第27回 Mies Van der Roheの大回顧展

第27回: Mies Van der Roheの大回顧展 (2001/8/8) 写真:3点ともミース・ファン・デル・ローエ氏 ポートレート ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies Van der Rohe)の名は、デザインを学ぶものが、最初に耳にするアメリカのデザイナーの名前です。 彼は、20世紀の洗練されたガラスとスチールのアーキテクチャーのリーダーとして、最も影響力を持った事で知られています。すでに60年代、現在言われている、自然との解け合い、素材と近代建築との関わり合いをテーマに、シンプルかつ、ミニマムなスペースを創りあげました。 今回、ミース・ファン・デル・ローエ氏の、あまり知られることのなかったアメリカ以前の初期のベルリン(Berlin)での仕事を中心とした「ベルリンでのミース・ファン・デル・ローエ(Mies in Berlin)展」が6月21日から9月11 日までの期間、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催されます。 また、ウィットニー美術館(WHITNEY MUSEUM)では、アメリカでの仕事を中心にとした「アメリカでのミース・ファン・デル・ローエ(Mies in America)展」が6月21日から9月23日まで、ニューヨーク近代美術館とともに同時開催され、話題となっています。   ニューヨーク近代美術館では、ミース・ファン・デル・ローエ氏がベルリンに到着した1905年から1913年までの建築家としての仕事のほか、文化的な風景をもつヨーロッパ(Europe)とベルリンにおける1886年から1969年までの初期の仕事に焦点を合わせた、氏の建築の仕事のすべてが展示されています。 288のオリジナルの描画、15のモデル、ヨーロッパでの47のプロジェクト、そしてビデオとデジタルのディスプレイを含めた展示により、アバンギャルドなプロジェクトと並んで建築家である彼の伝統的なプロジェクトを見せています。 この展示会でのドローイングの大部分は世界中からコレクションされたもので、ニューヨーク近代美術館においてアーカイブされているものですが、最近再発見されたコンペに提案した「5×8フィート」フルのカラーのパース、「オットー(Otto)・フォン・ビスマルク(Bismarck)、ドイツの統一の「父」への記念碑」は1910年から一度も主要な展示会で見られたことがない作品です。   「ベルリンでのミース・ファン・デル・ローエ展」の入口(MoMA) 代表的なMies氏の椅子「バルセロナチェア」 銀行とオフィス・ビル・プロジェクト1928 モデル 制作:Richard Stuegeon & Derek Conde. 2001 Bismarck Monument Bingen-am-Rhein 1910 Eslers House and Hermann Lange House 1927-30 モデル 制作:Environ Architectual Modelbuildeas Inc. Concrete Country House Project 1923   Geaman Pavilion Barcelona International Exposition 1929 モデル 制作:Environ Architectual Modelbuildeas Inc. 2001 Thomas Ruff hIk01 2000 Hermann Lange House

第26回「NY デザイン2001 in GIFU」展 &「ストアーフロント・ギャラリー」のパーティー

第26回:  (1)「NY デザイン2001 in GIFU」展 (2001/7/18)   JR岐阜駅アクティブGの1周年記念をかね、ニューヨークで、今最も注目を浴びているデザイナー8名のライフ・スタイル・グッズを展示する「NYデザイン2001」展が3階のショールーム・ギャラリーで始まりました。岐阜県文化振興事業団主催、NYのIDNF協賛、SoHoのGallery 91のプロデュースで、7月5日から9月4日まで行われます。 *アクティブG http://www.active-g.com     展示風景 展示風景 展示風景 ピエール・ブーゲネックの作品 ビニールのエアークッション ピエール・ブーゲネックの作品 アクリルの花器 マレ・モエレルの作品 陶器で作った独特の形   マレ・モエレルの作品 マーク・ナデンの作品 ワイヤーのフルーツ・トレイ 出品者は、ヨーロッパとNYで話題を巻いた「G7」のグループを主催した、ピエール・ブーゲネック。彼はNY・TOTEMを立ち上げた一人でもあります。仲間のマレ・モエレルそして、今年からG7の名前を変更して、ICFFのオフサイトで「Hall 01」としてグループに参加したTODAスタジオ(The Office of Design and Architecture)は、OXOのデザインなどを手掛けています。主宰者のマーク・ナデンは、OXOの新作ケトルと秋から発売予定のワイヤーのフルーツ・トレイを出品。ピエール・ブーゲネック/Boum Designはビニールのエアークッションや、アクリルの花器などのポップな作品、マレ・モエレルは陶器で作った独特の形で印象づけている照明器具やタイル等を出品しています。今年話題になっているファブリックを使ったWooスタジオのダン・カーのランプや、素材を活かした新しい発想で、ファニチャーを作り、各種の雑誌に取り上げられているアンドリア・バレンティニ。そして、アイリナ・ダヴィッドヴィッチは日本の陶器の作家には無かった、ダイナミックなウェーブの花器等を出品し、魅了しています。   ダン・カーのランプ マーク・ナデンの新作 OXOのケトル アンドリア・バレンティニの作品 アンドリア・バレンティニの作品   ピエール・ブーゲネック(Pierre Bouguennec /Boum Design)の作品   ダン・カー(Don Carr/Woo)の作品   ミゲル・カルボ(Miguel Calvo)の作品   アイリナ・ダヴィッドヴィッチ(Irina Davidovich)の作品   TOマーク・ナデン(Mark Naden/TODA)の作品     ジェリー・コット(Jerry Kott)の作品   マレ・モエレル(Maree Moere)の作品   アンドリア・ヴァレンティニ(Andrea Valentini)の作品     (2)「ストアーフロント・ギャラリー」のSummer

