ホームデザインショー
今回で第6回目となる、アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、2007年3月8日~11日の4日間、55ストリートと12アベニューに位置するニューヨーク市のPier94で行われました。主催はMart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展発表し、見識の高い住宅のデザインを見ることができました。最新情報を得ようとする来場者の為に、セミナーを開催したり、無料で予約制のインテリア・コンサルタントに相談できる場があるなど、教育的プログラムも組み入れています。
このショーの出展者は、Home Designのカテゴリーでは、家具、骨董、テーブル・アクセサリー、キッチン、バス・プロダクト(風呂)、床、壁材、照明、その他の素材で、2007年の出展者の中にはRoche Bobois、Clive Christian、William Haines、Eva Zeisel等が含まれています。
「これらは、あなたのおばあさんの時代の鉤針で編まれた膝掛け編み物ではありません」と、この展覧会を企画した、チーフ・キューレーター・デイビッド・マクファデンは言います。「伝統的な、編むこと、レースという観念は、この展覧会で再認識されるでしょう。各々の作品はタイムリーな社会的な問題や個人のメッセージを含んでいて、一般の視聴者が参加し、繊維について、具体的で、且つ精神的に訴え、美的なレベルで、再考する機会、そして経験出来る事を奨励します。」
この展覧会はアート&デザイン・ミュージアム(MAD)の50周年イベントの一つとして、ファイバーアート部門で企画されました。
「基本的なレースと破壊的な編み物」のために選ばれた作品は、単に編むとかレースなどのステレオタイプの作品は受け入れず、27人のアーティストは、国籍的で、男女、年齢もまちまちです。彼等に求めたのは、伝統的な方法(例えば編み針と鉤針)に、ニューテクノロジーやマテリアル、例えば、ゴム、鉛、ガラス、工業用ワイヤーなど、その辺にあるような材料を使って、繊維を創りだす、新技術と材料の結合させる展望です。
そしてアーティストの多くが、この「レースとそれに挑む、編むアート展」が、彼らの初の大きなニューヨークデビューになりました。
この展覧会は六つの主題のグループに分割されています:
・ 有形な構造:人体を参照する仕事を、両方探検する。間接的にイメージまたは内容を通して、そして、直接コスチュームと服装を通して
・ スケールの問題:サイズおよびスケールが視聴者に影響を及ぼすことができる方法を検査する。
・ 軽い構造:全体として光の伝達を探検する仕事を特色にする。仕事の要素は、または材料と視覚効果の「明度」を考慮する作品が特徴。
・ 相互連結:アーティストの仕事を強調し、彼らの約束を拡張し、直接参加による芸術による公衆へのプロセスの仕事。
・ 創造的な解体: 彼らの最終的な仕事に到着するために付加的であるというよりはむしろ減じるプロセスを使用するアーティストの業績を発表する。
・ 複雑さの美、芸術を作って、テキストを書くことの関係で、共鳴する方法で繊維を使用するアーティストの業績を発表。
この展示のアーティストの中には日本からの菱沼良樹は三次元の自由な形式の彫刻を作成するために産業編み機を使い、その幾つかは着用できます。
この3~4年は編み物ブームのような現象があり、一見ありそうもない場所のあちこちで、ロンドンの地下鉄で開催される編み物クラブの活動やサンフランシスコからストックホルムまで、戦争についての話し合いをするために編む、などのイベントも報道されていました。このアート&デザイン・ミュージアムの展覧会は題名からは想像出来ない、久しぶりに大掛かりで興奮するすばらしい展覧会です。6月まで、いろいろな教育プログラムも続いています。
●5月10日木曜日(6:00午後7時30分)
伝統的なレースがどのように作られるかについて見て、
実際に作って技術に対する洞察をおこなう。
インターナショナルOld Lacers社のメンバーによるデモンストレーション
●5月12日土曜日(午前10時00分午後1時00分)
Cat Mazza, MicroRevoltと一緒のワークショップ
ナイキ毛布
●5月17日木曜日、6:00 – 午後10時00分
夜を編む
●6月16日土曜日12:00正午、午後5時00分
国を編む・パフォーマンス
「contemporary netsuke(現代根付)」展
アート&デザイン・ミュ-ジアムのD Spaceでは、2007年1月25日~6月17日の期間、「contemporary netsuke(現代根付)」展が開催されており話題を呼んでいます。
根付は、300年以上の期間にわたって日本で発達したミニチュア彫刻です。根付は、機能的で美的な目的にかないました。着物にはポケットがありませんので、女性は袖の中に持ち物を押し込み、男性は絹紐でタバコや喫煙具、財布や筆などを帯からつるしました。
根付は、タバコや薬入れに付けられていたものですが、今世界で注目され、多くのコレクターがいて、アメリカ合衆国では隔年、国際根付コンベンションが開かれるほどです。このMADで初めての現代根付展は、100点のミニチュアのマスターワークで、日本の巨匠の作品から、オーストリア、オ-ストリア、イングランド、ドイツ、ニュージーランド、ウクライナとアメリカ合衆国から日本で学んだりしたミニチュア彫刻家の作品が展示されています。
日本でも見るチャンスがなくなったかに見えるこの根付、伝統的な根付に精通しているこの世界のコレクターが多いのにはびっくりします。
これらの小さい宝は、この世界に新しいエネルギーと考えを吹き込み続け、今日も生き続けています。この展示でフィーチャーされる54人の彫刻家の作品は、革新的な材料、巨匠技術と現代的主題で、注目されています。
伝統的素材の象牙、ツゲ材、漆、に加え、ガラス、樹脂、アクリル等も加わり、饅頭、柳左、鏡蓋、差と形彫の根付は、五つの主なタイプに分類されます。そして、その表面はエッチングまたは彫刻で飾られています。
骨、金属、ラッカー、黒い珊瑚、陶器、磁器、真珠、鼈甲、琥珀、硬い石、ガラス等がありますが、80パーセント以上のものは、象牙と木から作られました。
有名な日本の根付作家・中村雅俊(1915~2001)は、変わったデザインを、ツゲ材のような由緒ある材料に刻むことによって、伝統的であるものとモダンなものを結びました。アメリカの彫刻家ブラッドブレークリィの解釈は、豊かに模様のついた表面を持ち、そして、貴重な材料(例えばアカサンゴ、ラピスラズリ、孔雀石、銀と14カラット金)で飾られています。 オーストリアの彫刻家ゲルノートSchluiferのフォルクスワーゲンビートルは、石化されたナンヨウスギ円錐に埋められる水晶でできています。 現代根付 展はコロンビア大学のアジア歴史のPh.Dを持つ2世のTerry Satsuki Milhauptがゲスト・キューレーターで企画されましたが、日本人もびっくりの根付勉強会も用意され、ほんものの日本を見せているように思えました。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影