第83回 恒例の冬期Accent on Design

恒例の冬期Accent on Design 世界四大イベントのひとつ、NY恒例のインターナショナル・ギフトショー Accent on Designが1月29日~2月2日迄開催されました。ショーは75周年、150回目をむかえ、主催者側は、ギフトショー全体としては、来場者数 4万3千人、出展社数2千800社、Accent on Designを含めて10部門と、昨年からのEX・TRACTS部門がPenn Plaza Pavilionで催されました。 このショーの目印になってきたカリム・ラシッド デザインの丸いエスカレーター・トンネルを上がると、ダブルデッカー・ラウンジが見えます。下には今回の特別展示、ハウスウエアーの人気商品の展示がありました。 Accent on Designは、Tabletop & Housewaresに続いて、3,500列と3,600列の一部、そして3,700列から4,163列までの限られた区域だけで以前よりブース数は増えたようですが、未だに出展を希望している人達は2~3年の順番待ちとのことです。 → Accent on Design 2005年9月のリポート → Accent on Design 2005年2月のリポート → Accent on Design 2004年9月のリポート → Accent on Design 2004年2月のリポート → Accent on Design 2003年のリポート Alessi、Marimekko、NUMBEのブース 今年のショーは、何年もディーラー任せで出展していたAlessiが自ら大掛かりなブースで、また、これが初出展となるMarimekkoがお馴染みのプリント柄で華やいだブースを出展していました。他には、自然、癒しをテーマにブースづくりをしているNUMBEが目を引きました。 Gallery 91は、21年目にして今年初めて、手作りセットからお仕着せのセットブースをオーダーしました。ひと味変えたいと、カラーペイントの変わりにロゴを大きく入れて白グレーで統一してみました。 ショー全体としては、人出はいまひとつでオーダーも細かくなってきていて、皆どうした事なのだろう、と囁く声しきりでしたが、新しいバイヤーの注文も入っているので、時代の変化もあるのかも知れません。 アクセント・オン・デザイン賞、決定 今回もアクセント・オン・デザイン賞が選定され、ベスト・ブース賞には、ボストンのEastern Accentが選ばれました。大がかりに人手をかけてのセットアップが報われた様です。白で統一のミニマムなデザインで商品群ともマッチしていました。 ベスト・ニューコレクションはConduit Group(21世紀世代のニューアメリカン・デザイン)のブースが受賞、この創立者はハーバードとコロンビア大学の建築を卒業したMr.Ray Koh(写真24)で、新しいアメリカン・グッド・デザインの商品開発に取り組んでいます。 ベスト・ニュープロダクト賞には、ガラス作家のJohn Pompの作品が選ばれました。彼はアジアン・アメリカンでTemple university in philadelphiaを卒業後、イタリーのガラス巨匠に学んだそうで、その後、アメリカに戻って学校でも教えたり、Blooklynのガラス工房160を開き、作品はTiffanyをはじめ、有名ブティック、ショップに並ぶ売れっ子新進ガラス作家です。 JETRO、kyoohoo、UCJのブース 今回のショーには、久し振りに日本からのグループが来てお目にかかりました。今迄の売り込みや買い付けではなく、これからの日本の商品をどうしたら良いかリサーチとして、地に足をつけた考えの元、見学と調査でお見えになったグループでした。20年前にそれをしていてくれたら、と思いましたが、将来が楽しみになってきました。その一方で、JETRO(日本貿易振興機構)におんぶにだっこの形の6ブースが、2700列にお目見えしました。 昨年のピアーに比べると、場所は、皆が何年も待ってやっと入れるような位置づけのブースでした。UCJの方は大分大掛かりな発表展示会になっていましたが、アメリカの場合、あくまでもトレードショーと位置づけているので、“見せるだけのショー、やった事に意義がある”では、もったいない気がしました。 他では、kyoohooの展示もいまひとつ。もし、京都風という意味だとすると、京都が泣きそうです。アメリカでは、寿司、日本酒、芸者と日本ブームになっているといっても、なんでも良い訳ではなく、それだけに皆が価格や物を知り始めているので、きちんとしたものや、価格の通じるものを見せないと、中国製日本との差がわからない様な売り方では、意味がないと思いました。 やはりスポンサー側はお金を出すだけでなく、前記のようなリサーチをさせたり、産地の人達がもっと勉強したくなる刺激と、ハングリー精神を育む事の方に向けないと、昔からの日本製品の生き残りは難しいのではと感じました。 次回のAccent on Designは、2006年8月12日~17日に開催されます。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第75回 New York デザイン・ウィーク

