第116回 Accent on Design

NY恒例のイベント、インターナショナル・ギフト・ショー、Accent on Designが 8月17日~21日まで、ジャビッツ・コンベンション・センターで開催されました。今年は天気にも恵まれ、初日、2日目とも好調で、入場者数もかなりのように見受けられましたが、水曜日、最終日の木曜は閑散としてしまい、いつものように5日は長いという声がしきりでした 作年同様、Accent on Designへのアプローチと、エントランス・ロビーには、注目される「Sustainability」の展示スペースが設けられ、主催者側が選んだ、130社からに及ぶ、環境にやさしい、これからの社会を考えたプロダクト、パーソナルケアー商品から家庭用品などが展示され、この展示を見てブースを尋ねる、関心のある人達も多く見受けられました。 Accent on Designのプレス・ロビーでは、新しく出展した国の為のプレス・レセプション等も行われていました。企画側もいろいろプロモーションを考え、前回から新しく出来たコーナー、次世代を担うデザイナーの発表の場「A+」のブースのプロモーションも盛んにされていました。 今年のAccent on Design賞の受賞者は、Best Collectionには、オハイオ州の会社Wabnitz Editionx。Best New Product Designにはカリフォルニアから出展したArtecnicaのWirePod。(カリフォルニアから出展) Best ブース Presentationの賞は東京から出展のSållbo design、オーナー・デザイナーのSally Kubo-Starrはミネソタ育ちの2世で、東京にスタジオをもっているというデザイナー。英語力をフルにいかしての出展です。もう一つのBest ブース Presentationの賞は、コンクリートでシンプルにまとめたNYのデザイナーJ.Foldのブースに与えられました。 今回のAcccent on Designでは、個人作家、日系人、アジアの人達のブースが、いくつか新しく出展されていて新鮮に感じました。板茂氏の夫人、板雅子さんのジュエリーと妹さんのバッグも「acrylic」という名のブースで出展、コレクターに人気を呼んでいました。 Gallery 91のブースでは、今回新しい価格の高めの作品を試みましたが、やはりアメリカ市場では、コレクター以外は価格の制限があり、高い日本製品のものは大量のバイヤーには繋がらないようでした。 Accent on Design以外のブースで頑張っていたのは、RISD卒の日本人カップルのMorihata International社。日本から選んだデザイン・グッズをきれいに見せていました。 もう一つは、XCIDIA Inc. エクシディア。以前貿易会社にいた方が独立、自力でジェトロでないやり方で見せると頑張り、建築家による見事なプレゼンテーションブースでした。しかし中身の商品がマッチしてるのかが良く見えてこない商品群で、これからが期待されます。 フエリッシモで展示されるBig in Japan Cool in New Yorkの展示会場を使って、Accent on Design Awardを祝うパーティーが8月18日の6時半から行われました。 Accent on Design の「Japan (c) 」の出展にあわせてのアプローチがあったようですが、Jabitから56丁目のフエリッシモまでのシャトル・バスも出て、GLMの重役他、Accentの会場から大勢の人がパーティー会場に流れ、日本から来たフエリッシモの社長に出迎えて頂き、なごやかなパーティーでした。見慣れた日本製品や新しいクール商品を眺めたり触ったりして、人々も楽しんでいました。 展覧会は9月15日からはじまります。 http://www.japan-c.com/press/sept15/ 次回のAccent on Designは1月25日~29日です。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第112回 ICFF(国際現代家具見本市)

世界4大家具ショーのひとつ、国際現代家具見本市(ICFF)が5月17日~20日、NYのJacob k. Javits Convention Centerで行われました。今回で20回目を迎えます。 17日~19日の10時~17時はトレード(業者)、20日の10時~16時は、一般客が入場することができます。 正味14,500平方メートルの会場が、25,000人以上のインテリアデザイナー、建築家、小売業者、デザイナー、メーカー、卸売業者や開発者でにぎわいます。 出展者は600人以上で、ジャンルは、現代の家具、椅子、カーペットと床、照明、屋外の家具、壁関係アクセサリー、織物と台所関係・・・と幅広く、住宅向きで商業的な内装のための商品など全てをカバーしています。 開催期間中、ニューヨーク市内では、ICFFに協賛しで盛り沢山のデザイン関係の催しが行われ“ニューヨーク・デザイン・ウィーク”と名付けられていますが、年々デザイン狂想曲のような大変なお祭りです。 下調べの段階でもICFFの公式ダイレクトリー図録があり、INTERNIのDesign Guide New York、METROPOLIS誌のDESIGN GUIDE NYC 08、他にもMeetPacking District Design 2008等々の小冊子に出ている展示インフォーメンションや、パーティーの開催場所、時間などを綿密に調べてプランしないと、昼間に見ることができる展示や、夜に様々な場所で行われる20以上ものパーティーは、とても見て回れません。噂を聞き出して、好評だったイベントを見つけるのもコツのようです。 毎年、同じように見える展示物の中から何か新しいものを発見しようと、皆、熱心に見て歩きます。今年は全体として、日本や北欧の良さが影響しているようなシンプルなデザイン、デリケートなデザインが目につきました。また、素材や環境問題を意識したデザインが圧倒的に多くなっています。 慣例の、ICFFが招聘したデザイン・スクールの作品は、新鮮で面白いものが多く、今年は CCA(California Collage of the Arts)、SCAD(Savannah College of Art and Design)、SVA( School of Visual Arts)、Yale Universityが出展、受賞者も出ていました。 