度、この古い高架線がなんとか使えないものかといつも見上げていたので、今回のプロジェクトにとても興味を持ち出かけました。ここで、High Lineの歴史をひもといてみたいと思います。 1847年に初めてNY市内への貨物列車のレールが引かれ、1851年から1929年にかけて市内への運搬に利用されていましたが、この貨物列車と荷馬車の衝突事故等が多発し、10番街周辺は「Dead Avenue(死の交差路)」と呼ばれるほどの事故率がありました。 この事故多発は1929年になってようやく取り上げられ、NY市、NY州、中央路線局の合意で予算をとり、35丁目からSpring Streetまでを高架線にするプロジェクト案がとられ、全長1.5マイルの貨物車を走らせるHigh Line(高架鉄道)の建設が始まりました。このHigh Lineは1934年に完成し、貨物列車は現在のジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター辺りからチェルシーのギャラリー辺りを通過し、Gansevoortストリートのミートマーケット辺りまで、一般通路に妨げられずに直接倉庫まで荷を運びこめるレールとして活躍しました。しかし、1980年に冷凍ターキーを運んだのを最後に、貨物列車は使われなくなりました。 改築案コンペに36か国から720件の応募 このHigh LineのオーナーはCSX(交通安全局)で、その鉄道下の土地はNY州、NY市そして20以上の個人がオーナーとなっています。1999年にNY市民、経営者、市民団体、アーティスト、ギャラリー・オーナーや園芸家等がHigh Lineの再利用を実現するためにFriend of High Line(FHL)を結成しました。このHigh LineはNYのウェストサイドの工業の歴史です。また、高い場所にあるのでハドソン川とNYのスカイラインを一望できるため、ここに斬新な公共の場を提供できるのではないか、とFHLの活動が始まりました。 High Lineは各国の最良の公園同様、また、それ以上に新しくオリジナルな公共の場となり、街の緑化、新たな交通手段としての利用、ポスト近代工業環境で常に変化するニーズに社交的、経済的にも対応できるものとして、廃墟交通機関の再利用のグローバルな見本になるはずというのが、FHLの主旨です。 路上からのアクセスが最終地点の両サイドからとその中間の各地点により、階段やエレベーターでのアクセスが可能なシステムをつくり、日々使われる公共の場の為に安全性とセキュリティーが最も重視されるデザインが求められる事になりました。そこで、2003年1月から7月にかけてアイディア・コンペを開催したところ、36カ国より、720件もの応募が集まりました。この間にも市へのアプローチは続けられ、2003年7月、NY市の1575万ドルの基金で、このプロジェクトのGOサインが出されました。 最終案はフィールド・オペレーションズとディラー、スコフィディオ&レンフロのチームに決定 もともと「High Lineをデザインする」のは、現実的、または建設可能なものである必要はなく、応募者にはHigh Lineそのものから予測できない視点を得るため、前向きで力強い考えが求められました。結果、応募数720点の中から7つのアイディアが受賞しました。 FHLは、これらのプロポーザルがHigh Lineの再利用への道をより確実なものとして広まることを期待して、2004年3月、NY市と一緒になることで現実化されるデザインの制作を期待するマスタープランを立てました。 大規模な選択プロセスを通してデザインチーム4組が選出され、7月16日、ウエストヴィレッジのCenter for Architectureにて、発表会と展示会が行われました。この説明会は最近の建築関係者の講演とはひと味違った視聴者が集まり、会場は満員でした。展覧会はビデオインタビューを含め、7月16日から8月14日まで行われました。選抜された4組のデザインは、説明会、展覧会場に用意された一般投票用紙によって公平な意見を取り入れます。また、このほど最終案が発表され、フィールド・オペレーションズとディラー、スコフィディオ&レンフロのチームに決定しました。 → http://www.fieldoperations.net/ → http://www.archinect.com/ 9月にはこのマスタープランの実現に向けて、作業が開始される予定です。 ■ 最終選考に残った4組の改築案 ▼ フィールド・オペレーション社、ディラー・スコフィディオ+レンフロとオラファ・エリアソンらのチームによる作品 【最終案 決定作品】 ▼ スティーブン・ホール、ハーグリーブス・アソシエート、HNTBなどのチームによる作品 ▼ ザハ・ハディドとバルモリ・アソシエイツ、スキドモア、オウィング&メリル・ループとスタジオ、MDAなどのチームによる作品 ▼ マイケル・バン・バーケンバーグ・アソシエート、D.I.R.Tスタジオとベイヤー・ブラインダー・ベルなどのテラグラム・チームによる作品 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第63回 SOFA New York 2004