New York デザイン・ウィーク 世界4大家具ショーのひとつ、ICFF(国際現代家具見本市)が、慣例のジャビッツ・センターにて5月14日~17日まで行われました。ニューヨーク市内では協賛して盛り沢山のデザイン関係の催しが行われ、NY市長Bloomberg氏がこの期間を“ニューヨーク・デザイン・ウィーク”と名付ける程に大きくなってきました。 イタリアのミラノサローネも今年初の参加で、イタリア勢をピアー91と92にまとめ“isaloni”と名付けて展示しました。その分ICFFの会場からイタリー勢が減ったように見えました。インテリア・デザイン誌協賛のisaloniが、交通機関などの関連がうまくとれていなかったので、皆会場を探すのに苦労したようです。 Isaloni made in Italy の展示風景 (写真15~24) Samp ICFFでは、マテリアルを主張して見せているところが興味をひいていたのと、デザイン学校のブースがやはり新鮮でおもしろかったです。また、出版物のスペースが大きくとられていたのが、目につきました。 今年初めて展示された、その場で買えるデザイン土産マート : DESIGNBOOMの会場がフレッシュで人気を集めていました。 http://www.designboom.com http://www.designboom.com/mart.html インターネット時代のデザイナーに人気のサイトが出展、ICFFと協力して、選んだ32Boothでほとんどが手作り作品で、$10-$100までの在庫を100個までと制限した商品群で、デザイン・スーベニールとして買ってもらい、この売上金を世界中のあちこちからDesignboom ICFF Mart 05に参加した費用に代えるというものでした。 第3回 デザインダウンタウン 開催 デザインイベントの中でも注目度の高いもののひとつで、今年で第3回目を迎える「デザインダウンタウン」が、アート・トレンドの発信地、チェルシーにあるガレージを改装したフォトスタジオ Drive-in Studioを舞台に、世界中から集まる若手デザイナーのインテリア・トレンドを発表しました。 その中でも、2階に突然現れたようなTOYOTA / Caltyのコンセプト・カーSciont2B車の「走るラウンジ空間」の新しい展示には、度肝を抜かれ、皆驚喜していました。 世界に一つしかないコンセプト・カー Sciont2B この展示は、非営利財団IDNF(国際デザイン交流財団)のプロデュースで企画されましたが、世界に一つしかないコンセプト・カーSciont2Bは、Subtlet / Honesty / Ironyのテーマで、トヨタの米国デザインスタジオ・カルティ・デザイン・リサーチ・インク(本社カリフォルニア州ニューポートビーチ、蛭田社長)がデザインした新作コンセプト・カーです。昨年リサーチ段階でNYのデザインスタジオが関わり、3月の自動車ショーではすでに発表されましたが、デザイン・ウィークに集まる異なった層の人々の関心をよんでいました。 インパクトがあるのは車の形だけではありません。ドアーパネルにジッパーのついたポケット、座席はデザインされた2層の椅子張り地、内部の天井には動く光の色の変化を楽しめるデコレーション・ストライプや後のガラス窓がVideoスクリーンとしてファンクションし、外でピクニックをしながらVIDEOを楽しめるといったアイディアが盛りこまれています。車の後の壁にはコンピューターから映し出される著名人のQuartが、白いボードの説明とはまた違った、新鮮な興味をひいていました。 Sample Content 毎晩遅くまで、凝ったパーティーを開催 デザイン・ウィーク中は、あちこちのショールーム、ギャラリー、イベント会場で凝ったパーティーが毎晩10~20も開かれるため、これを選んでハシゴするには相当なエネルギーが必要とされます。 14日の晩は、5千人が出席したと言われる2つの大きなパーティーがありました。 ひとつは、マンハッタンにはまだない、赤い輪がマークのターゲット社がSOHO空き地に大きなテントでパーティー会場をつくり、凝ったケータリングとお土産も沢山あり。もうひとつは、ACE Galleryの広いスペースでDwellマガジンとDune社の、新しい家具の発表のユニークな見せ方が話題になっていました。New York デザインウィーク、ますますオフ・サイトの方が、大きく発展していくように感じました。