ICFFの展示では、イタリー勢のISALONI World Wide、ICFF Studio、Materials Matter、Design Boomと大まかに別れている他に、今年はオーストリアのトレード委員会、英国ヨーロッパのデザイングループ(BEDG)、スペイン、ブリュッセル(ベルギー)、ファニチャーNY、IDSAニューヨーク(アメリカの工業デザイナー協会)、カナダの新しいデザイン、デンマークの王室の総領事から、そしてタイのトレードセンター等が各セクションに分かれて展示していました。 それ以外にも個々では、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ボツワナ、ブラジル、カナダ、中国、チェコ共和国、デンマーク、エルサルバドル、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、アイルランド、イスラエル、日本、韓国、リトアニア、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、トルコ、イギリスとアメリカ各国から出展しています。 今年もデザイン誌の編集者が審査員となって選ぶ“Editors Choice Awards”が開催されました。 ブースでは「School of Visual Arts (SVA)」、Design Schoolでは「Savannah College of Art and Design (SCAD)」がそれぞれ受賞しました。 (その他は以下ICFFのページを参照) http://www.icff.com/page/editorsawards.asp?AnID=edawards&Nid=80 IDSAは若手デザイナーのブース、デンマークの工芸のブース、テクノロジーを取り入れた商品や、環境を考えた子供やベビー用品も多く目につきました。 一番興味をそそられたのは、レクチャー用のスクリーンに使われていたパッキング用の素材を生かしたリサイクル・フェンス(写真69)や、Red Dot Award:デザインコンセプトの展示設営に使われていたペットボトルの展示台(写真70~71)です。 ICFFは、17日土曜日の朝まで公式に始まらないのですが、オフサイトでは早くも様々な行事が始まります。16日は、Metropolitan Home誌主催で、ミートパッキングのHotel Gansevoortの屋上で「Design Inspirations」というテーマでインテリア・デザイナー等によるパネル・ディスカッションがありました。(写真72)あいにくの雨でしたが、和やかにも真剣に質問をしたりと良い集まりでした。 その後は、Up TownのFelissimoで行われていたパーソンズ・スクールの、「Good

第109回 蔡国強の大爆発 グッゲンハイム美術館

中国の爆発作家、Cai Guo-Qiang(ツアイ・グオ・チャン/蔡国強)の「I Want to Believe」展が、2月22日から5月28日の期間、グッゲンハイム美術館で開催されています。21日に行われたオープニング・パーティーは大盛況でした。 中国生まれのソロ・アーティスト展、しかも全館を使った展覧会というのは、グッゲンハイム美術館では初の試みになります。会場に入るとまず、フランク・ロイド・ライト設計の螺旋階段(ロタンダ)を活かして吊るした、爆発する9台の車のインスタレーションに度肝を抜かれます。 Cai氏は、1980年代に、中国の実験的なアート・ワールドのメンバーとして現れ、1986年から95年は日本に滞在。その間、火薬の特殊な使用を習得したり、三宅一生とのコラボレーションのプリーツを爆発させるプロジェクト等を手掛けて、日本から有名になったといっても良い位、知名度が高いアーティストです。 1995年以来ニューヨークに在住し、国際的なプロジェクトに取り組んでいて、今年開催される北京オリンピックの開会式のプロデューサーの一人でもあります。 展覧会では、彼の大掛かりな爆発プロジェクトが、各フロアーで、写真、ドローイングで見れ、また、Video上映等による記録で見ることができます。1ヶ月間続いたという大規模なインスタレーションは、車の他に、3000本の矢に刺された漁船や、正面からガラスの壁に飛び込んでいるように見える99頭のオオカミの等身大のレプリカなどがあります。 Gallery Annexでは川が実際につくられ、Yak Skinのボートに乗る体験が出来ます。 他に、生きたへびや鳥がいる展示、羊皮でできたブタの形の浮遊物、トヨタ車のエンジンの展示などがあります。 また、上階のAnnexでは、日本の地方イワキから寄付され、掘り出されたサンケン船と、粉々の白陶器を展示しています。 現代のアートムーブメントにも所属しない中国の精密彫刻家(中国から5人、NYの4人)が、中国史の中から描写した人体彫刻を実際に制作し、その過程を見ることができる展示が3月4日まで行われました。 Cei氏の作品はそれぞれに、テロ攻撃から古来の神話、軍事史、道教信奉者の宇宙、地球外の観測、毛沢東主義者の革命の戦術、仏教徒の哲学、火薬関連の技術、漢方薬、等をバックに思想を自由に引き出し、郷土史のグローバル化の弁証法として、 Cai氏のアートとして社会的なエネルギーのフォームにしているようです。 彼が訴える「見えてる見えない世界」「信じたいと思いたい」を、エネルギーいっぱい爆発させているようです。 展覧会は、大スポンサーのThe Robert H. N. HO Family Goundation(何鴻毅家族基金)という中国の文化系の援助をする基金がバックアップしているそうで、日本にはないスケールが育つ元の気がしました。 他にMuseum Shopでは、この為に幾つかの特別製品も制作。Cei氏の「開けると爆発するカード」の依頼から、Gallery 91の紙技デザイナー木原隆明氏(日本在住)が考案したドラゴン・カードとレインボー・ミラーカードの発売が開始されたのも、もうひとつの魅力です 第7回目となるアーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、3月6日~9日の4日間、ニューヨーク市のPier94(55ストリートと12アベニューに位置する)で行われました。