第25回(1)Ecco DesignのEric Chan(2)国際現代家具展(ICFF)とOFF Siteパーティー

第25回:  (1) Ecco DesignのEric Chan (2001/6/13)   エリック・チャンは78年に香港より渡米しました。 89年にミシガンのクランブルク・アカデミー・オブ・アート、デザイン修士課程を修了後、ヘンリー・ドレフュイスや、エミリオ・アンバース等の事務所を経て、89年に独立し、工業デザイン・アンド・プロダクト・デベロプメント(ECCO Design)を設立しました。 彼のデザイン・コンセプトは「より人間的なデザイン」です。それを実現するために、テクノロジーを駆使して、製品をつくりあげています。 日々テクノロジーが進化し続ける中、複雑なテクノロジーをシンプルで使い易い形に表現し、テクノロジーと人間、自然、社会との調和をもたらすことがデザイナーの仕事だと、彼は言います。こんな時代だからこそコストや技術の制約に捕らわれず、その意味や感覚の探究がデザインの役割になりつつある。ここに業界の人々から、彼がイノベーターと呼ばれているゆえんがあるのではないかと思います。 物静かで、おだやかな彼の視野は広く、デザインに留まることなく、経済、政治、地球環境、芸術文化哲学に及びます。こうした彼の意識の高さが、デザインにも表れています。 デザインを考える上で、彼はまず、簡単なスケッチをします。それは、非常に抽象的で感覚的なもので、その段階ではコンピューターは使いません。人間としてのコンセプト、感覚を大切にしている彼ならではの表現のスケッチです。そして手作りのモデルをつくり、徐々ににその抽象的なコンセプトをテクノロジーとコラボレートさせてゆくのです。こうして注意深く作られた製品は、世界中で愛されていますが、彼はこうも言っています。 「私はたくさんの消耗品を作っているが、段々その価値が低くなっているような気がする。これから先は、資源を使って意味のない商品を作る必要が無くなってくると思う。資源はどんどん無くなる。最後に人の中に残るのは、経験と記憶。だから私は経験を作るのに興味をもっています。」彼の作ったものを経験してみたいと思わずにはいられなくなるのです。 ◊  →↓ ECCO Designのオフィス ECCO Designのオフィス   パーテーション (ハ-マン・ミラ-社)  パーテーション (ハ-マン・ミラ-社)  ニューヨークにある彼の事務所は、彼のコンセプト通り機能的でシンプルです。しかも使い手のニーズが熟慮されていて、訪問者が必ず感激してしまうデザイン・オフィスです。 個人個人のデスクは、紗のようなニューメタルで作られたパーテーション(ハ-マン・ミラ-社の為にデザインされたもの)で区切られていていますが、空間全体の一体感を失うことはなく、圧迫感も感じさせません。しかも各自のプライバシーは働く場として適度に保たれています。また、必要に応じて簡単に移動させることができます。   デスクは、有機的な造形で角張った角はなく、どの方向からも人が集う事ができます。個人で使う時には中央のくぼみにスッキリと体が納まります。また、電気製品などのコードを中央の穴に入れてしまえば、机の上がコードだらけになる心配もありません。また、そこに卓上のパーテーションを取り付けることが可能です。もう一つのデスクはスライド式のサイドテーブル付きです。そして何より、愛らしいのがその足の形です。(すべてEcoo Designによるハ-マン・ミラ-社の新製品事務用具) Ecoo Designによるハ-マン・ミラ-社のデスク   卓上のパーテーションを取り付けたデスク スライド式のサイドテーブル付きデスク 廊下におかれた長椅子 廊下におかれた長椅子 背もたれを付けた長椅子 長椅子 廊下には、快適な座り心地を考慮して、座面が微妙なカーブになっている長椅子が置いてあります。アートピースにも思えるこの長椅子にはオプションで背もたれを取り付けることができます。 彼がデザインしたプロダクトのショーケース棚 電話機など 普段彼が会議室として使っている部屋には、これまで彼がデザインしたプロダクトのショーケース棚があり、電話から文房具まであらゆるものが並んでいます。これらはどの作品も彼のコンセプト通り、人とデザインの関わりを大切にしています。 一世を風靡した、あのユニークな形をした電話は、女性と男性の体の曲線をモチーフにしているそうです。 文房具類では、ステンレスのビジネス・カード・ホルダー、ブックマーク/ルーペ、ものさし、ペーパーナイフのシリーズが最近商品化されました。これらは、使い易さとシンプルなデザインが好評で、世界中から注目を浴びています。また、日常的に何気なく使っているステープラーは、縦にも立てることができて、彼のこうした気の利いたプロダクトに、「人に優しいデザイン」というコンセプトが一貫して感じられます。 電話 SOFT EDGE – RULER ビジネス・カード・ホルダー ステープラー   「折り紙建築展」展示風景 最新のプロジェクトでは、MoMAの向かいにあるアメリカン・クラフト美術館で行なわれている、「折り紙建築展」の展示デザインを手がけています。 私が、この展覧会のゲスト・キューレーターを依頼された時から、重厚な美術館に、小さな紙の軽い作品をすっきりと見せてくれるデザインをしてくれるのは、彼ではと思い美術館にお願いして、協力して頂きました。彼は会場構成を全て紙で統一しようと、新素材の様々な紙をリサーチしました。しっかりとして、フレキシブルなコルゲ-ト紙を探すために、私自身もインターネットで、世界中を探しました。結局最初に彼が手に入れたサンプルのモノと同じ素材をドイツから取り寄せました。 ダイナミックで立体的な流れを、彼特有の曲線で会場全体に表現する事で、我々の案は決まったのですが、古いしきたりの美術館の説得や設置に、大変骨を折る事になりました。それでも、エリックの空中展示の折り紙建築展は、大変な反響を呼んで、企画展では今迄にない美術館来館者の記録を作りました。こうした彼の多方面での活躍はNYのプロダクト・デザイナーの先輩スターとして、ますます、若者達のあこがれを集めています。 「折り紙建築展」開催の詳しい情報はこちら     (2) ICFFとOFF Siteパーティー オランダのブース デザイン・スクールのブース 2001年のICFF(International Contemporary Furniture Fair)