Sculpture Objects & Functional Art 展 「SOFA New York 2004」 国際美術工芸品エキスポ、SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)2004が、パークアヴェニューのアーモリーで、6月2日~8日まで行われました。Culture Incの社長だったMark Lymanが創立者であり現在の社長で、今回がNYで7回目、世界中からディーラー・コレクターが集まります。 他のトレードショーとは違い、Museumでは買うことができない、手に入らないレベルの一品ものを買うことができます。アンティックからコンテンポラリーまで、質の高い作品、Galleryがブースを出しています。 3年ほど前からSOFAとアート&デザイン美術館MAD(元アメリカン・クラフト美術館)のオーガナイズでContemporary Decorative Arts Week(CDAW)が同時期催され、Bloomberg市長も、アート・クラフトを活性化すると協力。NYの美術館、ギャラリーがCraft、Designの展示で、スケジュールを組み、今年は30軒ほどが名を連ねました。 → SOFA 公式HP → MAD 公式HP イサム・ノグチから若手作家まで、幅広いコレクションを展示 SOFAは、MADをサポートする為に、ギャラ・オープニング・パーティ、サイレント・オークションを実施し、その売り上げをMADに寄付するという大きな催しでもあります。ギャラ・ナイトは華やかなユニークに着飾ったコレクターが多く集まり、オークションに熱中したりと盛り上がります。 会期中メトロポリタン美術館やMADのキューレーター、著名アーティストのレクチャーも毎日行われ、勉強にもなります。今回は50の出展があり、内容は陶磁器、ガラス、布、木工、ジュエリー等でした。イサム・ノグチ、ジョージ・ナカシマとその娘ミラ・ナカシマから、若手のコンテンポラリー・ジュエリーまで幅広いコレクションが展示されています。 大量商品よりもクオリティーを重視 出展者は「NYは洗練された、良識あるコレクターが多く、真剣なお客が多く、良く売れるので、出品する方も質の良い恥ずかしくないものを持ってくるようにしている」と口をそろえる。ヨーロッパの著名な陶磁器や、ガラスの作家もの、ギャラリーも出展していて、アメリカのイメージが食の世界でも高級化しているように、大量商品からクオリティーを望む人達が確かに増えているのを感じます。 このSOFAはシカゴで先に始まり、この秋10月で12回目を迎えます。来年はフロリダのPalm Beach SOFA が International Fine Art Expositions(IFAE)と同時に2005年1月13~17日に行われることも決まり、ますます発展していきそうです。 イサム・ノグチの芸術作品の永久保存の場所 6月12日土曜日、ニューヨークのロングアイランド市のイサム・ノグチ・ガーデン・ミュージアムが、正午のリボンのカット・セレモニーと共にリオープンしました。 およそ2年10カ月の改築工事によりビルの安全性が強化され、車椅子でのアクセスも可能となり、エレベーターやエデュケーション・センターなども新設されました。美術館の名前はシンプルに「ノグチミュージアム」に変わり、ライブラリーのあるカフェとミュージアム・ショップが新設され、暖房や空調設備も一新し年間を通しての開館が可能となりました。 今年はイサム・ノグチ(1904~1988)の生誕100周年にあたり、アメリカ国内用37セント記念切手も発行されていて、郵便局で買うことも同時に楽しめ記念になります。 ノグチ・ミュージアムは、彫刻家イサム・ノグチの芸術作品の包括的コレクションの永久保存の場所であり、改造にあたっては、オリジナルの建物のローテクな要素は彼の作品の為の展示場所としての雰囲気が壊されないないよう特別なケアをして残されています。再開記念の「イサム・ノグチ:彫刻デザイン」展は、劇的演出効果の前衛オペラの鬼才、ロバート・ウィルソンがインスタレーションを手掛けた展示(自然の光りを抜け2階に上がると真っ暗な空間に影を演出する照明など)で、今まであまり見るチャンスのなかったマーサ・グラハム舞踊団の為の舞台装置の作品等、Videoでの動く画像も展示に加えられていて、イサム・ノグチの違った作品郡が見る事ができて新鮮です。 