主催はMerchandise Mart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。 http://www.japandesign.ne.jp/HTM/NY/0704/index.html 昨年と同様、11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展しました。 プレス用朝食を出してアピールしたカリフォルニア・クロゼット社は、日本の無印を思わせるシンプルな家具で、個々のスペースにあわせて作るシステムで、ウェストコースで評判を得ています。NYにもコンサルタント・デザイナーとオフィスを持ち、今後の客層の幅を拡げたいとの事。 初日のスペシャル・イベントとして、会場でオープニング・ナイト・パーティーが行われました。VIP等が招待され、チケット料金がPOのAlpha WorkshopsのHIV / AIDS団体に寄付されます。 今年は、黒川雅之氏のプロダクトが、55Contemporaryというブースで初出展しました。5番街のオフィスビルにショールームを持ち、そこで、11日にオープニング・パーティーが行われました。 普段はデザインに関係のないNYの日本政界の方々や、櫻井大使夫妻ほか、たくさんの方が集まり、黒川 / 加藤タキ御夫妻のパワーを発揮していました。 アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーでは、昨年に続きNYのNori Morimotoのブースが出展。今年は自然の木と明かりを主に、新しく挑戦しているガラスのタイル等を発表して人気を得ていました。 また、家具でコレクター・アイテムとなってきているWendell Castleのコーナーが、壁面を長く使って展覧会をかねた展示で迫力を出していました。 内田繁にデザインを依頼し、チェルシーにオープンした、一穂堂ギャラリー畳みの「青い穂庵」もあり、茶の湯を楽しめる日本を意識した空間に改装され、これから日本の工芸等を展示していくそうです。 そのオープニング・ショーとして「茶の湯 内田繁と7人の工芸作家展」が開催されました。 11日と12日はオープニング・パーティーが開かれ、茶の湯、工芸愛好家、デザイナーが集まりました。 NYの著名デザイナーのMassimo & Lella Vignelli夫妻、また、マンハッタンにお茶室、日本間を持ち、NHKにも取材されているPierre Semet氏 や Steve Globus氏も出席していました。ニューヨークの日本酒ブームから、ほんもの日本文化が、今後どのように浸透するのか、楽しみです。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第102回 イースト・ハンプトン Longhouse Reserveの夏のギャラ・パーティー

ニューヨーカーが週末に通う夏の避暑地「ハンプトン」の一つである、イースト・ハンプトンのLonghouse Reserveで、7月21日にギャラ・パーティーが行なわれました。 Longhouse ReserveはJack Lenor Larsenの邸宅兼ガーデン・ミュージアムとして、15年前に設立されました。夏の間だけ一般公開しています。年々大きな組織になり、アート部門、教育部門、ガーデン部門と地域のそうそうたる方々の力で成り立っているようです。 今回の主旨は、テキスタイル業界、クラフト業界でデザイナーとして著名で、今は教育者、キュレーター、コレクターとして沢山の顔を持つ、ジャック・ラナー・ラーセンの80歳の誕生日パーティーと、それを記念して、美と平和を支持続けて活動しているオノ・ヨーコをメインゲストに、longHouse Reserveからメダルを授与するメインイベントと、ギャラ・パーティーです。 ドレス・コードは白を基調に「金銀がキラキラ」というもので、ギャラ・パーティーのチケットは最低$500でしたが、それが6月のはじめには完売という人気でした。 パーティーに集まる人々が皆、白い衣装というのも、とても清々しく華やかなものでした。会場も緑の中に点々とカラフルな工夫が凝らしており、カクテル・アワーのケータリングのフードも凝っていて美味しく、ガーデンにテントのオイスター・バーが出展し、担当の方が殻をはずしてサーブした生ガキやクラムの食ベ放題がありました。 展示スペースには、サイレント・オークションの作品が85点、ライブ・オークションの作品が10点展示してありました。 散策の途中にはチフリのグラス作品群や、リキテンシュタインのHouse IIの作品、また27日から始まる野外彫刻展MIQUEL BARCELOの話題のClayとBronzeの象が鼻で立ってる彫刻も一足先に見る事ができました。 1999年からLongHouseに設置されたオノ・ヨーコのチェスの作品「Play It by Trust」がある場所で、大チェスを舞台にした、この日の特別イベント・パフォーマンス「Maria Pessino’s Oddfellows」によるイベントが7時から行なわれました。8時からのディナー会場はガーデンの一部をフルに活用し、テントで作られた500人分のテーブルセッティングが用意されていました。ホテルやレストランでなくても、こういった会場で豪華な雰囲気を演出したディナー・パーティーを開いてしまうのが、アメリカならではの気がして感心します。 これだけ大勢の人々が集まるだけあり、トイレも外に特別設置。これがまた、携帯トイレとは思えないくらいお洒落なものでした。トイレの外観は、周りが森林の写真で覆われたもので、男性用、女性用が6器もあり、多分撮影ロケなどに使うものなのでしょうが、これにも感心しました。 ディナー会場では、LongHouse Reserveの役員の方々の挨拶などがあり、ジャックとオノ・ヨーコの生い立ちの短いビデオを上映。スピーチとディナーが始まると同時にライブ・オークションが始まり、プロのオークショネアーの上手なテンポにのって、競り始めました。ジャック自身も$7,000のバスケットかごを落札、オノ・ヨーコが寄付した作品9点は完売しました。最近の傾向なのか、形のない教育プログラムなど$5,000のものが4口も競って落とされました。また、皆がオークション好きなのか、イベントで酔わされた勢いなのか、実際の価格(店で買える価格)より高い値で落とされているものもありました。