第109回 蔡国強の大爆発 グッゲンハイム美術館

中国の爆発作家、Cai Guo-Qiang(ツアイ・グオ・チャン/蔡国強)の「I Want to Believe」展が、2月22日から5月28日の期間、グッゲンハイム美術館で開催されています。21日に行われたオープニング・パーティーは大盛況でした。 中国生まれのソロ・アーティスト展、しかも全館を使った展覧会というのは、グッゲンハイム美術館では初の試みになります。会場に入るとまず、フランク・ロイド・ライト設計の螺旋階段(ロタンダ)を活かして吊るした、爆発する9台の車のインスタレーションに度肝を抜かれます。 Cai氏は、1980年代に、中国の実験的なアート・ワールドのメンバーとして現れ、1986年から95年は日本に滞在。その間、火薬の特殊な使用を習得したり、三宅一生とのコラボレーションのプリーツを爆発させるプロジェクト等を手掛けて、日本から有名になったといっても良い位、知名度が高いアーティストです。 1995年以来ニューヨークに在住し、国際的なプロジェクトに取り組んでいて、今年開催される北京オリンピックの開会式のプロデューサーの一人でもあります。 展覧会では、彼の大掛かりな爆発プロジェクトが、各フロアーで、写真、ドローイングで見れ、また、Video上映等による記録で見ることができます。1ヶ月間続いたという大規模なインスタレーションは、車の他に、3000本の矢に刺された漁船や、正面からガラスの壁に飛び込んでいるように見える99頭のオオカミの等身大のレプリカなどがあります。 Gallery Annexでは川が実際につくられ、Yak Skinのボートに乗る体験が出来ます。 他に、生きたへびや鳥がいる展示、羊皮でできたブタの形の浮遊物、トヨタ車のエンジンの展示などがあります。 また、上階のAnnexでは、日本の地方イワキから寄付され、掘り出されたサンケン船と、粉々の白陶器を展示しています。 現代のアートムーブメントにも所属しない中国の精密彫刻家(中国から5人、NYの4人)が、中国史の中から描写した人体彫刻を実際に制作し、その過程を見ることができる展示が3月4日まで行われました。 Cei氏の作品はそれぞれに、テロ攻撃から古来の神話、軍事史、道教信奉者の宇宙、地球外の観測、毛沢東主義者の革命の戦術、仏教徒の哲学、火薬関連の技術、漢方薬、等をバックに思想を自由に引き出し、郷土史のグローバル化の弁証法として、 Cai氏のアートとして社会的なエネルギーのフォームにしているようです。 彼が訴える「見えてる見えない世界」「信じたいと思いたい」を、エネルギーいっぱい爆発させているようです。 展覧会は、大スポンサーのThe Robert H. N. HO Family Goundation(何鴻毅家族基金)という中国の文化系の援助をする基金がバックアップしているそうで、日本にはないスケールが育つ元の気がしました。 他にMuseum Shopでは、この為に幾つかの特別製品も制作。Cei氏の「開けると爆発するカード」の依頼から、Gallery 91の紙技デザイナー木原隆明氏(日本在住)が考案したドラゴン・カードとレインボー・ミラーカードの発売が開始されたのも、もうひとつの魅力です 第7回目となるアーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、3月6日~9日の4日間、ニューヨーク市のPier94(55ストリートと12アベニューに位置する)で行われました。主催はMerchandise Mart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。 http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0704/index.html 昨年と同様、11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展しました。 プレス用朝食を出してアピールしたカリフォルニア・クロゼット社は、日本の無印を思わせるシンプルな家具で、個々のスペースにあわせて作るシステムで、ウェストコースで評判を得ています。NYにもコンサルタント・デザイナーとオフィスを持ち、今後の客層の幅を拡げたいとの事。 初日のスペシャル・イベントとして、会場でオープニング・ナイト・パーティーが行われました。VIP等が招待され、チケット料金がPOのAlpha WorkshopsのHIV / AIDS団体に寄付されます。 今年は、黒川雅之氏のプロダクトが、55Contemporaryというブースで初出展しました。5番街のオフィスビルにショールームを持ち、そこで、11日にオープニング・パーティーが行われました。 普段はデザインに関係のないNYの日本政界の方々や、櫻井大使夫妻ほか、たくさんの方が集まり、黒川 / 加藤タキ御夫妻のパワーを発揮していました。 アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーでは、昨年に続きNYのNori Morimotoのブースが出展。今年は自然の木と明かりを主に、新しく挑戦しているガラスのタイル等を発表して人気を得ていました。 また、家具でコレクター・アイテムとなってきているWendell Castleのコーナーが、壁面を長く使って展覧会をかねた展示で迫力を出していました。 内田繁にデザインを依頼し、チェルシーにオープンした、一穂堂ギャラリー畳みの「青い穂庵」もあり、茶の湯を楽しめる日本を意識した空間に改装され、これから日本の工芸等を展示していくそうです。 そのオープニング・ショーとして「茶の湯 内田繁と7人の工芸作家展」が開催されました。 11日と12日はオープニング・パーティーが開かれ、茶の湯、工芸愛好家、デザイナーが集まりました。 NYの著名デザイナーのMassimo & Lella Vignelli夫妻、また、マンハッタンにお茶室、日本間を持ち、NHKにも取材されているPierre Semet氏 や Steve Globus氏も出席していました。ニューヨークの日本酒ブームから、ほんもの日本文化が、今後どのように浸透するのか、楽しみです。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第107回 Art Basel Miami Beach と Design Miami

