第17回 2000 Objects for New Millennium 第5部『ニューメディア』展

第17回: 2000 Objects for New Millennium 第5部『ニューメディア』展  9月26日から10月28日まで Gallery 91 New Media展全景 A. ドロール・ベンシェトリットの植木鉢      B. ドロール・ベンシェトリットの温度と比重で一定の時間がくると、くるり回転するランプ テクノロジーは日々の生活に様々な影響を与えています。ニューヨークSOHOのギャラリー91では、ミレニアム展第5部として、このような時代をコンピューターエイジとして、ニューメディア展を開催しました。ドロール・ベンシェトリットは、植木鉢のプレゼンテーションをヴァーチャルな方法で行なっています。本来、作品モデルを制作するところを、植物の成長過程と共に、実に効率良く模擬演習させています。 カッティングエッジ社のシェイプCD(Shape CD)は、その輪郭をあらゆる形に変え表現可能であることを、ギャラリーの壁いっぱいに見せています。実際に、名詞かわりにそれぞれのプロモーションに音楽入り、映像入りの名詞や変形CD-ROMが、それぞれの表現の幅を広げたと言えるでしょう。 Cutting Edge Shape CD社のCD見本 CD見本、自動車 CD見本、ひまわり Alexander Gelmenと佐藤かおりのデザイン・マシン・スタジオのCDアルバム   米国販売前のSHARPのスリムなLCD AVCフラットパネルモニターが6台会場に展示され、東芝からもポータブルDVD・CD-ROMプレーヤーの11月から発売予定の新製品が鮮明な映像を映し出しています。 左:シャープのLCD-AVCフラット・パネル・モニター 右:東芝のポータブルDVD/CD-Romプレイヤー   4才児から13才までをターゲットにデザインされたウェッブサイトで有名な、ママメディア(MaMaMedia)は、子供でも楽しめるインターラクティヴなインターフェース、”ジグザグジッパー”を紹介していて、ギャラリーに常時つながれたインターネット上で楽しめます。ジェイムス・ホングは、箱をのぞいて丸だしのコンピューターをそのまま展示し、かつ、コンピューターによって簡略化された社会を、3つの大文字、“Three’s Company”(テレビ番組のタイトルをもじって)というタイトルを用いて、グラフィカルな表現の可能性を発表しています。 MaMaMedia digital playground for children James Hongのコンピュータープレゼンテーション、3つの大文字   GASBOOK、Tokyo Assassin、相馬一夫、佐々木隼、森野和馬、など日本からもメディア・アーティスト達が、ヴィジュアルイメージを出品し、岐阜県のIAMAS(International Academy of Media, Art and Science)の卒業制作を収録した、IAMAS Anual 1999には、インスタレーション、映像や音と共演するパフォーマンス、VR作品など、今後の情報化社会を担う、新しいメディア・クリエーターの作品がCD-ROMに収められています。 佐々木準のCD作品 IAMASの学生作品集   プロダクトでは、黒川雅之のチタン腕時計、志津刃物(岐阜)のセラミックナイフ。そしてモド(MODO)のハンディーなナビゲーション・システム“NEPTUNE”は、同じ機器で、その都市の最新情報が小型画面に映し出されるしくみで、現在ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴがアクセス可能。交通、娯楽、美術館、催し等の最新情報が外国人にもすぐ分かりやすいようなナビゲーションになっている。 黒川雅之チタン腕時計 志津刃物のセラミック・ナイフ Modo -Scout Electromedia社のナビゲーション・システム   ハリガネTOY Cranky キッカーランド社の歯車をむき出しにした外観とぎこちない動きとのギャップが愛らしい、バラエティーに豊んだ形態のメカ虫には、各々個性的な名前が付けられており、大人にも子供にも人気の商品です。 ハリガネTOY Jetz   Core 77デザインのハーマンミラー社(家具)用の