第72回 Dining by Design

第8回 Dining by Design Elle Decore誌、DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)主催のビッグ・イベント「第8回 Dining by Design」が、2月6日~7日、NYのマンハッタン・センター(元劇場をイベント会場としてパーティー等に使われるところ)で行われました。有名なインテリア・デザイナー、ファッション・デザイナーや建築家、デザイン関係のストアー等が、総計54のテーブル・セッティングを競い、その売上金はDIFFAの基金となります。 2月6日は一般公開で、テーブル・セッティングを見て周ることができます。上の会場ではホーム・エンターテイメントのショップや企業、デザイナー等がいろいろな商品を展示販売し、一日だけの破格セールも行われました。 幅広いデザイン層が集うパーティー 2月7日の夜は、基金集めのチケットによる、カクテル・パーティーとディナーパーティーが行われました。入り口にはレッド・カーペットがしかれ、デザイン界のアカデミー・パーティーのような雰囲気でした。参加者はそれぞれ着飾り、カクテルやディナーを楽しみにぞくぞくと集まってきました。中に入ると、カメラマンが待ち構えているレッドロープのPRESSコ-ナーも用意され、知る人ぞ知る有名人やTVで見るお馴染みさんなど、インテリア界のスター達がフラッシュを浴びていました。 主催がElle Decoreである関係から、インテリア・デザイン関係者が多いと思っていたのですが、審査員の関係で、MOMAのキューレーターや家具デザイナー等、幅広いデザイン層のブラック・タイパーティーでした。 テーブル・セッティングはオークションで完売 パーティーは、大手のケイタリング会社を使っていて、その人手だけでも100人位というのですから、大掛かりな催しでした。カクテル・パーティーの後のディナーパーティーは、チケットの値段で段差があります。つい先ほどまで鑑賞していたテーブルセッティングにフルコースの食事が用意され、パーティーの後半ではテーブル・セッティング全てがオークションに出品され、完売しました。 カラフルで盛り沢山の演出に疑問も テーブル・セッティングのデザインには、ラルフ・ローレン、カルバン・クレイン、Kate Spade、建築のSkidmore、David Rockwell等のスターから、Crate & Battrl、ターゲット、コンテナー・ストアーなど一般にも知られている店が参加していました。また、業界で有名なインテリア・デザイナーなどが、これでもか、これでもか、といろいろなアイディアで、小さな空間をデザインしていました。 「これがアメリカン・テイストか」と、うなずく感じの、カラフルで盛り沢山の演出やToo muchの装飾に、こんな空間で休まるのか、と疑問を感じたテーブルも多々ありました。売るための効果や、テーブルウエアーや小道具の提供者との関係もあるのでしょうが、日本のすっきりのインテリア空間が一つでも入っていたら、大変うけたのでは、と思ってしまいました。住む空間によって、感覚がかなり違ってくるのだという事を改めて感じたショーでした。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第71回 慣例の冬期アクセント・オン・デザインとイベント

