第22回: NY近代美術館(MoMA)の“Workspheres”展 2001/3/14
NY近代美術館(MoMA)で“Workspheres”と題して、これからのオフィスのニューデザインの展覧会が2月8日から開催されました。MoMAは6つの国際的なデザインチームに、このプロジェクトを依頼して『近未来の仕事場のための革新的なデザイン』を提案してもらい、IT時代の仕事場、その環境と道具などコンセプトからプロトタイプ、実際のプロダクト迄の200点以上を4月22日まで展示します。
MoMAの建築部門のキューレーターPaola Antonelli(パオラ・アントネリ)が、国際的なそれぞれの専門家に顧問になってもらい、MoMA Web サイト(www.moma.org/survey/survey.html)で展示会のための研究の一環として、労働経験の調査を行ったそうです。
パオラ・アントネリ女史いわく、「今や仕事は、どこにいても出来、また、ツールのヘルプの有無にかかわらず ON・OFFすることが可能で、自分の仕事に集中する事が出来る様になりました。この展覧会は、個人的、又は個別のワークスペースに、仕事のツールでもっと良く対話をし、未来を可能にするというコンセプトからタイトルをつけました」とのこと。
私の長年気になる事の一つで、アメリカでは日常的に目にするコーヒーカップを書類の上においた時にできる、輪のマーク。この展覧会では、このコーヒーカップのマークが招待状になっていて、ロゴとしても使われています。
抑制された企業色から遠のいて、選択の自由とカスタマイゼーション、オフィススペースの中に快適なリビング・スペースや、服装規定もカジュアルになり、それらは建築家にも影響を与えつつあります。
今までのメッセンジャーサービス、ファックスが電子メールなどに変わっていくように、ますますテクノロジー で、快適な仕事場を要求していくわけで、これらを6つの国際的なデザインチームがデザインした作品が展示されています。この久しぶりの大きなデザイン展はオープニングには、沢山の人で満員の盛況でした。
MoMA workspheres
https://assets.moma.org/documents/moma_catalogue_168_300133807.pdf
■その1:Inspiro – tainer
Ada Tolla and Giuseppe LignanoイタリアのデザイナーとLOT/ EKarchitecture社(ニューヨーク)のチームによって開発されたプロジェクト
創造のためのスペース(Space for Creativity)として、飛行機貨物用コンテナの内部スペースに、DVDシステム、コンピュータ、ステレオ、電話、後部映写機と大きい投影スクリーンが設置されています。 さらに、1つの壁の上のプレキシガラス(Plexiglas)パネルがスクリーンになり、外からも見られるようになっています。後ろへ角度を変えられる長椅子と、コンピュータ、キーボードとマウスのあるミニマムな机があり、防音装置、移動無線装置等を装備し、過去の伝統的なオフィス環境から離れ、私的なスペースで、創造力、隔離と休養のために使われるものとして、この移動可能なエンターテイメント空間を提案しています。
■その2:Redesigning Time
MIT メディア研究室 のジョン・前田 とジョー・パラディソ
彼等によって開発されたプロジェクトは、コミュニケーションと組織化、部屋を横切って張られた広いスクリーンに3つの手で操作するナビゲーター。このナビゲーターの操作ひとつで、内蔵保管している沢山のインフォメーションから、雰囲気、時間の管理、予定表のデータが取り出せます。
インフォメーションインタフェースの中に技術を改造してある多岐なコミュニケーションツールです。
■その3:Mind Space
ジェフ・ラッシェルと ルナ・アレクサンダー (ハワース社)、ブライアン・アレクサンダー (オプチカ・スタジオ) 、クリストファー・バッド とケビン・エストラダ (スタジオ・ アーキテクチャ)とブラッド・ペイリー と Hai Ng (デジタルイメージデザイン 社)
同じような提案を異なった会社からの数人のデザイナーが、一緒に新しいワーク・ステーションを設計したプロジェクト。展示されている貝殻型のプロトタイプは、1997年のハワースの展示会でIdeationグループが展示したもので、その中身に様々なインフォメーションをストアし、Mind Spaceがメモリ、記録、貯蔵して取り出す能力、より優れたワークスペースとしての機能を持ち、ビデオ/コンピュータ・スクリーンを通してオフィスの資料のバックアップ等も、簡潔に最も適切な時につかえる、ユーザー思考のオフィス・システムを展示しています。
■その4:Personal Skies
深沢直人 & IDEO 東京チーム
企業の環境の中で、最適なカスタマイゼーションのための仕事部屋とその道具を作り展示しています。座るユーザーの衣類によってカラーを変える椅子、特別な装置が3つの異なった「空」を選ぶ事が出来、クライアントの好みにあった雰囲気を作ることを可能にします。種々の季節と天気状態での、あるいは特定の場所 ── 自分の家あるいは大好きな休暇地での空のイメージが、オフィスに描かれ、目に見える個人的なメッセージを送る間に、ユーザーの場所の輪郭を描き、個々に合わせられた気分を反映した適所に変換される装置です。
■その6:My Soft Office
Hella Jongerius オランダ
このプロジェクトは、休養、寝室の快適さから働く能力、創造的な考えを供給するという提案です。 例えば、「仕事がうまく行きだすベッド」、オランダの強固な Auping によって生産された超長いベッドは、上下動かすことができるベッドで、足元にコンピュータ・スクリーンが設置され、 さらに、キーボードとマウスや2つのステレオ方式の拡声機と、感触センサー技術を使用した「頭が良い枕」が埋めこまれています。
「パワーパッチ」はクッションで、コンピュータで働く間に、床の上においたりのクッションです。
「はん点」はポータブル・コンピュータで、どんな家の部屋ででも使うことができます。
体の輪郭に合うジェルによって軽減されて、パッチはそれぞれの生活が統合され、いっそうリラックスしたポジションでコンピュータと取り組むであろう事を暗示します。
個別の作品
オフィスのための現在のプロダクトとデザイン入ってすぐ1階のホール には MaxiMog車の巨大な車にまず圧倒されます。ブラン・ フェレン とトーマス・リッターによって設計された移動住宅/オフィススペースです。 到達しにくい場所で世界的な遠征隊のために意図されて、SUV とトレーラーアンサンブルは完全なグローバルな通信システムと正式許可ビューで12カメラが車の周り中についたビデオシステムを含むドライバ手助け、感動的な世界的デジタル地図と他の例外的な特徴を供給するコンピュータシステムを呼び物にしています。
室内にはカラフルな織物が使用され仕事だけでないアットホームな雰囲気を出しています。
ソニーのロボット犬、AIBOを設計した北野宏明のチームの半透明の書き込む事の出来る壁とテーブルの透明感のある展示も人気のコーナーでした。
展示作品