第16回 慣例NYのインターナショナル・ギフトショーあれこれと この夏NYをわかせたCow Paradeのこと

第16回: 慣例NYのインターナショナル・ギフトショーあれこれとこの夏NYをわかせたCow Paradeのこと   2000/9/13 ●今夏、NYでもっとも話題を集めたCow Parade ニューヨーク市、夏休み観光キャンペーンとして、ジュリアーニNY市長の協力と各企業、地元レストランなどのスポンサーがついて、約500のデザインされたグラスファイバー製の実物大の牛が、NYのあちこちに6月15日から展示されています。 観光客はもとより、仕事の行き帰りの人たちにも、微笑みを誘うこの楽しい催し。ことの起こりは1998年の夏、スイスのチューリッヒでした。 地元アーティストの手によってペイントされた牛400頭が並ぶイベントに、スポンサーが付き寄付金が集まり、イベント終了時には800頭に増える大反響を得ました。そのとき、出張でアテンドしていたシカゴの小売店協会の会長が、この企画に魅せられ、1999年の夏にはシカゴでCowParadeが実現しました。シカゴ市全体で5億ドル近くのお金が動き経済活性化に貢献したそうです。 主催者のカウパレード・ホールディング・コーポレーションが「やはり世界の中心、ここNYで」と話を持ち込み、NY市、市公園局の許可を得てこの夏のイベントとなったわけです。 今年の初め『牛にペイントしたいアーティスト募集』の告知が行われ、約1200のデザイン画の中から、スポンサーは1頭に付き7500ドルを払い好きな牛(デザイン画)を選び、それぞれの広告スペースに展示しました。 独自のデザインをすることもできますが、‘ずばり宣伝’は許されず、あくまでも芸術的、創造的な方法でビジネスにつなげることのみ許可されました。 人通りのあるような場所、たとえば、グランド・セントラル駅構内、バス停、5番街、貿易センター近辺、ミッドタウンのオフィス街からVillage、Sohoと外を歩くと必ずどれかにあたり、楽しくなるこのパレード。牛たちは9月4日に取り払われて、9月28日にオークション・ハウスでオークションにかけられ、その売り上げは芸術、教育福祉団体に寄付されることになっているそうです。 「なぜNYで牛なの?」ということはあまり気にせず、何にしろ、作る人、見る人、町全体が明るく活気がでて、楽しいこのイベントに、気持ちよくスポンサーになり、すんなり許可を上げたNY市をさすがと思います。 これが日本ではと思うと、まず前例がないにはじまり、会社の利益につながらないスポンサーが、はたしてつくのかなと考えてしまいます。皆が自分で感じ、楽しめる文化に投資をする日が近いことを祈ります。 今回のアクセント・アワードで4社が受賞。ベストコレクションで受賞したGallery91のブース ベストコレクションの中のD-Brosのステーショナリー・グッズ   ペストプロダクトに選ばれたサンフランシスコのPablo のデスクランプ 総合ですぐれた商品揃えとして2社が受賞、一つがVITRAのMuseum Qualityプロダクトが受賞 もう一つはテーブル、ベッドまわりのリネンで受賞したNYのAREA社 1月の受賞者と今回を一緒に受賞パーティーが開かれ、新しくAlan Hellerがデザインしたトロフィ ーを手にするEastern Accent 村松氏夫妻(1月受賞)とGallery 91海老原嘉子   このギフト・ショー、『アクセント・オン・デザイン』以外は今まであまり紹介していませんが、今回はハンドメイドなどで個人作家の面白いものが出てきているように思いました。『インターナショナル・ハンドメイド』のおおがかりなテントの展示会場は、玉石混合のところもありますが、中には優れた作家もいて、がんばっています。 海外からのHand Madeをまとめたテント張りのおおきなブース 毎年日本から出品しているMittskoのオリジナル手作りフェルト   アメリカ人による紙の手作りランプ ドイツ政府が力を入れて後援しているハンドメイド特別展示会場の中の陶芸家 Gallery91も毎回出展しているのですが、今回、特に印象に残っているのは、NYで活躍しているハイ・デザイン・ジュエリーの石山れいこさんと、日本から出品しているMittskoのオリジナル手作りフェルトの垂井三津子さんなどの作品が、際立っていたことです。 他に、今年は『MuseumSoures』部門が力を入れて、ジャビッツ・コンベンション・センターのガラス張り天井のクリスタル・ルームの下に大がかりな特別展示を行いました。 メトロポリタン・ミュージアム、グッゲンハイム、アメリカンクラフト、ウイットニー、自然博物館…、と各美術館のミュージアム・ショップの特徴が表れた品々を並べて演出していました。 日本にはなかなか浸透していないMuseumShopですが、アメリカでは長い歴史があり、生活に密着しています。日本ではこれからなのでしょうか。生活がほんとうに文化的になったとき、定着するように思います。実際の『MuseumSoures』のブースは、案外に地味で小物が多く、『KidsStaff』と隣り合せのブースになっていて今ひとつの感はあります。   (1)メトロポリタン・ミュージアム (2)アメリカン・クラフト・ミュージアム (3)ウイットニー・ミュージアム (4)グッゲンハイム・ミュージアム (5)アメリカン歴史博物館   ●今夏、NYでもっとも話題を集めたCow Parade ニューヨーク市、夏休み観光キャンペーンとして、ジュリアーニNY市長の協力と各企業、地元レストランなどのスポンサーがついて、約500のデザインされたグラスファイバー製の実物大の牛が、NYのあちこちに6月15日から展示されています。 観光客はもとより、仕事の行き帰りの人たちにも、微笑みを誘うこの楽しい催し。ことの起こりは1998年の夏、スイスのチューリッヒでした。地元アーティストの手によってペイントされた牛400頭が並ぶイベントに、スポンサーが付き寄付金が集まり、イベント終了時には800頭に増える大反響を得ました。そのとき、出張でアテンドしていたシカゴの小売店協会の会長が、この企画に魅せられ、1999年の夏にはシカゴでCowParadeが実現しました。シカゴ市全体で5億ドル近くのお金が動き経済活性化に貢献したそうです。主催者のカウパレード・ホールディング・コーポレーションが「やはり世界の中心、ここNYで」と話を持ち込み、NY市、市公園局の許可を得てこの夏のイベントとなったわけです。 今年の初め『牛にペイントしたいアーティスト募集』の告知が行われ、約1200のデザイン画の中から、スポンサーは1頭に付き7500ドルを払い好きな牛(デザイン画)を選び、それぞれの広告スペースに展示しました。独自のデザインをすることもできますが、‘ずばり宣伝’は許されず、あくまでも芸術的、創造的な方法でビジネスにつなげることのみ許可されました。人通りのあるような場所、たとえば、グランド・セントラル駅構内、バス停、5番街、貿易センター近辺、ミッドタウンのオフィス街からVillage、Sohoと外を歩くと必ずどれかにあたり、楽しくなるこのパレード。牛たちは9月4日に取り払われて、9月28日にオークション・ハウスでオークションにかけられ、その売り上げは芸術、教育福祉団体に寄付されることになっているそうです。 「なぜNYで牛なの?」ということはあまり気にせず、何にしろ、作る人、見る人、町全体が明るく活気がでて、楽しいこのイベントに、気持ちよくスポンサーになり、すんなり許可を上げたNY市をさすがと思います。これが日本ではと思うと、まず前例がないにはじまり、会社の利益につながらないスポンサーが、はたしてつくのかなと考えてしまいます。皆が自分で感じ、楽しめる文化に投資をする日が近いことを祈ります。 ロックフェラーセンター前 メトロポリタン・ミュージアム裏セントラルパーク 59丁目ゼネラルモーター広場のエンジェルCow 大人気の5番街プラザホテル前のパーティーで踊り狂う2頭 9丁目ゼネラルモーター広場のガウンにカールの牛 タイムズ・スクエアー

