Wearing PROPAGANDA展
第2次世界大戦当時、身にまとうプロパガンダとしてデザインされたテキスタイルを展示するWearing PROPAGANDA(ウエアリング・プロパガンダ)展が、11月18日~2006年2月5日まで、The Bard Graduate CenterのGallery(18 West 86丁目 NY市)で開催されています。
日本、英国、米国から集められた、1931年から1945年の間にプロパガンダとしての役割を果たした衣服、スカーフ、アクセサリー130点が展示されています。 その頃の染色技術を駆使し、時代を反映したモチーフで、克明に描写されています。絽(ろ)の着物から織物まで、絹、木綿、ウール、麻などの素材になされた印刷は、シルク・スクリーンなのか写真プリントの手法も進んでいたようです。よく探し出したものだと思われる展示作品が多く見られました。
特に日本の着物の点数が多く、子供用の着物に描かれたその時代の子供の様子や、「兵隊さんありがとう」と右から書かれた文字や、男物の羽織りの裏の絵柄にも飛行機、国旗、軍隊の様子などが大胆に描かれ、歴史を垣間見る絵図が生活の中にあった事が伺えます。それに対し英国、米国の展示作品は、スカーフなど女性が着用するものに兵士の帽子やメッセージなどがデザインされているのが多く見られ、日本の子供用の着物に見られる軍隊のイメージは、文化の違いかインパクトを与えています。
展示品は日本から収集したものも多数
NYで骨董屋を経営し、プロパガンダの羽織りを身にまとった友人の宮本さんと、オープニング・パーティーに出席しました。すると、宮本さんの羽織りと同じ柄の布地が展示されており、彼女の羽織を目にしたキューレーターのジャクリーン・アトキンさんは、「本物の羽織りを探していた」と大喜びしていました。
ジャクリーン・アトキンさんはコロンビア大学で教鞭をとっている関係から、日本人生徒に協力を求め日本中あちこち捜しまわり、コレクションするのを手伝ったそうです。日本和装飾会会長の市田ひろみさん他、この展示会に貸し出した方達も、はるばる日本から出席されていました。
もし、この展覧会を日本が主催で企画すると問題になりそうなテーマですが、ジャクリーン・アトキンさんは2000年から展覧会を企画しコレクションを収集し始めましたが、米国で同時多発テロが起こった為に自粛し、開催が今に至ったとおっしゃっていました。
テンポラリーストアー
(ソーホーに流行りはじめた期間限定ストアー)
毎年暮れになるとクリスマス・セールの臨時ストアーや在庫セールが出現しますが、今年はこれらとはひと味違う、本格的な店構えのおしゃれなテンポラリーストアーがいくつも出現し、目をひきました。
まず日本ではお馴染みのUNIQLOが、SOHOのど真ん中、GreenストリートのPrinceとSpringストリートの間に11月12日から来年1月末までという限定で店を構え、週末には満員になる人気振りで、SOHOをUNIQLOのショッピング・バッグをもって歩く人が目立ちました。
Wooster通りにはKODAKのOne Galleryが11月1日から27日の間オープンしていました。Galleryの会期中、広い会場内では、KODAKのフォトグラファー、Frederic LaGrangeの作品が展示されていた他、個人の持参したデジタル・カメラのメモリーカードやCDを入れるだけで、写真10枚まで無料でプリントしてくれるサービスやテクノ・ワークショップなど、毎日プログラムが組まれていました。
illy、TASCHEN、WIRESマガジンのショップ
West BroadwayのBroomとSpringストリートの間にいつの間にかオープンしていたコーヒーのilly。てっきりお店を構えたのだと思っていましたが、9月15日から12月15日までの限定ストアーでした。入るとすぐ目につくシャンデリアは、デザイナーによるオリジナルコーヒーカップのコレクションで作られたものです。
UNIQLOの斜前にはアート系の出版で最近人気のTASCHENが、12月31日までテンポラリー本屋さんを開いています。TASCHENはこれまでNYに店を構えておらず、この場所を改築して春頃には本格的に開店するそうですが、その前の小手調べでしょうか、華やかなイラストで目立つストアーです。
その先GreeneストリートとHoustonストリートの角にはWIRESマガジンが、Wired Storeを11月18日から12月24日まで開いています。スニーカーからフラット・スクリーン、車まで、エレクトリック・エイジのWiredマガジン・ファンが喜びそうな商品を、カラフルな内装で展示販売しています。
TASCHENブックストアー(写真40~45)とWiredストアー(写真46~53)
テントのショップUnion Squre Holiday Market
他にも取材しなかったいくつかのテンポラリー・ストアーがあり、今までになかったこの現象が流行りそうな気配を感じます。
今まで不動産屋は短く貸すのを嫌っていましたが、なかなか借り手のないスペースは長いリースの契約が決まるまで1~2ヶ月かかるので貸す事にしたり、ショップを開こうとする側も、本格的に店開きをする前に、多少高くついても、土地勘のマーケット・リサーチを兼ねてショートタイムで試してみたり在庫整理をしたりと、お互いに都合が良いのでは、と思われます。
こちらは毎年恒例の、テントのショップUnion Squre Holiday Marketが、14丁目Union Squreの地下鉄出入り口を囲むように設営されています。主にハンドメイドの商品のブースが多く、クリスマス前日までオープンします。同じエージェントによる、テントのホリデー・マーケットがコロンバス・サークルでも催されていますし、こちらも恒例の、グランド・セントラル駅内のホリデー・マーケットも、NYの慌ただしい年の瀬を感じさせる、風物詩です。
※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影