マイアミ・ビーチで12月5日から9日まで「アート・べーゼル・マイアミ」と「デザイン・マイアミ」が開催されました。浅い歴史にも関わらず、大変話題のこのフェアーを是非この目で見たい!と雪の降るニューヨークから、暖かいマイアミへと出かけました。スイス発のこのArt Baselをマイアミでも始めたのが6年前で、その後、デザイン部門が3年前に加わりました。スイスではヨーロッパのバイヤーがほとんどだそうですが、マイアミは世界中から、バカンスを兼ねて訪れるので、年々その規模が大きくなり、景気の低迷が嘆かれているにも関わらず、今年は、プライベート・ジェット機が何と、去年を上回る220機も乗り入れたとの事。マイアミ・コンベンション・センターで行われるメイン会場の他に、大小のフェアーだけでも22カ所もあって、シャトルで回ったり車で回っても、場所、駐車場を探すだけでも時間がかかりひと苦労です。至るところで、NYのSOHOを盛り上げていた頃の懐かしい友人達に出くわしましたが、現在は皆フロリダに隠居しており、それが、こういう動きを呼んでいるのではと思いました。 初日には「コレクター、バイヤーが先を競ってアートを購入」と翌日の新聞に出ており、その後毎日、9万ドルから45万ドルでどの作品が売れたなどと報道されていました。Bigger is Betterなのかこれでもかというサイズ、17フィートとか、26フィートのアートをNYからのバイヤーが買い付けたりもしているそうです。マンハッタンの中ではこのサイズはどうなのか、と余計な心配をしていたら、「ヨーロッパにある別荘に」とか、流行の「プライベート美術館により目立つものを」とそのコレクションのための買い付けだとか。 デザイン・マイアミは、デザイン・ディストリクトとして、MOOREビルディングを中心に開発中で、すでに有名店やギャラリーがいくつも出店しています。会期中は毎晩そこでパーティーなどが催され賑わっていました。MOOREビルディングの吹抜け部分に、第1回「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」のザハ・ハディドの受賞作品が展示されていて象徴的です。第2回目は、マーク・ニューソンが受賞、そして3回目の今年は、日本の吉岡徳仁が受賞するというので、話題を集めていました。 彼の展示はこのビルの4階で、入った瞬間、竜巻の水しぶきか煙りで霞んだような錯覚をおこす、特別に作ったストローで覆いつくされていました。アメリカでは未発表の作品が多く展示されていたので、来場者は質問したり、感心したりで、映像ピデオにも熱心に見入っていたようです。展示するに当たって、真っ白なカーペットが、沢山の来場者に汚れないかという心配も懸念されていたようですが、最後まで白いままで素敵でした。 MOOREビルディングの1ブロック下に坂茂の「 Space of Silence」 Artekパビリオンの展示があり、もう1ブロック下のロフトの中では、Morris Sato StudioのDuPontの「Light Showers」の展示がありました。その中の特設会場ではジョージ・ベルリアン・吉岡徳仁等のパネル等も行なわれました。 Art Miamiのメイン会場となるコンベンションセンターは、マイアミ・ビーチにあり、世界中からギャラリーが出展し、作品サイズとその価格でも話題の作品を見る事ができました。その周辺、ダウンタウンでは「Briage Art」「Flow」「Red Dot」「Ink Miami」など、それぞれ若い作家達の作品を紹介していました。 橋を渡るとこれから新しく海辺に移ろうとしている、Miami Art Museum (MAM)があり、アートを見せる為に建築を考えたというジャック・ヘルツ(Jack herzog)構想構想の模型や、紹介のVideoの上演をしていました。また、NYのMoMAから移動してMAMのキューレーターになったテレンス、建築家(Jack herzog、Terence reiley and doug aitken)等による講演会などがダウンタウンのコロニーシアターで催されましたが、話題のセレブ達も入れなかったほど超満員でした。 MAMからわりと近くに、リサイクルや既存する物だけで作るユニークなアートが展示される美術館、Cisneros Funtavals Art Foundatio (CIFO) が、その先にはNAD Art Fair Miamiがありました。またCASA Decor 07も倉庫を会場として利用し、見応えのある展示でした。少し離れてPULSEが見られ、ここの2階には、日本の若手アーティストが参加しているGEISAIが展示しており、その先にはMOCAがありました。ZAHAの展覧会は少しわかりにくい倉庫での展示でしたが、どうにか辿り着き、知人から聞いていたとおり、その素晴しい作品とスペースの規模の大きさに圧倒されました。これだけ動きまわっても、いろいろ見過ごしたり、出れないパネルや講演もあり、セレブのファッション、NYとはひと味ちがうパーティーの賑わいもあり、 盛り沢山のショーでした。 このアートマイアミが大変な人気を呼んでいるのには、ファイナンシャル関係で働くインベスターらが、Weekdayは仕事をしながら、週末にはマイアミに飛んで来て、若手アーティストの作品を投資目的に買うバイヤーになっている事実にもあるとのこと。しかしこのファイナンシャルの人達が、アートやアート・ソサイティーの状況に大変詳しいのにも関心させられました。日本の経済界の人達には、アートがここまで理解されてないのでは、と思ったものです。スケール、財力すべてに刺激されたショーでした。 マイアミがこれからの動きとして、アート発信地になるのでしょうか? ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第106回 アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF) 他

アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF) 第1回アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF)がニューヨークのピア92(52丁目/12番街)で11月9日から12日まで開催されました。 初めてのアジアの現代アートということで、業界で話題を呼び開かれ、注目を浴びましたた。ギャラリーと出版社合わせて出展者の数は94。その内訳は、アジアから出展のギャラリーが、韓国-25、日本-14、中国-8、インド-2、インドネシア-1、ベトナム-1。ヨーロッバが、ドイツ-2、イギリス-1、フランス-1、スイス-1。アメリカからは20で、そのうち19がニューヨークからのギャラリーとのことです。 過去5年、アジアのコンテンポラリー・アートにコレクターや業界の興味が高まっている中、今回のフェアーでも、売上げ概算12ミリオン(米ドル)という実績をあげたそうです。フェアーディレクターのThomas Arnold氏は、国際的に名が知られてきているアーティスト、Xu Bing(シュ・ビング)の他にも、今は無数の中の一人のように見えるアーティストも、高く評価、注目されている、と言います。 