第15回 岐阜で行われたNYデザイナー10人展

第15回: 岐阜で行われたNYデザイナー10人展 2000/8/9 ●岐阜で行われたNYデザイナー10人展 岐阜から世界への情報発信をテーマに、岐阜駅高架下にワールドデザインシティ・Gifu(アクティブG)が、7月7日オープンしました。ワールドデザインシティ・Gifuのショウルーム・ギャラリーの為に、 岐阜県の依頼により、IDNFの企画、Gallery 91の運営で、NYで活躍している最もホットなデザイナー10人の作品展をすることになり、120点余りの作品を運び込み、NYスタイルで展示準備を進めてきました。     NYデザイナー10人展ポスター 日本の展示場やギャラリーというと、いつもクギひとつ打てずに困るので、今回はそれがないように、特にお願いしました。そして、NYでは2カ月に1回は展示を変えていて、ペンキを塗り変えたり、ちょっと工夫して、まったく違うセッティングにしたりできるのですが、日本では何々工芸社やその下請け、又々そのプロデューサーまで入って、高価な設置費用になるようで、あきれます。 会場風景 会場風景 会場風景   NYでは一般家庭の人はもちろん、弁護士さんの高級宅でも子供部屋のペンキ塗り位は、御主人の仕事です。ですから誰でもペンキ塗りやクギが打てるので、アーティストなども手伝って、セッティングができます。(アメリカ人が不器用のように、言われていますが、お金をかけずにやろうと思う人は、何でもできるようになっていて、材料も手に入ります) 日本の棚や展示台(ペデスタルと呼びます)は、まるでそれ自身が作品のように、素晴しい材料で、画錨一つ入らないような一生ものに仕上げてしまいます。作品が引き立てばよいので、もっと気楽に釘が打てたり、穴が開けられたり、後でペンキを塗って、修正できた方がやりやすいと思うのですが、完璧主義の日本の習慣でしょうか? でも必要でないところにお金がかかりすぎるのは、考えものです。 今回はファックスのやりとりで、展示台から棚まで色々お願いして、わがままを言いながら協力して頂き、岐阜に入ってからは‘ほとんど物を置くだけ’位に助けて頂きました。それでも着いてすぐさま、NYから来たのデザイナーの一人ガストン・モティコレナは、自分の仕事の様に細々とセッティングを手伝ってくれました。それに、彼の作品の一つの「わらの椅子」が、税関にかかってNYから持ち出せなかったので、岐阜でそろえたワラを使い、その場で作りあげる作業も同時にしていました。   ♦左、Karim Rashid のガラス器(菓子皿などのボールとしても、逆さまにすると花器になる新製品)♦中央、Karim Rashidの新作フロアーランプ、♦右、Harry Allanのワイヤー・プレート     7日のオープニングまでに、IDNFの会長、アメリカン・クラフト美術館館長、NYからもう一つ出展した「マテリアル・コネクション」の社長夫妻、他関係者、総勢12人がNYから岐阜に入り、テープカット等参加しました。思っていたよりも、大がかりで立派な施設。大勢の観客でごったがえし、見積もった数をはるかに上回る15万人の人出だったそうです。以降も、一日平均2万人以上の入りで大成功のようです。     我々のショウルーム・ギャラリーの他にも、いろいろな素材のライブラリーとしてNYのデザイナー愛用の「マテリアル・コネクション」ではNYそのままが見れますし、イタリア工房、イギリス工房、アフリカ工房、中国工房、他、インターナショナルな作家達のショップが出ていて、見応えがあります。 NYに行かなくても、こうした世界のデザインが見れるのですから、ぜひ一度、岐阜駅で途中下車することをお勧めします。NYからの12人が参加した5日間の岐阜県見学ツアーに、私も同行しました。「初めての日本」というデザイナーもいて、いろいろな反応が勉強になります。まず、日本がこんなに大きいと思っていません。ハイテクから飛騨高山の秘湯まで、奥深い日本を知ってもらったのですが、日本は本当に知られていなくて、宣伝が下手だと思いました。それなのに、どこへいっても公共の場でアナウンスがうるさく流れ、繁雑な色のポスターがべたべたと、どこにでも貼ってあり、でも、人々はとても静かなのが、不思議だそうです。たしかに外国では、うるさいのは人の会話ですから。 私も感じたのは、繁雑なポスターがたくさん目につくのに、いざ我々のスマートなポスターを貼りたいと思っても規制があったり、平らな壁がなかったり…、と釘を打てない壁と同様に不思議でした。以上岐阜滞在日記でした。   ●2000個のオブジェ展 PART 4 「ユニバーサルデザイン」展 NYの Gallery 91では、ニューミレニアムに向けて2000個のオブジェ展、Part 4: 「ユニバーサルデザイン」展が7月25日からはじまりました。「ユニバーサル」なテーマとして、エコロジー、及びリサイクル環境にやさしいデザイン、日常に使いやすく、周りにある物をどこまで優れた使い勝手があるかを見て頂きたいと思います。   出品者、デザイナーの一部を紹介しますと、日本でユニバーサル・デザインとして知られているマーナ社の多数の小物が展示されています。人に優しく、赤ちゃんからお年寄の方まで使える、やわらかいシリコン素材を使用したグリップのスプーン、コップ、気配りを考えたキッチンアイテムから、リラクセーションの為の頭のマッサージャーなどの、カラフルで楽しい数々のアイテム。 その他には、竹の一輪挿し、交通標識をリサイクルしたタイルや、鈴木勝美の新しい形の漆箸、ロリーワイズナーの旅行枕、そしてステーブ・ヴイスラーの未来的なサングラスも初お目見えです。三宅道子のペーパーウエイト、ドアノブ等、思い出のガラスビンやリサイクル・ガラス・ボトルを使った作品群が出品されています。その他、益田文和のアルミのペンチ、岐阜関刃物の特殊なハサミ数種、岡本善彦のムードランプや森本尚則の自然に風化したような木のユニークなランプ、出口普子の手織り小物、安次富隆の竹のカトラリー(タケトリー)、スタンダード・デザイン社の木の表紙のノートやスポンジ・ポストカードなど。 一つ一つの作品の素材、色、手触りが違う、ユニークな経験ができます。ユニバーサルであり、日常生活に使える無限の可能性があるオブジェを250点を集めた展覧会で9月2日まで開かれます。 — 海老原嘉子