総計13のギャラリーに240点を超える作品を展示 明かりランプの展示会場は、わらぶきに中央の窓から田舎の田んぼが見える演出で、楽しませてくれています。続く2階の企画展示会場は、彫刻とデザインが混在する、飛び石を渡りながら彫刻や公共プロジェクトのモデルなど一点ずつ鑑賞を楽しめるドラマティックな展示で静かな空間を演出。対して1階の常設展示は、石、メタル、ウッド、クレー(粘土)等の力強い素材の彫刻作品が並んでいます。2階の企画展と1階の常設展あわせて13のギャラリーに、計 240点を超える作品が展示されています。 庭園の彫刻はイサム・ノグチの代表作でもある花コウ岩や玄武岩の作品がゆったりと静かに自然と調和して、そこ、ここに展示されていて、イサム・ノグチのオーラ溢れ、永遠の時を刻んでいるようで、アートに無関心な人でさえ心休まる空間をつくっています。 これからは彼の作品ばかりでなく、彼の作品のコンテキストの拡張および作品の遺産継承、また、彼の革新的アートの発掘精神を受け継いで他のアーティストやデザイナーの展覧会も開催されることになっているようです。ヴィトラ・デザイン美術館のオーガナイズでロバート・ウイルソンがその構成デザインを手掛けた今回の展覧会は2004年10月3日(日)まで開催されます。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第59回 NOLITA (North of Little Italy)

第59回:  NOLITA (North of Little Italy)(2004/4/14)   NYで、今、アクティブな街並み HoustonストリートからGrandストリート、BoweryストリートからCrosbyストリートの間、つまり、SOHOの東寄り、チャイナタウンの上 NOHOの南側の地域をNOLITA(North of Little Italy)と呼んでいます。SOHOやTribecaが高級化、大型ショッピング・モール化するなか、NOLITAはあまり特徴がないうちにユニークな街並が形づくられてきました。イタリー系アメリカ人のいろいろなストーリーが映画にもなったところで、その生活感がまだ感じ取れるシーンを残したままです。今のレトロブームも関係あるのでしょうか、さらには2003年のブームをおこしたTVドラマ「Sex and City」の舞台に、何回も、あちこちの小ブティックが使われたことも、若者達の人気をあおったようです。 NOLITAの町並み Mott Street には一軒づつユニークでおしゃれなショップが並ぶ カラフルなハンドバックの店「Sigerson Morrison」 ストアー「G」Geraldine 「Store Front Gallery」もNOLITAの一角にある カラフルなハンドバックの店「Sigerson Morrison」   オリジナルキャラクターのグッズで 有名になった「The Paul Frank Store」   Clothing Shop「Circle」 *James Hong撮影 リサイクルがテーマのClothing Shop「Circle」 Mott ストリート の Springストリートから Housetonストリートの間には一軒づつユニークでおしゃれなセレクトショップが並んでいます。そのはしりは、小さなブティック「Circle」でした。内装をインテリア・家具デザイナーのJames Hongがデザイン。リサイクルをテーマにした名前で、プラスティックやガラスのリサイクルを材料に使った内装、商品の洋服も日本の着物地を使って、新しくデザインしたりとユニークです。 一つずつ取り上げると、それぞれの店が凝ってオリジナリティーがあるので、通りがおもしろくなっているのだと思います。しかし、この半年くらいの間にかなり高級化してきて、SOHOの初期のようなお店もいくつも見かけるようになり、少々心配ではあります。 Clothing Shop「Circle」*James Hong撮影 Clothing Shop「Circle」*James Hong撮影 ブティックのウインドー、NOLITAを表して るいるようなレトロっぽいファッション ハンドバッグ・雑貨「Helen Marien」 日本の雑誌でもとりあげられているブティック「Lilith」 Clothing Shop「Circle」*James Hong撮影 Clothing Shop「Circle」*James Hong撮影 インテリア雑貨「Dinosaur」 インテリア雑貨「Karikter」 日本の影響のようなシックなインテリアのジュエリーストアー 最近オープンしたばかりのMOGUストア ソフトスポンジ素材家具のショップ「MOGU」がオープン   今年のはじめ、ソフトスポンジのクッションなどインテリア雑貨を扱うMOGUという店が日本から出店してきました。NOLITAらしいカラフルでソフトタッチなさまざまな形に、微笑み、楽しむお客でにぎわっていましたが、NOLITAには少し高級価格なのではと思いました。

