第124回 SOFA NY 2009
12回目になるSOFAニューヨーク(Sculpture Objects & Functional Art)が、2009年4月16日~19日までパークアベニューのARMORYでおこなわれました。 オープニングの15日はTAX締め切りの忙しい日だったにもかかわらず、夕方からも2200人の人々で混み合いました。 恒例のMuseum Arts & DesignのBenefit(基金集め)のサイレント・オークションも会場に設けられ、カクテル・パーティーがティファニー・ルームで行われました。 ロンドンのディーラーJOANNA BIrd が「Pippin Drysdale 2009のインスタレーション1」セラミックのシリーズを$ 79,000で押さえるなど、不況の影響を感じないオープニングだったようです。 今回のSOFAの集客数は、最終日の19日までに、コレクター、キューレーター、建築家、インテリア・デザイナー、アート・アドバイサー、新しい観客などを含め、約17000人になったそうです。 今年の広報で話題になっていた、William Zimmer Galleryの Tomas Huckerのロッキング・チェアー。 彼は1985年にGallery91で、私の企画の「MADE in USA」のグループ展に参加してもらったアーティストで、その後も2度ほど出品していました。しばらく会っていない間に、国際的な家具の作家になっていて誇りに思い、久しぶりの再会を喜び合いました。彼はその後、日本の大学に通い、お茶の稽古も積んで感性を磨いていたようで、日本的繊細さ漂う作品づくりをしています。 ティファニー・ルームで行われるサロンSOFA:レクチャー・シリーズでは、Bookサイン会ほか、9つの講演が行われました。 David McFaddenのMAD Museumの今後の企画展の話、日本の焼き締めのマスター Jeff ShapiroのStudeio Potterの話、京都からの陶芸の巨匠 宮下善爾氏、その他各々聞いてみたい、勉強になりそうな講演でしたが、一部だけしか聞きに行けませんでした。 私が聴講した森じゅんこさんの講演にも、多くの方が熱心に聞き入って質問をしていました。彼女はシルバーを使って、彼女の好きでコレクションしている自然の植物や葉、茎等からワックスで型をとり、それをまた組み合わせてデリケートな形にしていったり、プロセスの関係で出来る形が器に見えたり、壷だったりする、ユニークな作品を作りあげています。ロンドンの銀の使い手、鈴木ひろし氏に助けられたという努力家で、素直で素敵なアーティスト。今後ますますグローバルな大物に発展しそうです。 今回のSOFAの売上げが気になり調べた所、Leo Kaplan Modernは$ 38,000でRichard Jolley 「2009 Still Life」を初日に売り、Chicago Habatat Galleries 『Shayna Leib glass installation」が$ 46,000 等々、エコノミーの不況も、本物を求めるコレクターには影響の無い事を証明。 オープニングの当日、Joan B. Mirvissのところでは29作品の売上げを記録、宮下善爾氏の陶芸19点を売りさばき、最終日の昼には3点を残す完売状況だったそうです。 アメリカ国内のあちこちから来た、多くの新しいコレクターや、インテリアデザイナーが買っていった、と驚きをしめしていました。 Londonのディーラー、Clare Beckも売上げを喜ぶ一人で、The venerable Adrian Sassoonでは、各アーティストの作品、特に鈴木ひろしの大きな作品や森じゅんこの作品が売れたそうです。 竹で有名なTAI Galleryでも、森上仁の作品などは直ぐに売れたという事でした。 ジュエリーのMobilia Galleryも、楠本マリコの大きなメタルの彫刻が$ 50,000でアメリカのコレクターが買い上げられる等々、心配をしていただけに喜びをあらわにしていました。 今やSOFAは、工芸の世界から抜け出て、Art Basel.と同じような舞台になりつつあり、VIPカードで著名人が出入りするVIPラウンジを会場内に設け、ウィットニ・ミュージアム、グッゲンハイム、MOMA、メトロポリタン・ミュージアムなどを相手にするアート市場になってきたようです。 SOFA http://www.sofaexpo.com/ ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影