第14回 ガラス展で凉しさ漂うNY

第14回: ガラス展で凉しさ漂うNY 2000/7/12 2000年6月は世界ガラス会議が行われたので、会議の盛り上げと協力ということもあり、NYではあちこちのギャラリーがガラス展を行いました。 ●2000個のオブジェ展 PART 3 「ガラス」展 SohoのGallery91でも2000年ニューミレニアムに向けて『2000個のオブジェ展 PART 3 「ガラス」展』が6月1日~7月15日まで行われています。夏らしい涼し気な装いで、今回は日本から多数のガラス作家の出展もあり、40人以上200点余りの作品が集まりました。 また、NY注目のプロダクト・デザイナー、カリム・ラシッドの新作ガラス作品、若手イタリアのチアラ・グリゴッティ等ほかの作品が展示されています。日本からのデザイナーでは日本クラフト賞の受賞者、三宅道子の“光の四角柱”というペーパーウェイトを展示。素材に網入板ガラスを使い、何層にも重ね、網目の微妙なずらし方で、美しい光の拡散、屈折、反射を実現しています。ビルディングのようにも見えるペーパー・ウェイト。大小取り混ぜた作品群は、都市の風景を思い起こさせます。 光の四角柱 Gallery91「ガラス展」全景 小石のようなガラス一輪挿し   辻和美は、日本の伝統的なスタイルの食器をガラスで作りあげています。そして渡瀬和恵、安次富隆の手による小石のようにも見える不思議な色あいのガラス一輪指し。メタルや様々な素材をガラスに混ぜ、微妙な模様を作り出しています。ブローグラスの伝統的な技術を使って、ひとつひとつ作品の色や形の違う手つくりのよさをだしています。   2000個のオブジェ展 PART 3 「ガラス」展 PABLO POSADA PERNIKOFF 秋野ヨーコ 三宅道子 辻和美 松岡洋二 大高冷香 松崎隆   CHIARA GREGOTI 安次富隆 近岡令 TERRENCE MAIN   Heller Gallery オーナーのダグラス ●Sohoからチェルシーに移った、 ガラス専門の老舗ギャラリーHeller Gallery ガラスといえばHeller Galleryが専門の老舗です。Heller Galleryは、Sohoからチェルシーにいち早く移って話題になったのですが、広くなった会場では、1970年の大阪万博でも展示された色を使わないガラスの大きな作品で展覧会も行われました。 現在は、大御所のLibansky夫妻の現在までの回顧展をし、このオープニングにガラス会議の参加者を招待して行われました。Heller Galleryオーナー・ダグラスに、チェルシーに移った事情なども聞いてみましたが、「Sohoの土地の値上がりと、ファッションや家具、インテリアの店がどんどん入り込んで、本来のギャラリーのお客でない人達が増えて、対応が困難になっていた時で。ちょうど契約が切れるので、少し早い時期だったが、思い切ってチェルシー移りました」とのこと。 周囲には、まだミートマーケットなど倉庫街が並び、ちょうどSohoの始まりの時のような所にHeller Galleryがあり、一歩入るとミニマムで格調のある静かな空間です。 外との対照がクライアントに驚きと楽しさを与え、オーナー好みのガラスの作品を鑑賞してもらえるので成功だった、とのこと。ただ、近々GapShopが店を出すそうで「あまり早く開発してほしくない」とも話しています。   3人展 ウィンドーギャラリー ●日本のガラス作品『3人展』 Sohoでもう一つ、アートとしての日本のガラス作品『3人展』がISEギャラリーで行われていますが、チェルシーでも充分取り上げられそうな、日本の現代作家の力強い作品が展示されています。 ●24時間営業のウィンドーギャラリー ガラスではないのですが、いつも車で通ると気になっている24時間オープンのウインドーギャラリーが、クリスタルのような気になる作品を並べていたので、紹介します。このウインドーギャラリーは、1984年からニューヨーク大学(NYU)のギャラリーの一つとして開いていて、いろいろ実験的な展覧会をしています。 今回はNorman J. Mercerの「Refractions and Refractions」という題で、倉俣史朗を思わせるカラフルなアクリルの彫刻が、5つのウインドーに分けて展示され、通る人の目を引きとめています。     暑い夏、これらの涼し気な作品群を鑑賞して、クールになってください。 ※Gallery91の次のスケジュール、パート4「ユニバーサル・デザイン」展は、現在作品受け付け中です。7月20日から9月2日まで展示されます。 興味のある方はご連絡下さい。g91@gallery91.com 海老原嘉子