慣例の冬期Accent on Design NY恒例のイベント、インターナショナル・ギフトショーAccent on Designが1月30日~2月3日まで開催されました。会期の前に降った大雪と、あまりかんばしくない天気予報で出足を心配しましたが、会期中はとても良い天気が続き一安心でした。しかし、初日の混雑に比べ翌日からあまり活気がなく、全体的に、ビジネスとしては昨年夏より低調だ、という声が多く聞かれました。 2日目からの減客は、他のショーと日時が重なり多くの人が移動したことや、他のショーに出展する為に、Accent on Designの最終日前に展示をたたんで移動するブースが出るなど、珍しい状況が原因になったようです。 → Accent on Design 2004年9月のリポート → Accent on Design 2004年2月のリポート → Accent on Design 2003年のリポート Sample Content アクセント・オン・デザイン賞などが決定 出展したブースの中から、今回もアクセント・オン・デザイン賞が選ばれました。 ベスト・プロダクト賞には、カリフォルニアはEVA SOLO社の新しいスタイルのバーベキュー・セットと、Pratt Institute大出身の若手2人のデザイナー、MIOが開発した再生紙のウォールデコレーション紙タイルが選ばれました。 ベスト・コレクションには、昔ながらのプリントテクニックで新しい表現をしたという、John Derianのコレクションのブースが選ばれました。現在、NYでは昔のイメージを「今」のものと捉えることがファッションになっているようです。Constantin Boymも、Cooper-Hewiit National Design Museumのショップの為に、昔のコレクションから限定版NEWプレート作って発表会をしたりしています。 全体に明るく、リフレッシュした会場 今回はBest Boothの受賞者が出ませんでした。選定員のDavid Tisdaleに話を聞くと、「昔と比べると、全体的に皆がブースに力を注ぐようになり良くなったので甲乙つけ難く、全体に良い、という事にした」ということでした。 たしかに最初は、Karim Rashidのデザインで戸惑っていたのが、全体に明るくなり、今回も前回のカーペットの模様が気になるという声に、全体がピンク色にリフレッシュしたりと、思いきった変化が受け入れられているようです。 Gallery 91は今回が38回目の出展で、ブースをカラフルにしてみました。隣りのブースのACMEに、坂茂氏がデザインした、建築家が好きそうなペンの新作を見つけました。欲しいと思ったのですが、制作中のため、手に入るのは2ヶ月後との事でした。 Pier、JETRO、FUMIKIのブースなど インテリアやテーブルまわりの家庭商品が多く出展されている、Pierの方も少し覗いてみました。JETROが「京都」と題して、NYでは見かけなくなった日本のおみやげやさん風のブースを出展しており、ニューヨーカーの方が、本当の「和の今」を知っているのでは、と思いました。サンフランシスコのタンスを扱ってるお店FUMIKIが、岐阜の和紙をすっきりと生かしたランプ等をあしらって、アメリカでのビジネスとして通用するブースを出していました。 Pier94は、川沿いのとても寒いところにあり、ハドソン川は写真のように氷つきます。時々、歩いてニュージャージーまで行けそうなくらい凍りつきます。 KarimShopでNAMBE/KARIMサイン会 Accent on Designの関連イベントとして、ショーのセットアップで忙しい28日、KarimShopにてNAMBE/KARIMサイン会というイベントが行われました。同じ日に、時間が少し早くConstantin BoymもCooper-Hewiit National Design Museumのショップの為に昔のコレクションから限定版NEWプレート発表パーティーがありました。 私は時間が間に合わず、Karimのイベントの方だけを覗きましたが、Constantinが自分のパーティーの後に流れて来ていたので、Karimとおしゃべりをしていました。Karimは、歯医者が使う道具のようなもので、作品を買ったお客様のガラスやメタルに、器用に自分のサインを彫っていました。 今回のショーでは、久しぶりに日本のツアー客を多く見かけました。だんだん以前のオリジナル作家達のブースが少なくなり、ショーがビジネスだけになってきているようで、おもしろみがなくなっているように思います。しかし、オリジナルはすぐにコピーされ、大型化せざるを得ない状況でもあります。これからの日本の商品つくり、運送価格を真剣に考えるべきと思いました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影  