この日のGala収益は総額$350,000だったそうで、税金で落とさなければならないお金持ちが多いのか、まだとても日本では考えられないのではと思われる基金集めの例です。 オノ・ヨーコ74才、ジャック・ラーセン80才、ますますご活躍で、元気を貰った夏の夜のパーティーでした。 新作カーペットの発表パーティー チェルシー26丁目ウエストエンド・アヴェニューの倉庫街で改築が行われているビルのトップフロアに、マーサ・スチュワート・エンタープライスがあります。 この地域は今やアート・ギャラリー、デザイン事務所等の成功組が移り始めていて、より大きなスペースを求める人達がこの2、3年増えています。ストック・スキャンダルの刑期中の頃から、ここにマーサ・スチュワートが来るらしいと他のテナントが噂をしていましたので、どんなスペースか興味をもっていましたが、今回はそのトップフロアのイベント会場で、6月21日に、マーサ・スチュワートの「FLOR」の新作カーペットの発表パーティーがありました。 会場の天井の高さや天窓からの明るい日差しが素晴らしく、広い空間でのプロモーション・イベントの招待客は、プレス、インテリア・デザイナー、関係企業の方々でしたが、マーサ・スチュワートが手がける出版部門、「OMNIMEDiA」はさすが広報上手、マスメディアのアピールのうまさに感心しました。「OMNIMEDiA」が出版している雑誌には、Martha Stewart Living、Everyday Food、Martha Stewart Weddings、Body+Soul、Blueprint、そしてThe Martha Stewart Newsletterがあります。 今回の商品『FLOR』は2003年、イリノイ州にインターフェイス社の一部として設立。住居ラインのハイスタイルなモデュール(区画・構成)のフロアを提供しています。「デザインで遊びたい」人達のために、50cm平方の簡単に交換できる絨毯タイルを自分でデザイン構成できるようになっているものです。「“DIY”は英語で“do-it-yourself”(自分で作る)ですが、“design-it-yourself”(自分でデザインする)という意味も持たせています」とFLORの社長グレッグ・コランド氏は話しています。 『FLOR』は、「自分だけのユニークなフローリングカバーをクリエイトでき、気分によってフロアも好きなように変えることができる」という意味を含んだキャッチコピーなのです。 ストック・スキャンダルでさらに有名になったマーサ・スチュワートをニューヨークのビジネス界がほっておくはずはありません。ますます、活躍の場が広がっているように感じました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第100回 SOFA New York 2007(Sculpture Objects & Functional Art)展

国際美術工芸品フェア、SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)2007が、6月1日~3日の期間、パークアヴェニューのアーモリーで開催されました。昨年に比べ期間は短かかったのですが、来場者は金曜日は45%、土曜、日曜は20%の上昇のにぎわいだったようです。 SOFAの創立者でありディレクターのマークライマン氏は、「すばらしい来場者の数で常に混んでおり、ギャラリー売上も上がって、皆が楽しめた、記念すべき10回目のSOFAフェアになりました。」と言っていました。前夜祭には会場で、恒例のMuseum Of Arts & Designの為のギャラ・オープニング・パーティ、サイレント・オークションが行なわれ、スペシャルゲストで賑わいました。 入り口ではコンテンポラリーガラスで有名なHeller Galleryが展示を行い、今年は日本の作家や出展者も増え、SOFAが知られてきているのを感じました。 → SOFA NEW YORK 公式HP → SOFA NEW YORK 昨年のリポート → MAD 公式HP → MAD 昨年のリポート 日本人作家の作品が多数出展 NYで日本人の作家を多く扱うDaiichi Artsは、カラフルな現代陶芸作家の作品を出展していました。ブース110のChappell Galleryにもガラスや陶器の日本人作家の作品が目立ちました。ボストンからは、NY・SOFA初出展のKEIKO Galleryが、ユニークな日本人作家の作品を出展していました。Snyderman-Worksは、オリジナルの小物作品でおもしろいものを扱っています。日本人の作家は、作年は伊部京子氏、今年は山田アキラ氏の作品を展示していました。そして、招待状やカタログカバーにも写真が使われていた、アメリカでも知名度の高い陶芸の金子潤氏の作品は「Sherry leedy Contemporary Art」に展示されていました。 NYのトライベッカに店をもつ「GEN」は、織部の鈴木五郎をメインに見せて出展していました。英国在住の日本人、Junko MoriとHiroshi Suzukiの精巧な作品を見せていたのは「Clare Beck at Adrian Sassoon」。コネチカットの「Browngrotta Arts」は、熊井恭子他、沢山の日本人ファイバーアーティストを扱かっているので有名なギャラリーです。入り口近くにいつもブースを構える「Joan B. Mirviss」は、日本のギャラリーかと思ってしまうほどの日本通で、秋山陽、北村純子他の作品を扱っていてコレクターを沢山もっているようです。オーナーが日本語がうまいメルボルンの「Lesley Kehoe Galleries」では、初日の朝、作家の麻殖生素子が会場で表装をして、屏風のデモンストレーションを行ないました。皆、感心したり、質問したりと、勉強になりました。 会場ではジュエリーのブースが人気で売れていたようですが、やはり日本のアーティストが多数出展していました。初出展の大阪の八木アート「Art court Gallery」でも、日本の現代作家の作品が見ることができたので、良かったと思いました。 日本作家を特に取り上げましたが、来場者も解かってきているので、日本の良い「本物」をどんどん見せるべきだと、ますます思いました。 