このフェアーの作品の価格が主に$15,000~$80,000というなか、$950で売買される手頃な価格の作品も見られ、人気を呼んでいたようです。会場の作品は、絵画、プリントで国際的に評価されているZhang Xiaogaug、草間弥生、Nam Jun Pike、Yue Miryun等も含まれ、テクニーク、素材、において様々なクリエイティブな作品が出展されていました。また、このフェアーのメイン・スポンサーは韓国の化粧品会社とのこと。 実際に観た感じから、初めてということもあり、多少勘違い的、的の外れた出展者も見受けられましたが、このところのアートシーンの傾向が、アニメブーム、オドロオドロしい作品にあるなか、真剣にアートに取組んでいるアジアのギャラリーがいくつもあり、久しぶりに素直なアートに出会えた感じがしました。 International Hotel / Motel & Resaurant Show(IHMRS) International Hotel / Motel & Resaurant Show(IHMRS)がJacob Jabits Centerで11月11日から13日まで行われました。通常ホスピタリティーショーとして知られる大規模な展示会です。 Luxury Product Collection (LPC)は3500~3900番のブースでアメニティや、テーブルウェア、豪華なトレンド・プロダクトを展示。また、テクノロジーと開発センタ-も設けられていて、ソフトウェアーの開発などもHospitality Upgradeマガジンの後援で行われていました。 私が興味をそそられたのは、学生達によるお菓子のコンペとディスプレーで、毎年開催され、139回を迎えるThe Society Culinary Philosophyの主催するAnnual Salon of Culinary Artのコンペティション。有名なマスターシェフからアマチュアまで、コンペティションに参加し、その中には、マスターシェフによる料理教室、デモンストレーション、ペーストリー・シェフ(菓子職人)などのブースもあり、その場で受賞が発表され、現金が与えられるアワードもあり、それぞれ真剣に取組んでいました。 ホテルのほうはあまり観る時間がなかったのですが、お菓子のコンペの展示はそれぞれとてもきれいで、甘い魅力的な作品が沢山展示されていました。 このお菓子の部門の出展者は主に、 Culinary Art Academy (スイス)DCT International Hotel Mgt & Culinary Arts School, Educational Institute of AH&LA, Florida State University, International CHRIE, Johnson & Wales University, Kendall Collage, Les

第105回 The MoMA Design Store & Chilewich他

The MoMA Design Store & Chilewich Chilewichとの10周年を祝うカクテルレセプションが10月11日に、MoMA Design Store Sohoで行われました。雨模様のぐずついたお天気の中、関係者が大勢集まりました。Accent on Designでは大きなブースを持ち、メキメキと大きくなってきているChilewich。変わった素材でランチョンマットなどインテリア小物を手掛けている会社です。 Sandy Chilewichは建築家の夫の協力のもと、建築素材に使われるような、今まで利用されなかった素材を使って、ランチョン・マットなどを作り、大成功しました。 最初のMoMA Shopとの関わりは1997年のRay Bowlsで、スパンデックスの合成繊維を使った伸縮性の取り外し可能なカバーの、フルーツトレイで成功を収めました。その後、彼女はplacemat、床マットとテーブルまわりのアクセサリーに独自のコレクションを持ち込み、また、MoMAからの要求も取り入れて、MoMAとChilewichの10周年の記念を祝いました。彼女の商品は全て米国で作られています。 OKハリス・ギャラリー SOHOの名門、OKハリス・ギャラリーで行われているLarry Kaganの鉄と影の作品展が、10月20日から11月24日まで開催されています。 OKハリスは、NYの有名アーティストを何人も輩出し、SOHOを有名にしたアートシーンを築いてきました。現在も健在の名門で、ここで展覧会を開催することを夢見るアーティストが多くいます。 いつも一風変わった企画展で、現代の動きを見る事が出来るので、時々のぞいています。 時々展示されている鉄と影の作品を見ては、“不思議な影だが、多分ペインティングで描いているのだろう”などと解釈していました。今回、Larry Kaganの個展で本人にも会い、この不思議な作品を良く知ることが出来ました。作品の大事な要素である照明のあて方や、3点の作品では時間で照明が消えたり、ついたりするような仕掛けをして見せていました。 彼は鉄の彫刻家で、プリント・メーカーでもあります。昔は、鉄の作品の為にスケッチを描き、それに沿って鉄をカーブさせて作品を作っていたそうですが、出来た作品の影がうるさく、その処理に苦労していたそうです。ある時、影の主張が面白かったため、逆の発想をし、影にあわせた鉄の作品を作ることを思いつき、これらの作品にたどり着いたそうです。 細い鉄線の影とは思えない平面を塗りつぶしている影の作品は、どう見ても不思議で、展覧会を見に来る人々も、作品のそばで手をかざしたり、影を消して試したり、上や下から見たり、この不思議な作品に感銘していました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第100回 SOFA New York 2007(Sculpture Objects & Functional Art)展