第65回 2月に続き20周年を祝うAccent on Design

20周年を迎えたAccent on Design 慣例のAccent on Designが、8月15日~19日の期間、ジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで開催されました。 今年は20周年ということで、NYのBloomberg市長がこの期間を「Accent on Design week」と名付けて祝うなど、2月に続いて大きな行事がいろいろと行われました。 16日にはAccent賞の発表・授賞式と、同じく20周年を迎えるDIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)の基金集めを目的に [20/20] とうたった、大がかりなパーティーがチェルシー・ミュージアムで行われました。 業界の出展社多数が参加している豪華な商品が当選するくじ引きもあり、この売り上げもDIFFAの基金集めになるため、18日に発表されるまで毎日勧誘していました。 Accent on Design Award 開催 今回のショーは、初日が台風接近による雨という天気予報で出足が気になりましたが、どうにかもちこたえ、人出は多かったように思います。前回の会場から模様替えをしたため、「すっきり広くなり、ゆったりした気分で見て周ることができる」と、来場者からは好評の声が聞かれました。 2月に引き続き、癒し系の商品が人気のようですが、色彩は落ち着いたトーンと極端にカラフルなカラーのブースのどちらかに分かれています。 Accent on Design Award決定前に目に付いたブースのいくつかを撮影しましたが、Accentの中で、イギリスのセクションとイタリーセクションがまとめて新しい商品群を出していました。イギリスは、フェルトをまったく新しい使い方でクッションなどにしているのが素晴らしかったのと、紙のノートブックをグラフィックで新しい形でまとめた、Darrell & Julia Gibbsデザインの「SUKIE」は新鮮でした。 入り口すぐにあるVITRAが人口草のようなものをカーテンにしていましたが、これは「Algues」というデザイナーErwanとRonan Bouroullecの商品だそうで、人気のようでした。 3社がベスト・ニュープロダクト賞に決定 ショーの終了時間6時以降にジャビッツ・センター前からバスが出るので、それに乗ってチェルシー21丁目にあるチェルシー・ミュージアムに向かいました。ミュージアム会場は昔からのパーティー用銀テープで全館が覆われていました。Accentの出展者や業界関係者が300人ほど集まり、飲んだり食べたりお寿司も出るなどパーティーは大変盛り上がり、受賞式のスピーチを開始するのに苦労するくらいでした。 受賞式はアラン・スティール代表のスピーチに始まり、2月の受賞者が次々とKarimデザインの新しいトロフィーを受け取り、その後、今回の受賞者発表と続きました。 今回は3社がベスト・ニュープロダクト賞に決定しました。 一つは、私も選んだイギリスのフェルト「Anne Kyyro Quinn」、二つ目はZoloの「Kushies」。やわらかでカラフルなBaby Toy(新作著作権の問題でいっさい写真を撮らせないとの事)です。三つ目は新出品者の「Walter」。Fold Bedding と言う名の木を好きな色に塗り、置き換えて飾れる斬新なアイディアの壁の装飾用品です。他には、継続して良い展示とコレクションを出品していることが評価され受賞したのは「LAFCO」でした。 Best Booth賞には2社が選ばれました。一つは「Built New York」。金沢のKIDIで教えていたArron Lownの会社です。ヒット商品を沢山出していますが、洒落たクールなモダンディスプレイが評価されました。もう一つは「Variegated」。寝室の雰囲気をブースにそのまま再現し、パジャマ姿でセールスをするという徹底ぶりでした。 ショーの後半は人出が少なく、皆大変心配していましたが、新しい客層で、入れ替わりつつあるのを感じました。次のギフトショーは2005年1月30日~2月3日に行われます。 ∵ Accent on Design Award 受賞社 ∵ ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第61回 国際現代家具見本市(ICFF)

第61回:  ICFF Off-Site イベント ― SoHo (2004/6/2) ICFF 全景 国際現代家具見本市(ICFF) 今年の国際現代家具見本市(ICFF)では、イタリー館が凝ったつくりとレストラン並みの試食をさせるキッチン用品のブースなど華やかに出展していたこと、スペインの長いブースがすっきりして目新しく見えたこと、イギリスのブースに活気がみえたことが特徴的でした。写真レポートです。 ICFF イタリアブース IQ light Pratt Institute 3form (material) Designer: Richard Schultz vitra Knollのテキスタイル Liora Manne AARONSON NOON LTD. (UK) 北館への通路 Raw Next Generationのブース ICFF イタリアブース Parsons School of Design Pratt Institute 3form(material) OFFI (Karim Rashid’s chair) Dakota Jacksonの家具 Liora Manne Modiss Illumination(スペイン) John Angelo Benson (UK) 椅子に座る Bruce Hanna Raw Next Generationのブース ICFF イタリアブース Parsons School of Design umbra