t 今年100周年を迎えたニューヨークのJAPAN SOCIETY NYでは今年日系人会(The Japanese American Association of New York,Inc)が100周年を向かえます。9月には大掛かりなギャラ・パーティーが予定されており、Japan Societyでも100周年の特別企画として様々なプログラムが企画されています。Japana Societyは、明治40年(1907年)の創立以来、100年にわたり民間非営利の日米交流団体として日米間の相互理解と友好関係を目的に様々な活動を続け、そして、今年創立100周年を迎えるにあたり、「創立100周年記念事業」としてニューヨークと東京にて様々な特別記念事業を開催中です。 その一環として、5月31日から6月10日までの間、日本が誇る最新技術に焦点を当てた11日間のサミット「テックエポック」を開催し、21世紀のライフスタイルを考察する「テックエポック」、デザイナーや技術者によるシンポジウム、講演会、ビジネス関連プログラム、最新ロボットのデモンストレーション、ハイテク舞台公演、学生対象ワークショップなど、様々な催しが行なわれた中の一部を今回ご紹介します。 「テックエポック」のハイライト企画で、日本が誇る最新鋭ロボットのデモンストレーションと共に、製作者によるコンセプトの紹介や、デザイナーよるロボットのデザイン、機能に関する解説などが行われました。 6日夜のプログラムでは、パロ(Paro)の解説をする柴田隆徳氏に、NYの年配の方達が真剣に聞き入っていました。次の会場でロボットFT(女性型ヒューマノイド)、クロイノ(chroino)Nのデリケートが動き、その紹介を高橋智隆氏が行なっていました。また、別の会場では愛・地球博に出展された、新しいパーソナルモビリティ・トヨタ自動車のi-unitが出現。トヨタチーム、橋本博氏の説明を行い、目の前で動くi-unitに、皆大喜びしていました。子供のプログラムは別にあったのですが、ここに来ていた少年達は真剣に質問をしたりしていました。このプログラムは20人程の小人数に分けて入れ替わるように行なわれましたが、定員以上の申し込みだったようです。 テクノロジー&デザインのシンポジウム 6月8日、9日のテクノロジー&デザインの2日間のシンポジウムは、日本発の先端技術が21世紀類の生活に与える影響と変化をテーマに、自動車、プロダクト、ロボティクス、建築技術といった日本の得意とされる分野での今後の展望と、それに影響されるライフスタイルを、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性や、近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について、各産業界のデザイナー、批評家、そして専門家を招聘し多角的に討論するプログラムでした。その中の6月8日6時半からの「ユーザーイノベーション:消費者優先のモノ作り」プログラムに参加しました。パネリストは東京電力株式会社執行役員廣瀬直己氏、トヨタ自動車東京デザイン部門部長布垣直昭氏、松下電力シニアアドバイザー、前パナソニック・デザイン社長植松豊行氏。消費者のニーズを意識した技術・商品開発や、デザイン、テクノロジー、機能の融合により新たに生じる可能性、そして近未来社会における人間とテクノロジーの密接な関係について討論しました。司会はカリム・ラカーニ氏(ハーバード大学ビジネススクールビジネスアドミニストレーション助教授)。 第2日目 2007年6月9日(土) シンポジウム2日目は、技術とデザインが人々の未来の生活スタイル、移動性、都市計画、建築学的進歩、人とのふれあいや娯楽などにいかに影響を及ぼすかを考察するというもので、参加パネリストは西山浩平氏(エレファント・デザイン社長)、柴田文江氏(工業デザイナー、デザイン・スタジオS代表)、奥山清行氏(Ken Okuyama Design社長)、松井龍哉氏(ヒューマノイドデザイナー、フラワー・ロボティクス代表)、阿部仁史氏(建築家、UCLA建築部学部長)、高橋智隆氏、柴田隆徳、ニコラス・トンプソン氏(『WIRED』誌シニア・エディター)、クリストファー・マウント氏(ニュースクール大学Exhibitions and

第99回 マイケル・アラム

マイケル・アラム マイケル・アラムから私へ、4月23日に開店するマンハッタンのフラッグ・シップ・ショップの、オープニングのお知らせが届きました。 マイケル・アラムは、ギフト・ショーで着実にビジネスを拡大させていって、この1~2年、ブランド商品として大きなブースを持ち、売れっ子になってきています。 私が、マイケル・アラムの初期の作品を日本の展示会に紹介したのは1985年のことです。その当時の作品は、鉄の曲がりくねったスプーンやフォークでしたが、何か不思議な形でいて、自然体の力強さがあり魅力を感じたものでした。 あれからビルディング一棟ごと買って、1階にショップをオープンし、アメリカン・ドリームを着実に実らせていく彼を、横で見ながら、褒讃の気持ち、いっぱいで、あっぱれと思いました。 マイケル・アラムの出身はアメリカで、主にメタル作品を手掛けるアーティストです。1980年代後半にファインアートを勉強し、アーティストとしてニューヨークで暮らしました。その後、のちに己の人生を変えることになるインドの旅へ出て、豊かな金属加工の伝統工芸と出会いました。そして、彼は、まだあまり知られていない職人たちと共同作業を行い、作品を作る糸口を掴みました。、アラムはすっかり感化されて、住居とワークショップをニューデリーにかまえ、その創造意欲を彼のデザインに基づいた工芸作品へと向けました。 アラムの仕事 アラムの仕事は、手作業の率直なありかたを表現することで、人間性を映し出しています。一つ一つの作品に、古くからの伝統的技術が施されながら、愛情が込められていて、心のこもった品質とエネルギーがしみ込んでいます。熟練職人の仕事とは、その職人の手が感じられるものだけである、とアラムは信じています。このエネルギーがさらに、張り詰めた線、形、そしてアラムの独自の作品の意識にまで高められています。 テーブルウェアーから家具までに及ぶオブジェは、世界中のギャラリーや特選ショップ(メーシー・デパート、ブルーミングデール)等で販売されています。この多様性は、アラムが、個人的な注文の依頼も気楽にこなしながら、ギャラリー展示会向けの一点物、また、一般大衆向けの商品も創る、というアーティストとしての多才性をよく現しています。 