国際美術工芸品フェア、SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)2007が、6月1日~3日の期間、パークアヴェニューのアーモリーで開催されました。昨年に比べ期間は短かかったのですが、来場者は金曜日は45%、土曜、日曜は20%の上昇のにぎわいだったようです。 SOFAの創立者でありディレクターのマークライマン氏は、「すばらしい来場者の数で常に混んでおり、ギャラリー売上も上がって、皆が楽しめた、記念すべき10回目のSOFAフェアになりました。」と言っていました。前夜祭には会場で、恒例のMuseum Of Arts & Designの為のギャラ・オープニング・パーティ、サイレント・オークションが行なわれ、スペシャルゲストで賑わいました。 入り口ではコンテンポラリーガラスで有名なHeller Galleryが展示を行い、今年は日本の作家や出展者も増え、SOFAが知られてきているのを感じました。 → SOFA NEW YORK 公式HP → SOFA NEW YORK 昨年のリポート → MAD 公式HP → MAD 昨年のリポート 日本人作家の作品が多数出展 NYで日本人の作家を多く扱うDaiichi Artsは、カラフルな現代陶芸作家の作品を出展していました。ブース110のChappell Galleryにもガラスや陶器の日本人作家の作品が目立ちました。ボストンからは、NY・SOFA初出展のKEIKO Galleryが、ユニークな日本人作家の作品を出展していました。Snyderman-Worksは、オリジナルの小物作品でおもしろいものを扱っています。日本人の作家は、作年は伊部京子氏、今年は山田アキラ氏の作品を展示していました。そして、招待状やカタログカバーにも写真が使われていた、アメリカでも知名度の高い陶芸の金子潤氏の作品は「Sherry leedy Contemporary Art」に展示されていました。 NYのトライベッカに店をもつ「GEN」は、織部の鈴木五郎をメインに見せて出展していました。英国在住の日本人、Junko MoriとHiroshi Suzukiの精巧な作品を見せていたのは「Clare Beck at Adrian Sassoon」。コネチカットの「Browngrotta Arts」は、熊井恭子他、沢山の日本人ファイバーアーティストを扱かっているので有名なギャラリーです。入り口近くにいつもブースを構える「Joan B. Mirviss」は、日本のギャラリーかと思ってしまうほどの日本通で、秋山陽、北村純子他の作品を扱っていてコレクターを沢山もっているようです。オーナーが日本語がうまいメルボルンの「Lesley Kehoe Galleries」では、初日の朝、作家の麻殖生素子が会場で表装をして、屏風のデモンストレーションを行ないました。皆、感心したり、質問したりと、勉強になりました。 会場ではジュエリーのブースが人気で売れていたようですが、やはり日本のアーティストが多数出展していました。初出展の大阪の八木アート「Art court Gallery」でも、日本の現代作家の作品が見ることができたので、良かったと思いました。 日本作家を特に取り上げましたが、来場者も解かってきているので、日本の良い「本物」をどんどん見せるべきだと、ますます思いました。 t 今年100周年を迎えたニューヨークのJAPAN SOCIETY NYでは今年日系人会(The Japanese American Association of New York,Inc)が100周年を向かえます。9月には大掛かりなギャラ・パーティーが予定されており、Japan Societyでも100周年の特別企画として様々なプログラムが企画されています。Japana Societyは、明治40年(1907年)の創立以来、100年にわたり民間非営利の日米交流団体として日米間の相互理解と友好関係を目的に様々な活動を続け、そして、今年創立100周年を迎えるにあたり、「創立100周年記念事業」としてニューヨークと東京にて様々な特別記念事業を開催中です。 その一環として、5月31日から6月10日までの間、日本が誇る最新技術に焦点を当てた11日間のサミット「テックエポック」を開催し、21世紀のライフスタイルを考察する「テックエポック」、デザイナーや技術者によるシンポジウム、講演会、ビジネス関連プログラム、最新ロボットのデモンストレーション、ハイテク舞台公演、学生対象ワークショップなど、様々な催しが行なわれた中の一部を今回ご紹介します。 「テックエポック」のハイライト企画で、日本が誇る最新鋭ロボットのデモンストレーションと共に、製作者によるコンセプトの紹介や、デザイナーよるロボットのデザイン、機能に関する解説などが行われました。 6日夜のプログラムでは、パロ(Paro)の解説をする柴田隆徳氏に、NYの年配の方達が真剣に聞き入っていました。次の会場でロボットFT(女性型ヒューマノイド)、クロイノ(chroino)Nのデリケートが動き、その紹介を高橋智隆氏が行なっていました。また、別の会場では愛・地球博に出展された、新しいパーソナルモビリティ・トヨタ自動車のi-unitが出現。トヨタチーム、橋本博氏の説明を行い、目の前で動くi-unitに、皆大喜びしていました。子供のプログラムは別にあったのですが、ここに来ていた少年達は真剣に質問をしたりしていました。このプログラムは20人程の小人数に分けて入れ替わるように行なわれましたが、定員以上の申し込みだったようです。 テクノロジー&デザインのシンポジウム 6月8日、9日のテクノロジー&デザインの2日間のシンポジウムは、日本発の先端技術が21世紀類の生活に与える影響と変化をテーマに、自動車、プロダクト、ロボティクス、建築技術といった日本の得意とされる分野での今後の展望と、それに影響されるライフスタイルを、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性や、近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について、各産業界のデザイナー、批評家、そして専門家を招聘し多角的に討論するプログラムでした。その中の6月8日6時半からの「ユーザーイノベーション:消費者優先のモノ作り」プログラムに参加しました。パネリストは東京電力株式会社執行役員廣瀬直己氏、トヨタ自動車東京デザイン部門部長布垣直昭氏、松下電力シニアアドバイザー、前パナソニック・デザイン社長植松豊行氏。消費者のニーズを意識した技術・商品開発や、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性、そして近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について討論しました。司会はカリム・ラカーニ氏(ハーバード大学ビジネススクールビジネスアドミニストレーション助教授)。 第2日目 2007年6月9日(土) シンポジウム2日目は、技術とデザインが人々の未来の生活スタイル、移動性、都市計画、建築学的進歩、人とのふれあいや娯楽などにいかに影響を及ぼすかを考察するというもので、参加パネリストは西山浩平氏(エレファント・デザイン社長)、柴田文江氏(工業デザイナー、デザイン・スタジオS代表)、奥山清行氏(Ken Okuyama Design社長)、松井龍哉氏(ヒューマノイドデザイナー、フラワー・ロボティクス代表)、阿部仁史氏(建築家、UCLA建築部学部長)、高橋智隆氏、柴田隆徳、ニコラス・トンプソン氏(『WIRED』誌シニア・エディター)、クリストファー・マウント氏(ニュースクール大学Exhibitions and