第24回 「NAMBE」50周年の記念展とパーティー

第24回: トライベッカで行われた「NAMBE」50周年の記念展とパーティー (2001/5/16) 最近デザイナーブランドを打ち出して話題になりつつあるNAMBEが、21世紀に向けて、よりデザイン志向を全面に出して、50周年記念、新作発表パーティーを4月30日、トライベッカ(TRIBECA)で行いました。SoHoから少し下がったこのトライベッカ(Triangle Bellow Canal Street)のひと味違ったすっきりとした会場に、著名デザイナー達が続々と集まり、いわゆる企業のパーティーとは違った、なかなかよい雰囲気のパーティーでした。 NAMBE社は、1951年にニューメキシコ (New Mexico) で、非常に美しく丈夫な金属合金を発見したのをきっかけに、ごく小さい鋳物工場として始まりました。 何年か前、私が最初にこの会社の名前を聞いたとき、日本の南部鉄が出てきたのかと、思ったのですが、NAMBE社が新しく発見したこの金属合金には、鉛やピューター、銀も含まれていません。しかし、銀の光沢と鉄の耐久性を持っています。 作り方は伝統的と言うべきか、新しいやり方と言うべきなのか難しいところですが、まず手で形を作り、そして15人の職人によって磨かれて作られます。この経験豊かな職人達の作業が、それぞれのプロダクトの品質を、そのデザインと同じぐらいに完璧であることを保証しています。と宣伝していて、今迄のアメリカのプロダクトとは違った姿勢が興味深い会社です。デザイナー達が盛んにこの会社を注目し始めたと同時に、消費者を広げつつある注目の会社です。そして現在サンタフェ (Santa Fe) とニューヨーク(New York) にオフィスを持ち、国際的に販売する会社に成長しています。 Nambe 50周年デザイン展示パーティー会場風景(トライベッカ=ソーホーの下) NambeのNew MexicoでとれるAlloyメタルの素材で始めた50年前の製品     今回の発表された新作の1つは、各デザイナーによる高質なクリスタルガラスの新しいライン。これには今迄もイバ・ゼイセル(Eva Zeisel)などの著名デザイナーが関わっています。   Eva Zeiselの作品 Eva Zeiselの作品 Eva Zeiselの作品 Eva Zeiselの作品   Fred Bould Fred Bouldの New Iceコレクション 2番目は、今回初めてIce Collectionと銘うって5月から売り出される、フレッド・ボールド(Fred Bould)デザインの新しいフィニッシュに微妙なつやの手触りを持っている製品です。NUMBEの金属合金は常に鏡仕上げのポリッシュがトレードマークでしたが、このアイス・コレクションはNUMBE初のつや消しで、新しい方行の面白い6つのデザインを打ち出しています。 フレッド ・ボールドは、動き、流れと振動を提案し、光と影と水の間の動きに魅惑され、非常に冷たくて、そして正確と、このアイス・コレクションの デザインを打ち出しました。 彼はピッツバーグ(Pittsburgh)で、生まれ育ち、カーネギー・メロン大学(Carnegie Mellon University)で BFA を取りました。 彼はスタンフォード大学(Stanford University)から、プロダクトデザインのマスター学位を受け、その後ロンドン(London)でデザイナーとして働きました。 現在Bould デザインスタジオはパロアルト(Palo Alto)、カリフォルニア(California)に本拠地を置いていて、 彼はスタンフォード大学 (Stanford)とカリフォルニア大学(CCAC)で教鞭をとっています。 彼の作品は SFMOMA とシカゴ Athenaeum(The Chicago Athenaeum)の永久のコレクションになっています。   Neil Cohen Neil