そして、芸術家と職人との架け渡しを長く続けているのが、彼の仕事の著名なところです。「物語的、具象的」で知られるコレクションにしろ、もっとコンテンポラリーな「スタジオ」ラインにしろ、一つ一つの作品はすべて手で作られるので、全く同じ物は存在しません。この手作業の品質の良さ、またこの品質と独創性がしっかりと混ざり合っているからこそ、クラッシックなインテリアにも、コンテンポラリーなインテリアの家にも、心地よく合うと皆が認めています。 インドのメタルと組んで、成功させた模範例 ヒンズー語で、”aram”は、”優しく、平和な、愛と気配りをもって”、という意味を含むそうです。このマントラのような方向性を、職人達に伝えて、アラムが、完成度の高い作品創りを続けているので、今の成功を納めているのだと思いました。 日本の地場産業の活性化とか、日本の伝統を海外へ等の運動と同じ事を、地道に着実に一人の作家がインドのメタルと組んで、成功させた模範例だと思いました。 トライベッカフィルムフェスティバル トライベッカフィルムフェスティバルは、9・11で大きな被害を受けたトライベッカ(Canalストリートよりダウンタウンの3角地帯、ゼロ地点より上)の地域活性化を目的に、ロバート・デニーロを中心に始まった映画祭で、今年は4月25日~5月6日まで開かれました。 あちこちでレッドカーペットのイベントが行なわれた様でしたが、俳優を追いかけるチャンスは逸してしまいました。そのため、フィルムフェスティバルの看板の写真を撮り、案内所までは出かけたのですが、あまりの量と沢山のインフォーメーションで、専門外の私にはあまり分からなかったため、5月5日の子供の日に行なわれた、ファミリー・フェスティバルに参加しました。 この時期は一日中「ストリートフェアーのよう」という噂を毎年聞いていましたが、沢山の人手と大掛かりなイベントとは思わずびっくりしました。また、フィルムフェスティバルのイベントのひとつというだけあって、いろいろなものが無料で参加できます。トライベッカに、こんなに子供のいる家族が住んでいるのか、と思うほど、あちこちから子供連れで、このフェスティバルに参加していました。 分かリやすい全体地図も用意されていました。あちこちで、無料の出来たてのポップコーンに行列ができ、お試し無料のチョコレートバー、フリードリンクもありました。ほかには、子供向けの参加型シアター、大人気の髪の毛や顔のカラーリング、シャボン玉作りのコーナー、アート・工芸のテント、スポーツ体験大型コーナーもありと、大人も子供も楽しめる盛り沢山のストリート・フェスティバルでした。 キッズコーナー ストリート&体験コーナー ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第97回  アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショー

今回で第6回目となる、アーキテクチュラル・ダイジェスト・ホームデザインショーが、2007年3月8日~11日の4日間、55ストリートと12アベニューに位置するニューヨーク市のPier94で行われました。主催はMart Properties Inc.(MMPI)と、アーキテクチュラル・ダイジェストで、共催はニューヨークタイムズです。11,000SQFeetの展示スペースに300社が出展発表し、見識の高い住宅のデザインを見ることができました。最新情報を得ようとする来場者の為に、セミナーを開催したり、無料で予約制のインテリア・コンサルタントに相談できる場があるなど、教育的プログラムも組み入れています。 このショーの出展者は、Home Designのカテゴリーでは、家具、骨董、テーブル・アクセサリー、キッチン、バス・プロダクト(風呂)、床、壁材、照明、その他の素材で、2007年の出展者の中にはRoche Bobois、Clive Christian、William Haines、Eva Zeisel等が含まれています。 900の列に、今年初めて森本さん(NORI MORIMOTO)が出展していました。10年以上前、Gallery91で個展をしており、イサム・ノグチやジョージ・ナカシマのアシスタントもしていた方です。アートの方向に進むか悩んでいた時期もありましたが、今回の的を射た素晴らしいブースの成功に今後がますます期待されます。 今年の傾向は「Green」プロダクト・エコーフレンドリーマテリアルのハイデザインが注目を集めていたのと、最新台所用品、キッチン・テクノロジーを英国、フランス、イタリーの国際的なマニファクチャーが人気でした。 今回のショーで掲げているのは、「デザインコンサルテーション(これはフロワープランを持参して20分くらいのフリーでQAをするというものです。)」 *STUDIO 94 IDSA「アメリカ工業デザイン協会」がスポンサーをして若手デザイナーをサポート・ショーケースで新しいプロダクトデザインを見せるコーナー。 *Furnuture New York NYに住みNYで仕事をしている作家を一区間まとめて見せていました。 *教育プログラム NYタイムス・スポンサーの会場でデザイナーセミナーシリーズのプログラムが毎日組まれていました。 他出版ブースでは、新しい出版書のサイン会なども行われ、Eva Zeisel on Designの本には100歳の誕生日を迎えるデザイナー Eva Zeiselのサイン会も行われていました。ハイスタイル・キッチン用品の並ぶあたりでは有名セレブ・シェフによるクッキング・デモンストレーションも行われていました。一般生活者にも、購買力をそそるような、とても分かりやすいショーのように思えました。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第95回 Accent on Design