第13回 NYの国際現代家具展2000年(ICFF)と 関連のSoHoイベント

第13回: NYの国際現代家具展2000年(ICFF)と 関連のSOHOイベント 2000/6/14 今年のICFF は5月20日から23日まで慣例のジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで行われましたが、85,000スクエアー・フィートの展示スペースを405社が出展、昨年より10%も多い出展ブースがあったようで、そのうち118社が今回初めての出展でした。 従来のICFFでは、入ってすぐに広い空間があったのですが、今年はぎりぎりまでブースにとられ、大変混雑している人気ぶりでした。 出展国もカナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、香港、イタリー、日本、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ、スペイン、スエーデン、スイス、英国、そしてUSと国際色豊かで、ますます大がかりになってきています。ヨーロッパの各ショーをまわってきた人達からも「ICFFは、まとまっていて、わかりやすい現代ホームデザインのショー」と評判で、1万5千人の入場者数とプロモーションの時期から出展者達もビジネスの時代に入った様で、活気がありました。 教育的なレクチャーやイベントの他にICFFは毎年、各デザイン学校の展示ブースを応援し、実社会での経験をさせて、将来のデザイナー達に、実践での自己プロモーションなどアメリカらしい教育のヘルプもしています。大企業と並んで、新鮮なアイディアの学生のブースが並ぶのが、例年フレッシュで楽しみです。 また昨年に続き、ICFFのGLM社と『House Gerden』誌が共催で、2回目となるMoMAを借り切ってのオープニング・ナイト・パーティーが土曜の夜7時から行われました。招待状もまるでロックバンドのようなプロダクト・デザイナー数人の写真のカードでしたが、その夜のMoMAの入り口にはりめぐらせたのも等身大の大きな若手プロダクト・デザイナー12人の写真で驚きました。ほとんど知ってる顔ですが、業界がNYからスターを作りだそうとしているのだなと感じました。両側にもフィリップ・スタルク他先輩の拡大写真が貼られていましたが、写真の前で、友人、それぞれの生徒などが、記念撮影している光景が見られ、まるでタレント扱いでした。 この期間に併せて、あちこちでも盛りだくさんな催しが行われました。前日にVitraのショールームを提供してもらって、Constantin Boymが“Salvation”というテーマで作ったリサイクル作品の発表会を皮切りに、GLMとメトロポリタン・ホームがまとめた23店のSundayオープンナイト(7~9時)など、これらの店をはしごする人でにぎわいました。   ICFFのPratt Institute 大学のブース NYスター・プロダクト・ デザイナー写真 ICFF シーン MoMAパーティーの混雑ぶり   カリム・ラシッドの新作発表会場 『Process』展協力出品のフィリップ・スタルク そしてソーホーの広い屋内駐車場を借りてのTotem社のカリム・ラシッド新作発表会場は、人気のタレントを見るような混雑ぶりで盛況でしたし、無名の若手3人組みの提案した“Process”展は、MoMAのキューレーターPaola AntonelliやPhilippe Starckなどを動員して、あちこちのサポートをもらい、臨時の展示場で学生の発表会のような雰囲気でしたが、Finishを見せるのではなく、その行程を見せるというコンセプトに、同感した多くの支持者や友人を得て、有名人も沢山来ていて盛況。 また「何だか面白いよ」と噂の“スプートニック”は、屋外駐車場にテントを貼って、スター若手デザイナーの名と日本のデザイナーの名を連ねて、NYでは知る人ぞ知るのIDEE初登場という話題を提供していました。NYの好景気‘噂’も手伝って、大変活気のあるICFFweekでした。これらのスター・デザイナー(Constantin Boym, Karim Rashid, Harry Allen,Gaston 等) の新作をまとめて日本で見れる展覧会が7月7日からはじまります。岐阜県主催『2000年の形・NYデザイナー10人展』。IDNF企画でGallery91がプロデュースするもので、7月7日~9月30日まで、岐阜駅にできるワールドデザインシティーGIFUのTAKUMI工房ショールーム・ギャラリーで開催されます。   カリム・ラシッド新作発表会場、Process展、スプートニック SOHOで行われたカリム・ラシッドの新作発表会場 『Process』展の展示 『Process』展 企画者の3人 『Process』展 Bicycle for Biomega 『Process』展 フィリップ・スタルクの椅子/Emeco 『Process』展オフィス・システム Hermaan Miller 『Process』展Eric Ripert’s Food Design 『Process』展 フィリップ・スタルクの椅子/Emeco IDEEのスプートニック展示風景

第12回 (1)『未来志向』展 (2)『坂茂展』

第12回:(1)SOHO Gallrey91にて2000個のオブジェ展のPART-2『未来志向』展開催 2000/5/10 ライトテーブルに展示されている作品、右に見えるオレンジの長方形3つがつながった作品がカリム・ラシッド(Karim Rashid) ニューミレニアムを記念に始めた「2000個のオブジェ展」。そのパート2として『未来志向』展が、3月18日より5月20日までSohoのGallery91で行われています。 メタル、カラフルなプラスチック、新素材などをつかった未来志向のオブジェが、イタリア、アメリカ、日本をはじめ世界各地から約250点集りました。フューチャリスティックなオブジェが勢揃いしています。 会場入り口には、CDを利用して作った未来を感じさせるタイトルがかかり、会場に点在するライトテーブルには、カラフルで、ユニークな形状の作品が展示されています。   「未来志向」展のなかから、ユニークな作品を紹介いたしましょう。会場入り口にタイトル文字と共に飾られている腕時計はタカラから。その未来的なデザインはもちろん、様々なゲームがプログラムされており、ギャラリーを訪れる人達の注目を集めています。 三宅一生のパッケージを手がけたカリム・ラシッド。彼の新しい作品はグミのように柔らかでカラフルなプラスチック素材を利用したステイショナリーです。 PRATT Insutituteを卒業した若いデザイナー達が始めたBENZAスタジオ。既存のデザインにとらわれない自由な発想に、多くのニーヨーカーが注目しています。今回はスプリングを使った動きのあるフルーツ皿、自由自在に形が変えられるメタル・スプリングで作られた花器、マウスパット等展示しています。 また陶芸家Marek Ceculaは不思議な透明感のあるポーセリンやシャープなデザインのテーブルウエアー群を、スペース・シャトルの中のテーブルを思わせるメタリックな台の上に展示されています。黒川雅之のメジャーやルーペは人気商品のひとつですし、伊達アキコの照明具は壁に光のパターンを描きだし、来場者の目を引いています。 NYのMoMAで個展をして、知られている熊井恭子はメタル・ワイヤーを使った不思議なオブジェを展示。他にユニークな試作品としては、Josh Owenは電球を使わなくても光を放つベッド・ランプ。ランプカバーそのものがほの青く灯る仕掛けになっています。また、Ami Drach/ Dov Granchrowは、洋服の襟に組み込まれた“未来”の携帯電話の試作品を出品しています。 ニューヨークで最も、売れっ子のプロダクト・デザイナー達の「未来」に対する想像力を働かせた作品が一同に集った「未来志向」展は5月23日まで行われます。 次のスケジュール、パート3「ガラス」展は6月1日から7月15日。夏らしい涼し気な作品が揃います。今後も「2000個のオブジェ展」のシリーズとして、環境、ニューメディア、日常生活用品と続きます。興味のある方はぜひ参加してください。 “Boing Dish”デザイン:Giovanni Pellone/BENZAスタジオの作品 陶器のMarek Ceculaの作品群 襟に組み込まれた携帯電話   『未来志向』展 Photo Tour Gallery91「Future展」展示全景 展示風景中央 安眠枕? “Boing Dish” Giovanni Pellone/BENZAスタジオ “Urchin Container” Roberto Zanen/BENZAスタジオ “Mutanto Vase” Giovanni Pellone/BENZAスタジオ Josh Owenの電球を使わなくても-光を放つランプ “傘たて”Antonio Norero Outlook Zelco Europe 壁のサイドの展示から黒川雅之のテープメージャー 入り口の間仕切り用に展示されたタカラの時計 熊井恭子のメタルワーク 陶器のMarek Ceculaマレクセキュラの作品群 襟に組み込まれた携帯電話 Ami Drach/ Dov Granchrowの 洋服の襟に組み込まれた携帯電話 伊達アキコの照明具 “CD Ruck”Gioliani & Rasulo