第43回 Xmasを迎える準備に忙しいNYと変わり行くSoHoマップ続編

第43回: Xmasを迎える準備に忙しいNYと変わり行くSoHoマップ続編 (2002/12/11)     ロックフェラーセンター・ツリー点灯式 撮影:林幸恵 ロックフェラーセンター・ツリー点灯式 撮影:林幸恵   Xmasを迎える準備に忙しいNY 例年より早いXmas飾りのような気がするのですが、年間の売り上げを決める一番大事な時で、活気を出そうと早くから飾り付けが始まっています。普通はThanksgiving(感謝祭)の後からがいっせいにXmasですが、今年はそのかなり前から飾り付けが始まっています。人出は多いのですが、皆買うのを絞っているのか、まだビジネス的には思わしくなく、店の人は皆心配しています。 アメリカだけの大イベントThanksgivingは、毎年11月最後の木曜日で、今年は11月28日でした。最初のアメリカ開拓移民が、ターキー、ハム、ポテト、コーン、Yam(Sweet Potato)等の収穫を祝ったしきたりから、家族そろってこれらの食材で食卓を飾ります。ちょうど、日本のお盆のような感じで皆里帰りをします。私の所でも年に一回の大ごちそうを作って、親元に帰れなかったスタッフや友人を招待しました。 NYでは、朝9時からメーシーズのThanksgivingパレードを、毎年1番寒い日に見に行ったり、TVの中継を見ながら料理作りをしたり(これは、日本の大晦日のような光景でしょうか?)。そして、パレードの最後にサンタクロースが出てきて「これからあと何日でXmas」と数え始めると、街は一斉にXmas商戦に入ります。Xmasと言っていますが、アメリカでは“Merry Xmas”はキリスト教徒が使い、ユダヤ教徒は“ハッピーハヌカ*”と、それぞれ宗教によって違うので、日本の様に誰も彼も“Merry Xmas”のカードは送りません。皆に通用する“Happy Holiday”や“Peace”等を使っています。 いつもイベントを行うArmory(兵器庫)のスペースで、12月中頃に年末クラフトバザーが企画されていましたが、テロの予告と警備の準備に使用するためと、キャンセルになって、クラフト作家達が打撃を受けてなげいています。 *ユダヤ教の祭日。ヘブライ暦に従っておよそ11月から12月に毎年行われ、8日間かけて祝われる。Happy ハヌカ >>>>   チェルシーマーケットの八百屋さん。この間までのハローインパンプキンがターキーとXmasに向けての飾りに Cut Turkey ターキーカット 撮影:林幸恵 Crate & Barrelのオープニング オープニングのチケットは1人$50で、DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)に寄付されます。数日前から売り切れで締切られるほどでしたが、当日はビルのまわりをぐるりとまわる入場者で賑わっていました。 Pikachu-Thanksgiving パレードの今年新登場ピカチュー 撮影:林幸恵 Crate & Barrelのオープニング その他の料理 撮影:Tomi Nevin     6番街のビル群もみなXmasの飾り ロックフェラー・センター前の飾り Xmasを迎える準備に忙しいNY SoHoのウィンドーもクリスマス・デコレーションが増えてきていますが、移り変わりの速さも目をみはるものがあります。最近まで、Grand Street とGreen Street にあったウエディング・ドレス専門店があっという間に家具店に変わり、一度店を出したカルティエやイブ・サンローランがほんの短い間で閉じたり、シャネルも近いうちSoHoの店を閉じるそうです。 それでもイタリア勢の家具、インテリアの店、有名ブランド・ブティック、そして、最近多いのにびっくりするのは靴屋とアイグラス・ストアー、そしてメイキャップ・ストアーもSoHoを変えてきています。 SoHoにはいくつかの有名ブランドのメイキャップ・ストアーがあります。大きなスペースだから作れるサウナ、スティーム・バスなどのある高級スパ。まだ倉庫街の様子を残すロフトへ、リムジンで乗り付けるセレブリティー達がスパの利用者のようです。   5番街Cartieのビルごと贈り物? 6番街53丁目バーリントンミル社前の飾り Radio City ケーキ屋さんのウィンドウもクリスマス一色 Sacks 5th Ave. Sacks 5th Ave. 動く人形のウィンドー チェルシーマーケットの中のアーチの飾り Sacks 5th Ave.