Accent on Designの冬期のトレードショーが、1月28日から2月1日までジャビッツセンターで行われました。 今年はジャビッツセンターが一部改造中のため、ハンドメイドやキッズセクションなどの大幅な配置変えがあり、来場するバイヤーがいつもの買付け先を探すのに戸惑っている様子でした。また、新しい出展者のための離れのピアの展示場が一部縮小されると同時に、ミッドタウンのメトロポリタン・パビリオンが拡大され、ピアと違った評価が得られそうです。 今まで入場口の真正面に設置されていた2階建デッキがなくなり、突然、インパクトの強いアレッシー社の大きな垂幕が現れるところから展示が始まっていました。【 写真1~2 】 今年のGallery 91のブースでは、新しい照明器具がたくさん登場しました。ブースはいつもの白い壁からトーンを落したペイントをし、全体的にシックにまとめ、ライトアップしました。【 写真3~10 】 受賞ブースの数々 今冬のAccent Award賞が以下の通り決定しました。 <ベスト・ニュー・プロダクト・デザイン賞> ・KleinReidのJames KleinとDavid Reidのデザインによる、陶器とシルバーの組合せで創られた鍵シリーズのジュエリー【 写真11、12 】 ・Wunderwurks Designs。【 写真14 】 ハンドメイドで、その変わったホットグルーの素材の使用法の新しさ、美しさが、今回が初めての出展での受賞につながりました。実際触ってみると、シリコンのように柔らかく不思議な商品。 <オーバーオール・エクセレンス賞> ・Dwellのブース。【 写真15、16 】 総括的に優れている商品に与えられるこの賞は、Dwellの常に斬新なデザインを寝具コレクションに生み出し続け、特に、コンテンポラリーベビーベッドというカテゴリーの先駆者として認められました。 <ベスト・コレクション賞> Walteria Livingのブース。【 写真17 】 初出展で、食器コレクションやユーモラスな新しさのある商品群が好評で受賞しました。 癒し系の商品が人気 Josh Jakusは初出展。1枚のリサイクルのフェルトをジッパーで閉めていくと、立体のバッグや財布になるというシンプルで機能的なコレクションデザインでした。【 写真20 】 Accent Award賞には選ばれませんでしたが、私の目で見たところ、こちらの方がアワードに値するのではと思ったデザインのブースが幾つかありました。例えばIngo Maularから独立したデザイナー、Mark Mckennaによる、LEDランプ。プラモデルのようにパッケージされており、型から外して、組み合わせてランプを創るというもの。【 写真23 】 イギリスからやって来たsuck UKのブースは、ピストルを陶器でかたどった花瓶や、サッカーボールの果物ボウルなど、UKらしいエクセントリックなユーモアのある商品ばかり。【 写真24~25 】 年々のデザインものの景気の低迷が影響してか、今年のショーも全体的に、増々、癒し系の商品が人気のようで、今回目に付いたのは、犬(ドッグ)関連の商品が増えた事。犬用のアクセサリーまであり、盛り沢山で驚きました。また、ベビー用品も多く見かけました。今まで癒し系というと、とかく香りやセラピーグッズなど、間接的なものが主でしたが、子供やペット、などが与える癒し、を利用したものが増えたような気がしました。 これも癒し、に入るかと思われましたが、カリフォルニアから花の種を紙につけたギフトパッケージが、明るいギフト用品として華やかに陳列されていたのを、ミッドタウンのメトロポリタン・パビリオンで見つけました。 今年はパリのギフトショーと初日3日重なったとか、バイヤーはニューヨークに間に合わせて訪れ、疲れを見せていました。客足が少なかったのはそのせいもあったようです。 犬(ドッグ)関連の商品が盛り沢山 2月3日はNational Wear Red Day 2004年2月から米国心臓協会(American Heart Association)が中心になって展開されているプログラムのGo Red For Womenキャンペーンは、国立心肺血液研究所(National Heart Lung and Blood Institute)が展開するThe

第88回 ICFF(国際現代家具見本市) ニューヨーク・デザイン・ウィーク

ICFF(国際現代家具見本市) 18回目を迎えた北米一大きな国際現代家具見本市(ICFF)が、5月20日~23日の期間、NYのJacob k. Javits Convention Centerで行われました。今年のテーマは「明日への家具:ヤングとグリーン」。遊び、実験、そして地球に優しい材料等に焦点を合わせたようで、47万5700平方フィートの床には、明るい緑色のカーペットが敷きつめられました。 597社が出展、31カ国が参加し、今年はイタリアのミラノサローネ“isaloni”がICFFの中の400列、500列、600列の一部を同じロゴや色でまとめて出展していました。去年のピアーに比べて俄然華やいで見え、賑わいを増していました。世界中のバイヤー、デザイナー、学生等、会期中の集客数は2万1千人と、昨年と比べて8%アップしたそうです。 入口ロビーには、素材のライブラリーとして知られているマテリアル・コネクションが展示ブースを中と両方に持ち、隣には、毎年Accent on Designに出展しているカナダのUmbraの遊びの小物が展示してあり、今年のテーマを強く象徴していました。 初めての試みで、IDSA(アメリカ工業デザイン協会)が壁際の100列のブースに出展し、若い作家達の展示をサポートしていました。 Best Body of WorkはMoloの「インスタントの壁」 今年もデザイン誌の編集者が審査員となって選ぶ“Editors Choice Awards”が開催されました。“Best Body of Work”には、Softwall製品の「Molo(モーロ)」のフレキシブルな「インスタントの壁」が選ばれました。一見、Haney-Popのイスと同じ様な材料に見えますが、耐水の織物で出来ており、軽く、収縮自在で、アコーディオンのように必要に応じ継ぎ足すことができ、そのバリエーションの展示で注目を集めていました。展示の奥に続く壁がコンフェランスの会議室になっているのも効果的に使われていました。 マテリアル・コネクションのICFF内のブースでは、フィリピン貿易産業省との共同プロジェクトで、フィリピンの自然素材を生かした『トランスフォーメーション』というタイトルの展覧会が行なわれました。同展は、国際的なデザイナー16人の考えたプロトタイプのプロジェクトで、作家の顔写真とコンセプトパネルの展示を見ると、日本の内田繁氏、David Rockwell, Kevin Walz, Karim Rashid, Paul Haigh, Clodagh等の顔写真が展示されていました。 