第115回 メトロポリタン美術館のデザイン・コレクション

メトロポリタン美術館の広さには、何度行っても迷ってしまうほどですが、それぞれWigやGalleryの名前を覚えるとわかりやすいようです。 5月から新しい展示やWigがオープンしたので、取材を行いました。 「モダンデザインの名作たち」 メトロポリタン美術館の、20世紀以降だけでも400点を超える膨大なコレクションの中から、現代デザインの傑作を代表する作品が選ばれ、5月から1階のモダン・アート展示場内の「The Helen And Milton A Kimmel man Gallery」Lila Acheson Wallace Wingで展示されています。 古くはマッキントッシュ、ヨーゼフ・ホフマン、ミース・ファン・デル・ローエ、ブロイヤー、E・サーリネン、ヨーゼフ・アルバート、Eva Zeisel、チャールズ・イームズ、イサム・ノグチ、マイケルグレーブス、エットーレ・ソットサスといった巨匠から、現役のガエターノ・ペッシェ、ザハ・ハディド、アレッサンドロ・メンディーニと岡山伸也の共作の花瓶等、最近コレクションに加えられた作品まで。家具、メタルワーク、ガラス、陶器、テキスタイル、ジュエリー、オブジェ、スケッチ等が展示されています。 残念ながら写真を撮れなかったのですが、メトロポリタン美術館がハイライトとしている作品が、1934年のフランスの遠洋定期船「ノルマンディー号」の一等サロンのために作られたという記念碑的Jean Dupasのギルト・ガラスの大壁画です。 メトロポリタンならではの所蔵作品が公開展示されていて、この夏休みに現代デザイン史を一望する事ができます。 もう一つは「Classic / Fantastic」 同じ1階のモダン・アート、Lila Acheson Wallace Wing展示場内で、昨年12月から展示されています。現代のデザイン収集からほんの一部の選択作品75点とメトロポリタンが収集した家具、金属加工、陶器、ガラス、織物と図面のうち、半分は「Classic」、古典主義で過去の規則と伝統との関連のある作品。残り半分は「Fantastic」、ファンタジーのロマンチックでシュールな作品を展示しています。 秩序と無秩序。理屈と感情、制限と過剰、連続性と目新しさ:そのような対立する衝撃は、文明が始まって以来デザインを導いてきました。 確かに展示会場には伝統工芸的作品に混じって、ライラ・マシモ・ビグネリ、マイケル・グレーブス等の作品が見られ、中央にはピンクの倉俣史郎の花瓶が輝いて凛と展示されていました。この対立的組合せのコレクションの展示では、最新技術を駆使して生まれてくる異なるアプローチを並置し、これからの時代のデザイン哲学を問いかけているそうです。 2008年9月27日、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインが、53丁目のMOMAの前からコロンバスサークルに移動して、新しくオープンします。 以下Museumのプレス・リリースからの抜粋の一部を紹介します。 Museum of Art & Designは、1942年にアメリカクラフト界の最大の後援者、Aileen Osborn Webbによって設立されたAmerican Craftsmen’s Councilが中心となって、1956年にThe Museum of Contemporary Craftsとして出発しました。当初は工業製品の普及によって失われてゆきつつあるアメリカのクラフトおよびクラフトマンシップの再評価、保存、研究をその使命とし、その後、1986年にRoche-Dinkelooがデザインした53丁目の場所にAmerican Craft Museumとして移転し、2000年から名称をMuseum of Art & Designと改め、それに伴い、当初のアメリカ国内を対象にした活動から、広く世界に目を向け、工芸、美術、建築、インテリア、ファッション、ニューテクノロジー、デザイン、パフォーミングアートなども、その研究対象とするようになりました。 現在まで560の企画展覧会と、75の公共教育を目的としたプログラムを実施してきました。2007年には、石川県の漆工芸家たちによるワークショップが開催され、日本の伝統工芸の美しさと技術の高さに注目が集まりました。米国内唯一のクラフト専門の美術館として、ミッドセンチュリーから現在に至る2,000を超えるコレクションも高い評価を受け、過去10年に渡り、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインは、年間310,000人の来館者が訪れています。 Museum of Art & Designは2008年9月、急速に増加する来館者とさらなる発展のため、コロンバスサークルへの新規移転をすることになりました。新美術館の展示面積は今までの施設の3倍のスペースで54,000平方フィートの美術館になります。現代ジュエリーのために画期的な新しいギャラリーとセンターを設置したり、アーティストのためのアトリエも併設され、製作過程を見学できるのもこの美術館の大きな魅力の一つになります。アメリカ人建築家Brad Cloepfi設計の建物は、国際的なクラフト専門美術館にふさわしく、ドイツで製作され、オランダで色づけされたセラミックタイルで被われています。繊細な乳白色のグラデーションで彩られた外観は光線によって、色が変化し、近隣のタイムワーナービルディング、トランプホテルとともに、ランドマーク的存在となることは間違いありません。 Gluckman Mayer Architectsが手がけたことでも話題の9階にあるレストランは、ニューヨークの象徴的であるセントラルパークとブロードウェイを一望することができます。充実した施設と、4つの地下鉄のライン、7つのバスの運行路の交差するコロンバスサークルに位置するこの新美術館は年間50万人の来館者が見込まれています。Museum of Art & Designは既に高い評価を得ている日本の伝統工芸はもちろん、アートやデザインの作品、優れた人材の紹介、発掘の場として、ニューヨークでの拠点となるだけでなく、世界への発信基地としてますます重要性も増していくことでしょう。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第114回 SOFA New York 2008