第42回 変わりゆくSoHoで注目の新ショップの紹介

第42回: 変わりゆくSoHoで注目の新ショップの紹介 (2002/11/13)   変わりゆくSoHo この1、2年のSoHoの変動は目をみはるようで、NYのトレンドの店が全部移動してきた感がありました。しかし、昨年の9月11日以降、“for rent”の看板が増えて、1ブロックに3軒位の貸店舗が続出。どうなるかと思っていましたが、ここへきて、新しいショップの出店や改築工事もあちこちで行われ、新たな動きが見えてきています。   貸店舗が続出 長く続いたCanal Jean Co. 今年で店じまいして、この後、ブルーミングデールSoHoが進出するという Crate & Barrel SoHoが18ヶ月かけて改築するというアナウンス・パーティーは11月14日に行われる予定 新しくオープンするショップ Green Streetでも大きな工事が2件続けて行われている ドイツの家具会社(USM)のビル全体工事はまだ継続して行われている   Apple ストアー 最近よく場所を聞かれるのがAppleのストアー (Map5) で、SoHoへ来る目的のひとつのようです。Prince StreetとGreene Streetの角の元郵便局だったビルを、郵便局の名前がついたままで使っています。中央のガラス階段が舞台のようで、四方の広いテーブルに乗った新製品をさわるのが皆の目的。2階にはレクチャー・プレゼン用のシアターもあり、相談室、アクセサリーショップなど、マニアにはたまらないお店のようです。AppleストアーからGreene Street を南に行くとすぐに『Hunting World 』、隣に『Louis Vuitton 』 と続きます。 << 郵便局の名前がついたままのAppleストアー外観     多くの人が行き交うショップ中央のガラス階段 Apple Store Apple Store Apple Store Apple Store Apple Store アクセサリーショップ レクチャー・プレゼン用シアター Hunting World Louis Vuitton   ジュエリー・ストアー D’FLY つい最近できて話題を呼んでいるのが、D’FLYというジュエリー・ストアー。台湾人の若いデザイナーJeff Shiがオーナーでドイツの建築事務所3deluxeと組んで作ったハイテクのしかけいっぱいのストアーです。Greene StreetのBroom StreetとGrand Streetの間にあります。 ガラスの什器はバキュームシステム(空気圧)で上下に動きます。リモコンで操作するのですが、空気のシューという音を立ててスムースです。奥にある鏡もリモコンで上下します。入り口にある斜めのソファ-は、NASAで使われたという座ると人体にそった形になるフォームを使用。奥には鏡の反射を利用して奥行きあるように見せたBamboo Garden(竹の庭)があって、自然の環境もとり入れています。取り扱っている商品もドイツのNiessing、スイスのMeister、ベルギーなど国際的で、すっきりしたデザイナーものです。   外観 入り口のスペース リモコンで上下するガラスの什器

第41回 Williamsburgのデザイン・イベント「FIRSTOP」

Williamsburgのデザイン・イベント「FIRSTOP」 今回の為のMapと参加リスト 表示されているイベントの地図 マンハッタンから一駅「ウイリアムスバーグ」 マンハッタンから地下鉄に乗り一つ目の駅で降りると、ウイリアムスバーグ(Williamsburg)に着きます。この一つ目の駅(first stop)から「Firstop」とタイトルをつけて、 Williamsburg 地区のショップ、ギャラリー、デザイナーなどが参加した初のデザイン・イベントが9月28日(土)、29日(日)に開かれました。参加したのは、67軒のショップ、スタジオ、ワークショップなど。今回はその様子と Williamsburg を紹介します。   Williamsburg は1905年にローアー(下の方)・マンハッタンから橋が渡され、工場地帯、倉庫、労働者階級、移民の街として発展。ラテン系、ヨーロッパ、ノースアメリカ、アジア、アフリカなど世界各地からの移民家族が住む地域でした。 