第9回 Accent on Design
NY恒例のイベント、インターナショナル・ギフトショーAccent on Designが8月14日~18日に開催されました。NYは今夏、稀にみる猛暑続きで入場者数が心配されましたが、例年の入りがあり、ビジネスも「まあまあ」という声が多かったようです。
ギフトショー全体としては、来場者数4万300人、出展社数2千600、Accent on Designを含めて10部門に加え、今年は新たに、EX・TRACTS:Essentials for personal care and wellnessという部門が加わりました。これは別の場所、Penn Plaza Pavilionで開かれ、関連イベントやパーティーなどのプロモーションをしていました。
→ Accent on Design 2005年2月のリポート
→ Accent on Design 2004年9月のリポート
→ Accent on Design 2004年2月のリポート
→ Accent on Design 2003年のリポート
特別パーティーが多数開催
今年はハンドメイドが20周年を迎え、特別イベントを打ち上げていました。Gifts & Decorative Accessories Retailer Excellence Awards Gala Party、MAD Museumでは、ハンドメイドの展覧会を見るツアーの為、13日の7時から8時半まで特別時間を設けて提供していました。また、これまで225 Fith Avenueとして知られていたショールーム・ビルの移転で、7 West34丁目に新しく開いたショールーム・ビルでも盛大なパーティーがありました。他では、ALESSIがBARNEYS NewYorkでMichael GravesのKettle 20周年を祝い特別パーティーをし、業界の人を集めるなど、あちらこちらでパーティーが重なり、出席できないものがいくつもありました。
毎年のエンターテイメントとしては、今年はBroadwayのショー『BEE』を見る場がセットされ、普通より安く提供されたチケットで楽しむことができたりと様々なプログラムに、出展者やバイヤーはビジネス旅行プラスを充分楽しんだようです。
Accent on Design賞決定
今回もアクセント・オン・デザイン賞が選ばれました。
ベスト・ニューコレクションには、コネティカットAmeico Inc社のSIBI幼児用木工具が選ばれました。昔ながらのスタイルの幼児具を21世紀の現代ニューテク商品にした、SIRCH社(ドイツ)の制作で、デザイナーは Wolfgang Sirch & Christopher Bitzerの製品です。
ベスト・ニュープロダクト賞には、初めての出展で、サンフランシスコのEveryday StudioのSusan Kravolecデザインの、猫の爪磨ぎ遊具が選ばれました。
ベスト・ブース賞には、ロンドンのOYUNA Cashmereのクールなカシミヤの展示が選ばれました。授賞式は14日、Karim RashidのSITのやぐらのまわりで行われ、SITの上で演奏する楽団の音楽をBackに1月の授賞者と今回8月の授賞者がトロフィーを受け取りました。
今年初出展のデザイナーのブース「Mint」は、Alberto Mantilla、Anthony Baxterと、元Smart DesignのVPを勤めたデザイナーのScott Hendersonの3人が立ち上げたプロダクトの会社で、すでにMoMA等でも紹介されています。今回本格的に、ビジネスの姿勢を見せて出展して話題になっていました。
経験豊かな日本人出展者のブース
Accent on Designの部門の中でも長年実力で出展を続けている日本人経営者のブースがいくつかありますが、皆いつもレベルを保って貢献しています。
ボストンにある「Eastern Accent」は、日本のコンテンポラリー・デザインを専門に1985年から出展していて、シンプルできめの細かい作品選び、MASA-san(村松さん)の親しさと面倒見の良さで、皆から慕われているAccent on Designの顔の存在。
NY「Gallery91」は1986年からの出展で、「Eastern Accent」の次に長く、日本、ヨーロッパ、アメリカの作家達のオリジンル製品を扱っています。海老原嘉子の企画したGallery 91 の展覧会の展示から産まれた商品開発と、それにまつわる商品構成で、Museum Shop等の顧客を主に卸しをしています。
NY「INATOME」稲留さんは、いつも壁側にライターを中心にキーホルダーなど日本からの特別な小物だけで1988年から出展ビジネスをして成功しています。
CA「Forlife」Rancho Palos Verdesの藤井さんは、ご自分の工房でスタッフと自ら焼いた陶器のオリジナル作品だけで10年ブースをもち、世界中を相手にビジネスをしています。
NY「SPACE M」は、日本からの買いつけのコンサルタント等を長いことしていたようですが、現在は日本から癒し系の商品を扱う専門店としてブースを出し、ショールームも持って本格的に幅広くビジネスを始めました。それぞれ、NYでUINIONとやりあい、いろいろな困難を乗り越えた経験豊かな出展者です。
Accent on Designに見るビジネス
ビジネス・コンサルタントやプロデューサーが、花火をあげるイベント屋さん的な感覚で、日本から乗り込んで来られるのをよく見かけますが、書類上のマニュアルでやろうとしているので、なかなか難しいようです。何故、もっと現地、NYの経験者と組んでビジネスをしようとしないのか、不思議に思っています。
Accent on Designも、Karim Rashidによるピンク・カーペットのリフレッシュなど、変化や努力をしているのですが、もう一つ文化的には、ミラノ・サローネの様な盛り上がりが欠ける様に思われがちなのが問題です。アメリカでは、日本やヨーロッパの出展者の様な、出展する事に意義を感じるという考えは薄く、米国のビジネス本意の思考が先行する為と思われます。実際のビジネスや売り上げ目的、出展したら必ずビジネスにしていく、という風潮が活発で、日本の曖昧なビジネスがついていけないのかとも思われました。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影