第11回 SOFA ニューヨーク(Sculpture Objects & Functional Art)がパーク・アヴェニューのArmoryで5月28日から6月1日まで開催されました。 5月28日のオープニングナイト・パーティーはArmoryで行われたアートフェアーのなかでも過去最大の2,600人で埋め尽くされ、大変な混雑と活気にみちていました。SOFA合計入場者は、16,100人にのぼり最高の売り上げを得たそうです。 「最近の現代アート・工芸のオークションの急増と同時に、市場の過熱状態で今回のオープニングナイトでは、少しあっけにとられるような買付けが行われ、興奮状態が目にとまりました。」と、SOFAの創始者であり、評判が高いパーム・ビーチ・フェアなどを所有しプロデュースしているマーク・ライマン(dmg Art & Antiquesの副社長でもある)が語っています。「ディーラーやコレクターが、週末を通し床が見えなくなるほど集まり、国内や海外からもかなりの数の新しいコレクター達が来ていたのではないか」と話していました。 ロンドンを拠点にした名祖のギャラリー、エイドリアン・サスーンは「フェアは驚くほど成功した、本当に素晴らしかった。オープニングナイトに155,000ドルのAqua-Poesyを含む鈴木ヒロシ(ロンドン在住)が手掛けた銀と金のほとんどが売れた」との事、最も大きな作品のケイト・マローンの陶製Succulent Mother Gourdは、57,000ドルで売れたとか。アメリカの金融界からのクライアントは最大で最高の物を買いたがる」と述べているそうです。 オープニングナイトプレビューの間に近代美術館とロサンゼルス現代美術館、アメリカ国内および国際的にすばらしい美術館12館以上の収集部門の人達が、このプレビューで買付けをしたそうです。 展示は67Boothの主要な国際的なギャラリーで、作家にはジョージ・ナカシマ、ピーター・ボーコス、デール・チフリ、Lino・タリアピエトラ、ウェンデル・キャッスル、レノア・トーニーとアンソニー・カロのような一流のアーティストやこれから有名になりそうな新世代の新進のアーティストによる、陶器、ガラス、金属、木、テキスタイル等の優秀作品を展示されました。日本、イタリア、イギリス、フランス、カナダ、デンマーク、韓国、アルゼンチン、ニュージーランド、トルコと米国を含む11カ国のギャラリーが、デザイン、装飾と現代アートの架け橋となる芸術性の高い作品を出展しました。 何世紀も続いた豊かな伝統に基づくベニスのまばゆい現代ガラス・アート、彫刻的な日本の陶器、スカンジナビアの銀細工師による素晴らしい深みのある容器、近代主義の現代家具そして最もアバンギャルドなヨーロッパ他の国のアートジュエリー等も展示されました。 SOFA Lecture Seriesが、同時に開催され、他にもVIPプログラムで、コレクターの館への特別ツアーや美術館のキューレター主導の舞台裏ツアー等の催しがプランされてこのフェアを高めました。 オープニングナイトをのぞいて、皆が言うように本当に歩けない混雑ぶりで、アメリカ経済低迷と言われながら、どうなっているのかこの熱狂と活気にびっくりしました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第113回 ジャパン・ソサエティー(JS)の年次晩餐会

ジャパン・ソサエティー(JS)は、1907年(明治40年)にニューヨークに設立された米国の民間非営利団体で、全米唯一の規模を誇る日米交流団体として、100年間に渡って両国間の相互理解と友好関係を促進するため、多岐に渡る活動を続け2007年に創立100周年を迎えました。その活動範囲は、政治・経済、芸術・文化、日本語教育など幅広い分野にまたがる各種事業や人物交流などを通じて、グローバルな視点から日本理解を促すと同時に、日米関係を深く考察する機会を提供しています。現在、JSは日米の個人・法人会員をはじめ、政財界のリーダー、アーティスト、教育関係者、学生など様々な参加者を対象に年間100件以上のプログラムを提供している団体です。 JSの2008年度アニュアル・ディナー年次晩餐会が、6月12日グランドハイアットホテルにて催されました。去年は100周年ということもあり、今年の倍の1000人の盛大な晩餐会だったそうですが、今年も600人の政財界の方々がブラック・タイで参加しました。 NYの日系企業が名を連ねて、ひとテーブルにつき1,5000~75,000ドルを寄付して出席する姿は、他の美術や文化系の催しでは、あまり見ることがなく、さすが米国政財界のリーダーがBoardに多いJSならではだと思いました。 司会進行はレナード・ロペート氏(WNYC『The Leonard Lopate Show』)。ジャパンソサエティー会長ジェームス・マクドナルド氏(Rockefeller & Co.会長兼CEO)の挨拶の後、JSの副議長を努めるトヨタ・モーター・ノース・アメリカ社長・早川茂氏が、本年の基調講演をする、Citi Group会長のウィンフリード・ビショッフ卿を紹介し、講演がはじまりました。Citi Groupが見る日本社会の大切さや可能性について、日本が同銀行の国際成長戦略において最も重要なマーケットであり、日本においてのCiti Groupの31支社や傘下にある110グループの日興ホールディングズでは96%が日本人を採用しており、今後どのように発展させるか等の展望を話されました。 