80年頃まではまだ、麻薬や射撃事件等が発生する危ない感じの地域でしたが、この数年で家賃が$400から$2000ドルと上昇し、新しく移り住む人達も増えて、アーティスト・コロニーへと変化してきて、若者の賑わう街にかわってきています。 SoHoやチェルシーとも違って、小さいスケールの店などが多く、グリニッジ・ビレッジを思わせる雰囲気です。 今でも残っている壊されたままのビル(4、5年前まではこのイメージがあった) ウイリアムスバーグ・ブリッジの橋を渡ったすぐの所グラフィティー   ウイリアムスバーグ・ブリッジの橋を渡ったすぐの所にあるジョージ・ワシントンの銅像   この Williamsburg の発展に一役買っている女性に日本人のアーティストでディレクターの二居祐子さんがいます。 彼女は1996年に基金を集め、ビルディングを購入して「Williamsburg Art & Historical Center」を作りました。1999年からはWilliamsburg Art Cuture Festivalを開催。アーティスト、ギャラリー等と一緒に地域発展のイベントを実施して、外部からの注目を集めるようになりました。その頃からギャラリー、レストラン、ショップなどが、 Williamsburg に移り始めたようです。 Firstopに参加してない店でも若者の街の感じをにおわせる CDなどを扱う音楽店のファサード   おどろくような変わりっぷり 4年くらい前、Galapagos というクラブで、インテリア・デザイナーのバースデイ・パーティーがありました。かなり怖い感じの会場をやっと探し当てて、入って見たら、水をひたしたファサードに不思議な空間のクラブで「こんな所に!」と感心して以来、雑誌や新聞でちらほら記事を見て気にはなっていましたが、今回この「Firstop」に出かけて、ここまで発展してたのかとびっくりしました。 「FIRSTOP」の企画は、プロダクト・デザイナーの Klaus Resbury(SONIC Design Studio)とグラフィック・デザイナー&ライターの中国系女性 Cindy Hsiao、そして NY Design Room のGgrippo が世話人になって、オーガナイズされました。 今回のFirstop主催者(3人)の一人ジャーマン・デザイナーKlaus Rosburg とそのSONIC Design展示場 NYDesign Room オーナーデザイナー、今回の Firstop 主催者の一人でもある Ggrippo … NY Design Room Klaus Rosburg SONIC Design スタジオの仕事紹介、今はやりの緑(中身も緑)のケチャップ・ボトルもこのスタジオのデザイン

第39回 MoMA QNS

第39回: MoMA QNS  増改築工事中のMoMA特別展示場 (2002/8/7) マンハッタンの近代美術館(MoMA)が、増改築工事の間の2005年まで、元の場所である53丁目を閉館して、マンハッタン島から橋を渡ったクイーンズ地区に特別展示会場を作り、運営しています。 このMoMA QNS(クイーンズ)、6月29日のオープニングには、マンハッタンからクイーンズまで作品を運ぶ行列のイベントを行い、幕開けとなりました。 マンハッタンからMoMA QNSに行くには地下鉄などでも便利ですが、53丁目の旧MoMA前から「QUEENS ARTLINK」というフリーで乗ることができるシャトル・バスが10~16時まで運行していて、たとえば毎時45分に出るバスは、MoMA QNS ~ P.S.1 Contemporary Art Center ~ AMERICAN MUSEUM OF THE MOVING IMAGE ~ ISAMU NOGUCHI GARDEN MUSEUMを回ります。 秋からはMUSEUM OF AFRICAN AMERICAN ART ~ SOCRATES SCULPTURE PARKも追加され、とても便利なQUEENS MUSEUM ツアーができるサービスになり、全て見ると盛り沢山の1日コースになります。 明るいブルーカラーで塗られたMoMA QNS。