第23回 “アルミニューム・デザイン:アクセサリーからジェット機迄”展

第23回: “アルミニューム・デザイン:アクセサリーからジェット機迄”展 (2001/4/11)   “アルミニューム・デザイン:アクセサリーからジェット機迄”展は、このク-パーヒュ-イット・ナショナルデザイン美術館スミソ二アン・インスティテュート(Cooper-Hewitt, National Design Museum, Smithsonian Institution)にて3月20日から7月15日まで開催されています。 ピッツバーグ(Pittsburgh)のカーネギー・ミュージアム・オブ・アート(Carnegie Museum of Art)のSarahNicholsキューレーターの企画で、2000年10月28日から2001年2月11日まで開催された展覧会の巡回展です。その後は、2002年10月から2003年の1月までモントリオール装飾美術館、フロリダのThe Wolfsonian-Florida International University、クランブルック・アート・ミュージアム、ロンドンのデザイン・ミュージアムにて行われる予定の一大展覧会です。 ク-パ-ヒュイット・ナショナルデザイン美術館では、新しい展示設計をNYのデザイン事務所モリス・佐藤(Morris/Sato)スタジオに依頼し、オリジナルの展覧会より、アルミ色を強く出した個性的なインストレーションで話題になっています。 展示会場風景 パーティー風景   展覧会は軽く取り扱われそうな素材の、アルミを歴史的にたどっていて、さすがMUSEUMがまとめた展覧会という印象を受けました。順を追って説明すると、1845年にアルミ素材が紹介され、1855年のパリのワールドフェアーに高級なジュエリーとしてお目見えしたのを最初に、クイーン・ヴィクトリア等フランスのパトロン達の高級な小物、ジュエリーとして、金や宝石のように好まれたとの事です。1880年代後半にはアメリカとフランスで工業生産をする事が可能になり、未来素材として様々なデザインに応用されるようになっていったようです。 ともに展示会場風景 ともに展示会場風景 ともにパーティー風景 ともにパーティー風景   オーストリア人の建築家Otto Wagner がモダンな建築の中で最初に、ファサードやインテリア・家具類までにアルミを使った、Die Zeit Building(1902年)、 そしてウイーンにPostal Saving Bank.(1904-6年)といった建物を建てました。 最初のAir Planeは1910年に、快速電車が1934年に、その同じ年にWally ByamのAirstreamというトレーラーのパーツ、そして自転車のパーツにもアルミを使う試みがなされ、アルミが現在いろいろな骨格に使われるようになった基礎をつくったようです。 カーネギー・ミュージアム・オブ・アートでは、1年以上前にアルミニュ-ム展の為の作品を収集をしていて、ちょうどMOMAの展覧会の時に預かっていた、鋳心工房の増田尚紀氏の作品が選ばれたので、そのお世話をしたのですが、その後の写真などを見ていなかったので、この展覧会がNYで、こんな形で見られる事になり、ほんとうにうれしく思いました。 そして、そのインストレーションも佐藤佳子さんで、クーパーユニオンの学生の頃、夏休みに倉俣史朗のところにいたり、その後ハーバート大を出て、学友の Michael Morris とパートナーを組み活躍しているのを、折りにふれ見ていたので、この展覧会の成功はさすがと感心しました Die Zeit Bild.(1902年)デザイン:Otto Wagner アクセサリーケースデザイン:増田尚紀   マイケル・モ-リスと佐藤佳子 そして彼等のスタジオを訪ね、いろいろインストレーションの苦労話を聞き出しました。このプロジェクトをどうやって頼まれたかをうかがったところ、このク-パ-ヒュイット・ナショナルデザイン美術館は1年前の改造後に出来たパーマネントコレクション部門を改築中で、そのインストレーションの為に選ばれた7~8人のデザイナーの中で、最後まで残り、選ばれたデザイン事務所だったそうです。その後Director が変わったりといまだに実現されていないプロジェクトだそうですが、新しいディレクターになって、Museumに新しい空気をいれたいと思っているらしく、今回のアルミ展、次の展覧会も彼等の設計に決まりました。     このアルミニューム・デザイン展では、NASAのエアークラフト・スペースシップで使われる素材を直接、モリス・佐藤スタジオがコロラド州にあるパネルテック製作所(Paneltec)に交渉し、協力してもらった厚さ10.5cm(4インチ)のアルミ・ハニーコム材を展覧会場の中で間仕切りとして使っています。ハニーコムの隙間がレンズのような役割をして、反対側にいる人を中央だけ写しだす不思議な反応で、観客を驚かしていますが、この素材は展示のあちこちに使用されています。   ←中央だけ反対側にいる人を写しだす不思議な間仕切り     展覧会入り口のタイトルのディスプレイに使われているのは厚さ7mm(1/4インチ)のアルミのハニーコム・パネルです。展覧会エントランスに大自然をかろやかに飛ぶ1930年代の第二時大戦時の飛行機を選び、雲が浮いていて、オプティカルイメージとプロペラ。この最初のイメージから展覧会に入っていくシーン。これがモリス・佐藤スタジオのデザイン・コンセプトだそうで、ニュージーランドの Outer Aspectがつくりました。ところがこのパネルがプレス・オ-プニング当日に着かなくて、急遽、カンをいくつもグルーガンでのり付けしたそうです。しかし、これはこれで存在感のある壁になっていて1日だけの美しい幻の壁になってしまいました。このテクニックはロタンダの休憩所でも使っていて、ここではVIDEO等を見せる為、サンスクリーンもかねて、Alcoa社からの5000個のカンがWave のあるカーブで積み重ねられたスクリーンは壮観です。このグルーガンの作業では腕が動かなくなってしまうほどの量だったようです。 展覧会入り口 展覧会入り口 急遽カンをのり付けした入り口の壁 動く飛行機のMovie 展覧会入り口   Audi