ディナーの後はジャパン・ソサエティー賞授与式です。ジャパン・ソサエティー賞は、ジャパン・ソサエティー(JS)が日米間の相互理解の向上に寄与した日本人・米国人の功績を賞賛することを目的に1984年に設立された賞で、2008年度は、米ハワイ州上院議員のダニエル・イノウエ氏と映画監督・俳優のクリント・イーストウッド氏に贈られ、授与式とスピーチが行われました。 ダニエル・イノウエ氏は、自らの立場から、日米間の様々な困難や懐かしい話を、クリント・イーストウッド氏は、画面いっぱいのビデオメッセ-ジで、映画『硫黄島からの手紙』の思い出話を交え、日本との関わりを語られました。 最後のエンターテイメントは、ヒップホップダンサーの蛯名健一によるパフォーマンス(共演:上野隆博)。アポロシアターTV版コンテストで7回連続優勝、史上唯一の2冠王というだけあって、その新しい日本を感じさせる迫力のパフォーマンスに、会場の政財界の人々は感嘆し、この選択をしたJSのセンスに、今後大きな期待が持たれました。 本晩餐会への寄付金1億円は、JSの主催する様々な文化・芸術プログラム活動に対する助成金として活用され、日米交流のさらなる発展に役立てるそうです。 JSは、70年代の能、歌舞伎紹介、黒沢映画ブーム、そして、この5、6年のアニメや日本食、日本酒の紹介と、日本文化へ多大なる貢献をしています。これからの、伝統を含めた日本の将来を、今後どう広めて行くか、日本も本気で考え協力すべき時期という感じがしました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第112回 ICFF(国際現代家具見本市)

世界4大家具ショーのひとつ、国際現代家具見本市(ICFF)が5月17日~20日、NYのJacob k. Javits Convention Centerで行われました。今回で20回目を迎えます。 17日~19日の10時~17時はトレード(業者)、20日の10時~16時は、一般客が入場することができます。 正味14,500平方メートルの会場が、25,000人以上のインテリアデザイナー、建築家、小売業者、デザイナー、メーカー、卸売業者や開発者でにぎわいます。 出展者は600人以上で、ジャンルは、現代の家具、椅子、カーペットと床、照明、屋外の家具、壁関係アクセサリー、織物と台所関係・・・と幅広く、住宅向きで商業的な内装のための商品など全てをカバーしています。 開催期間中、ニューヨーク市内では、ICFFに協賛しで盛り沢山のデザイン関係の催しが行われ“ニューヨーク・デザイン・ウィーク”と名付けられていますが、年々デザイン狂想曲のような大変なお祭りです。 下調べの段階でもICFFの公式ダイレクトリー図録があり、INTERNIのDesign Guide New York、METROPOLIS誌のDESIGN GUIDE NYC 08、他にもMeetPacking District Design 2008等々の小冊子に出ている展示インフォーメンションや、パーティーの開催場所、時間などを綿密に調べてプランしないと、昼間に見ることができる展示や、夜に様々な場所で行われる20以上ものパーティーは、とても見て回れません。噂を聞き出して、好評だったイベントを見つけるのもコツのようです。 毎年、同じように見える展示物の中から何か新しいものを発見しようと、皆、熱心に見て歩きます。今年は全体として、日本や北欧の良さが影響しているようなシンプルなデザイン、デリケートなデザインが目につきました。また、素材や環境問題を意識したデザインが圧倒的に多くなっています。 慣例の、ICFFが招聘したデザイン・スクールの作品は、新鮮で面白いものが多く、今年は CCA(California Collage of the Arts)、SCAD(Savannah College of Art and Design)、SVA( School of Visual Arts)、Yale Universityが出展、受賞者も出ていました。 ICFFの展示では、イタリー勢のISALONI World Wide、ICFF Studio、Materials Matter、Design Boomと大まかに別れている他に、今年はオーストリアのトレード委員会、英国ヨーロッパのデザイングループ(BEDG)、スペイン、ブリュッセル(ベルギー)、ファニチャーNY、IDSAニューヨーク(アメリカの工業デザイナー協会)、カナダの新しいデザイン、デンマークの王室の総領事から、そしてタイのトレードセンター等が各セクションに分かれて展示していました。 それ以外にも個々では、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ボツワナ、ブラジル、カナダ、中国、チェコ共和国、デンマーク、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、アイルランド、イスラエル、日本、韓国、リトアニア、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、トルコ、イギリスとアメリカ各国から出展しています。 今年もデザイン誌の編集者が審査員となって選ぶ“Editors Choice Awards”が開催されました。 ブースでは「School of Visual Arts (SVA)」、Design Schoolでは「Savannah College of Art and Design (SCAD)」がそれぞれ受賞しました。 (その他は以下ICFFのページを参照) http://www.icff.com/page/editorsawards.asp?AnID=edawards&Nid=80 IDSAは若手デザイナーのブース、デンマークの工芸のブース、テクノロジーを取り入れた商品や、環境を考えた子供やベビー用品も多く目につきました。 