第99回 マイケル・アラム

マイケル・アラム マイケル・アラムから私へ、4月23日に開店するマンハッタンのフラッグ・シップ・ショップの、オープニングのお知らせが届きました。 マイケル・アラムは、ギフト・ショーで着実にビジネスを拡大させていって、この1~2年、ブランド商品として大きなブースを持ち、売れっ子になってきています。 私が、マイケル・アラムの初期の作品を日本の展示会に紹介したのは1985年のことです。その当時の作品は、鉄の曲がりくねったスプーンやフォークでしたが、何か不思議な形でいて、自然体の力強さがあり魅力を感じたものでした。 あれからビルディング一棟ごと買って、1階にショップをオープンし、アメリカン・ドリームを着実に実らせていく彼を、横で見ながら、褒讃の気持ち、いっぱいで、あっぱれと思いました。 マイケル・アラムの出身はアメリカで、主にメタル作品を手掛けるアーティストです。1980年代後半にファインアートを勉強し、アーティストとしてニューヨークで暮らしました。その後、のちに己の人生を変えることになるインドの旅へ出て、豊かな金属加工の伝統工芸と出会いました。そして、彼は、まだあまり知られていない職人たちと共同作業を行い、作品を作る糸口を掴みました。、アラムはすっかり感化されて、住居とワークショップをニューデリーにかまえ、その創造意欲を彼のデザインに基づいた工芸作品へと向けました。 アラムの仕事 アラムの仕事は、手作業の率直なありかたを表現することで、人間性を映し出しています。一つ一つの作品に、古くからの伝統的技術が施されながら、愛情が込められていて、心のこもった品質とエネルギーがしみ込んでいます。熟練職人の仕事とは、その職人の手が感じられるものだけである、とアラムは信じています。このエネルギーがさらに、張り詰めた線、形、そしてアラムの独自の作品の意識にまで高められています。 テーブルウェアーから家具までに及ぶオブジェは、世界中のギャラリーや特選ショップ(メーシー・デパート、ブルーミングデール)等で販売されています。この多様性は、アラムが、個人的な注文の依頼も気楽にこなしながら、ギャラリー展示会向けの一点物、また、一般大衆向けの商品も創る、というアーティストとしての多才性をよく現しています。 そして、芸術家と職人との架け渡しを長く続けているのが、彼の仕事の著名なところです。「物語的、具象的」で知られるコレクションにしろ、もっとコンテンポラリーな「スタジオ」ラインにしろ、一つ一つの作品はすべて手で作られるので、全く同じ物は存在しません。この手作業の品質の良さ、またこの品質と独創性がしっかりと混ざり合っているからこそ、クラッシックなインテリアにも、コンテンポラリーなインテリアの家にも、心地よく合うと皆が認めています。 インドのメタルと組んで、成功させた模範例 ヒンズー語で、”aram”は、”優しく、平和な、愛と気配りをもって”、という意味を含むそうです。このマントラのような方向性を、職人達に伝えて、アラムが、完成度の高い作品創りを続けているので、今の成功を納めているのだと思いました。 日本の地場産業の活性化とか、日本の伝統を海外へ等の運動と同じ事を、地道に着実に一人の作家がインドのメタルと組んで、成功させた模範例だと思いました。 トライベッカフィルムフェスティバル トライベッカフィルムフェスティバルは、9・11で大きな被害を受けたトライベッカ(Canalストリートよりダウンタウンの3角地帯、ゼロ地点より上)の地域活性化を目的に、ロバート・デニーロを中心に始まった映画祭で、今年は4月25日~5月6日まで開かれました。 あちこちでレッドカーペットのイベントが行なわれた様でしたが、俳優を追いかけるチャンスは逸してしまいました。そのため、フィルムフェスティバルの看板の写真を撮り、案内所までは出かけたのですが、あまりの量と沢山のインフォーメーションで、専門外の私にはあまり分からなかったため、5月5日の子供の日に行なわれた、ファミリー・フェスティバルに参加しました。 この時期は一日中「ストリートフェアーのよう」という噂を毎年聞いていましたが、沢山の人手と大掛かりなイベントとは思わずびっくりしました。また、フィルムフェスティバルのイベントのひとつというだけあって、いろいろなものが無料で参加できます。トライベッカに、こんなに子供のいる家族が住んでいるのか、と思うほど、あちこちから子供連れで、このフェスティバルに参加していました。 分かリやすい全体地図も用意されていました。あちこちで、無料の出来たてのポップコーンに行列ができ、お試し無料のチョコレートバー、フリードリンクもありました。ほかには、子供向けの参加型シアター、大人気の髪の毛や顔のカラーリング、シャボン玉作りのコーナー、アート・工芸のテント、スポーツ体験大型コーナーもありと、大人も子供も楽しめる盛り沢山のストリート・フェスティバルでした。 キッズコーナー ストリート&体験コーナー ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第98回 Radical lace & subversive knitting

ホームデザインショー 今回で第6回目となる、アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、2007年3月8日~11日の4日間、55ストリートと12アベニューに位置するニューヨーク市のPier94で行われました。主催はMart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展発表し、見識の高い住宅のデザインを見ることができました。最新情報を得ようとする来場者の為に、セミナーを開催したり、無料で予約制のインテリア・コンサルタントに相談できる場があるなど、教育的プログラムも組み入れています。 このショーの出展者は、Home Designのカテゴリーでは、家具、骨董、テーブル・アクセサリー、キッチン、バス・プロダクト(風呂)、床、壁材、照明、その他の素材で、2007年の出展者の中にはRoche Bobois、Clive Christian、William Haines、Eva Zeisel等が含まれています。 「これらは、あなたのおばあさんの時代の鉤針で編まれた膝掛け編み物ではありません」と、この展覧会を企画した、チーフ・キューレーター・デイビッド・マクファデンは言います。「伝統的な、編むこと、レースという観念は、この展覧会で再認識されるでしょう。各々の作品はタイムリーな社会的な問題や個人のメッセージを含んでいて、一般の視聴者が参加し、繊維について、具体的で、且つ精神的に訴え、美的なレベルで、再考する機会、そして経験出来る事を奨励します。」 