第21回: (1) NY インターナショナル・ギフト・ショー「Accent on Design」 2001/2/14
インターナショナル・ギフト・ショーの140回目が1月21日から2月25日まで慣例のジャコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターで行われました。
今年のアクセント・オン・デザインは初日に大雪にみまわれたせいか、アメリカの曇り景気のせいか、人手が少なく、あまり活気のあるショーとはいえなかったようです。通常の商品や、バスまわり、自然志向商品などは、今まで通りの売り上げだったようですが、ハイデザインの商品は不調で、皆首をかしげていました。
Best Boothに選ばれたjewelryデザイナーJeanine Payerのブース
Zona Alta の商品
The Loom Companyの新素材のLuisa Cevese-Riedizioni作の商品
いくつか新しい試みのブースや商品が出展されていて、今年もアクセント・オン・デザイン・アワードの賞が以下の人達に与えられました。
■ベストプロダクト賞にDMD Incオランダの 建築家 NL Architectのポリプロピリンのサスペンション・ストラップ。ゴムのように伸縮するベルトを壁に何本も横に張り、その間に好きなものをはさむことができる、新しいアイディアの洋服かけ。
■ベストブース賞は、サンフランシスコのジュエリーデザイナーJeanine Payerの真っ赤な展示。
■継続して良いデザインを見せている賞が、Lexonのコレクションの販売元である、フロリダのZona Alta Projectsに。
■新素材開発デザイン賞は、The Loom CompanyのLuisa Cevese-Riedizioniに。リサイクル・ファブリックをうめこんだゴムの様なプラステック製品のコレクション。
賞ではないのですが、雑誌や新聞社のプレスが毎回新製品をさがして見に来てくれるのは、大変な励みになります。
今年はGallery 91のブースから2点が選ばれ、一つはIDNFで続けているデザイン・コンペのグランプリ作品が商品化された新製品で、ゴミを中にためられるPeeler(皮むき器)。それとRIKI Stoolでした。
Peelerの方はカラーで2月7日版のNYタイムスに出て、電話の問い合わせとオーダーにうれしい対応でした。NYタイムスに取材されるというのは1、2万ドルの広告と同じ位の効果がありますが、いつでもピック・アップされるわけではなく、記者とのコミュニケーションや幸運が左右します。日本の様な買収は絶対効かず、必要外のプレゼントは返してきますし、印刷寸前まで何度も細かい校正の問い合わせがあるのは、さすが、NYタイムスです。
RIKI Stoolの方も校正の問い合わせが来ていて、15日か22日のHOMEセクションに出るそうで、楽しみです。
第21回: (2)新しくアメリカ・デザインを啓蒙するTOTEM Galleryのオープン 2001/2/14
TOTEMは1997年にトライベッカにオープンしてから、若手デザイナーの発表の場として、家具デザインの人気を集めてきましたが、昨年12月にGrand StreetのGallery 91の3軒隣りにTOTEM Galleryをオープンしました。
オーナーはDavid Shearer(デビット・シェアー・34歳)。ミネソタ大学で建築とデザインを学び、ミネアポリス・ギャラリーで20世紀デザインを担当、1990年にNYに移り、ヨーロッパ・デザインのModern Ageストアーを任されていました。
彼はレイ・イームズ(チャールス・イームズ夫人)と13年前に会話したとき、イームズ・スタジオのコレクション について、レイが「世界中から集めたトーテムみたいでしょう」と説明したのが印象に強く残っていて、その時のイームズ・スタジオからの影響やスピリットを元にこのTOTEMを作ったそうです。そしてイームズ達のアメリカの良きデザインの時代のような、活気のある時代をもう一度という夢をかけたようです。
確かに80年代始め、イタリアのメンフィスの動きの影響で、アメリカにもアート・インダストリーがオープンし、優秀なデザイナー達が出ましたが、それもなくなり、せっかく出てきた彼等も、あまり発表の場がないまま、活気に欠けていました。
TOTEMの出現で、これから若手のスターが沢山出てきそうな気がします。オリジナル商品も手掛けていて、Lloyd Schwanの作品も売り出せるようになったそうです。このTOTEMのインテリアも、華々しく活躍しているKarim Rashidが手掛けているのですが、かなり倉俣史郎の影響を感じさせます。
TOTEM Galleryはクリスマス前に仮オープンのパーティーを何度か開きましたが、1月18日から3月4日まで行う『Karim RashidのFUTURISM』展のオープニング では、NYの若手デザイナーが再び大勢集まってにぎやかでした。このKarim展では、彼の“デザイン新語”をうらづける作品や、まだどこにも出ていない作品がたくさん出品されていて、入った途端カリムの雰囲気です。カリムの新語から、「Sensual Minimalism」官能的ミニマリズム、とか「Blobject」ボアーとしたオブジェ、「Orgaonomics」オーガニック+人間工学。他にもいろいろおもしろい言葉で、作品を表現しています。
第21回:(3)デザイナー Lloyd Schwan ロイド・シュワンの死 2001/2/14
80年代のNew Yorkデザインの火付け役であり、現在もトップで活躍しているデザイナーLloyd Schwan(45歳)が、1月19日突然の自殺で生涯を閉じてしまいました。
アクセント・オン・デザイン出展のブースのデザインも途中で、沢山のプロジェクトをかかえながらの突然の死は、デザイン業界に衝撃を与えました。
12年一緒だった元夫人のLyn GodleyとGodley/Schwanと名乗って沢山のヒット製品をつくり、アメリカからヨーロッパへも進出していました。
2月11日Lyn Godleyが先生をしているパーソンズ・スクールのギャラリーでメモリアルが行われ、デザイン業界の人達、アシスタントをしていた学生達が大勢集まりました。MoMAのPaolo Antoneli、Lyn Godleyが弔辞を述べ、友人デザイナー等12人がLloyd の思い出を話して冥福を祈りました。
しかし、上が10歳という残された3人の子供をかかえたLyn Godleyが気丈で、Lloyd の思い出話しで皆を笑わせて、雰囲気をなごやかにしてくれるのには、さすがと感銘してしまいました。
子供達の為にSchwan Children Memorial Fundができました。寄付は下記まで。
Sovereign Bank 61 Constitution Blvd, Kutztown, PA 19530
口座番号 #027-4049493
又は Gallery 91迄
(Fax: 81-212-219-1684)