一番興味をそそられたのは、レクチャー用のスクリーンに使われていたパッキング用の素材を生かしたリサイクル・フェンス(写真69)や、Red Dot Award:デザインコンセプトの展示設営に使われていたペットボトルの展示台(写真70~71)です。 ICFFは、17日土曜日の朝まで公式に始まらないのですが、オフサイトでは早くも様々な行事が始まります。16日は、Metropolitan Home誌主催で、ミートパッキングのHotel Gansevoortの屋上で「Design Inspirations」というテーマでインテリア・デザイナー等によるパネル・ディスカッションがありました。(写真72)あいにくの雨でしたが、和やかにも真剣に質問をしたりと良い集まりでした。 その後は、Up TownのFelissimoで行われていたパーソンズ・スクールの、「Good

第111回 デザインとエラステック・マインド Design and the Elastic Mind

ニューヨーク近代美術館(MoMA)では2月24日から5月12日まで、デザインにおける過去6年の進化と、今後予想される次の6年に向けられたデザイン200点あまりの作品が展示され、話題になりました。 キューレーターPaola Antonelliのオーガナイズで、NYのデザイン業界、展示関係者等一同が集まり、オープニング・パーティーは、人で埋め尽くされ通路も見えないほどの混雑ぶりでした。 25年以上に渡り人々は、無線技術の進化やインターネット等による時間、空間などの劇的な変化を体験し、乗り切ってきました。Design and the Elastic Mind展は、その人間の限界や習慣、そして願望を細心に考慮した先端の科学研究と結合したデザインのオブジェクトとコンセプトを共にまとめることにより、現代においての科学とデザインの相互関係を探っています。この作品展は、デザインの最新の進歩の概観であり、そしてテクノロジー科学と社会的習慣の中で微妙で極めて重大な変化をキャッチするデザイナーの能力に重点をおいた作品展示です。 作品は世界中からのデザイナー、科学者、そしてエンジニアのチーム等により出展された原子単位から宇宙的なスケールのオブジェクト、プロトタイプやコンセプトなどの作品が展示されています。また、ウェブサイトではギャラリーで展示されていないプロジェクトを含む300以上の作品も紹介しています。 「あなたは、末期病状ですか? 蜂に聞いて下さい。」というSusana Soarsの作品(写真28)は、美しい球体の「診断ツール」。グラスの中に息を吹きかけ、蜂に判断してもらうというコンセプトで蜂は驚くべき匂いのセンスがあり、病気か排卵期であるか蜂が知らせてくれるという作品だったり、Chuck Hobermanの「変わり続ける壁」は、彫刻的な大きい動く壁で、彼の名付けた「適応建物の新世代」と言われる新作で、「皮膚」パネル部分の構造は、コンピュータによりコントロールされ、光と熱のレベルや雨などを感知して、そのスペースに対応し形を変えて行くというもの。 Rapidのマニファクチャー「3D-Printing」(写真29~32)は、VIDEOスクリーンで映し出されているのを見ると、夢の実現のような空間に太いチョークのようなもので描いたフリーハンドの形が、そのまま実在の3Dの形で、椅子や彫刻になっていくというもの。 Toma Gabzdil(Slovacデザイナー)の「蜂が作った花瓶」(写真34)は40,000匹の蜂が1週間かけて作った花瓶。あらかじめ作っておいた足場の周りに蜂が巣を作りはじめ、作り終えた後、足場を取り外した蜂の巣で作られた花瓶の作品。 一つ一つサイエンス・ミュージアムのデザイン展といった理解を超えるものも沢山ですが、未来の夢を感じさせる大規模な展覧会です。ニューヨーク・タイムズは1934年の近代美術館での「マシン・アート」展覧会と同じくらい革命的で、2004年のMOMA改装・再開以来の建築とデザインの最高のショーと讃え、我々にまた未来の夢を見させてくれたと絶賛しています。 http://www.moma.org/exhibitions/2008/elasticmind/ デンマーク生まれのアーティストOlafur Eliassonは、1995年のベニス・ビエンナーレでのデビュー以後、写真、彫刻、映像、光りのマルチ作家として、ヨーロッパ、PS1、MOMA、Paula Cooper、Guggenheimや日本でも発表している国際的に活躍するアーティストです。今回のMOMAとPS1の展覧会は彼の作品をすべて知る事のできる最初の総合的な展覧会で、4月20日から6月30日までMOMAとPS1で行われています。 MOMAの最初のフロアーでは、Marron Atriumの高い天井から吊るされた扇風機が頭に当たりそうで、人を追いかけるようにまわりながら振り子のように動いています。(写真40) 3階の会場では、Mono Bulbを使っていて歩く観客のカラーは黄色だけになり、黒の影だけ変化します。(写真41) 360度のドームの部屋は、柔らかく自然に変化するカラーを実際に自分で味わう事ができ、色の変化によって気分が変化するような気がしました。(写真44~46) レインボールームのようなプリズムで変化させていくカラーストライプの壁の展示は、素直にきれいと声を出す観客が多いのもうなづけます。(写真47~48) 光学的現象を最新のテクニックとカラーバルブ、ガラス、アルミニウム、ステンレス等を使って、シンプルで美しいアートにしてしまうのですが、科学っぽさを感じず誰にでも驚きを与え、自然の要素を採り入れたような淡い色の移り変わりで、心を癒してくれる美しい作品です。北欧で生まれ育った彼の生い立ちが反映しているのでしょう。 http://media.moma.org/subsites/2008/olafureliasson/ http://www.ps1.org ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第110回 慣例のDIFF基金 Dining by Design

DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)主催のビッグ・イベント「第11回 Dining by Design」が3月30日からSoHoにあるSkyLightのイベント・スペースで、3日間行われました。 ニューヨークを皮切りにカンサスシティー、ロス、ダラス、アトランタ、サンフランシスコ、シカゴ、ボストンを回り、年々大きなショーに拡がっています。 今回もインテリア・デザイナー、ファッション・デザイナー、建築家、デザイン関係のストアー等が、11×11フィートのスペースを使用してコーディネイト。総計38のテーブル・セッティングが競い合った売上金はDIFFAの基金となります。 有名なNY デザインセンター、Hewlett Packard、Crate & Barrel/CB2、NY Timesは3つのテーブルをバックアップし、Baccarat、建築のSkidmore、JC Penny他、委員長でもあるDavid Rockwell Groupは、展示中に作品の続きを編んでいるアーティストが作業しているテーブルセットを作り上げました。盛り沢山の新しいアイディア、毛糸の自然体と外側を囲んだファイバー・オプティックの細い光りのコントラストが印象的な力作でした(写真21~24)。 今年は初めての試みで資金を出資するスポンサーがつき、パーソンズ・ニュースクール・フォア・デザインがJamie Drake氏の指導で出展をし、NY大学はDavid Rockwell氏、スクール・オブ・ヴィジュアル・アートはMiles Redd氏、FITはDalzell プロダクション、プラット・インスティチュートはArpad Bakesa氏の指導のもと各デザイン学校の展示を行い、将来を担うデザイナ-の育成も目的としていました。 他にはフード界のトップらが出展し、Danielのブースではチョコレートをサーブ。話題のレストランBuddakan、Murray’s CheeseやFrench Culinary Institute、MarieBelle New York等も出展。初日から3日間11時から17時までのチケットが$45。「Table Hop & Taste」カクテルとテスティングを会場で味わいながらの一般公開を行い、31日はチケットが$150の「Cocktails by Design」と称したパーティーが19時から22時まで開かれました。 そして最終日の4月1日は18時半から23時までチケット代が$800の「Gala Dinner」が開かれ、関係者、寄付者、テーブルに関わって寄付した人々が、実際にそのテーブルに着席しディナーやダンスで盛り上がりました。 昨年度は$12Millionの基金が集まり、今年のツアーは昨年以上の基金が集まったようです。 この売上金はDIFFAの基金になり、ニューヨークのパーティー好き、テイストを理解したニューヨーカーの人気企画のひとつです。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第109回 蔡国強の大爆発 グッゲンハイム美術館

中国の爆発作家、Cai Guo-Qiang(ツアイ・グオ・チャン/蔡国強)の「I Want to Believe」展が、2月22日から5月28日の期間、グッゲンハイム美術館で開催されています。21日に行われたオープニング・パーティーは大盛況でした。 中国生まれのソロ・アーティスト展、しかも全館を使った展覧会というのは、グッゲンハイム美術館では初の試みになります。会場に入るとまず、フランク・ロイド・ライト設計の螺旋階段(ロタンダ)を活かして吊るした、爆発する9台の車のインスタレーションに度肝を抜かれます。 Cai氏は、1980年代に、中国の実験的なアート・ワールドのメンバーとして現れ、1986年から95年は日本に滞在。その間、火薬の特殊な使用を習得したり、三宅一生とのコラボレーションのプリーツを爆発させるプロジェクト等を手掛けて、日本から有名になったといっても良い位、知名度が高いアーティストです。 1995年以来ニューヨークに在住し、国際的なプロジェクトに取り組んでいて、今年開催される北京オリンピックの開会式のプロデューサーの一人でもあります。 展覧会では、彼の大掛かりな爆発プロジェクトが、各フロアーで、写真、ドローイングで見れ、また、Video上映等による記録で見ることができます。1ヶ月間続いたという大規模なインスタレーションは、車の他に、3000本の矢に刺された漁船や、正面からガラスの壁に飛び込んでいるように見える99頭のオオカミの等身大のレプリカなどがあります。 Gallery Annexでは川が実際につくられ、Yak Skinのボートに乗る体験が出来ます。 他に、生きたへびや鳥がいる展示、羊皮でできたブタの形の浮遊物、トヨタ車のエンジンの展示などがあります。 また、上階のAnnexでは、日本の地方イワキから寄付され、掘り出されたサンケン船と、粉々の白陶器を展示しています。 現代のアートムーブメントにも所属しない中国の精密彫刻家(中国から5人、NYの4人)が、中国史の中から描写した人体彫刻を実際に制作し、その過程を見ることができる展示が3月4日まで行われました。 Cei氏の作品はそれぞれに、テロ攻撃から古来の神話、軍事史、道教信奉者の宇宙、地球外の観測、毛沢東主義者の革命の戦術、仏教徒の哲学、火薬関連の技術、漢方薬、等をバックに思想を自由に引き出し、郷土史のグローバル化の弁証法として、 Cai氏のアートとして社会的なエネルギーのフォームにしているようです。 彼が訴える「見えてる見えない世界」「信じたいと思いたい」を、エネルギーいっぱい爆発させているようです。 