第11回 (1)『デザイン・カルチャー・ナウ展』 (2)『パーソンズ・スクール・オブ・デザイン』

第11回:(1)クーパーウイット・ナショナルデザイン・ミュージアム・スミソニアン『デザイン・カルチャー・ナウ展』 2000/4/12 クーパーウイット・ナショナルデザイン・ミュージアム・スミソニアンで、3年に一度の総合デザイン展「デザイン・カルチャー・ナウ展」第1回が、3月7日から8月6日まで開催されています。   Cooper-Hewitt National Design Museum正面入口 2階ロビーと展示風景 「ここ3年のいろいろな開発は、過去3世紀分に値する変化」と言われる現在。今までのデザイン展のように「歴史展」とか「グッドデザイン」といった簡単なカテゴリーに分けで展示をすることが適当ではなくなっているようです。この展覧会に限らない傾向としても、アメリカン・デザインのいろいろな分野──グラフィック、ファッション、インダストリアル・プロダクト、建築、インテリア、ファニチャー、おもちゃ、劇場、映画、コンピューター・アニメーションなど──の要素が絡みあい、混ぜ合わされた展示が主流になってきています。 今回が初めてとなる、アメリカン・デザインの大イベント「デザイン・カルチャー・ナウ展」は、過去3年間に紹介された83のデザイナーと会社の作品・製品を展示し、これからの生きたデザインの未来を考えようというもので、クーパーウイット・ナショナル・デザイン・ミュージアムの2人のキューレーターDonald Albrecht、Ellen Luptonと、ゲスト・キューレーターとしてシリコン・バレー・サンフランシスコのFrog DesignのSteven Skov Holtが起用され、3人で企画しまとめられた展覧会です。 *Cooper-Hewitt Musuem “Design Culture Now” 「カラー」「光」「形」「イメージ」「動き」「素材」「テクノロジー」を重視。「今までにない、キャラクター性ある8つのテーマでまとめた」そうですが、日本語としては訳しにくい、FLUID(流れ、形にとらわれない)、PHYSICAL(身体の)、MINIMAL(ミニマル)、RECLAIMED(言いなおし、利用再生)、LOCAL(近所の)、BRANDED(銘柄)、NARRATIVE(説明、物語体)、UNBELIEVABLE(信じ難い)という8つの単語によるテーマでした。   FLUID(流れ、形にとらわれない): コンピューターを使って作られた3次元的なカーブやオーガニックな形、流れるイメージをとりあげていています。 アップル・コンピューターのiMacやSony HMD-A100、FDトリニトロン・コンピューターモニター、フランク・ゲーリーによる実現しなかったタイムズ・スクエアーのビルの模型、カリム・ラシッドによるカナダのUmbraのボールやOHの椅子、ロスアンジェルスのGreg Lynnデザインの展示パビリヨン・モデルHYDROGEN HOUSE他が出品されています。 カリフォルニア州・ロスアンジェルスのGreg Lynnデザインの展示パビリヨン・モデルHYDROGEN HOUSE Karim Rashidデザインの椅子、ボール他   PHYSICAL(身体の): 映像のフィルムで、話題のタイトル・デザインをつくったImaginary Forces/Kyle Cooperとそのチーム、女性デザイナーとして有名になってきているAyse BirselのZoeウォッシュレット・トイレ・シートカバーやMiro Poleオフィス・システム、建築家のBillie TsienとTod Williamsnのアメリカン・フォークアート・ミュージアムの模型と素材見本は圧巻です。 (A) – MIT Residence 2001スポンジを元にコンセプトを組んで、自然の穴空間を作り出している建築、ドローイングから建築模型まで Design;Steven Hollとそのチーム (B) -Zoeウォッシュレット・トイレ・シートカバー Design;Ayse Birsel (C) -Museumのビルの間に見える古い建物等のサイトを消して、コンピューターで描き出した美しい布地のインストレーションが素晴しい空間処理 Design;Raveevarn Choksombatchai,Ralph Nelson (D) -ロタンダに飾られたバイスクルGo-Go Bicycle Design;Robert Eggerとそのチーム A B C D   MINIMAL(ミニマル): Michael