第44回 VitraがNY に本格的ショールームをオープン

第44回: VitraがNY に本格的ショールームをオープン (2003/1/15)   チェルシーの元肉問屋だった14丁目の変化を物語る店が、Vitraの近所にいくつもオープンしました。 上写真は、14丁目に出店した最初のファッション系ブティック NYの今話題のチェルシー地区にVitraがオープン NYで今話題のチェルシー地区。その9番街29番地に昨年の11月、Vitraがオープンしました。 建築、インテリア、展覧会場、ストアーそしてグラフィック等といったデザインを通して‘全ての人達に刺激や喜びを与える場を提供する’というふれ込みです。スイスに本部を持つVitraが、グローバル企業として、重要なマーケットとリソースの場であるアメリカにますます力を入れ始めました。 Vitraの名前は、1950年代に創立されたガラス製造業者(Glass Vitrines)が由来です。現会長のWilli Fehlbaumの父親であるRolf Fehlbaumが、ヨーロッパでイームズの椅子と出会い、ヨーロッパで製造をするための交渉の翻訳に、16歳だった息子のWilliをアメリカのハーマン・ミラーへ行かせたのが50年代中頃です。 Vitraの創立と成功には、アメリカの偉大なデザイナー、チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)とジョージ・ネルソン(George Nelson)が大きな役割を担っているのです。 Vitraは1990年からフィラデルフィアのアレンタウンで家具を製造していましたが、アメリカに3つの店とショールームをオープンしたのは、この2年のことです。 2000年にはサンフランシスコ。2002年にロスアンジェルス。そしてNY、このチェルシーの一角にショールームのオープンです。 このあたりウエストサイド14丁目は、2、3年前までミートマーケットだったところで、朝は市場として賑わっていました。ミートの臭い残る地域にアーティスト達が住み始め、ギャラリーが移り、そして最近は高級ブティックの出店…、と考えられないような変化をしています。 外観 1F Retail ショップ 2F ショールーム 地下 展示会場 最近出来たブティックStella McCartney Alexander McQueenも最近オープン   Vitra Opening Party の様子 コンスタンティン・ボイム(左)とカリム・ラシッド(右) …       1Fのショップスペース アメリカで最大規模 3階建て、12,100平方フィート(約1124平米)のこのショールームは、Vitraアメリカで最も大規模なショールームとして、オフィス・住居の為の家具や椅子、ミニ・チェアーそして本やアクセサリー等を展示しています。1階はショップ、地下は展示会場、2階はオフィス・スペース兼ショールームになっています。 建物はRoy Design StudioのLindy Royが設計を担当しています。彼女は2001年夏のMoMA Young Architects Competitionで25人の中から選ばれて、様々な出版物でとりあげられ、最近もCooper Hewitt National Design Museumの「New Hotel for Global Nomads」に出展し、NYタイムズ等に取り上げられている若手建築家のリーダーです。 … … … … … 地下へ降りる 地下の展示会場 地下の展示会場

第43回 Xmasを迎える準備に忙しいNYと変わり行くSoHoマップ続編

第43回: Xmasを迎える準備に忙しいNYと変わり行くSoHoマップ続編 (2002/12/11)     ロックフェラーセンター・ツリー点灯式 撮影:林幸恵 ロックフェラーセンター・ツリー点灯式 撮影:林幸恵   Xmasを迎える準備に忙しいNY 例年より早いXmas飾りのような気がするのですが、年間の売り上げを決める一番大事な時で、活気を出そうと早くから飾り付けが始まっています。普通はThanksgiving(感謝祭)の後からがいっせいにXmasですが、今年はそのかなり前から飾り付けが始まっています。人出は多いのですが、皆買うのを絞っているのか、まだビジネス的には思わしくなく、店の人は皆心配しています。 アメリカだけの大イベントThanksgivingは、毎年11月最後の木曜日で、今年は11月28日でした。最初のアメリカ開拓移民が、ターキー、ハム、ポテト、コーン、Yam(Sweet Potato)等の収穫を祝ったしきたりから、家族そろってこれらの食材で食卓を飾ります。ちょうど、日本のお盆のような感じで皆里帰りをします。私の所でも年に一回の大ごちそうを作って、親元に帰れなかったスタッフや友人を招待しました。 NYでは、朝9時からメーシーズのThanksgivingパレードを、毎年1番寒い日に見に行ったり、TVの中継を見ながら料理作りをしたり(これは、日本の大晦日のような光景でしょうか?)。そして、パレードの最後にサンタクロースが出てきて「これからあと何日でXmas」と数え始めると、街は一斉にXmas商戦に入ります。Xmasと言っていますが、アメリカでは“Merry Xmas”はキリスト教徒が使い、ユダヤ教徒は“ハッピーハヌカ*”と、それぞれ宗教によって違うので、日本の様に誰も彼も“Merry Xmas”のカードは送りません。皆に通用する“Happy Holiday”や“Peace”等を使っています。 いつもイベントを行うArmory(兵器庫)のスペースで、12月中頃に年末クラフトバザーが企画されていましたが、テロの予告と警備の準備に使用するためと、キャンセルになって、クラフト作家達が打撃を受けてなげいています。 *ユダヤ教の祭日。ヘブライ暦に従っておよそ11月から12月に毎年行われ、8日間かけて祝われる。Happy ハヌカ >>>>   チェルシーマーケットの八百屋さん。この間までのハローインパンプキンがターキーとXmasに向けての飾りに Cut Turkey ターキーカット 撮影:林幸恵 Crate & Barrelのオープニング オープニングのチケットは1人$50で、DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS)に寄付されます。数日前から売り切れで締切られるほどでしたが、当日はビルのまわりをぐるりとまわる入場者で賑わっていました。 Pikachu-Thanksgiving パレードの今年新登場ピカチュー 撮影:林幸恵 Crate & Barrelのオープニング その他の料理 撮影:Tomi Nevin     6番街のビル群もみなXmasの飾り ロックフェラー・センター前の飾り Xmasを迎える準備に忙しいNY SoHoのウィンドーもクリスマス・デコレーションが増えてきていますが、移り変わりの速さも目をみはるものがあります。最近まで、Grand Street とGreen Street にあったウエディング・ドレス専門店があっという間に家具店に変わり、一度店を出したカルティエやイブ・サンローランがほんの短い間で閉じたり、シャネルも近いうちSoHoの店を閉じるそうです。 それでもイタリア勢の家具、インテリアの店、有名ブランド・ブティック、そして、最近多いのにびっくりするのは靴屋とアイグラス・ストアー、そしてメイキャップ・ストアーもSoHoを変えてきています。 SoHoにはいくつかの有名ブランドのメイキャップ・ストアーがあります。大きなスペースだから作れるサウナ、スティーム・バスなどのある高級スパ。まだ倉庫街の様子を残すロフトへ、リムジンで乗り付けるセレブリティー達がスパの利用者のようです。   5番街Cartieのビルごと贈り物? 6番街53丁目バーリントンミル社前の飾り Radio City ケーキ屋さんのウィンドウもクリスマス一色 Sacks 5th Ave. Sacks 5th Ave. 動く人形のウィンドー チェルシーマーケットの中のアーチの飾り Sacks 5th Ave.