外部から見ると2階建てですが、内部は1層だけのなので、今までのMoMAを期待すると小さくて、展示も少なく物足りないのですが、入ると右手前に映像とコンピューターを使って、谷口吉生氏デザインのNEW MoMAの構想などをバーチャルに展示しています。オープニング・イベントの映像も参加したように見ることができますし、MoMAの紹介も簡潔です。 ニューヨーク近代美術館(MoMA)は3人の市民、リリー・ブリス、メアリー・Q・サリバン、アビー・O・ロックフェラーによって、1929年に近・現代美術を広く一般に紹介することを目的に設立されたそうです。設立当初、8枚の版画と1枚のドローイングから始まったコレクションが今では10万点を越えています。 このMoMA QNSは元ステープラー(ホッチキッス)工場だった建物を改築したもので、屋内はクーパー・ロバートソン&パートナーズ建築事務所によって最新技術を備えた保管倉庫とリサーチスペースに造り替えられ、2005年の新本館オープン以後も、それら重要な機能は継続して利用されるそうです。案内表示はロサンゼルスのマイケル・マルツアン建築事務所との共同デザインです。 MoMA QNS MoMA QNS幕開の作品を運ぶイベント(映像展示より) MoMA QNS MoMA QNS幕開の作品を運ぶイベント(映像展示より) MoMA QNS内部 MoMA QNS内部 MoMA QNS内部 MoMA QNS内部   MoMA QNS「Autobodies: Speed, Sport, Transport」 今回の展示の中で、デザイン関係のものだけPick Upしてみました。 一つは「Autobodies:

第30回 (1)Tokyo Designer Block, Designer WeekとNYのDesigner week イタリア編 (2)イサム・ノグチ庭園美術館

第30回: Tokyo Designers Block, Designer’s WeekとNYのDesigner week イタリア編 (2001/11/14) Zero First 外からの全景 Miguelの飛騨高山、日進のユニット式棚 ウィンドーに飾られたMiguel Calvoの作品とクレジット Miguelのデザイン、飛騨高山の日進製花器で取りはずしの出来る丸いトレイ 代官山のZero Firstにおいて、NYデザイン2001展と、その中の1人、Miguel Calvo(ミグル・カルボ)の展覧会が開催されました。この展覧会は、Miguel Calvoが2ヶ月間岐阜で、飛騨高山の家具や美濃和紙のランプ、土岐の陶器など、地元との共同作業でできた作品群が中心です。岐阜県と飛騨高山をプロデュースする佐戸川氏/Zero Firstの協力で実現しました。NYデザイン2001展は、この夏岐阜で開催した展覧会を東京でも見てもらうため、開催されました。 Miguel Calvoの岐阜制作は、NYからのアーティスト・レジデンス岐阜プロジェクトの一環で、彼で2人目になります。NYからの作家は、1人目がGaston(ガストン)で、彼は5月から6月にかけて岐阜に住み、‘林工芸’との共同作品で、たくさんのランプができています。Miguelは今回、7月、8月と岐阜に住み、椅子・トレイ・花器・ランプ・カップなどのサンプルを短い間に産地と県の協力で発表しました。特に飛騨高山の‘日進’が、家具をサンプル制作まで仕上げ、このTDBでの発表になりました。 一方、New Yorkでは毎年9月末から10月にかけて行われる従来のデザイナーサタデイが、9月11日の惨事の為に延期になり、全体としての大がかりな催しは今年はやらないことになりましたが、11月5日をUptown、11月7日がDowntownと分けて、イタリー系のショールーム8軒ずつが6時から9時までパーティーとともに新商品発表の会を開催しました。 それぞれショールームの入口で、カードにスタンプを捺してくれます。3軒以上のショールームをまわってスタンプを集めて、そこの抽選箱に入れると、ミラノ・サローネご招待が当たるというおまけつきでした。 あくまでもビジネス目的の催しで、有名ブランドの家具ショールームが、広いスペースで商品の家具を展示しているので、日本の若い学生やデザイナー達の盛り上がりとは大分ちがいます。 日本のTDW・TDBのノリは5月のNY ICFFのオフ・サイト以上の盛況で、それぞれのエネルギーの使い様に感心してしまいました。