第131回 芹沢けい介-型絵染の巨匠
ジャパン・ソサエティー・ギャラリーで「芹沢銈介-型絵染の巨匠」展を2010年1月17日まで開催中です。 芹沢銈介(1895~1984) ― 1956年に人間国宝の認定された芹沢銈介の作品は染色の枠組にとらわれない比類なき美しさと表現力をたたえています。それまでの伝統的な型染は、型紙を制作する型彫師と染物師に分業化されていたのに対し、芹沢は下絵を描き型紙を彫り、糊置きをして色を挿し、水洗いをして干すという一連の工程に自ら一貫して取り組みました。芹沢はこの手法を用いて、着物や帯地のみならず、本の装幀、挿絵、軸、カレンダー、屏風、のれんへと作品の幅を広げていきます。 私自身が女子美の工芸の学生だった頃、何度かお目にかかり指導を受けた事があったので、これだけ網羅した芹沢銈介展をニューヨークで見れることに感激と感慨深い思いで、改めてその偉大な功績を学びました。 【 1 】 芹沢銈介展案内状 【 2 】第1室 【 3 】第1室 【 4 】第1室 【 5 】第2室 【 6 】第2室 【 7 】第2室 【 8 】第2室 芹沢銈介先生は1927年に柳宗悦と出会い、民芸思想に共感し、また、沖縄の紅型に接した事で、沖縄紅型の精密で明快な図案と輝く色彩に魅了され、作品に影響を与えています。第1室では、初期の植物繊維の作品や古事記からの図柄、最初の頃の「工芸」の表紙などが展示され、2室ではヨーロッパの影響を受けた動物の絵柄を型染めで表現したり、初期の「いろは」の型染め、そして3室には最初の「カレンダー」柚木紗弥郎氏制作の作品が展示されています。 【 9 】 第4室 カレンダー他 【 10 】第4室 カレンダー他 【 11 】第4室 のれん 【 12 】第4室 のれん 【 13 】第4室 のれん 【 14 】第4室 のれん 【 15 】第4室 のれん 【 16 】第4室 のれん 【 17 】第4室 のれん 【 18 】第5室 春夏秋冬 芹沢先生は日本の民芸、伝統に精通しながらも朝鮮や沖縄など他の文化から、鮮やかで明快なモチーフを使った大胆なデザインと色彩で自身の作品に反映し、技術の向上を飽くこと無く追求して行った作家だったのでしょうと、ディレクターのジョー・アール氏が言うのがうなづけます。 第4室の縄のれんと、数々の「のれん」に見る、気持ちがよいまでにすっきりと、無駄をはぶいたリズミカルに見えるデザイン。型紙掘りの制限をいかして、ここまですっきりとした表現が出来る芹沢作品のすばらしさを満喫します。第5室では春夏秋冬の文字の展示、第6室は写真のような描写の民具の屏風や現代的になった「いろは」の変化など多彩な作品が展示されています。第7室、本の装幀、第8室で着物、反物と続きます。 【 19 】 第5室 春夏秋冬 【 20