第35回 IKEAの新しいPSコレクションの発表パーティー

第35回: IKEAの新しいPSコレクションの発表パーティー(2002/4/10)     会場入口のパネル 会場入口のパネル, IKEA 50年代、60年代の家具, 雑貨 3月20日SohoのPuck ビルディングでIKEAの新しいコレクションの発表パーティーが行われました。 IKEAは1943年に設立、名前の由来は創立者がイングバー・カンプラッド(Ingvar Kamprad)の頭文字と彼の育った南スエーデンの土地の名前エルムタリド・アグナリド教区(Elmtaryd in the parish of Agunnaryd)からとったそうで、現在32カ国に164店舗をもっています。そのうちカナダを含め北米には23店舗があります。NYには店舗がはく、ニュージャージーかロングアイランドの店に行くバスが、マンタンから出ています。毎年9月頃新しいカタログを出版するそうですが、私も何気なく毎年もらっているカタログ、なんと11憶冊つくり、24カ国語に訳されたものを32カ国におくり届けているそうです。カタログの中には異なった8万のアイテムが収められています。 アメリカにおいて広い購買層を持ち定着しているIKEAは、ちょうど今の、日本のユニクロの家具版といった感じで、安くて、便利、専門店をまわらなくても全て揃うので、安価なインテリアに子供部屋に、買い揃えるという用途でられています。 今回のIKEA・PSコレクションの発表パーティーはニューヨークではじめてのもので、約1100平米(1万2千平方フィート)の広いスペースの半分を展示会場に半分をカクテル・ラウンジのパーティー会場にレイアウトして行われ、NYのデザイナー、業界の方々で賑わいました。 このPSコレクションは手紙の追伸に使うPost Scriptumの意味で、最初は1955年にミラノで、1999年にはストックフォルム、そして2002年ニューヨークでの発表となりました。     今回は「アウトドアー用を室内に・インドアー用を屋外に(Outside in and the inside out)」をテーマして、PSコレクションの為に選ばれた17人のデザイナーが取り組みました。プラスティックからコンクリート、石、Rattan, 金属、バナナリーブス迄を含む、様々な材料を使って、外にも、内にも機能的でユニークなインテリア・グッズのデザインが30種以上発表されました。真っ赤なアウトサイド用にもなる時計をデザインしたHlynur Vagn Atlasonは、パーソンズ・デザインスクールを卒業したばかりの新人からスウェーデンの著名なデザイナーThomas Sandellを含み、IKEAインハウス・デザイナーのMaria Vinkaが出席してたので、彼女のロッキング・チェアーに関して質問してみると、ベトナムに何度か行ってバナナの茎をひもにして織り上げてもらった材料で、この椅子をつくりあげた喜びを得意気に説明してくれました。IKEAのインハウス・デザイナーは常に新しく機能的で、良いデザインを、プロダクトデベロッパーと協力して、消費者が喜ぶもの、価格に仕上げていくのが、タレントと解釈していて、それを楽しみながら行っているように受け取れました。   展示会場風景 展示会場風景 照明具ランタン : Design by Christina Halskov & Hanne Dalsgaard Pedestal Clock 屋外展示時計: Design by Hlynur Vagn Atlason(NY Parson’s 卒) Strage Bag収納バッグ : Design by Nicolas Cortolezzies チェアーとFoot Stool足用スツール : Design by Thomas Sandell