家具もまるでトレンディーなファッション関係のイベントのようで、出展者もビジターもビジネスを全然考えていない様子だったことにも感心しました。   Tokyo Designers Block・Designer’s Weekにて Zero First内部とNYデザイン2001展 Zero First内部とNYデザイン2001展 Zero First内部とNYデザイン2001展 Zero First内部とNYデザイン2001展 Zero Firstの外まであふれるパーティーの参加者 Zero Firstの外まであふれるパーティーの参加者 Zero Firstの外まであふれるパーティーの参加者 ミゲル・カルボ Miguel Calvo Miguelのデザイン、飛騨高山の日進製の積み重ね式トレイ Miguelのデザイン飛騨高山の日進製椅子 Miguel Calvoの作品 Miguel Calvoの作品   NYのDesigner weekにて Palazzetti ショールームUp townの A & Dビルディング内(58丁目Lex & 3rd) Terzani at Lee’s

第29回 「DIFFA」のParty 「ACM(American Craft Museum)」のギャラパーティー

第29回:「DIFFA」のParty (2001/10/10) Conran Shop NYC 9月11日の大惨事以降あらゆる催しがキャンセルになりました。2週間後の9月25日、デザイン業界では最初のパーティーが開かれました。59丁目の橋の下を利用して開発されたBridgemarketに一昨年オ-プンしたコンランショップは、アッパーイーストサイドの新しい名所です。ELLE DECO誌、シャンペンのTAITTINGER等の協賛で、コンランショップの売り上げから、AIDSの為の非営利団体DIFAに寄付をするというパーティーでした。皆、事件の話題でもちきりでしたが、1・2階のコンランショップ全体をパーティ会場に買い物をしながら、久しぶりに皆で集まる楽しいひとときをもてたようでした。 Conran Shop NYC Conran Shop NYC 1階のキャッシャー 橋の下を利用して出来た 1階会場の様子 1階会場の様子 1階会場の様子 1階会場の様子 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景 2階会場パーティー風景   「ACM(American Craft Museum)」のギャラパーティー 2001年ACMアワード受賞式風景 2001年ACMアワード受賞式風景 ACM(American Craft Museum)の2001年VISIONARIES(工芸に貢献した人を表彰するギャラパーティー <基金募集パーティー>)は、10月2日に行われました。 しかし、時期が時期だけに、HOTELでの開催をとりやめ、MUSEUMで行われました。今回、その一部をNew York Timesを通し、9月11日募金に寄付することとなりました。 この機転の企画を取り入れた結果、New York Timesの取材、NY州知事夫人 Libby Patakiのスピーチも行われることとなり、思わぬ盛大な会になりました。   パーティーは、皆の黙とうではじまりました。 そして、それぞれの事件とに関わる話しなどがあり、それぞれ重鎮な方達なので、毎日御葬式に出席しているとの事でした。 NY州知事夫人Libby Patakiも「知事もほんの時間を作っては、家で食事をして、又任務をこなしています。ですから、少しでも時間を合わせて、主婦をしなければと思います。 皆様との時間を過ごしたいのですが、このスピーチの後直ぐ帰る事をお許し下さい。」と結んでいました。   NY州知事夫人 Libby Pataki NYTIMESの方からの9.11基金の説明と、今回のお礼の言葉から式典がはじまりました 右・ACMのチーフ・キューレーターDavid McFadden 中央・ACMのアシスタント・キューレーターSusan Barry 右・ACMディレクターHolly Hotchner 右・今回のACMの展覧会のキューレーターPaul Smith   左・Bertil Vallien 右・William MorrisとPaul Smith