日本人の作家も出展 英国がサポートで日本の作家達が出展しているブースを4つ発見しました。出展者は海外に住んでいる日本人が多かった様ですが、日本でやらなければいけないような事をサポートしている英国の懐の深さや理解度に感激しました。 デザイン学校のブースは今年も新鮮でがんばっていました。出版物のスペースは、大きくすっきり、デザイン誌が並んで分かりやすい展示でした。 今年もその場で買えるデザイン土産マート:DESIGNBOOMの会場は人気を集めていました。 入ってすぐのところに、ポーズをとったKarim Rashidの大きな写真が、映画スター並みに貼られていました。彼は、今やTV番組にもデザインクリティックで、レギュラー出演しており、ニューヨークのデザイン界では 数少ないタレント的存在になっているようです。 今年のICFFのオープニングパーティーは久しぶりにMOMAのSculpture Gardenで行われました。 Off Site(InsideOut New York) Offサイトは見逃せないエキサイティングなシーンが沢山ありました。今年は、Javitsの向かい側にIKEAが大掛かりな特別展示即売を行ったり【写真35】、マーサ・スチュワートのLiving Omnimedia(MSO)が26丁目に出来たビルの1階でMSOの家具ショーをしたりと、マンハッタンのそれぞれのショールームでのパーティーやイベントが年々大きくなってきていました。 前回紹介したMobile Living展も大きなイベントの一つ。会場のSkyLightはイベント会場としては人気のスポットですが、もう一つ最近話題のイベント・スペースで、昔トンネルというDiscoの跡地が今ホットな会場です。 DUNEのPartyとイタリーのIDCSが展示、パーティーが行なわれました。この細長い空間で、DUNEは12アベニュー側入口から半分をとり【写真36-37】、11アベニュー側入口の半分はイタリーのIDCSが展示して、クールな空間を作っていました。 以前はSOHOにあって、人気のThe Apartmentストアーが23丁目に移り、そのパーティーは若い熱気であふれていました【写真40】。 ミートパッキング・エリア14丁目にあるStella McCartneyでもOff Siteのパーティーをしていました【写真41-42】。 イタリーのアソシエーションが幾つかのスモールビジネスをサポートしてソーホーで展示をしていました【写真43-46】。SOHOのグリーン・ストリートにあるブティック・DiselでもInsideOut New Yorkの旗を置いて、参加して派手なバルーンで店の中から外まで目を引いていました【写真47-49】。今年も毎日とてもカバーしきれないICFF外の、InsideOutイベントの数々でした。 ※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子撮影

第87回 モバイル・リビング展/移動する暮らし SOFA New York 2006

モバイル・リビング展/移動する暮らし 「モバイル・リビング」展は、5月21日から23日の期間、ニューヨーク市内、ソーホー西側にある1,700平方メートルの壮大なスペースを持つスカイライト・スタジオ・ギャラリーにて開催されました。 同展では、現代の移動式生活をテーマにエアストリーム・トレーラーやコンテナからボタンひとつで開く、Adam Kalkinの移動住宅など、様々な「移動する暮らし」が提示されました。 「SOHO Evening of Design」を1990年頃から企画してきた業界のプロ同士である、David Shearer(Exhibitions International:元TOTEM)とIDNFの海老原嘉子(Gallery91)が、かかわり、IDNFとEIの2つのNPOが主催しました。毎年5月に行われている、国際近代家具見本市(ICFF)のオフサイト・イベントとし、今年はこの大型「モバイル・リビング」展が最も話題を集めたようです。 トヨタのコンセプトカーF3Rなど、総計21点を展示 “Mobile”は、イタリー語で“家具”を表す単語で、本来は「移動可能」という意味から派生したそうです。今や我々の経済を動かすツールである、ラップトップコンピューターや携帯電話というテクノロジーの発達が、「常に情報を交わす」「どこにいても仕事をする」といった新しい移動式生活をサポートしています。現在人々は、移動中の車や飛行機の中、そしてホテルの部屋などで多くの時間を過ごしています。これらのテーマに沿って、いろいろな作品が集められ、大型トレーラーの中はシアター、コンフェランスの出来る車だったり、トヨタのコンセプトカーF3Rは中のイスが移動してリビング・ルームになるなど、総計21点が集めてられ展示されました。 ○シャトルカー ZipCarによるシャトルカーが「モバイルリビング」展会場と他のプログラム会場とを会期中無料で運行しました。 ○IDNF 91 Grand St. NY, NY 10013 t:212.966.3722 / f:212.966.1684 idnf@designnet.org / www.designnet.org Mobile Living Exhibition Party May 21st 2006 at Sky Light 8:00 pm Mobile Living : Panel Discussion May 22nd at Tribeca Grand Hotel Mobile Livingのパネルディスカッションがトライベカ・グランド・ホテルで行われました。IDNFの社長、Rockwell GroupのTucker Viemeisterがパネラーを努め、MOMAのキューレーター、Paola Antonelli、MAD MuseumのDavid McFadden、デザイナーのKarim Rashid、Adam Kalkin、トヨタ Caltyの副社長Kevin Hunterなどが参加しました。 SOFA New York 2006 第9回SOFA(スカラプチャー・オブジェクト・ファンクショナル・アート)国際美術工芸品・高級クラフトの展示会が、6月1日~4日の期間、慣例のパークアヴェニューのアーモリーにて開催されました。 毎年前日には、Museum of Arts &