この展覧会はアート&デザイン・ミュージアム(MAD)の50周年イベントの一つとして、ファイバーアート部門で企画されました。 「基本的なレースと破壊的な編み物」のために選ばれた作品は、単に編むとかレースなどのステレオタイプの作品は受け入れず、27人のアーティストは、国籍的で、男女、年齢もまちまちです。彼等に求めたのは、伝統的な方法(例えば編み針と鉤針)に、ニューテクノロジーやマテリアル、例えば、ゴム、鉛、ガラス、工業用ワイヤーなど、その辺にあるような材料を使って、繊維を創りだす、新技術と材料の結合させる展望です。 そしてアーティストの多くが、この「レースとそれに挑む、編むアート展」が、彼らの初の大きなニューヨークデビューになりました。 この展覧会は六つの主題のグループに分割されています: ・ 有形な構造:人体を参照する仕事を、両方探検する。間接的にイメージまたは内容を通して、そして、直接コスチュームと服装を通して ・ スケールの問題:サイズおよびスケールが視聴者に影響を及ぼすことができる方法を検査する。 ・ 軽い構造:全体として光の伝達を探検する仕事を特色にする。仕事の要素は、または材料と視覚効果の「明度」を考慮する作品が特徴。 ・ 相互連結:アーティストの仕事を強調し、彼らの約束を拡張し、直接参加による芸術による公衆へのプロセスの仕事。 ・ 創造的な解体: 彼らの最終的な仕事に到着するために付加的であるというよりはむしろ減じるプロセスを使用するアーティストの業績を発表する。 ・ 複雑さの美、芸術を作って、テキストを書くことの関係で、共鳴する方法で繊維を使用するアーティストの業績を発表。 この展示のアーティストの中には日本からの菱沼良樹は三次元の自由な形式の彫刻を作成するために産業編み機を使い、その幾つかは着用できます。 この3~4年は編み物ブームのような現象があり、一見ありそうもない場所のあちこちで、ロンドンの地下鉄で開催される編み物クラブの活動やサンフランシスコからストックホルムまで、戦争についての話し合いをするために編む、などのイベントも報道されていました。このアート&デザイン・ミュージアムの展覧会は題名からは想像出来ない、久しぶりに大掛かりで興奮するすばらしい展覧会です。6月まで、いろいろな教育プログラムも続いています。  ●5月10日木曜日(6:00午後7時30分) 伝統的なレースがどのように作られるかについて見て、 実際に作って技術に対する洞察をおこなう。 インターナショナルOld Lacers社のメンバーによるデモンストレーション ●5月12日土曜日(午前10時00分午後1時00分) Cat Mazza, MicroRevoltと一緒のワークショップ ナイキ毛布 ●5月17日木曜日、6:00 – 午後10時00分 夜を編む ●6月16日土曜日12:00正午、午後5時00分 国を編む・パフォーマンス 「contemporary netsuke(現代根付)」展 アート&デザイン・ミュ-ジアムのD Spaceでは、2007年1月25日~6月17日の期間、「contemporary netsuke(現代根付)」展が開催されており話題を呼んでいます。 根付は、300年以上の期間にわたって日本で発達したミニチュア彫刻です。根付は、機能的で美的な目的にかないました。着物にはポケットがありませんので、女性は袖の中に持ち物を押し込み、男性は絹紐でタバコや喫煙具、財布や筆などを帯からつるしました。 根付は、タバコや薬入れに付けられていたものですが、今世界で注目され、多くのコレクターがいて、アメリカ合衆国では隔年、国際根付コンベンションが開かれるほどです。このMADで初めての現代根付展は、100点のミニチュアのマスターワークで、日本の巨匠の作品から、オーストリア、オ-ストリア、イングランド、ドイツ、ニュージーランド、ウクライナとアメリカ合衆国から日本で学んだりしたミニチュア彫刻家の作品が展示されています。 日本でも見るチャンスがなくなったかに見えるこの根付、伝統的な根付に精通しているこの世界のコレクターが多いのにはびっくりします。 これらの小さい宝は、この世界に新しいエネルギーと考えを吹き込み続け、今日も生き続けています。この展示でフィーチャーされる54人の彫刻家の作品は、革新的な材料、巨匠技術と現代的主題で、注目されています。 伝統的素材の象牙、ツゲ材、漆、に加え、ガラス、樹脂、アクリル等も加わり、饅頭、柳左、鏡蓋、差と形彫の根付は、五つの主なタイプに分類されます。そして、その表面はエッチングまたは彫刻で飾られています。 骨、金属、ラッカー、黒い珊瑚、陶器、磁器、真珠、鼈甲、琥珀、硬い石、ガラス等がありますが、80パーセント以上のものは、象牙と木から作られました。 有名な日本の根付作家・中村雅俊(1915~2001)は、変わったデザインを、ツゲ材のような由緒ある材料に刻むことによって、伝統的であるものとモダンなものを結びました。アメリカの彫刻家ブラッドブレークリィの解釈は、豊かに模様のついた表面を持ち、そして、貴重な材料(例えばアカサンゴ、ラピスラズリ、孔雀石、銀と14カラット金)で飾られています。 オーストリアの彫刻家ゲルノートSchluiferのフォルクスワーゲンビートルは、石化されたナンヨウスギ円錐に埋められる水晶でできています。 現代根付 展はコロンビア大学のアジア歴史のPh.Dを持つ2世のTerry Satsuki Milhauptがゲスト・キューレーターで企画されましたが、日本人もびっくりの根付勉強会も用意され、ほんものの日本を見せているように思えました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第97回  アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショー

今回で第6回目となる、アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、2007年3月8日~11日の4日間、55ストリートと12アベニューに位置するニューヨーク市のPier94で行われました。主催はMart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展発表し、見識の高い住宅のデザインを見ることができました。最新情報を得ようとする来場者の為に、セミナーを開催したり、無料で予約制のインテリア・コンサルタントに相談できる場があるなど、教育的プログラムも組み入れています。 このショーの出展者は、Home Designのカテゴリーでは、家具、骨董、テーブル・アクセサリー、キッチン、バス・プロダクト(風呂)、床、壁材、照明、その他の素材で、2007年の出展者の中にはRoche Bobois、Clive Christian、William Haines、Eva Zeisel等が含まれています。 900の列に、今年初めて森本さん(NORI MORIMOTO)が出展していました。10年以上前、Gallery91で個展をしており、イサム・ノグチやジョージ・ナカシマのアシスタントもしていた方です。アートの方向に進むか悩んでいた時期もありましたが、今回の的を射た素晴らしいブースの成功に今後がますます期待されます。 今年の傾向は「Green」プロダクト・エコーフレンドリーマテリアルのハイデザインが注目を集めていたのと、最新台所用品、キッチン・テクノロジーを英国、フランス、イタリーの国際的なマニファクチャーが人気でした。 今回のショーで掲げているのは、「デザインコンサルテーション(これはフロワープランを持参して20分くらいのフリーでQAをするというものです。)」 *STUDIO 94 IDSA「アメリカ工業デザイン協会」がスポンサーをして若手デザイナーをサポート・ショーケースで新しいプロダクトデザインを見せるコーナー。 *Furnuture New York NYに住みNYで仕事をしている作家を一区間まとめて見せていました。 *教育プログラム NYタイムス・スポンサーの会場でデザイナーセミナーシリーズのプログラムが毎日組まれていました。 他出版ブースでは、新しい出版書のサイン会なども行われ、Eva Zeisel on Designの本には100歳の誕生日を迎えるデザイナー Eva Zeiselのサイン会も行われていました。ハイスタイル・キッチン用品の並ぶあたりでは有名セレブ・シェフによるクッキング・デモンストレーションも行われていました。一般生活者にも、購買力をそそるような、とても分かりやすいショーのように思えました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第96回 レストラン&フード・サービス・ショーとNYで行なわれた日本食の祭典

今年で5年目を迎えるレストラン&フード・サービス・ショーが、3月4日~6日まで、ジャビッツ・コンベンションセンターで行なわれました。ピザショーがあったり、あらゆる食材、食に関してのサービス関係器具、飾り等が展示され、と、幅の広さに驚いたり、感心したり、カラフルな食材に見惚れてしまいました。 いろいろな催しも同時に開催されていて、デザート・コンペの展示がありました。この中で話題になっていたのが、ジェトロ後援のJAPANパビリオンの出現です。和牛のJA全農ミートフーズ、八丁味噌から昆布の松前屋、伊藤園、ラムネ、良く知られている醤油のキッコーマンや豆腐など、25の企業と団体が日本の伝統的な食材を展示していました。農林水産物の輸出を目指し、日本の食文化の魅力を伝えるというもので、あちこちに試食があり、日本のデバ地下を思いおこされました。 「フードフェスト」開催 ニューヨーク市内のあちこちでも色々な催しが開催されました。マリオット・マーキーズホテルでは、3月5日の夕方、米国人レストラン関係者や同人イベント関係者ら、600人余りが招かれ「フードフェスト」が開催されました。京都の老舗料亭「たん熊」「梁山泊」の主人、橋本憲一氏と、「たん熊北店」社長兼オーナシェフ栗楢正博氏の3人を招いて会席料理を解説したり、シェフがステージにあつらわれたキッチンを使って、はす蒸しまぐろ、さより、ヒラメの刺身をふんだんな氷の上に芸術的に盛り合わせて披露。さらにフレンチシェフのデービッド・ブーレー氏が、湯葉、みりん、しょうゆなど日本食の素材を使ってフォアグラの湯葉包みをメニューに加えて調理し、会場に集まった人はそれらの料理を試食しました。日本の懐石料理を試食出来る、どんなGala Partyよりも贅沢な夕べで、もっと大勢のアメリカ人のシェフに見て、食べてもらいたかったと思いましたが、圧倒的に日本人の方が多いのが惜しいと思いました。 この「フードフェスティバル」の昼間にはJapan Societyで「日本食文化の米国への浸透」と題したシンポジウムが行われ、キッコーマン代表取締役の茂木友三郎氏が基調講演を行いました。 「第6回酒生展」開催 日本クラブGalleryでは、日本食の祭典の一環として、第6回酒生展(しゅきてん)が開催されました。展示場では人間国宝の島岡達三氏、清水六兵衛氏の他、人気作家38人の作品が展示され、訪れた超満員の人達は、京都から訪れた舞妓さんのふるまう樽酒のレセプションを満喫していました。 他にもニューヨーク地域39店の日本食レストランが参加してレストランウイークが開催されたり、期間中のディスカウント・サービスなど、マンハッタンは日本食で盛りあがりました。 The Armory Show 2月22日から26日の期間、3カ所同時に現代アートの動きを見せる大きなショーが開催されました。一つはPier90とPier92で行なわれた“The Armory Show”で、もう一つは19回目を迎えたPark AvenueのArmoryで開催の“The Art Show”、そして若手の“ScopeNY”です。Pier90とPier92で行なわれているArmory Show(International Fair of New Art)の由来は、1994年のGramercy International Contemporary Art Fairとして4人のニューヨークのアートディーラーによって始まり、1913年のヨーロッパの近代主義をアメリカに導入した豊かな歴史あるArmory Showからその名前をとっているそうです。 Armory Showは、一カ所にまとめられてから6年目を迎え150の国際的な現代アートのリーダーのギャラリーの展示で、Museumと同格の現代アートを一望できる数少ない展示会です。また、若手ディーラーや現代アートの若手を探すコレクターディーラーには見逃せないため、このショーのために世界中から集まってきます。NY市長もNY市の経済活性を多いに歓迎し、町をあげて、アートウィークとして、いろいろな同時イベントに協力しています。ショーのオープニングには、沢山の新聞記者を前に、歓迎の挨拶や記者からの質問にも答えます。「展示されているゴミ収集車を貴方はアートとして見ることができますか?」という質問に、ジョークを交じりに丁寧に返事をしていました。このショーのサポーターでもあるMoMAも、館長以下アートのキューレーターが出席してオープニングをしました。 最近の傾向なのか、コンピューターを駆使して動くアートも幾つか目にしました。このショーでは個人の作家を売出そうとするギャラリーが多く、その中でも日本の現代アーティストもかなり出て来ていて注目されているようです。村上隆を初め、草間弥生、Yoshii Hiromi、Azuma Yoshitaka、Yamaguchi Soichi、Enomoto Koichi、など、日本人でMr.