第22回 NY近代美術館(MoMA)の“Workspheres”展

第22回: NY近代美術館(MoMA)の“Workspheres”展 2001/3/14 NY近代美術館(MoMA)で“Workspheres”と題して、これからのオフィスのニューデザインの展覧会が2月8日から開催されました。MoMAは6つの国際的なデザインチームに、このプロジェクトを依頼して『近未来の仕事場のための革新的なデザイン』を提案してもらい、IT時代の仕事場、その環境と道具などコンセプトからプロトタイプ、実際のプロダクト迄の200点以上を4月22日まで展示します。 MoMAの建築部門のキューレーターPaola Antonelli(パオラ・アントネリ)が、国際的なそれぞれの専門家に顧問になってもらい、MoMA Web サイト(www.moma.org/survey/survey.html)で展示会のための研究の一環として、労働経験の調査を行ったそうです。 パオラ・アントネリ女史いわく、「今や仕事は、どこにいても出来、また、ツールのヘルプの有無にかかわらず ON・OFFすることが可能で、自分の仕事に集中する事が出来る様になりました。この展覧会は、個人的、又は個別のワークスペースに、仕事のツールでもっと良く対話をし、未来を可能にするというコンセプトからタイトルをつけました」とのこと。 私の長年気になる事の一つで、アメリカでは日常的に目にするコーヒーカップを書類の上においた時にできる、輪のマーク。この展覧会では、このコーヒーカップのマークが招待状になっていて、ロゴとしても使われています。 抑制された企業色から遠のいて、選択の自由とカスタマイゼーション、オフィススペースの中に快適なリビング・スペースや、服装規定もカジュアルになり、それらは建築家にも影響を与えつつあります。 今までのメッセンジャーサービス、ファックスが電子メールなどに変わっていくように、ますますテクノロジー で、快適な仕事場を要求していくわけで、これらを6つの国際的なデザインチームがデザインした作品が展示されています。この久しぶりの大きなデザイン展はオープニングには、沢山の人で満員の盛況でした。 MoMA workspheres https://assets.moma.org/documents/moma_catalogue_168_300133807.pdf “Workspheres”展ロゴ “Workspheres”展示風景 “Workspheres”展示風景 展覧会入口   Inspiro – tainer ■その1:Inspiro – tainer Ada Tolla and Giuseppe LignanoイタリアのデザイナーとLOT/ EKarchitecture社(ニューヨーク)のチームによって開発されたプロジェクト 創造のためのスペース(Space for Creativity)として、飛行機貨物用コンテナの内部スペースに、DVDシステム、コンピュータ、ステレオ、電話、後部映写機と大きい投影スクリーンが設置されています。 さらに、1つの壁の上のプレキシガラス(Plexiglas)パネルがスクリーンになり、外からも見られるようになっています。後ろへ角度を変えられる長椅子と、コンピュータ、キーボードとマウスのあるミニマムな机があり、防音装置、移動無線装置等を装備し、過去の伝統的なオフィス環境から離れ、私的なスペースで、創造力、隔離と休養のために使われるものとして、この移動可能なエンターテイメント空間を提案しています。   ■その2:Redesigning Time MIT メディア研究室 のジョン・前田 とジョー・パラディソ 彼等によって開発されたプロジェクトは、コミュニケーションと組織化、部屋を横切って張られた広いスクリーンに3つの手で操作するナビゲーター。このナビゲーターの操作ひとつで、内蔵保管している沢山のインフォメーションから、雰囲気、時間の管理、予定表のデータが取り出せます。 インフォメーションインタフェースの中に技術を改造してある多岐なコミュニケーションツールです。 ナビゲーター スクリーン   Mind Space 1997年のハワース の展示会でIdeation グループが展示したプロトタイプ ■その3:Mind Space ジェフ・ラッシェルと ルナ・アレクサンダー (ハワース社)、ブライアン・アレクサンダー (オプチカ・スタジオ) 、クリストファー・バッド とケビン・エストラダ (スタジオ・ アーキテクチャ)とブラッド・ペイリー と Hai Ng (デジタルイメージデザイン 社) 同じような提案を異なった会社からの数人のデザイナーが、一緒に新しいワーク・ステーションを設計したプロジェクト。展示されている貝殻型のプロトタイプは、1997年のハワースの展示会でIdeationグループが展示したもので、その中身に様々なインフォメーションをストアし、Mind Spaceがメモリ、記録、貯蔵して取り出す能力、より優れたワークスペースとしての機能を持ち、ビデオ/コンピュータ・スクリーンを通してオフィスの資料のバックアップ等も、簡潔に最も適切な時につかえる、ユーザー思考のオフィス・システムを展示しています。

第21回 (1)NY インターナショナル・ギフト・ショー「Accent on Design」 (2)TOTEM Galleryのオープン (3)デザイナー Lloyd Schwan ロイド・シュワンの死