第10回 新しいアートの動きをアメリカン・クラフト美術館と SoHoのアートギャラリーから見る

第10回: 新しいアートの動きをアメリカン・クラフト美術館と SOHOのアートギャラリーから見る 2000/3/8   ● アメリカン・クラフト美術館『クラフトの定義:ニューミリニアムのコレクション』 NY近代美術館の前にあるアメリカン・クラフト美術館。昔から立派な空間で、アメリカの工芸を専門に展示していますが、今また新しい動きを盛んにしています。以前、クーパーウイット・ナショナル・デザイン・ミュージアムのキューレーターだったデビット・マックファダン(David McFadden)氏が、ここのチーフ・キューレーターとして呼ばれて、常に「クラフト」「アート」「デザイン」の定義の問いかけをしています。 アメリカン・クラフト美術館外景 ジャヴアメリカン・クラフト美術館入口 ミュージアムにも、今までの工芸愛好に偏った層に加えて、デザイン寄りのファンも増えてきて、建物も来年着工で改装されることもあり、今後が楽しみ€ネ美術館です。ここで行われている『クラフトの定義:ニューミリニアムのコレクション』という展覧会。25年のコレクションからガラス、陶芸、金属、ファイバー、木工作品など150点あまりの、これまで見せていなかった作品を4つの部屋に分けて展示しています(2月9日~5月7日)。出品作家も大御所のPeter Voulkos(陶芸)、Jack Lenor Larsen(織物)、 Lenore Tawney(ファイバー)、 Robert Arneson(陶芸)から、木工のWendell Castle、 ガラスのDale Chihuly 。日本のガラス工芸の大家である藤田喬平など。他にもFrank GehryやGaetano Pesceの家具があったり、三宅一生の服、Toshiko Takaezu(陶芸)や、Dakota Jackson、Thomas Loeser、Wendy Maruyamaの家具。James D. Makinsの陶磁器等、幅広い作家達の作品のコレクションが各部屋に分かれて飾られています。そして‘チャレンジング’の部屋では、テクノロジーや新しい素材も「これからのクラフトの課題」として取り組み一品ものから量産も手がける若手の作家達が紹介されています。Marek Cecula(陶芸)、Stanley Lechtzin(CAD/CAMを使って作る金属工芸)、スキャンして織りあげるジャガードという日本の山口英夫の作品は、すばらしい舞台に飾られて、ひときわ輝いて見えます。プラスティックに皺寄せを入れた「クリンクル」ランプのLyn Godley 、ロシア生まれのConstantine Boymなど。 他にも、新世紀の幕開けにミュージアムのコレクションをご披露しながら「これからのクラフトの定義について皆で考える展覧会」といった感じがしました。 内部展示風景 フランク・ゲーリーの家具 Wendell CastleのMusic Rack アメリカン・クラフト・ミュージアムのショップ全景 Philip Moulthrop の白松のモザイク細工のボール1996年作(写真撮影:Eva Heyd) 山口英夫のコンピューター・スキャンした「しだの葉」のジャガード     ● 今、話題のCRG Gallery ギャラリーCRGのオーナーの一人リチャード.デスロッシュ(RICHARD DESROCHE)とアーティストのロバート・ベック(ROBERT BECK) Sohoでは、Galley 91の隣りに、マデソン・アベニューから移ってきたCRG Gallery(Carla Chammas, Ricchard Desroche, Glenn McMillanの頭文字)が、センセーショナルな展覧会を開き2月19日オープンしました。このギャラリーの若いオーナー3人ですが、アップタウンでのコレクターとコネクションを持っているらしく、最初の頃から話題展を開催しています。今回の”Robert Beck”の『Nature Morte』(自然死とでも訳すのでしょうか)と題された個展は、オープニング時にギャラリーの前に山のように花束がつまれ、それを見て皆、昨年のジョン・ケネディー・ジュニアを思い起こしました。その後も毎日花束がつまれ、隣りのGallery 91には毎日「誰が亡くなったのか?」と人が尋ねに入ってきます。 Robert Beckはぴんぴんしていて、彼の作品は幼児期の思い出や、生い立ちを作品にしているもので、外の花束もそのメモリーの一つの作品とのこと。3月25日まで行われますが、センセーションを死んだ気でやっているのですから話題になるのは当然でしょうか?  

第9回 寒いNYでのアクセント・オン・デザイン・ショーに見るアジアスタイルの流行

第9回: 寒いNYでのアクセント・オン・デザイン・ショーに見る アジアスタイルの流行 2000/2/9 ● インターナショナル・ギフトショー「アクセント・オン・デザイン」 今冬のNYは久しぶりにNYらしい厳しい寒さが続いています。 ここ7~8年暖かい冬でしたが、以前なら年に1~2回は車が隠れる高さの雪の日があったり、車のキーを差し込むのに(キーの差込口が)凍ってしまって入らないので、まずキーの穴にライターのような特別のヒーターをシューと入れて溶かしてからキーを入れる必要があったり、ドアーのウインドーを下げても氷がガラスの様にもう一枚張ってある、といった時が何度かありました。   ジャヴィッツ・コンベンション・センター そんな中で慣例の「インターナショナル・ギフトショー138回」は、1月22日から1月27日までジャコブ・ジャビッツ・コンベンション・センターで行われました。クリスマス商品の並ぶ8月と違って、気候のせいもあり、客足はにぶるのですが、このショウは今年の春からの新商品の傾向が見られます。 今回の『アクセント・オン・デザイン』賞はAmeico のブースに出展していたイタリーのVaritasの文具と、イタリーから新しく出た家庭用品のMAGISのブースに。それと長年続けて出展している努力賞として、ボストンの日系のマサさんのEastern Accentと、最初はGallery 91からスタートしたNinaさんのArchipelago(ベッド・バス・リネンで大成功した)ブースに、それぞれ与えられました。   今年のアクセント・オン・デザイン賞に選ばれたVARITASの文具商品 MAGIS、アクセント・オン・デザイン賞 Eastern Accent、アクセント・オン・デザイン努力賞 Archipelago、アクセント・オン・デザイン努力賞     ● 大評判の‘シャープ・バブル’ Gallery 91のブースでは2000年の文字を切り抜いてショウケースにして、時計、デスク・アクセサリーなどをディスプレイ。特に今年はD-Brosの紙製品を出したのが大変人気を呼んだのと、ショウの入り口にも飾られて評判を呼んだシャープ・バブル(ペーパーカッター・ペーパーウエイト・オブジェの3機能を持つ)が反響を呼びました。このシャープ・バブルは3年前、岐阜の関市とIDNFで行われた「国際学生カット・デザイン・コンペ」のグランプリに輝いた作品で、審査員には国際的に活躍するEcco DesignのEric Chan、 石岡瑛子、木村一男、 David McFadden、 Lella Vigenelli、 Tucker Viemeisterをむかえて選定されたものです。細かいディテールにもこだわって、デザイナーのゲリー夏目と関のニッケン刃物とのやりとりの結果生まれた、みごとな新商品です。大きな泡の中に鋭いカミソリと針のようなピン類を閉じ込めて日常的には握ることの出来ない物を、手の平で遊ぶことができ、切れあじ抜群、刃の位置変えも可能で、刃こぼれしても反転して一つの刃で4回使えるすぐれものです。 シャープ・バブル(国際学生カットデザイン・コンペのグランプリ作品を関市で商品化して世界の市場に初お目見え、話題を呼んだ)   アクセント・オン・デザイン入り口のディスプレイ・ケースに飾られたGallery 91のシャープ・バブル   アクセント・オン・デザイン全景 Gallery 91ブースのディスプレイ     ● Asian Style ショウ全体ではなんといっても「アジアン・スタイル」の人気と流行を感じさせられました。ドイツのASA社写真下は、ヨーロッパ・スタイルの陶器で 知られていたのですが、なんとこの変化。日本人では出せない、アジアン・スタイルをみごとに商品にしていて、それだけ世界の市場があるのかと考えさせられました。他のアジアン・スタイルも、日系とかアジア人のオーナーではないのが面白いところ。コストの見合うアジアの国で製造するのは今までも当たり前でしたが、このアジア・ブームの浸透ぶりには、びっくりしました。   ドイツ・ASA社 ドイツ・ASA社 ドイツ・ASA社 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル 数々のアジアン・スタイル   NYの新年郵便、中華切手 今年は2月5日が中国のお正月。休みのないNYの中華街もこの日ばかりはいっせいに店を閉じて、新年を祝っています。アメリカの郵便局では1月の中頃から、毎年その年の十二支の切手を売りだします。日本の年賀郵便に間に合うようにだしてくれたら使えるのに、といつも残念に思うのですが、これは中国と日本の歴史の違い、やはり中国の重みをこんな所で感じたりしています。