展覧会は、大スポンサーのThe Robert H. N. HO Family Goundation(何鴻毅家族基金)という中国の文化系の援助をする基金がバックアップしているそうで、日本にはないスケールが育つ元の気がしました。 他にMuseum Shopでは、この為に幾つかの特別製品も制作。Cei氏の「開けると爆発するカード」の依頼から、Gallery 91の紙技デザイナー木原隆明氏(日本在住)が考案したドラゴン・カードとレインボー・ミラーカードの発売が開始されたのも、もうひとつの魅力です 第7回目となるアーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、3月6日~9日の4日間、ニューヨーク市のPier94(55ストリートと12アベニューに位置する)で行われました。主催はMerchandise Mart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。 http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0704/index.html 昨年と同様、11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展しました。 プレス用朝食を出してアピールしたカリフォルニア・クロゼット社は、日本の無印を思わせるシンプルな家具で、個々のスペースにあわせて作るシステムで、ウェストコースで評判を得ています。NYにもコンサルタント・デザイナーとオフィスを持ち、今後の客層の幅を拡げたいとの事。 初日のスペシャル・イベントとして、会場でオープニング・ナイト・パーティーが行われました。VIP等が招待され、チケット料金がPOのAlpha WorkshopsのHIV / AIDS団体に寄付されます。 今年は、黒川雅之氏のプロダクトが、55Contemporaryというブースで初出展しました。5番街のオフィスビルにショールームを持ち、そこで、11日にオープニング・パーティーが行われました。 普段はデザインに関係のないNYの日本政界の方々や、櫻井大使夫妻ほか、たくさんの方が集まり、黒川 / 加藤タキ御夫妻のパワーを発揮していました。 アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーでは、昨年に続きNYのNori Morimotoのブースが出展。今年は自然の木と明かりを主に、新しく挑戦しているガラスのタイル等を発表して人気を得ていました。 また、家具でコレクター・アイテムとなってきているWendell Castleのコーナーが、壁面を長く使って展覧会をかねた展示で迫力を出していました。 内田繁にデザインを依頼し、チェルシーにオープンした、一穂堂ギャラリー畳みの「青い穂庵」もあり、茶の湯を楽しめる日本を意識した空間に改装され、これから日本の工芸等を展示していくそうです。 そのオープニング・ショーとして「茶の湯 内田繁と7人の工芸作家展」が開催されました。 11日と12日はオープニング・パーティーが開かれ、茶の湯、工芸愛好家、デザイナーが集まりました。 NYの著名デザイナーのMassimo & Lella Vignelli夫妻、また、マンハッタンにお茶室、日本間を持ち、NHKにも取材されているPierre Semet氏 や Steve Globus氏も出席していました。ニューヨークの日本酒ブームから、ほんもの日本文化が、今後どのように浸透するのか、楽しみです。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第108回 冬期Accent on Design

恒例の冬期インターナショナル・ギフト・ショー、アクセント・オン・デザインが2月2日~6日まで、ジャビッツ・コンベンション・センターで開催されました。今年はいつもは日曜日からの開催が土曜日からとなり、終るのも水曜日と1日早く、皆とまどいがありました。また日曜日にNew Yorkで大きなイベントのスーパーボールがあったり、大雪でシカゴの飛行場からのフライトが全てキャンセル、また、ここのところのリセッションのニュースなども影響したのか、いつもの活気がなく、今迄になくどこもあまり良くないと皆こぼしていました。 アクセント・オン・デザインへのアプローチのエスカレーターの飾りは新しくなり、エントランス・ロビーには、昨年に続き、今一番注目される「Sustainability」の展示スペースが設けられ、主催者側が選んだ、77社からに及ぶ、環境にやさしい、これからの社会を考えたプロダクト、パーソナルケアー商品から家庭用品などが展示されています。一般の人達への教育を考えての展示とのことです。 エスカレーターをのぼって会場へ。アクセント・オン・デザインのブースの配置も今までと随分入れ替わり、若手を表にだしてきているように見えました。 まず入り口すぐにあるAlessiのブースが変わり、その横に今年から始まった「A+」というブースが設けられ、新人で製品化したプロダクトをもっているデザイナーを公募し、その中から選ばれた商品の発表が行われました。今回は3人の作品が紹介されていました。 今年のAccent on Design賞は、Savannah College of Art and DesignのWorking Class Studio(ジョージア州 / ブース 4141)が活気ある若々しい創作活動を認められて受賞。 Best New Product賞は、初出展の3Form(ユタ州 / ブース4146)による、3D Textile Parametre tm(新しく開発されたポリエスタル布地で洗え、間仕切り、シェードいろいろな用途に使える製品)が受賞しました。サイズを5m×4mの大きさにまで出来るそうです。 