とだけの名前も注目されているようでした。 The Art Show と SCOPE 他には、Art Dealers Association of Americaのオーガナイズで19回目の「The Art Show」が始まっていました。他のショーと期間が重なり、Galleryやアーティストも重なっていましたが、こちらの方が、少し落ちついて見れるアートがありました。しかし、通り過ぎると動いてたり、ゆっくり動作が動いていくアートの出現には、多少疑問を感じました。 リンカーン・センター内のパークに設置したテント内で行なわれてた「SCOPE」は、新進のアーティストの発表の場としてスタジオ・アーティストの感じで見せていて、いろいろ実験的なアートの様です。わかりにくいのですが、新進のアーティスト発掘のディラー、コレクターには見逃せないのかもしれません。 Accent on Designのトレードショー 新進のアーティストの助成金を、SCOPE Miamiは2002年、SCOPE New Yorkも2002年、SCOPE Los Angelesは2003年、SCOPE Londonは2004年、SCOPE Hamptons 2005年から、というように続いて出しており、アートに関しての理解と寛容、資金力の偉大さには感心してしまいます。工業デザインの商品の価格に慣れているので、何十倍もの価格で買うアート・コレクター、ロシア、中国、ヨーロッパや、アメリカの投資家達のこのアートへの投資は、ある時期の日本の投資などに比べたら何十倍にもなっていて、ただの趣味やコレクション・コレクターでない、政治的なものも感じてしまいます。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第93回 Museum of Art & Designのギャラ・パーティーVisionarie

11月15日慣例のMAD Party 11月15日、Museum of Art & Design慣例のBenefit Gala Partyに出席しました。毎年デザイン関係貢献者をVisionarieとして授賞し、オークションをして基金集めをする大イベントです。今年は、ALFRED TAUBMAN氏、PAIGE RENSE氏、RON ARAD氏、そして、ハワイの日系人陶芸家のTOSHIKO TAKAEZU氏の4人でした。 今年も参加者が多く、Visionarie受賞者の人脈がすごかったのか、一晩のオークションで1.5ミリオン(約2億円)という記録を作ったそうです。ALFRED TAUBMAN氏は作家としてではなく、企業でアートに貢献したことが賞の対象になりました。 オークションで集まった金額が一晩で$1.5ミリオン(1億7千万円)でしたが、まずパーティー参加チケットが、個人$1000ドルテーブルが$1万ドルなどのチケットで、パーティーに集まった方達が550人だったそうです。 オークションも作品は$500ドル-$2万ドル位のものがどんどんつりあがっておとされましたが、形のない例えば 「MAD美術館での200人のNYの子供達への教育Pログラムへの支援』$2万5千ドルが1名、$1万ドルが5名、$5千ドルが3名$2500ドルが4名といった具合で手をあげて寄付をしていました。我々の小さなNPO団体では、パーティーをしてもお金を払えないデザイン学生を思って,安いパーティーばかりしていますが、基金不足にはギャラ・パーティーをすべきなのよと、よくプロのアメリカ人達にいわれていましたが、ほんとうにNYのアートサポーターの多いのと桁はずれには、びっくりしました。 今年の賞対象者は4名 ALFRED TAUBMAN氏は、米国一番の不動産開発者の1人で、地域のショッピングセンターの父とあおがれ、その後20年の間、サザビーズの会長を務め、小売と芸術競売産業に対する重要な革新を行ってきました。彼は主に芸術、健康管理と教育などの慈善事業に力をいれ、デトロイト美術館の主な後援者でもあり、ホイットニーアメリカ美術館の委員を勤め、ミシガン美術館大学の拡大事業の資金を供給したり、スミソニアン協会のアメリカアート・Archivesの創立メンバーでもあります。 この、彼の交友関係からか、オークションにはサザビーズの大物が参加して、あれよこれよと云う間に大変な高値で落とされるのには、目を見張るものがありました 国際的に有名な陶芸作家 TOSHIKO TAKAEZUさん PAIGE RENSE氏にはLifetime Achievement Awardが与えられ、30年以上に渡ってArchitectural Digest誌をここまでにした功績をたたえました。国際的な建築とインテリアデザイン産業に対する彼女の雑誌による影響は、他に類のない事と紹介されました。 RON ARAD氏にはVisionaryとして、現代のデザインの中心的な人物で、最も有力で革新的なデザイナー、そして独学の彫刻的な家具メーカーとデザイナーであり、彼の境界線のない芸術と建築とデザインの作品作りに賞があてられました。 TOSHIKO TAKAEZU氏にはArtist Lifetime Achievement Awardが与えられました。彼女は国際的に有名な陶芸作家で、自然界と、日本(東洋)とアメリカ(西洋)の技術と美学から、常にインスピレーションを引きだし作品つくりをしています。 これらの方々の交友関係の深さ、経済力もさることながら、MAD MUSEUMの工事がフル回転し始め、2008年オープンを目標に動いているのが、皆様のサポート精神に身が入ってきていると思われます。 2008年オープン MAD New Building 以前にレポートした時点では、2006年に改築終了予定だったMAD New Building。59丁目の2 Columbus Circleは、史跡の建造物による種々の問題で工事がすっかり遅れていましたが、昨年からやっと動き始めました。 このAllied Works Architectureの建築で改装工事中の建物の、現在の進行状態を見せてもらうチャンスがあり、ヘルメットをかぶっての見学をしました。最上階のセントラルパークを180度見渡せる展望レストランの場所は素晴らしく、今から楽しみです。2008年5月の完成を目標に着々と工事が進められています。 前回も述べましたが、せっかくこのような大きな文化事業で、クラフト・デザインのMUSEUMなので、出来上がるととたんに日本から、コンタクトが始まるのでしょうが、ぜひとも今、MUSEUMが希望している、基金集めなど協力して、良い関係を作っていけたらと願うばかりです。 * 問い合わせ:g91@gallery91.com 海老原迄。日本語可。 (関連リポートはこちら) ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影