第8回 ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展

第8回: ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展 2 0 0 0/1/2 6 ● 2000年を迎えたNYの素顔 NYのNew Millinniumは、タイムズ・スクエアーの年越し騒ぎのイベントにエネルギーを消耗仕切ったのか、とても静かで、ほとんど普段の土・日といった感じで年が明けてしまいました。 NYの新年は普通1月1日だけが休みなので、日本のお正月のイメージはありません。ですが面白いことに、毎年1月4~8日の間、Xmasツリーをあちこちの通りに捨てる行事(?)があります。 これが毎年のことなので、何か日本の門松を連想させ、私にはお正月っぽさを感じさせます。SoHoや、倉庫ばかりのように見えるチェルシーあたりでも、本物のもみの木のクリスマス・ツリーがたくさん捨ててあって、その香りが漂っています。もちろん、皆さんこれを飾っていたわけで、まだまだニューヨーカーもクリスチャンなのか伝統が残っていることを感じます。 捨てられたツリー /Soho 捨てられたツリー /チェルシー     ● Gallery91の2000年 SoHoのGallery 91で「ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展、パート1」が1月12日より3月11日まで開かれています。この展覧会では‘紙製品’をテーマに、カレンダー、時計、ポスター、グラフィックを中心におよそ300点の作品が展示されています。世界中のそうそうたるグラフィックデザイナーのオリジナルカレンダーやペーパー・グッズが多数出品されており、たとえば、松永真氏のテーマポスター*1を皮切りに、プッシュピンスタジオ、レーザーフィッシュのカレンダー、松本高明のワールド・コンペ・ポスター、日本から田中一光、黒田征太郎/K2、小島良平のカレンダー、内田繁のムーンライト、茶谷正洋のカード他多数の作品が展示されています。素材を生かしてるだけではなく、それらの多様性と繊細な表現の作品群は、ニューヨーカーに感激を与えています。 ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展 ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展 *1;松永真作のGallery 91「2000 Objects for New Millennium」ポスター   この2000個オブジェ展パート1の作品には、日本の左合ひとみによる通産大臣賞受賞のポップアップカレンダー*2。D-BROSの渡辺良重の楽しいプロダクトの一つ、食事が楽しくなりそうなプレイス・マット ── 紙のランチョンマットは動物の形のキリコミがあり、そこを立てることではし立てになる ── *3。もう一つD-BROSの植原亮輔の「A Path to the Future」と題した線路とハイウエイがデザインされたパッキングテープ*4など日本人デザイナーの作品も展示されています。NYのJOY NAGYが紙で作った鮮やかな色の花器と花、Teaセットと靴*5。ソーホーの住人NAGYの靴や花と花器は、日本の繊細なアイディアとはまた一味違い、とても明るく楽しい作品です。 建築家 茶谷正洋の有名なオリガミ建築ポップアップ・カードは、全コレクションを見ることができます。そして、彼の秘蔵コレクションとして、それぞれのオリジナル建築家のサイン入りカードや、クリントン・ブッシュ・レーガン各大統領のサイン入りホワイトハウス・カードなどが展示されています*6。この紙展、ユニークな展示構成と展覧会でNYのメトロポリス・マガジン やIDマガジンにも紹介され話題を呼んでいます。   *3;動物ランチョンマット *2;ポップアップカレンダー *4;パッキング・テープ *5;花器 *6;オリガミ建築   「ニューミレニアムに向けての2000個のオブジェ展」では、続く4・5月には‘Future Design’をテーマにして新しい素材やアイデアを展示。6月のテーマは‘ガラス’で、NYで行われる世界ガラス会議に協力しガラス作品の色々を紹介します。いずれも各界の著名デザイナーが世界中から参加します。7月からも12月までは‘環境問題’‘ニューメディア’‘日常生活用品’などのテーマに分けて、2000年の一年間を通してGallery91で2000点を展示即売します。 興味のある方は、ぜひ参加してください。 オープニングパーティにて