Best Collection賞のCreative Danes(カリフォルニア州 / ブース3979)も初出展で、毎日使う製品の素材、見せ方を工夫したグッドデザインが評価されました。 Overrall Excellence賞は、Mizzonk Workshop Limited(カナダ /ブース3853)が受賞。MizzonkのデザイナーであるRoger ChenとWan-Yi Linは、NYのPratt Instituteで陶芸・彫刻を学び、建築学部を卒業後、1998年にNYで会社を起こし、2002年カナダのMaple Ridgeに引っ越して活動中です。 今年のGallery 91のブースは黒を背景にDi-Classeの照明が生きており、切り抜きのバックのシーンや、新しく発表されたシキサイのTシャツが大変好評でした。 他のブースでは、今回別の場所で大きなブースになって出展したテーブルセンターやランチョンマットのChilewichと、フェルトのJoshjokusの新製品が注目を集めていました。 Accent on Design以外では、今まで最上階だったMuseum Sourceのセクションが下におりて奥の方にまとまっていたのが目に付きました。また、JETROのブースがJapanを表に出し、今回もタオルのケーキ屋さんが大変人気で混雑していました。 今回のトレードショーは、リセッションのせいなのか、時代がトレードショー離れし始めているのか、考えさせられるものでした。 Accent on Design以外では・・・ ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第107回 Art Basel Miami Beach と Design Miami

マイアミ・ビーチで12月5日から9日まで「アート・べーゼル・マイアミ」と「デザイン・マイアミ」が開催されました。浅い歴史にも関わらず、大変話題のこのフェアーを是非この目で見たい!と雪の降るニューヨークから、暖かいマイアミへと出かけました。スイス発のこのArt Baselをマイアミでも始めたのが6年前で、その後、デザイン部門が3年前に加わりました。スイスではヨーロッパのバイヤーがほとんどだそうですが、マイアミは世界中から、バカンスを兼ねて訪れるので、年々その規模が大きくなり、景気の低迷が嘆かれているにも関わらず、今年は、プライベート・ジェット機が何と、去年を上回る220機も乗り入れたとの事。マイアミ・コンベンション・センターで行われるメイン会場の他に、大小のフェアーだけでも22カ所もあって、シャトルで回ったり車で回っても、場所、駐車場を探すだけでも時間がかかりひと苦労です。至るところで、NYのSOHOを盛り上げていた頃の懐かしい友人達に出くわしましたが、現在は皆フロリダに隠居しており、それが、こういう動きを呼んでいるのではと思いました。 初日には「コレクター、バイヤーが先を競ってアートを購入」と翌日の新聞に出ており、その後毎日、9万ドルから45万ドルでどの作品が売れたなどと報道されていました。Bigger is Betterなのかこれでもかというサイズ、17フィートとか、26フィートのアートをNYからのバイヤーが買い付けたりもしているそうです。マンハッタンの中ではこのサイズはどうなのか、と余計な心配をしていたら、「ヨーロッパにある別荘に」とか、流行の「プライベート美術館により目立つものを」とそのコレクションのための買い付けだとか。 デザイン・マイアミは、デザイン・ディストリクトとして、MOOREビルディングを中心に開発中で、すでに有名店やギャラリーがいくつも出店しています。会期中は毎晩そこでパーティーなどが催され賑わっていました。MOOREビルディングの吹抜け部分に、第1回「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」のザハ・ハディドの受賞作品が展示されていて象徴的です。第2回目は、マーク・ニューソンが受賞、そして3回目の今年は、日本の吉岡徳仁が受賞するというので、話題を集めていました。 彼の展示はこのビルの4階で、入った瞬間、竜巻の水しぶきか煙りで霞んだような錯覚をおこす、特別に作ったストローで覆いつくされていました。アメリカでは未発表の作品が多く展示されていたので、来場者は質問したり、感心したりで、映像ピデオにも熱心に見入っていたようです。展示するに当たって、真っ白なカーペットが、沢山の来場者に汚れないかという心配も懸念されていたようですが、最後まで白いままで素敵でした。 MOOREビルディングの1ブロック下に坂茂の「 Space of Silence」 Artekパビリオンの展示があり、もう1ブロック下のロフトの中では、Morris Sato StudioのDuPontの「Light Showers」の展示がありました。その中の特設会場ではジョージ・ベルリアン・吉岡徳仁等のパネル等も行なわれました。 Art Miamiのメイン会場となるコンベンションセンターは、マイアミ・ビーチにあり、世界中からギャラリーが出展し、作品サイズとその価格でも話題の作品を見る事ができました。その周辺、ダウンタウンでは「Briage Art」「Flow」「Red Dot」「Ink Miami」など、それぞれ若い作家達の作品を紹介していました。 橋を渡るとこれから新しく海辺に移ろうとしている、Miami Art Museum (MAM)があり、アートを見せる為に建築を考えたというジャック・ヘルツ(Jack herzog)構想構想の模型や、紹介のVideoの上演をしていました。また、NYのMoMAから移動してMAMのキューレーターになったテレンス、建築家(Jack herzog、Terence reiley and doug aitken)等による講演会などがダウンタウンのコロニーシアターで催されましたが、話題のセレブ達も入れなかったほど超満員でした。 