第21回:  (1) NY インターナショナル・ギフト・ショー「Accent on Design」  2001/2/14 インターナショナル・ギフト・ショーの140回目が1月21日から2月25日まで慣例のジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで行われました。 今年のアクセント・オン・デザインは初日に大雪にみまわれたせいか、アメリカの曇り景気のせいか、人手が少なく、あまり活気のあるショーとはいえなかったようです。通常の商品や、バスまわり、自然志向商品などは、今まで通りの売り上げだったようですが、ハイデザインの商品は不調で、皆首をかしげていました。 Gallery 91のブース   Gallery 91のブースでは、川上元美氏のシリコンボを展示 Gallery 91ブース、他に、日本からの展示では、イオスコレクションの渡辺力氏のRIKI StoolとKIKI テーブルも人目をひいた アクセント・オン・デザイン全景   Best Boothに選ばれたjewelryデザイナーJeanine Payerのブース Zona Alta の商品 The Loom Companyの新素材のLuisa Cevese-Riedizioni作の商品 いくつか新しい試みのブースや商品が出展されていて、今年もアクセント・オン・デザイン・アワードの賞が以下の人達に与えられました。   ■ベストプロダクト賞にDMD Incオランダの 建築家 NL Architectのポリプロピリンのサスペンション・ストラップ。ゴムのように伸縮するベルトを壁に何本も横に張り、その間に好きなものをはさむことができる、新しいアイディアの洋服かけ。 ■ベストブース賞は、サンフランシスコのジュエリーデザイナーJeanine Payerの真っ赤な展示。 ■継続して良いデザインを見せている賞が、Lexonのコレクションの販売元である、フロリダのZona Alta Projectsに。 ■新素材開発デザイン賞は、The Loom CompanyのLuisa Cevese-Riedizioniに。リサイクル・ファブリックをうめこんだゴムの様なプラステック製品のコレクション。     賞ではないのですが、雑誌や新聞社のプレスが毎回新製品をさがして見に来てくれるのは、大変な励みになります。 今年はGallery 91のブースから2点が選ばれ、一つはIDNFで続けているデザイン・コンペのグランプリ作品が商品化された新製品で、ゴミを中にためられるPeeler(皮むき器)。それとRIKI Stoolでした。 Peelerの方はカラーで2月7日版のNYタイムスに出て、電話の問い合わせとオーダーにうれしい対応でした。NYタイムスに取材されるというのは1、2万ドルの広告と同じ位の効果がありますが、いつでもピック・アップされるわけではなく、記者とのコミュニケーションや幸運が左右します。日本の様な買収は絶対効かず、必要外のプレゼントは返してきますし、印刷寸前まで何度も細かい校正の問い合わせがあるのは、さすが、NYタイムスです。 RIKI Stoolの方も校正の問い合わせが来ていて、15日か22日のHOMEセクションに出るそうで、楽しみです。 NYタイムスに出たPEELERの記事 新製品のゴミを中にためれるPeeler   第21回: (2)新しくアメリカ・デザインを啓蒙するTOTEM Galleryのオープン  2001/2/14 TOTEMは1997年にトライベッカにオープンしてから、若手デザイナーの発表の場として、家具デザインの人気を集めてきましたが、昨年12月にGrand StreetのGallery 91の3軒隣りにTOTEM Galleryをオープンしました。 オーナーはDavid Shearer(デビット・シェアー・34歳)。ミネソタ大学で建築とデザインを学び、ミネアポリス・ギャラリーで20世紀デザインを担当、1990年にNYに移り、ヨーロッパ・デザインのModern Ageストアーを任されていました。 彼はレイ・イームズ(チャールス・イームズ夫人)と13年前に会話したとき、イームズ・スタジオのコレクション について、レイが「世界中から集めたトーテムみたいでしょう」と説明したのが印象に強く残っていて、その時のイームズ・スタジオからの影響やスピリットを元にこのTOTEMを作ったそうです。そしてイームズ達のアメリカの良きデザインの時代のような、活気のある時代をもう一度という夢をかけたようです。

第20回 (1)画家、ハント・スローネンの優雅なライフ・スタイル (2)ニューヨークの地下鉄と宇多川 信学氏

第20回:(1)鳥を描き続ける画家、ハント・スローネンの優雅なライフ・スタイル  2001/1/17 21世紀の幕開けは、久しぶりの大雪で始まりました。大晦日のタイムズ・スクエアーの興奮とは裏腹に、NYの正月休みは一日だけでした。 今回は、デザイナーではないのですが、友人のハント・スローネン(Hunt Slonem)氏を紹介します。1992年に新宿京王デパートで行なわれたニューヨーク展で、彼を日本に初めて紹介したことが知り合ったきっかけでした。その頃彼は、SoHoのイーストハウストンのロフトに70羽近いトロピカルバードと一緒に暮らしており、鳥の絵を描く作家として注目され始めていました。 大変大きな鳥カゴは、子供部屋程もあります。彼の毎日は2時間かけて作った餌を鳥に与えることから始まります。これが彼の作品の素材の元でもあるのです。カラフルな彼の鳥の作品は観る者に不思議な安堵感を与えるのです。その頃から彼の作品は人気が出ると思っていました。 そして6年程まえ、チェルシーに1万スクエアーフィートのスタジオを構え、トロピカル・バードと彼の収集しているクラシカルなフレームや椅子などを置き、制作の場としています。 彼の好きな物で溢れているこの部屋は、訪問者を驚かせます。部屋に入るとまず、廊下にずらりと並んだ椅子のコレクションが目に入ります。キッチンから見えるマンハッタンの景色は素晴らしく、廊下づたいに、赤、グリーン、黄色、ピンクで色分けされた部屋がならび、それぞれの部屋には、彼の作品がお気に入りのフレームに入り壁いっぱいに飾られています。その部屋を通り廊下を抜けると見えて来る広々としたリビングルーム/スタジオは、また圧巻です。鳥のためのスペースと、制作のための場所が十分にあります。彼の個人的な趣味だけで構成された空間です。 ハント・スローネンの水彩画 チェルシーのハント・スローネンのロフトのキッチンから。ダウンタウンとNew Jerseyの景色が見渡せる ガラスのコレクションと彼の絵 スタジオの一部。奥がジャングルの様な景色。   廊下のview レッド・ルーム グリーン・ルーム イェロー・ルーム ピンク・ルーム リビングルーム/スタジオ 鳥かごと鳥 キャンドル・スタンド・コレクション 鳥かごコレクションのひとつ ジャングルの枯葉をとったり、様子をみるハント ハント・スローネンの油絵 レッド・ルームに飾られているハントの絵   このような個性的な部屋は、ニューヨークでも注目の的となり、DKNY(ダナカラン・ニューヨーク)のカタログの舞台として撮影が行なわれました。こうしたお洒落な住いは、度々雑誌の撮影に使われます。 しかし、ハントの部屋には、流行等とは関係なく、彼自身の幸福の為の空気が流れています。そもそも子供の頃に住んでいたハワイで両親に買ってもらった鳥が、彼と鳥との出会いであり、彼の最初の友達だったそうです。それから鳥をコレクションし始め、後には、彼の作品の糧になったのです。毎日抜け落ちる羽根を集め、展覧会の時のギャラリー会場の壁に突き刺したインスタレーションは印象的です。そしてオープニングの時に感じるのですが、日本で感じる画家や先生と違って、彼はニューヨークの社交界に溶け込んでいます。 鳥という一つの素材にこだわり続ける彼は、自分の好きなものだけに囲まれて、自由に生きているように私の目には映りました。今年からは私も好きなことにだけ集中して暮らせる様な人生を送りたいものだと、事始めに思った次第です。 DKNYのカタログのカバーからすべてハント・スローネンのロフトで撮影   第20回:(2)ニューヨークの地下鉄と宇多川 信学氏  2001/ 1/17 1日500万人が利用するという24時間フル稼働の、ニューヨークのサブウェイ。ニューヨークっ子なら誰でも利用するこの地下鉄車両が、新しく川崎重工から納入されました。 この車両のデザインは、ニューヨークで活躍する日本人デザイナー、宇多川 信学(うだがわ まさみち)氏(35歳)によるもので、話題を呼んでいます。この1、2年、ニューヨーク市民のなくてはならないものになってきた、メトロカード(代金先払いカード)の自動販売機のデザインも彼が手掛けました。 この地下鉄も、日本の会社と日本のデザイナーという繋がり方ではなく、ニューヨークのメトロポリタン交通局(MTA)が落札したのが、川崎重工の米国現地法人、カワサキ・レール・カー社(Kawasaki Rail Car,Inc.)の車両で、公募の中から採用されたデザインが、たまたま宇多川さんのデザインだったという偶然が重なったためです。肩書きやスタジオの大きさなどでなく、良いデザインと良い製品を、採用するアメリカ行政の懐の深さを感じます。 彼は、千葉大学の工業デザインを卒業後、87年にヤマハに就職し、シンセサイザーなどの電子音楽機器のデザインを担当しました。その後89年にクランブルクアカデミーに留学し、工業デザインを再勉強して、卒業後、92年から95年までアップルコンピュータ社で働いて、同社のパワーブックやプリンターをデザインしました。退社後、IDEOのニューヨーク支店長として赴任し、その後、パートナーのシギ・モスリンガーと、アンテナ・デザイン・ニューヨークを設立して、インターラクティヴロゴ、IBMやソニー向けインターフェースのデザイン、リモートコントロールのデザインなどを手がけて、数々のデザイン賞を受賞しています。 今回の大抜擢は、実力主義アメリカならではの出来事ではないでしょうか。輝きを増してゆく彼の姿と活躍振りは、NYに住む我々日系人にとって大変な誇りです。ニューヨークのシンボルであるサブウェイには、2001年12月までに彼のデザインした車両が400両納入されるそうです。ニューヨーカー達は、新鮮な気持ちで新世紀の新車両を歓迎しているようです。 Antenna Design New York http://www.antennadesign.com 地下鉄車両エクステリア 地下鉄車両インテリア メトロカードの自動販売機