第34回 ジャパン・ソサエティとアジア・ソサエティ・ミュージアムで同時開催の “The New Way of Tea”展

第34回: ジャパン・ソサエティとアジア・ソサエティー・ミュージアムで同時開催の“The New Way of Tea”展 (2002/3/13)    改装されたアジア・ソサエティ “The New Way of Tea”展がジャパン・ソサエティーとアジア・ソサエティー・ミュージ アムで3月6日から5月19日まで同時開催されています。2つのアジア系ミュージア ムが第1部会場、第2部会場という形で行うのは今までになかった大きな催しで、2日 に及ぶオープニング・パーティーでは、2会場を結ぶシャトルバスが運行されました。 今回の“The New Way of Tea”展でジャパン・ソサエティー・ギャラリーでは伝統的な建 築様式を含む3つの茶室を設置し、選ばれた茶器そして襖絵を展示しています。ここで は黒川雅之の立礼形式を取り入れた椅子に座る和紙の茶室、喜多俊之の輪島塗りの立方 体で囲まれた茶室、そして伝統的な裏千家の今日庵の複製が置かれています。 展覧会の総合インスタレーションは北河原温のデザインで、入口のギャラリー・スペ ースを、茶室までの誘導の空間、細道というイメージで設置したそうで、暗い空間に異 なるサイズの光の窓があり、その中に浮かび上がる名茶器達を眺めながら誘導されて茶 室に向かうという構成です。茶器はこの展覧会の企画をした茶道・裏千家15代家元千 宋室次男の伊住政和氏(財団法人国際茶道文化協会理事長)と林屋晴三氏が選出した茶器な ど60点です。細道が開かれたところに喜多俊之の茶室が設置され、壁面は千住博の林 をイメージした大きな襖絵が展示され、ここにもいくつかの茶器が展示され、今日庵 の復元は近寄って中まで見られるようになっています。 12世紀後半に禅僧栄西が中国か らもたらし、16世紀後半に千利休が形と精神を一体化し、大成させて茶道。この茶の 湯の精神的な美学と環境、茶道具等を通して探る目的と、現代文化の融合を図る試みと して企画されたそうです。   ♦ ジャパン・ソサエティー(日本協会) 1907年に創立された非営利民間団体。ニューヨーク州法に基づく公益法人で、日米間の相互理解と友好関係を促進する為、政治、経済、社会、文化、教育などのプログラムを通して自由な日米交流の推進を目的としています。 ジャパン・ソサエティー・ギャラリーは1971年に設立し、主要美術館との共催で日本の伝統美術や現代美術の展覧会を開催しています。 www.japansociety.org ♦ アジア・ソサエティー・ミュージアム アジア・ソサエティーはアジアの理解とアメリカ人とアジアの人々とのコミュニケーシ ョンを促進することを目的にした非営利教育団体で、展覧会、パフォーマンス、メディ ア・プログラム、国際会議、講演会など多岐にわたるプログラムを提供しています。ニ ューヨーク市に本部を置き、ワシントン、ヒューストン、ロスアンジェルス、香港、メ ルボルンに地域センターを、サンフランシスコ、マニラ、上海に代表オフィスを置いています。 NYの建物は最近改装を終えたばかりで、ギャラリーとパブリック・スペース、カフェテ リアを拡張したところです。 www.asiasociety.org   アジア・ソサエティー・カフェテリア ロビーの空間 ロビー奥、カフェテリア前に設置されてるコンピューターで作動出来るインフォーメーションデスク ロビー奥、カフェテリア前に設置されてるコンピューターで作動出来るインフォーメーションデスク 入り口左手にあるアジア・ソサエティー・ミュージアム・ショップの開閉する壁 アジア・ソサエティー・ミュージアムの”The New Way of Tea”展2階会場 Gallery A   9丁目とマデソン街にオープンしたお茶の伊藤園 今回の展覧会のスポンサーにもなったお茶の伊藤園が、アジア・ソサエティーと裏千家NY茶の湯センターの近くに新しくオープンしたお茶の店と懐石風レストラン ”Kai 会”