第46回: 「NY Fashion Week」2003年秋冬ニューヨークコレクション (2003/3/12)
NY Fashion Week
2月7日から14日までブライアントパークで行われたファッション・ショー「2003年秋冬ニューヨークコレクション」。連日、TVのニュースで紹介されるデザイナーのインタビュー、今年のトレンドなどが、いやでも目に入り、盛り上がりを見せます。
NYではこのファッション・ショーが始まると、その後ジュエリー・アクセサリーショー、アートショー、アカデミー賞と続きます。俳優達の衣装にも繋がるような、なんとなく華やかな動きが伝わってきます。
今回は、Gallery91のご近所デザイナー2人のコレクションを紹介します。
メルセデス・ベンツの 演出展示
Gallery 91のお隣りにブティックを持つ韓国人デザイナー、”HANEZA”からの招待で、ブライアントパークのテントの中で行われるファッション・ショーの華やかな雰囲気の一部をかいま見ました。
メルセデス・ベンツがスポンサーで、今年のショーのプロモーションカラーは「赤」。テント内の広場の中のショーケースディスプレイも各デザイナーによる「赤のドレス」が展示され、ベンツの車も赤いC320クーペ、反対側にクラフトマンシップを見せる演出で、展示されているのがカスタムカラー「Designo」です。
ブランドイメージとファッションショーの華やかさ、ハイクラス感がマッチしていて、メルセデス・ベンツ・ファッション・ウイークとうたって、ぴったりのイメージです。
バービー人形がモデルのファッション・ショー
次にご紹介するのはイギリス、ヨークシャー出身のキーナン・ダフティー(KEANAN DUFFTY)。彼もGallery 91の横の通り(Mercer Street.)にスタジオを持っています。セント・マーティンでファッションを学んだ後、現在ニューヨークを拠点として活躍しているブリティッシュ・デザイナーです。
彼の2003年秋冬コレクションは、36体のビンテージ・バービーとケン人形を使って発表しました。実際のコレクションをミニチュアーで再現したものです。場所はSoHoの空き店舗を1ヵ月だけ借りてSHOPを企画した、Russell Millerと渡辺まりこによる「VACANTショップ」。そのショップの大きなスクリーンには、モデルによるプレゼンテーションを真似た演出なのでしょうか、ベルトコンベアーに乗った36体のバービーが、映し出されるという仕掛け。ガラスケースにも本物のバービーとケン人形がずらりとならんでいます。このミニチュアーモデル達のためにメイクアップ・アーティストであるCharlie Green(Bourjois Paris)とそのアシスタント、ヘアーはVS SassoonのPeter Grayと7人のアシスタントなどの名がクレディットされていて、これら小さなモデルへの力の入れ方は相当なものです。
彼のコレクションは、革新的なファブリックづかい、ロックンロールなテイストが特徴で、リーボック、アルフレッドサージェント、ドクターマーチンなどとのコラボレーションを通して、スニーカーからトラッドシューズまで幅広く手掛けます。
これらの商品はアメリカ、イギリスはもとより日本でも売られています。
また彼は、洋服と同じように音楽にも情熱をそそいでいて、デビットボウイ、エリザベスジャガー、スマッシュパンプキンズ、サラジェシカパーカー、インシンクといった人達から支持されているそうで、クリエイティブの大事なインスピレーションになっているようです。こうしたアンダーグランド的カルチャーなどの都市的ムーブメントは、時代や場所を越えて繰り返されています。
今を感じさせるこのショーをNY1*も取材にきてチャンネル1で紹介されていました。彼はこの5月、6月に原宿でこのショーを再現しようと目下その準備で大忙しです。
今回の対象的な2つのファッション・ショーを見て、それぞれの価値観で、自由を謳歌できる時代を感じ楽しみましたが、楽しいだけでなく、これをビジネスにしていくというのも、大変なことだろうと思いました。
*NY1…放送開始以来、ニューヨーク市民から高く評価されている。
URL:http://www.ny1.com