第19回 (1)Ingo Maurerが、ハーレムの子供達を指導してのランプの展覧会 (2)『ONE』創刊号の派手なパーティー (3)インテリア・デザイナー『CLODAGH』のパーティー (4)ギャラリー91

第19回:(1)Ingo Maurerとハーレムの子供達の照明展  2000/12/13 インゴ・マーラー(Ingo Maurer)がイースト・ハーレムの学校の小学生12人と照明展をしていて話題を呼んでいます。 この展覧会は『Twelve Youngsters from the East harlem School reflecting on Light』と題して、11月17日から12月16日まで、インゴ・マーラーの地下ショールームで開かれています。12人のイースト・ハーレムの学校に通う子供達(小学生)に、インゴ・マーラー他、有名なアーティストが6カ月にわたり一週間に2回、照明についてレクチャーをしてきました。子供達は、クラスルームとしてSoHoのインゴ・マーラーのショールームに通い、各々自由な発想でスケッチをし、作品づくりでは材料などのアドバイスをもらいながら、自分達の手で作品を作りました。オープニングではNYデザイン・シーンの著名人やプレスの集まる中、自分自身の作品の前で説明をしたり、子供達にとって貴重な体験だったようですが、参加したプロのデザイナー達にとっても大変良い機会だったようです。 インゴ・マーラーと参加した小学生Bobby Thomas Twelve Youngsters from the East Harlem Schoolのポスター インゴ・マーラーのショールームでオーダー待ちが続く現代版シャンデリア?(Porca Miseria) Rasshaad Butlerと作品のランプ Janelle Willamsと作品のランプ Jaques Wardと作品のランプ Barry Clarkeと作品のランプ   第19回:(2)Gallery 91「2000年展」最後となる『Everyday Things』  2000/12/13 Gallery 91 の今年最後の展覧会『2000 Objects for New millennium Part 6 : Everyday Things』が12月28日まで行われています。ニューミレニアムを記念に始めた『2000個のオブジェ展』もいよいよ最終のパート6に入りました。一年間続いたこの展覧会の最終パートは、日常生活で使えてライフスタイルを楽しくさせるような作品群で、プロトタイプから即売品まで12月終りまでに2000個がそろいます。今回は椅子も数点出品されています。また作品も素材もいろいろで幅広くバラエティーもあり、日本からも多数、出品してされています。作家名をあげますと、川上元美、黒川雅之、川崎和男、池上俊郎。NYのKarim Rashid、Harry Allen、BenzaのG.Pellone & Bimamura . Means、Todd Capron、Anne Gant、VanDyke Tsubota。増田尚紀(鋳物の香たて)、林久雄(欄間のテクニックのコースター、ランプ)、Niccolas Roseillier、Paula Almedia。相川繁隆(ボトルキャップ)、今村えつみ(ノートブック一式)、imone A. Bailey(卓上アラーム時計)、Ted Capron(CDオーガナイザー)、Tim Kennedy(OXOのツール)その他。前回とガラリと変えた明るい会場に、クリスマスシーズンの雰囲気も出して、ショッピングを楽しめる感じのショーにしました。 展示全景 正面から 展示全景 後から 展示風景 上段は池上俊郎のSilver