MAMからわりと近くに、リサイクルや既存する物だけで作るユニークなアートが展示される美術館、Cisneros Funtavals Art Foundatio (CIFO) が、その先にはNAD Art Fair Miamiがありました。またCASA Decor 07も倉庫を会場として利用し、見応えのある展示でした。少し離れてPULSEが見られ、ここの2階には、日本の若手アーティストが参加しているGEISAIが展示しており、その先にはMOCAがありました。ZAHAの展覧会は少しわかりにくい倉庫での展示でしたが、どうにか辿り着き、知人から聞いていたとおり、その素晴しい作品とスペースの規模の大きさに圧倒されました。これだけ動きまわっても、いろいろ見過ごしたり、出れないパネルや講演もあり、セレブのファッション、NYとはひと味ちがうパーティーの賑わいもあり、 盛り沢山のショーでした。 このアートマイアミが大変な人気を呼んでいるのには、ファイナンシャル関係で働くインベスターらが、Weekdayは仕事をしながら、週末にはマイアミに飛んで来て、若手アーティストの作品を投資目的に買うバイヤーになっている事実にもあるとのこと。しかしこのファイナンシャルの人達が、アートやアート・ソサイティーの状況に大変詳しいのにも関心させられました。日本の経済界の人達には、アートがここまで理解されてないのでは、と思ったものです。スケール、財力すべてに刺激されたショーでした。 マイアミがこれからの動きとして、アート発信地になるのでしょうか? ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第106回 アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF) 他

アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF) 第1回アジアン現代アートフェアー・ニューヨーク(ACAF)がニューヨークのピア92(52丁目/12番街)で11月9日から12日まで開催されました。 初めてのアジアの現代アートということで、業界で話題を呼び開かれ、注目を浴びましたた。ギャラリーと出版社合わせて出展者の数は94。その内訳は、アジアから出展のギャラリーが、韓国-25、日本-14、中国-8、インド-2、インドネシア-1、ベトナム-1。ヨーロッバが、ドイツ-2、イギリス-1、フランス-1、スイス-1。アメリカからは20で、そのうち19がニューヨークからのギャラリーとのことです。 過去5年、アジアのコンテンポラリー・アートにコレクターや業界の興味が高まっている中、今回のフェアーでも、売上げ概算12ミリオン(米ドル)という実績をあげたそうです。フェアーディレクターのThomas Arnold氏は、国際的に名が知られてきているアーティスト、Xu Bing(シュ・ビング)の他にも、今は無数の中の一人のように見えるアーティストも、高く評価、注目されている、と言います。 このフェアーの作品の価格が主に$15,000~$80,000というなか、$950で売買される手頃な価格の作品も見られ、人気を呼んでいたようです。会場の作品は、絵画、プリントで国際的に評価されているZhang Xiaogaug、草間弥生、Nam Jun Pike、Yue Miryun等も含まれ、テクニーク、素材、において様々なクリエイティブな作品が出展されていました。また、このフェアーのメイン・スポンサーは韓国の化粧品会社とのこと。 実際に観た感じから、初めてということもあり、多少勘違い的、的の外れた出展者も見受けられましたが、このところのアートシーンの傾向が、アニメブーム、オドロオドロしい作品にあるなか、真剣にアートに取組んでいるアジアのギャラリーがいくつもあり、久しぶりに素直なアートに出会えた感じがしました。 International Hotel / Motel & Resaurant Show(IHMRS) International Hotel / Motel & Resaurant Show(IHMRS)がJacob Jabits Centerで11月11日から13日まで行われました。通常ホスピタリティーショーとして知られる大規模な展示会です。 Luxury Product Collection (LPC)は3500~3900番のブースでアメニティや、テーブルウェア、豪華なトレンド・プロダクトを展示。また、テクノロジーと開発センタ-も設けられていて、ソフトウェアーの開発などもHospitality Upgradeマガジンの後援で行われていました。 私が興味をそそられたのは、学生達によるお菓子のコンペとディスプレーで、毎年開催され、139回を迎えるThe Society Culinary Philosophyの主催するAnnual Salon of Culinary Artのコンペティション。有名なマスターシェフからアマチュアまで、コンペティションに参加し、その中には、マスターシェフによる料理教室、デモンストレーション、ペーストリー・シェフ(菓子職人)などのブースもあり、その場で受賞が発表され、現金が与えられるアワードもあり、それぞれ真剣に取組んでいました。 ホテルのほうはあまり観る時間がなかったのですが、お菓子のコンペの展示はそれぞれとてもきれいで、甘い魅力的な作品が沢山展示されていました。 このお菓子の部門の出展者は主に、 Culinary Art Academy (スイス)DCT International Hotel Mgt & Culinary Arts School, Educational Institute of AH&LA, Florida State University, International CHRIE, Johnson & Wales University, Kendall Collage, Les