第18回 (1)カリム・ラシッドのアート展 (2)ハロウィン・パレード2000年 (3)ブラックタイ・パーティー (4)ワールドデザインコンペ・JAN KEN PON授賞式、受賞者発

第18回:(1)カリム・ラシッドのアート展  2000/11/22 ●カリム・ラシッドのアート展 NYのホットなプロダクト・デザイナー、カリム・ラシッドの2度目のアート展がソーホーのSandra Gering Galleryで行われました。カリム・ラシッドがコンピュータで描く流線形の型に、特長のある蛍光色を中に塗った白いオブジェを組合わせたものが床一面に設置されて、作品が部屋いっぱいに展示されています。 壁には、紙やキャンバスの代わりにコンピュータで描かれた彼のスケッチが2つの壁に展示されています。一つは静止画像をいくつかつなげてフィルムに印刷したものを薄い光の板をバックにして投影し、コンピューター上の画像で見るのと同じような効果を出しています。もう一つは、動きのあるスケッチをピクセルを荒らくしてゆっくりと動かしたものをコンピュータからビデオに移して、それを壁に映写していますが、壁に描かれた顕微鏡の描写のごとく不思議なアートになっています。 何よりも、彼の周りに集まる今風でファッショナブルなNY Peopleの仲間たちに囲まれて、適材適所を得た現代アートとしての存在を感じさせています。       第18回:(2)ハロウィン・パレード2000年  2000/11/22 ●ハロウィン・パレード2000年 今年もニュ-ヨ-カーが楽しみにしているハロウィンがやってきました。仮装コスチュームを売る店では、盛大に売り出しに力を入れていましたし、お客も入っていたので、さぞかしパレードはすごいのではと期待しましたが、思ったほどではなく、例年のごとく今年も個人的パーティーが多く、そちらの方で盛り上がったようです。 それでも毎年、オリジナル・アイディアの仮装には感心させられます。今年のアイディアでは優雅な透明人間カップルが目をひきました。   地下鉄内にもあふれる仮装   コーヒーショップで休む一行 アルミホイルを利用した衣装 透明人間 ハロウィン行列     第18回:(3)ブラックタイ・パーティー  2000/11/22     ●ブラックタイ・パーティー ハロウィンが終わって、11、12月のNYは、オフィシャルなパーティーがめじろ押しで、各美術館は、これでもかこれでもかと企画(作戦)のためのパ-ティ-を開きます。 メトロポリタン美術館からは毎週のごとく、一人最低$500のパーティー招待状が届きますし、MoMA、グッゲンハイム美術館、アメリカン・クラフト美術館など他の美術館も‘ギャラ・パーティー’と称していろいろなアイディアで基金集めのパーティーをします。 だいたいは、ギャラ・パーティーというとアーティストやデザイナーの著名人の名をあげて賞をあげるとうたったものが多く「ブラックタイと正装で」と服装制限をして、それぞれのソサイティの人たちが、自分達がミュージアムやアーティストをサポート、後援しているのだという満足感と楽しみのために参加し、お洒落と会話を.楽しみます。 メトロポリタンは、いくつもある広大なスペースの空間の中庭を使って、メンバーランク別に分けてのオープニングから、ホリデイパーティーまで。美術館主催のパーティーを次々と月2~3回は行っていますが、他にもサポートメンバー等のためには個別なパーティー会場も提供し、基金集めをします。これらの会場には、いつでも日本の企業の姿が見えないのですが、その割にはミュージアムの方達にアポをとりたがったり、会いたがる人達もしばしばいます。 ミュージアムとつながりたかったら、まずメンバーになるのが最初のおつき合いの常識のような気がします。こういった文化的でソーシャルなおつきあいができるようにならないと文化人とはいえず、NYで肩身のせまい思いをします。     第18回:(4)ワールドデザインコンペ・JAN KEN PON授賞式、受賞者発表パーティー  2000/11/22 ●岐阜ワールドデザインコンペ・JAN KEN PONの授賞式、受賞者発表のパーティー 岐阜県が主催し、IDNFが2年かけて行った「岐阜ワールドデザインコンペ・JAN KEN PON」の授賞式、受賞者発表のパーティーが行われました 受賞者全員と関係者が舞台に、バックには2等の作品スライド 審査風景 デザインコンテスト審査員   「ワールドデザインコンペ・JAN KEN PON」は、ジャンケンポンという国際的に通用する遊びをタイトルとして、岐阜の地場産業の紙、刃物、陶磁器、木工等で作ることができる、若く新しいアイディアやデザインを募集した国際コンペで、19カ国から110名の応募がありました。その中から2等2名、3等1名、佳作3名、企業賞4名が選ばれ、54丁目とレキシントン・アベニューの角にそびえる超モダンなマシモ・ヴィニアリのデザインした教会を授賞式の会場にして行われました。はるばる各国からの受賞者10名と岐阜県から6人が出席し、お互いに親睦を深め盛り上がりました。こういったパーティーも参加者それぞれにとって、将来につながる大切なデザイン界の出会いとなり、大切なことだと思います。   2位受賞者 井田志乃と作品 2位受賞者 Melonie Higashiと作品 3位の賞状を受けるFleur Grenier   ♦受賞作品 受賞作品2位 [Knitting Bag] 井田志乃/日本 受賞作品2位